錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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64 絶望とオオカミ

《三人称side》

 

「いくぜ!」

「行きます!ハァアアア!」

 

奏と響が飛び出し、襲い来るトリロバイトマギアをなぎ倒す。

 

《アックスライズ!》

「オラァ!」

『人間、滅殺!』

「何ッ!?」

 

奏がオーソライズバスターを振るいトリロバイトマギアを蹴散らしていると、巨大な巻貝が頭部と両腕に張り付いたような見た目のビカリアマギアが、その両腕でオーソライズバスターを防ぐ。

 

「このやろぉ!」

『ッ!』

「ハッ!」

 

奏はビカリアマギアが振るう両腕を躱し、オーソライズバスターを叩きつけて吹き飛ばした。

 

「ラアアア!」

「おい!あんま前に出過ぎるんじゃねえ!」

「立花、左だ!」

 

ナイフを持って斬りかかってくるトリロバイトマギアを殴り、蹴り飛ばす響をクリスが援護する。その時、響の左から赤い鳥人のようなマギアが羽のような形の剣を振るう。

しかし、間一髪で翼の援護が間に合い、響を攻撃したマギア―――ドードーマギアは一旦退く。

 

「立花はやらせない!」

「翼さん!」

「貴女が逸る気持ちは分かる。でも、敵は数が多いうえに強い。もっと私たちを頼りなさい」

「翼さん……ありがとうございます!」

「ったく。勝手に決めんじゃねえよ」

「えへへ……ごめんねクリスちゃん」

「別に、もう慣れっこだ」

「2人とも来るぞ!」

 

翼の警告に2人が警戒すると、トリロバイトマギアがアサルトライフルを撃つ。

クリスはリフレクターで防ぎ、響と翼は身を屈めて銃弾の嵐の中を駆け抜ける。

 

「ハアア!」

「セヤアア!」

【千ノ落涙】

 

翼が跳躍して大量の刀を生成し雨の様に降らせて、トリロバイトマギアを次々と倒していく。

響はドードーマギアの剣を、手甲で受け流して反撃する。

 

「クッ!強い……」

『人間…』

『…殲滅!』

「えッ!?うわぁ!」

 

ドードーマギアに集中していた響は、背後から接近していたもう一体のマギアに気付かずに、攻撃を食らってしまう。

 

「立花!」

「くそッ!まだ居やがったか!」

 

響を背後から攻撃したのは、ネズミのような頭部のエカルマギアだった。

 

「まだまだ居やがるな……」

「ッ…キャロルちゃんも相手しないといけないのに……」

「………立花。ここは私とクリスでどうにかする。お前は奏の方に行くんだ」

「翼先輩!?でも、この数を2人でなんて」

「アホ」

「痛っ!?」

 

渋る響の頭を、クリスが叩く。

 

「生意気言ってんな。これくらい、あたしと翼先輩でどうにかできる」

「ふっ……そういう事だ。行け!立花!」

「………分かりました!ここはお願いします!」

 

そう言って響は、奏の元へと向かう。

トリロバイトマギアが身を塞ぐが、クリスの放ったミサイルによって吹き飛ばされる。

 

「さーてと。トリロバイトは目算で100ちょっと。そんでネズミ頭と鳥野郎か」

「怖気づいたか?」

「ハッ!まさか!全員纏めて…ぶっ飛ばしてやる!」

「では行くぞ!」

「「デュアルシステム、コネクト!」

《デュアルリンク!アメノムラクモ》

《デュアルリンク!ネフシュタン》

 

 

 

一方ビカリアマギアと数体のトリロバイトマギアを相手にしていた奏は、ランペイジガトリングプログライズキーのマガジンを3回回し、ショットライザーのトリガーを引く。

 

《パワー!スピード!エレメント!ランペイジ》

「フッ!」

《ランペイジエレメントブラスト!》

 

左手にタイガーの力で炎が、右手にベアーの力で冷気が生み出される。

 

「フン!ハッ!ハアア!」

 

左手から火炎弾を、右手から氷弾を投げつけてトリロバイトマギアを撃破する。

止めに右手からサソリの力で「アシッドアナライズ」を伸ばし、ビカリアマギアを串刺しにする。

 

『人間、崩壊ー!』

 

胸部に穴を開けたビカリアマギアは、その言葉と共に爆発した。

 

「さーて、後はお前だぜ。サウザー」

「ふん。新たな力を手に入れてはしゃいでる様だな。野良犬風情が。しつけが必要だな」

「やれるもんなら、やってみろよ!」

 

奏はショットライザーを撃ちながらサウザーに接近。

パンチや蹴りを放つが、サウザーはサウザンドジャッカーを巧みに使い、奏の攻撃を全て受け流していく。

 

「格の違いがまだ分からないか」

《JACKING BREAK!》

「フン!」

 

サウザーは氷の斬撃を奏に向けて飛ばす。

奏が回避しようとした瞬間、横から割り込んだ響が、氷の斬撃を打ち砕いた。

 

「大丈夫ですか、奏さん!」

「響!?」

「私も、一緒に戦います!」

「わらわらとうっとおしい!」

 

サウザーがサウザンドジャッカーを掲げると、2人の頭上にマンモス型ライダモデルの足を模したエネルギー体が生み出され、2人を押しつぶそうと降ってくる。

それを左右に分かれてかわし、響はコネクティブユニットのダイヤルを操作する。

 

「デュアルシステム、コネクト!」

《デュアルリンク!デュランダル》

 

デュランダルのリンクギアを纏った響は、サウザーに向かって突撃し拳を叩きつける。

それをサウザンドジャッカーで防いだサウザーは、地面を削りながら軽く後ろに下がるが何とか防ぐ。

そのまま拳を弾き斬りかかるが、響は躱しそれと入れ替わりで奏が接近し、拳打を浴びせていく。

 

「オラァ!」

「グッ!」

 

奏渾身の回し蹴りが刺さり、サウザーは地面を転がる。

 

「こいつで止めだ!」

《パワー!スピード!エレメント!オールランペイジ!》

「ハッ!」

 

奏はマガジンを4回回し引き金を引く。

響は右手を高く掲げると、その上に巨大な光の剣が出現する。

 

《ランペイジオールブラスト!》

「ハアアア…ハァ!」

「でりゃあああ!」

「舐めるなぁアアアアア!」

《サウザンドライズ!》

 

奏は虹色の銃弾を撃ちだし、響は光の剣を振り下ろす。

しかし、サウザーも負けじとバイティングシャークプログライズキーをサウザンドジャッカーに装填、レバーを引いて戻す。

 

《THOUSAND BRAEK!》

「フン!」

 

サウザンドジャッカーを振るい、黒いサメ型ライダモデルを召喚する。

サメ型ライダモデルと、虹色の弾丸と光の剣が激突する。

そのせめぎ合いに勝利したのは……後者だった。

 

「「ハアアアアアッ!!」」

「何ッ!このぉ!」

 

破られたことに驚愕したサウザーはすぐに切り替え、サウザンドジャッカーから伸びるサメの牙を組み合わせた様な鞭を振るい迎撃する。

だが、所詮は苦肉の策。

あっという間に砕かれ、虹色の銃弾と光の剣がサウザーに命中、吹き飛ばした。

 

「グアアアアッ!」

「よしっ!」

 

地面を何度も転がったサウザーは変身が解除され、キャロルの姿が見える。

地面に沈むキャロルは憎々しげな表情を浮かべ、2人を睨む。

 

「ねえ、キャロルちゃん。もうやめよう?きっと、こんなことをしても、何も変わらないよ」

「何も変わらないだと……?ふざけるな!」

 

キャロルは近づいた響が差しのべた手を払いのける。

フラフラになりながらも立ち上がったキャロルは、響から距離を取る。

 

「ならば、オレの憎しみはどうなる!?パパを奪われ世界を憎み!オレの復讐を悪と断じる装者どもに阻まれ!世界はこうもオレを絶望させたいか!」

「キャロルちゃん!」

「ならば……なって見せよう。オレが、この世界の絶望にぃ!」

 

 

 

《キャロルside》

 

『ウアアアアアアアアッ!?グ、グウウ、アアアアアッ!!』

「おい、どういうことだこれは!?何で七海が苦しんでる!」

 

研究室のモニターには、苦しみの悲鳴を上げる七海が映されている。

ベッドに寝そべっているその身体には、すでに落ちることを防ぐための拘束具が付けられている。

それは急だった。うまくいっているはずの適合作業の途中、七海が急に叫びだしたのだ。

オレがどういうことかと黒夜に詰め寄ると、黒夜は苦い顔で話し始める。

 

「……すでに錬金術、ライダーシステム、シンフォギアシステムの数値化による処理は終わってる。おそらく、それによって完成したボトルの成分となーちゃんの身体が適合しようとしてるんだ」

「くそッ!」

 

文字通り七海専用のボトルにするためか!

 

『ウアアアアアッ!』

「ッ!くそッ!」

「おい。こっちもまずいが、外の方もまずいぞ……」

 

フィーネの声に、外の様子を映しているモニターに目を向けると、外の様子に思わず身を見張った。

 

『ハハハハハッ!ハハハハハッ!』

「バルカンに、装者3人ともやられている。生命反応を見る限り生きてはいるが……これはまずいぞ」

「だったら、私は出て時間をかせ―――」

「オレが行く」

「なッ!?何を言ってるの…ッ!?」

 

オレは詰め寄る黒夜の胸元を掴み引き寄せる。

 

「悔しいが……今この場において、一番の頭脳を持つのはお前だ。だから、もし七海に何かあったらお前がどうにかしろ。その時間はオレが稼いでやる……!」

「キャロルちゃん……」

 

これはオレの本心だ。

オレには錬金術という黒夜がまだ持っていない知識があるが、今回の様に3つの異なる技術体系を組み合わせろと言われた場合、おそらくこいつの様にはいかない。

黒夜の知能をオレは認めている。だから、非常に不本意だがこいつに七海を預ける。

それが最善策だろう。

 

「………分かった。なーちゃんのことは、私が全力を持ってなんとかする」

「当たり前だ」

 

黒夜の胸元から手を離し、オレは外に急ぐ。

装者たちが倒れている場所に着くと、そこには倒れ伏している4人と狂ったように笑い声をあげている平行世界のオレがいた。

 

「そこまでだ……!」

「……ん?今更貴様が何をしに来た」

「キャロルちゃん……?」

「お前をブッ飛ばしに来たんだ」

 

オレは足元に落ちている天羽奏のショットライザーを拾い、バックルを腰に巻く。

そして取り出すのは、1つの()()()()()()()()

 

「ゼツメライズキーだと?」

「オレが何の準備もなしに来ると思うな」

《ジャパニーズウルフ!》

《Kamen(Warning!)Rider...Kamen(Warning!)Rider... 》

「フン!」

《ショットライズ!》

 

ショットライザーの引き金を引き、撃ちだした銃弾はオオカミ型のロストモデルに変化する。

ロストモデルはオレの周囲を走り回り、オレの身体にかぶりついた。

その瞬間、オレの身体を今まで以上の負担が襲った。

 

「グウ…!?……これぐらいが何だ……あいつは、今これ以上の苦しみを負っているんだ。これぐらいが、どうしたぁ!ウウアアアアアアッ!!」

《オルトロスバルカン!》

《Awakening the instinct of two beasts long lost》

 

ロストモデルは装甲へと変わり、オレはアサルトウルフに似た形状の仮面ライダーへと変わった。

仮面ライダーオルトロスバルカン。もしもの為に用意してきた、オレの奥の手だ。

そして、これを見た平行世界のオレは、嘲るような笑みを向けてきた。

 

「その程度でオレに勝てるとでも……?」

「うるさいッ!オレがお前をぶっ潰す!」

 

 

「ならば……オレが見せてやろう。絶望をなぁ……!」

 

 

 

 

 

 





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