「マスター!……グアアアアアアッ!」
横から現れたそれはキャロルを押しのけ、代わりにアークゼロの必殺キックを食らい、爆発と共に吹き飛んだ。
「……何が、起こった」
突き飛ばされたキャロルは、自身が未だに生きていることが信じられなかった。
恐る恐る目を開けると、
「なッ……お、おい!」
キャロルは中にいるシャナに突き動かされるままに、急いでアウラネルに駆け寄る。
アークゼロの必殺技を食らったアウラネルは、所々機械部分が露出し、特に動力部分がある胸部は手酷いダメージを負っていた。
「なんで……何でオレを助けた。
この時、シャナはキャロルの精神と1つの身体を共有している状態にある。
基本的には持ち主であるキャロルの精神が優先されるが、シャナの強い感情が一時的に体の支配権を有していた。
「……私は、貴女に…作られた。ならば…この命……マスターの、しあわせのた、めに…」
「もういい……喋るな。オレがまた直してやる。だから、だから……」
涙をにじませ、シャナは声を震わせる。
しかしアウラネルは、全てを悟ったかのように微笑み、シャナの頬に手を添える。
「マスター……生きて、ください。貴女が…幸せになる、こと。それが、私の幸せ。今まで……ありがとう、ございました……」
「え………キャッ!」
アウラネルはシャナを突き飛ばすと、アークゼロに向かって走る。
「ハアアアアアアアアアアアアッ!」
《ポイズン!》
「(マスター……例えこの命と体が作り物でも、私は貴女と共に過ごせて幸せでした)」
アウラネルはスティングスコーピオンプログライズキーを、フォースライザーにセットし、仮面ライダー滅に変身する。
《フォースライズ!》
「(ですが私では、どうやらあなたを幸せに出来ないようです)」
《スティングスコーピオン!》
「(ならばこの命、貴女の為に使いましょう)」
《Break down》
アウラネルはフォースライザーのレバーを引き、跳躍。
アシッドアナライズを左足に巻きつけ、アークゼロに向けてキックを放った。
「(貴方の幸せを守る。これがあの時…
《スティング!ユートピア!》
「オオオオッ!」
『これで目覚めるか?』
『……私はアンドロイド『
『そうだ。オレのこともインストールしてあるだろう』
『はい』
『ならいい。お前にはオレの役に立ってもらうぞ。さしあたっては、名前からだな』
『名前、ですか。私にそのようなものは不要と存じますが』
『何を言う。名前がないと不便だろう。それに、お前はオレの部下だが、お前の生みの親でもあるからな……よし、お前はアウラネルだ』
『アウラネル……それが、私の名前』
『そうだ。それではアウラネル、お前は私の役に立ってもらうぞ?これから、よろしく頼む』
「(マスター………)オオオオオッ!」
《オールエクスティンクション!》
「フンッ!」
「ガッ……!」
アウラネルの蹴りはいとも容易く受け止められ、体勢を崩したアウラネルにアークゼロの拳が突き刺さった。
「(………さよう、なら)」
アークゼロの拳はアウラネルを貫き、主人を守るため立ち向かった従者は、爆発した。
「滅亡、完了」
「あ、ああ…………」
呆然とするシャナの目の前に、ひび割れたスティングスコーピオンプログライズキーが転がってくる。
それを掴み、胸に抱いたシャナは溢れる思いを我慢することは出来なかった。
「う、ああ……うああああああああああああああああああっ!!!」
「本来、私の予測では貴様はすでに死んでいた。一瞬だけでも私の予測を上回ったことは、褒めてやろう。しかし、滅亡は変わらない」
「ッ……黙れ」
「なに?」
アークゼロの暴虐無人なその言葉に、シャナは怒りを込めてアークゼロを睨みつける。
「むっ……」
気づけばシャナだけでなく、七海やセレナ、奏に黒夜も立ち上がっていた。
アークゼロは再び5人に囲まれる形となる。
「まだ立ち上がるか。しかし、お前たちで私を倒すことなど不可能だ。貴様らのドライバーをハッキングし、貴様らを絶望させよう」
「やれるものならやってみろ。行くぞ、キャロル!……ああ、任せろ!」
シャナは体の操作権をキャロルに返し、5人はそれぞれの思いを胸に変身する。
《ブレイクホーン!》
《インフェルノウィング!》
《ラビット!タンク!ベストマッチ!》
《ロボットゼェリィィ!》
《バレット!》
「「「「「変身ッ!!」」」」」
《パーフェクトライズ!》
《バーニングファルコン!》
《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!》
《潰れる!溢れる!溢れ出る!ロボットイングゥリィィス!》
《シューティングウルフ!》
「かかってくるがいい。絶望を教えてやろう」
「心火を燃やして……ぶっ潰す!」
「「「「「ハアアアアッ!」」」」」
5人が一斉にアークゼロに向かって走り出す。
次々と繰り出される攻撃を、アークゼロはその全てを弾き、受け流し、躱していく。
「ぐあッ!」
「キャッ!」
「すぐに終わらせてやろう」
《パワーパンチングブラスト!》
《海賊電車ー!》
七海とセレナを殴り飛ばしたアークゼロがベルトのボタンを押そうとするが、その背後からパンチングコングの奏の『ナックルデモリッション』と、海賊レッシャーの黒夜が放った電車型エネルギー弾がそれを妨害する。
「ウオオオッ!」
「フン!」
「ガッ!」
拳を放つ奏をあしらい、更に斬りかかった黒夜からカイゾクハッシャーを奪い、セレナに向けて光弾を放つ。
それをセレナは主翼『バーニングスクランブラー』で防ぐ。
「セレナッ!」
「はいッ!」
《JACKING BREAK!》
《バーニングレイン》
キャロルとセレナがフェニックス型の斬撃を飛ばすが、アークゼロは手から黒い波動を飛ばして掻き消す。
「姉さんッ!合わせてッ!」
「任せなさい!」
《ラビットチャァァジ!》
《ニンニンコミック!》
ラビットチャージの七海と、ニンニンコミックの黒夜が高機動を活かし、アークゼロに拳打を浴びせていく。
しかし、アークゼロの複眼が一瞬光ると、2人の拳を受け止め殴り飛ばす。
「貴様らの動きはラーニング済みだ」
「だからどうした!」
《バスターダスト!》
《フリージングカバンショット!》
《JACKING BREAK》
3方向からアサルトウルフになった奏の雷を纏ったエネルギー弾、セレナの氷の弾丸、キャロルのマンモスの牙を模した斬撃がアークゼロに迫る。
しかし、アークゼロが手を掲げると地面から漆黒のサメ型ライダモデルが3体飛び出し、3人の攻撃を呑み込んだ。
「ライダモデル!?」
「そんなものまで、複製したのか!?」
「こんなこともできる」
アークゼロの上に黒い靄が発生し、その中から大量に複製されたオーソライズバスターやショットライザー、さらにはホークガトリンガーやカイゾクハッシャーが現れた。
それらは5人に銃口を向け、一斉に撃ち始めた。
「「「「「うわあああああッ!!」」」」」
アークゼロの周囲で爆発が起き、5人は変身解除とまではいかないまでも吹き飛ばされてしまう。
「ぐ、あ……」
「ガハッ……」
「う……」
「貴様らのドライバーをハッキングし、全てを終わらせてやろう」
アークゼロが手を掲げハッキングをしようとする。
「これにて、貴様らは滅亡すr…ガッ!?」
アークゼロがハッキングしようとしたその瞬間、アークゼロの身体から火花が弾けた。
「こ、これは……」
「……フッ。ようやく効いたようだな」
「なに?」
「
「ヌォッ!」
身体の操作権を入れ替えたシャナが説明する間にも、アークゼロから次々と火花が散る。
そんな中でも、アークゼロは自身を蝕むものについて、正体を導き出した。
「……ウイルスプログラム……あの時か」
「そうだ。アウラネルが命を懸けて繋いだ、希望の光だ」
あの時、アウラネルのキックをアークゼロが受け止めた際、アウラネルの左足に巻きついていたアシッドアナライズを通して、ウイルスプログラムを仕込んだ。
まさしく命を懸けた行動。
しかしそれは、シャナ達に明日へと続く希望を残した。
「ナナ姉えッ!皆ッ!これでヤツのハッキングは意味をなさない!後を頼むぞ……ああ、任せておけ。いくぞ、シャナ」
操作権が戻ったキャロルは、ビギニングドラゴンムゲンライズキーをサウザンドライバーに装填する。
《マボロシ!Evolution!》
《ブレイク!ホープ!》
「フッ!」
キャロルは、キー状態に展開したエンディングアルケミストプログライズキーを天高く掲げる。
プログライズキーの先に魔方陣が展開され、そこからドラゴン型のファントムモデル、錬金術師型のライダモデルが飛び出てくる。
「変身ッ!」
《コンプリートライズ!》
キャロルの背後にファントムモデルが、正面にライダモデルが降り立ち、その身を装甲へと変わっていく。
《Thouzer,the ruler of destruction and rebirth,reigns here》
《
「仮面ライダーカラミティサウザー。絶望よ、恐れ震えよ!」
キャロルは威風堂々という言葉が似合う立ち姿で、そう宣言した。
《ゲット!セット!》
「ハハ……さすがキャロル」
《ランペイジバレット!》
「こっちだって負けてられねえ!」
《ハーモニー!オールセット!》
《シンフォニー!》
《オールライズ!》
キャロルの様子に感化された七海と奏も、シンフォニーフルボトルとランペイジガトリングプログライズキーを取り出して、それぞれのドライバーにセットする。
《ブレイブ!》
「先生……すごくかっこいいです!(私も、あんな風に……まずは帰ったら、自分の気持ちを伝えるところからですね)」
《マックスハザードオン!》
「ヒュ~。やるね~(アウラネルも、最後の最後に見つけたわけか。自分の夢をさ)」
《ムゲンライズ!》
《ラビット&ラビット!》
セレナと黒夜も、それぞれの思いを胸に、セインティングペガサスムゲンライズキーと、フルフルラビットタンクフルボトルをそれぞれのドライバーにセットする。
《オラァ!〈ラァ!〉オラァ!〈ラァ!〉オラァ!〈ラァ!〉》
《 《Kamen Rider...Kamen Rider... 》 》
《ガタガタゴットン! ズッタンズタン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン!》
《Are You Ready?》
「「「「変身ッ!(ビルドアップッ!)」」」」
《完全調和のゼリーヤロー!》
《グリスシンフォニー!》
《オラオラオラオラオラァッ!》
《Hope of legend! セインティングペガサス!》
《The sword that pays the darkness is the proof of the king》
《Gathering Round! ランペイジガトリング!》
《マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!!》
《紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!》
《ヤベーイ!ハエーイ!》
それぞれの最強フォームに変身した5人は、アークゼロの前に敢然と立ち塞がる。
「なんだ……これはどういう事だ?なぜこうも、私の予測が外れる……?」
「簡単だよ」
「なんだと?白黄七海」
「貴女はさっきから、悪意のデータのみを予測の材料としている。でもね、私たち人間も、そしてアウラネルたちだって、悪意の感情だけで動いてるわけじゃない!」
一歩踏み出した七海は、アークゼロに向けて声を張り上げる。
「私たちは否応なく悪意を持っていて、それと同じくらい善意を持っている!それは誰にも予測することのできない、可能性の未来を創っていく……私たちとシャナが、分かり合えたようにね」
「アイツが生んだ希望は、オレたちが未来へと繋ぐ!」
「認めん……私の予測に、狂いが生じるなど…!」
「はっ!そう言うところがちっせんだよ!」
「なに!?」
予測結果が間違っていることを認めないアークゼロにセレナ、黒夜、奏、キャロルが声を上げる。
「私たちは何度もぶつかり合って、その度に絆を深めていきました」
「たとえ誰かが道を踏み外そうと、他の誰かが連れ戻す」
「それがあたし達の……善意も悪意も超えた感情!」
「”愛”という、他者を思いやる感情だ!」
「さあ、絶望よ……心火を燃やして、ぶっ潰す!」
次回でアークゼロ戦終了、同時におそらくそれと同時もしくは次で螺旋の憎悪編を終了させます。
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