《七海side》
平行世界のキャロルの隠れ家の捜索が始まって1週間が過ぎた。
この間、特に音沙汰もなく至って平和なものである。
だが今日、その捜索にも発展があったという。
「……まさか、本当に海中にあるとはねぇ」
「だが、これでヤツが言っていた「波の音が聞こえた」というのも納得できる」
了子さんの研究室。
その中では私と了子さんから切り替わったフィーネは、目の前のモニターに映る資料を見ていた。
「鳥之石楠船神、通称フロンティア。箱舟の役割を持つ天翔ける船の聖遺物」
「これには、外からの侵入を遮断するバリア機能がある。おそらく、聖遺物としての反応や他の探査機の反応も、これらを使って防いでいたということか。しかし、一体どうやってやつらは中に入ったんだ……?」
「入ったというより、多分件のギャラルホルンがフロンティアの中にあったんじゃないかな?バリアというのは往々にして、外から拒めても中からは拒みにくいと言うのが鉄板だからね」
一応、外からテレポートジェムを使って侵入できないか試してみたけど無理だった。
だけどその際に観測したデータから、中からならテレポートジェムは使える可能性があることが分かった。
「それにしても、よくこんな海中にある物を発見できたね?」
「これについては、偶然としか言いようがない。先ほども言ったが、フロンティアは聖遺物の反応をバリアで遮断する。だが、その状態で反応を探ると”何かある”が”何も反応しない”という現象が起こる。そこからは、徹底的に探しただけさ」
「なるほど。反応はないけどそこだけ切り取られたように”反応が1つもない”ことで、逆に違和感になったと。さすがだね」
でもフロンティアがここで出てくるなんてね……。
原作だと2期で登場する聖遺物が発見される……因果めいたものを感じる。
「でも、フロンティアに平行世界のキャロルたちがいると確信した理由は……?」
「ほとんどのレーダーから逃れられ、そう簡単には見つからない場所なのに、わざわざ変えるか?」
「……それもそうだね」
確かに、こんなにおいしい場所は、変えるにはもったいなさすぎる。
そして数日後、ミーティングが行われた。
フロンティアにはバリアが張られており、突破はほぼ不可能。ならばどう突入するのか。簡単だ。相手に開けて貰えばいい。
「……お前、頭大丈夫か?」
「その言葉には遺憾の意を表させてもらおうか?クリス」
「す、すまん」
「つまりなーちゃんは、向こうが行動を開始した瞬間を狙おうという事かな?」
失礼なセリフを吐いたクリスをジト目で見つめる。
そんな中、私の目論見を見抜いた姉さんが声を上げた。
「ネフィリムが食べたとされる聖遺物の量は、世界を破壊するほど成長するにはまだ足りない。だから、フロンティアを食べさせようとするはずだよ」
「了子くんと七海くんによると、そのタイミングでフロンティアが浮上すると言う。そして、ネフィリムに食べさせようとするのであればバリアは解除されるはずだ。我々はそのタイミングで乗り込む」
弦十郎さんの言葉で、モニターに映し出された地図にマーカーが付く。
「装者たちは北側から攻撃を開始し、ネフィリムの相手をしてもらいたい。七海くん、キャロルくん、セレナくん、奏は南側から攻撃。平行世界のキャロルくんたちの捕縛を頼みたい」
「この作戦に置いての重要なポイントは、バリアが解かれるという事はネフィリムが捕食を開始している可能性があることだ。おそらくネフィリムは強化されている。装者の皆は気を付けて」
「………この作戦が、最初で最後のチャンスだ。ここで失敗すれば、平行世界のキャロルくんによって、世界は憎しみのままに破壊されてしまうだろう。全員、気合を入れて任務に務めてくれッ!」
「「「「「「「「了解ッ!!」」」」」」」」
《キャロル(平行世界)side》
オレはアウラネルを伴い、隠れ家の廊下を歩いていた。
「アウラネル、やつらはどうだ?」
「こちらを監視するだけで、何も動きはありません」
それもそうだろう。
オレたちがいるこのフロンティアが見つかったことは少々予定外だったが、それでも問題はない。やつらにここのバリアを破る方法はない。
オレは不意にガラス張りの廊下の壁を見る。
「それにネフィリムもある程度強化している。やつらでも叶わないだろう」
「これがネフィリムの”サナギ体”ですか……」
オレたちの眼下には、赤黒い繭が不気味な脈動と共にうごめいていた。
《キャロルside》
「ん……ナナ姉ぇ……」
「ふふ……どうしたの?いつもより積極的だよ?」
夜、
いつもよりも激しく求める私に、ナナ姉えは不思議そうな顔をする。
「……怖いの。私という存在が、私の目の前に現れる。もしかしたら、ここにいる私が本当の私じゃなかったら……」
「キャロル……ちゅ」
「ん……」
ナナ姉えは私の顎に指を添えて上を向かせ、私の唇を唇でふさいできた。
「ここにいるキャロルは、私のキャロルだ。他の誰にも渡さないし、どこにも行かせない。たとえ貴女がこの世界のキャロルじゃなくても、私はここにいるキャロルを愛してる」
「ナナ姉え……!」
私はナナ姉えに抱き着き、この胸に燃え上がる衝動に突き動かされるままにナナ姉えを求めた。
「もっと、もっと教えて!私がナナ姉えの物だって!疑う余地もないくらいに、私に教え込んで!」
「うん。キャロルは私の物、私はキャロルの物だから。首に巻いたチョーカーよりも、もっと深く教えてあげる……
「嬉しい……!」
私たちの夜は更けていく。それでも私たちは寝静まらなかった。
そして、決戦の時がやってきた。
次話から最終決戦に突入します。
それと「錬金術師と心火を燃やしてみよっか?」は、今書いている「輪廻の憎悪編」とその後に投稿する番外編を持って本編完結とします。
主な理由は、他に書きたい作品を思いついたからですね。
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