錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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かいざーおーさん、タク-Fさん感想ありがとうございます!

今回話数が切が良いという事で全部詰め込んだら、一万字近くの長さになりました。


80 錬金術師と心火を燃やしてみよっか?

「貴様ら……こうなれば」

「何をするつもりだ!」

「フン!」

 

膝をついていたアークゼロは立ち上がると、地面に黒い靄を広げていく。

その瞬間、地面が激しく揺れ出した。

 

「なッ!?」

「おわっ!?地震かッ!?」

「違う…これは……」

『七海くんたち無事か!?』

「弦十郎さん!」

「おい旦那!これ何が起こってるんだ!?」

『フロンティアが浮いている!それと同時に、強大なエネルギー反応が観測された!』

 

弦十郎の言葉が通信機から聞こえると同時に、空間に巨大な()()()()()

浮いたフロンティアは、その空間へとゆっくり向かっていく。

 

『おいキャロル!』

「シャナ!これは何が起こっている!?」

『おそらくアークゼロがフロンティアをハッキングしたんだ!それにギャラルホルンも使って、フロンティアを次元の穴に突っ込ませるつもりだ!』

「そしたらどうなる!?」

『……良くて別の平行世界にたどり着く。最悪…次元の狭間を漂流することになる。そうなっら、生きて戻ってこれないだろうな』

「ちぃ!」

 

シャナの説明に、キャロルは歯を噛み締める。

アークゼロは両手を広げ、声を上げる。

 

「かくなる上は、貴様らを道連れにしてやろう……!」

「さっきまで予測がどうこう言ってたやつが、自暴自棄になってんじゃねえ!」

『全員すぐに脱出するんだ!』

「だめだ弦十郎さんッ!こいつを放っておくわけにはいかない!ウイルスプログラムで弱っている今しか、チャンスがない!」

《ツインブレイカー!》

「だったらここでぶっ倒してやる!」

 

奏と七海が同時に駆けだし、連携攻撃をアークゼロに繰り出す。

アークゼロは先ほど同様、全てを捌いているように見えるが、明らかに2人の攻撃が命中しだしている。

 

「「ハアッ!」」

「ぬぉ……!」

「攻撃が聞いてますッ!」

「これならいける!」

「ハアアアッ!」

 

セレナと黒夜も七海たちに続き、アークゼロに攻撃する。

黒夜の腕や足が伸び、文字通り縦横無尽な攻撃をアークゼロに浴びせる。

その攻撃に怯んだアークゼロに、セレナがスラッシュライザーで斬りかかる。

 

「ハッ!」

 

セレナがマントを翻すと、アークゼロの周囲にソードクリスタが展開され突撃する。

 

「おのれ……ハア!」

 

怒涛の攻撃によろめくアークゼロは、自身を黒い霧へと変えて攻撃を逃れると奏、セレナ、黒夜、キャロルを波動で吹き飛ばそうとする。

 

「シャナ、交代だッ!」」

『……任せろッ!』

 

複眼が一瞬だけ紅く光り、身体の操作権を切り替えた()()()が障壁を張る。

障壁で波動攻撃を防ぎ、更に周囲に4つの赤い魔方陣を展開。

それらから火球が連続で放たれる。

 

「ぐぉ!」

『まだまだッ!』

 

さらにシャナが手を振るうと、アークゼロの足元が一瞬で氷漬けになり動きを封じた。

身動きの取れないアークゼロを、足元の地面から突き出た土の柱が上空へ打ち上げる。

そしてシャナは、風の術式を使いアークゼロを追って飛翔。サウザンドジャッカーを振るい、地面に叩きつけた。

 

「ぐ、は……ッ!」

「オオオオオオッ!」

《バーチャライズブレード!》

《フルボトルバスター!》

 

身体から火花を上げながら立ち上がるアークゼロに、バーチャライズブレードとフルボトルバスターを召喚した七海が斬りかかる。

 

「フンッ!」

「グァ!」

「ハァ!」

「ガアアア!」

「オリャァアアッ!」

「グアアアアアッ!」

 

2つの武器で次々と切り裂き、最後に×字に切り裂いてアークゼロを吹き飛ばす。

辛うじて着地したアークゼロだったが、その後視界に映ったのは、ショットライザーを構える奏と、ドライバーのムゲンライズキーを押し込むシャナの姿だった。

 

「今を生き抜くために、あたしたちは出会ったッ!」

「血肉を焼かれても守り紡ぐ。愛が託した命題をッ!」

《ランペイジオールブラスト!》

《アブソリュートカラミティ!》

「「ハァッ!!」」

 

虹色の銃弾とエネルギー弾が、アークゼロを貫いた。

思わず膝をつくアークゼロの背後には、バーチャライズブレードを構えるセレナと、フルボトルバスターにフルフルラビットタンクフルボトルを装填する黒夜がいた。

 

「楽しく笑える毎日が当たり前だと感じられるように……」

「……未来へ繋ごう。過去をいたわろう。現代(いま)を生きよう。そして忘れないッ!」

《アルティメットセイテンティングカリバー!》

《フルフルマッチブレイク!》

「「ハアアアッ!!」」

 

立ち上がったアークゼロに、セレナと黒夜の斬撃が突き刺さる。

 

《ライダーパート!》

《Ready Go!》

「誰かが灯した希望をッ!」

《シンフォニックアタック!》

「ウラアアアアッ!!」

 

七海はヴァリアブルゼリーで右手に巨大なロボットアームを形成し、アークゼロをぶん殴る。

アークゼロも両手を交差し防御するが、短い拮抗の後、防御をぶち破ったロボットアームが、アークゼロを吹っ飛ばす。

 

「熱烈…激烈…猛烈ッ!立ち上がるその度、限界を超えるッ!心火を燃やして……ぶっ潰すッ!キャロルッ!」

「ッ!…ああッ!」

 

七海から呼ばれたことに反応したキャロルが、シャナから強引に体の操作権を取り戻し、ドライバーのプログライズキーを押し込む。

七海も、セフィールトリガーのスイッチを押し、ドライバーのレバーを回していく。

 

《フィーバー!》

《ライダーパート!シンフォギアパート!オールパート!》

「「ハッ!」」

 

七海とキャロルは同時に跳びあがり、キックの体勢を取る。

 

「何故だ……なぜ私が……?今、私が絶望した…?ありえん……あり得ないッ!」

《オールエクスティンクション!》

 

アークゼロもベルトのスイッチを押し、その両手にエネルギーを集めていく。

 

《Ready Go!》

《シンフォニックフィニッシュ!》

《カラミティプロヴィデンス!》

「「ハアアアアアアアアアッ!!!」」

「ヌゥア……!!」

 

七海とキャロルのライダーキックがアークゼロ目がけて放たれ、アークゼロも漆黒の波動を撃ちだして迎撃する。

しかし、漆黒の波動は七海たちのキックによって少しずつ掻き消されていく。

 

「理解、不能……なぜ、貴様らはこんなにも早く進化するッ!」

「そんなものどうだっていいッ!」

「大切な人といる平和な明日の為に!オレたちはお前を倒すッ!」

「ラブ&ピース…キィィィイイイックッッ!!!」

 

やがて2人のキックは、アークゼロの波動を掻き消しアークゼロに命中。

そのまま勢いは止まらずアークゼロを押し込み続け、その強靭な体を貫通した。

 

「ヌァアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

アークゼロの断末魔と共に起きた爆発を背に、着地の体勢のまま2人は何も言わず拳と拳を合わせた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「勝った……?」

「は、はは…そうだ。あたし達、勝ったんだ!」

 

ようやくアークゼロを倒すことに成功した5人は、歓声を上げて勝利を喜ぶ。

しかし勝利の余韻も束の間、すぐに地面が激しく揺れ、フロンティアは空間の穴へと進んでいく。

 

『フロンティアの速度が増したぞッ!急いで脱出するんだッ!』

「ヤバッ……!」

「転移で戻る!急げッ!」

「……………」

「ッ?ナナ姉え、早くッ!」

「(私は…………)」

 

それから一分もせず、フロンティアに一筋の光が明滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《七海side》

 

「う、ううん……」

 

窓から零れる日差しに、私は薄っすらと微睡みから意識を覚醒させた。

 

「……くぁぁ……もう朝か」

 

目を擦りながら左右に目を向けると、そこにはあられもない姿のキャロルとシャナが、幸せそうな寝顔で寝息を立てていた。

私は朝ご飯を作るために、可愛い天使たち(キャロルとシャナ)を起こさないようにベッドから降りる。

 

「ぅぅ……」

 

秋に移りつつある今の季節に、そろそろ薄手は厳しいかとブルリッと身を震わせる。

因みに今の私の服装は薄手のベビードールだ。キャロルとシャナはそれよりも薄い際どいシースルーを着ている。

寒くなってきたらそういうのはやめるように言わないとな……でもこの姿も勿体ないし……まあ、また後で考えよう。

適当にカーディガンを羽織り、寝室を出る。

ああそうそう。ついでに言えば、キャロルは紫色のチョーカーを、シャナは()()()()()()()()をそれぞれ首につけている。

別にそれが何ってわけじゃないけど。まあ、()()はしたいよね。

 

 

 

 

 

「ギャラルホルン事変」と名付けられた先の事件の解決から、すでに2ヶ月が経った。

既に後始末もほとんど終わり、こうして私たちは幸せな日常を謳歌している。

ただ、あの後はホント大変だった。

 

まずはシャナの処遇。

彼女とは和解したとはいえ、彼女は何度も破壊行動を行い少なからず被害も出ている。

故に何のお咎めなしとはいかなかった。特に、アメリカは許しがたいことに、いの一番にシャナの処刑を求めた。理由は、我が国の艦隊に甚大な被害をもたらしたから。

しかし、あのアメリカの艦隊は国連にも何の通達がなかった独断行動らしく、シャナの処刑を求めたのもそれらを有耶無耶にしようとする魂胆からだった。

まあ、逆にアメリカが世界各国から非難されたんだけどね。

それで、シャナの処遇についてだけど、これに関してはS.O.N.G.の報告書や日本の訃堂のお爺さんの手回しによって、ギャラルホルンという聖遺物の存在が今回の事件の発端であるという結果に収まった。シャナもその犠牲者という枠組みだ。

訃堂のお爺さんや弦十郎さんには、頭を下げても足りないくらいだ。また、その裏には翼の父である八紘さんも関わっているらしい。本人は忙しいらしくまだ会えてないけど、今度お礼を言いに行かなくては。

 

次に世界の世論について。

当たり前だけど、今回のフロンティアの一件は世界中に報道された。

それもそうだ。突然地図上になかった島が現れて、その上ではネフィリムという巨大な化け物が暴れてたんだから。

さすがにこれを完全に隠し通すことは難しいと判断した国連は、敢えて一部の情報を開示することで世論を落ち着かせた。もちろん、重要度の高い情報や個人情報は伏せて。

ちなみに、あの時アメリカの艦隊が日本の領海に無断で侵入したことは、世界中に報道されてしまい、たちまち世界中からバッシングの嵐が殺到した。

当たり前だが、国内からもこのことを非難する国民が現れ、この指示を出した当時の大統領は解任、現在は国民からの支持も厚い副大統領が臨時に国のかじ取りをしている。

時期に大統領選挙があるだろうと、連日ニュースで報道されている。

 

 

「う~ん、これでいいかな?」

 

朝ご飯を完成させ、まだ寝ているであろう寝坊助たちを起こしに行こうとした時、リビングに仲良く手を繋いでいるセレナとエルが入ってきた。

 

「おはよう、2人とも」

「おはようございます、お姉ちゃん」

「おはようございます、ナナ姉え」

「私キャロルとシャナを起こしてくるから、その間に顔洗っておいで」

 

私の言葉に頷いた若干眠たそうな2人が、洗面場に向かうのも見届ける。

そうそう、めでたい報告が1つ。

最近、セレナとエルがつき合い始めた。告白はセレナからだと言う。

このことをS.O.N.G.の皆に報告したところ、予想通りマリアが卒倒した。

それ以外はみんな心から祝福し、私やキャロルもそれを祝福した。きっとマリアも祝福してくれるだろう。

また、その流れで私とキャロルがつき合っていることを話すと、何故かみんなそんな気がしていたとのこと。解せぬ。ただ、()()()()()()()()()()()を話すと、それは驚かれた。

ちなみにこの世界で同性婚を法的に認めている国は、やはり少ない。しかし昨今、そういう風潮が少しずつ世界中で広まっており、近い将来、籍を入れることも可能だろうという事らしい。

 

それと一応言っておくけど、さっきの2人の格好、上だけパジャマを着ていたけど、下は下着がチラチラ見えていた。

……まあ、そういう事なんだろうね。私も人のこと言えないけど。

 

……っと、寝室に着いたね。

 

「おーい!朝だよー!」

「んん……?なッ!?」

「むぅ……」

 

2人を起こすために寝室のドアを開けると、そこではまだ寝ていたらしいシャナにキャロルが覆い被さって、今にもキスをしようとしている場面だった。

キャロルはすでに紐が解けかかっていたのか、身に着けていた下着がかなり危ないことになっている。

シャナに至っては下着が捲れていろいろ完全に見えており、これに関しては、おそらくキャロルがはだけさせたのだろうと推測できる。

 

「…………」

「…………」

「…………」

「……お邪魔しましたー」

「あ、はい………じゃないだろぉ!?」

 

うんまあ、そのね、お約束ってやつだよ。

 

「一応聞くけど、何してるの?」

「おはようのキスに決まってるでしょ?」

「お前は何言ってるんだッ!?いいから降りろ!」

「シャナはキスは嫌い?」

「う……べ、別に嫌とは言ってないだろ……んっ!?」

 

キャロルの問いに顔を赤らめたシャナが目を逸らした瞬間、キャロルの唇がシャナの唇を塞いだ。しかもディープな方で。

 

「ん、んん……」

「んーーー!?」

「はいストップ」

「あいたっ!」

 

これ以上は止まらなさそうだったので、キャロルの頭をチョップし強制的にやめさせる。

本人は頭をさすりながら、恨めしそうな目で睨んでくる。といっても、可愛いの感想くらいしか浮かばないけど。

 

「うう……痛い」

「はぁ……ほら、朝ご飯出来たから起きて」

「だったら、おはようのキスして」

「まったくこの子は……ほら。ちゅっ」

 

ギャラルホルン事変後、キャロルは大胆になった。普段のスキンシップでも、夜の方でもだ。

ただ、今はさすがに起きてもらいたいので、要求通りキスを浅い方でしてあげる。

唇を離したキャロルは、嬉しそうに同性ですら虜にしそうな妖艶な笑みを浮かべ、自分のカーディガンを持って、ルンルンと軽い足取りで寝室を出ていく。

私も向かおうとした途端、裾が軽く引かれる感触に振り返る。

 

「えっと…どうしたの?」

「………ん」

 

カーディガンの裾をチョコンと摘まむシャナは、私の問いに応えずほんのりと赤い顔を突き出す。

……ああ、そういうことか。

 

「ちゅっ」

「ん……」

 

キャロルと同じようにキスをしてあげると、シャナはいそいそとベッドから降り寝室を出て……出た瞬間猛ダッシュでリビングに走っていった。

あんな風におねだりしたのが、今更になって恥ずかしくなったんだろうなぁ。

……と思ったらすぐに戻ってきて、パジャマを取るだけ取り顔を合わせることなく走って行った。

 

 

温かくて、幸せな私たちの日常の一ページ。

この光景は私たちが手に入れた、とても、とても大切な宝物。

 

私たちはこの幸せを忘れないし、手放すことはない。

 

 

 

 

 

 

さあ…

 

 

 

 

 

 

 

 

心火を燃やして、今日を生きていこっか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――3年後

 

「……………」

「シャナ、時間だ。そろそろ行こう」

「ああ」

 

あれから3年経った。

私たちはシャナの要望で、海を見渡せる場所を見つけてその土地を買い、そこにギャラルホルン事変で亡くなった人たちを弔うためのお墓を建てた。

とは言っても、ノイズが現れたわけでもないから遺体も残っており、ちゃんと遺族の人達に引き取られて、その人たちのお墓に眠っている。ただ、その中にも身元が分からなかったり、天涯孤独の人がいたりして、その人たちはこのお墓に眠っている。

何かしらの大きな任務がある時は、シャナは任務の前に必ずここに来る。

シャナ曰く、自身が犯した過ちを忘れたくないらしい。

今回もある任務の前に、花束を持ってここに訪れた。

 

「………貴方たちにしたことは、きっと許されることではない。だから、それ以上に誰かを救わせてくれ。本当なら、すぐにそっちに行った方が良いんだろうけどな。でも、こんなオレを好きと言ってくれる人たちがいる。だから、すまないな」

 

シャナはそう言うと、合わせていた手を下ろして立ち上がり、私とキャロルの方に歩いてくる。

その時、一陣の風が吹き、思わずシャナは顔を手で覆う。その際、僅かに視線がお墓の方に流れたのだろうけど、何故かシャナはしばらく固まっていた。

 

「シャナ……?」

「ふ……いいや、なんでもない」

 

そう言ってシャナは私の横を通り過ぎる。その際、口元が微かに微笑んでいたのが、とても印象的だった。

何か見つけたのだろうかとお墓を見てみると、シャナが供えた花束の前に、一輪の青い花びらの花が置かれていた。

あんな花持ってきてたっけな?と思いながら、その花の種類を思い出す。

たしか名前は…ネモフィラだっけ?

花言葉は…………あ。

 

「おーい!ナナ姉えー!」

「はは……今いくー!」

 

なるほど。これは確かに、穏やかな気持ちになるわけだ。

 

 

ギャラルホルン事変から3年も経つと、みんな自分の道を進み始める。

 

立花響は小日向未来と同じ大学に通いながら、S.O.N.G.の装者として未だに活動している。この前久しぶりに会ったら、2足のわらじは大変だと嘆いていた。

それでも、小日向未来に協力してもらいながら何とか頑張っているらしい。

 

風鳴翼は歌手としての活動を再開し、世界をまたに駆ける女性歌手として、今なお現役として活動しているらしい。

マネージャーの緒川さんから片付けや家事を習っているらしいが、その度に緒川さんは命の危機を憶えるとか。それでもマネージャーをやめない辺り、彼もまた、風鳴翼という一人の人間に魅了されているという事だろう。

 

雪音クリスは音大に通うのかと思っていたけど、意外にもS.O.N.G.の科学者として働く姉さんの助手になったらしい。

彼女曰く、「歌で誰かを幸せにする夢を諦めたわけじゃない。だけど、それと同じくらい…その、あいつの傍にいたいんだ」という事らしい。

今は姉さんや了子さんから、聖遺物や研究関連について必死に勉強しているらしい。まあ、彼女は結構頭が良い方だから、すぐに習得してしまうだろう。

クリスなら姉さんのストッパーになってくれるだろうし、安心だ。

 

マリア・カデンツァヴナ・イブは、S.O.N.G.の装者に専念するらしい。

前に話した時にそれとなく理由を聞いてみると、「1人くらいこうやって待機していた方が、あの子たちも自分のしたいことに集中できるでしょう?」と言われた。

まさしくお母さんである。彼女を慕う人が多いのは、こういった面が大きいのだろう。

その一方で、最近はとある男性スタッフとよく話している姿が見かけられるとか。きっとその男性スタッフは、マリアを慕う女性たちから厳しく審査されるのだろうけど……まあ、頑張れとしか言いようがない。

 

暁切歌……結構意外な進路に進んだ。

2年くらい前に、インターネットに投降したと言うショート漫画が見事にバズッた。

その後も、出版社の開催した企画に投稿してみたところ絶賛されたらしく、漫画家になることを志したらしい。今は大学で絵の勉強をしつつ、とある女性漫画家の元で漫画の勉強をしているらしい。

実は切歌ちゃんのこの”夢”を巡っては、マリアと切歌を中心にかなりドタバタしたことになったんだけど、それはいまする話ではないだろう。

 

月読調は未だに進路に悩んでいるらしい。前に私も相談を受けたことがある。

本人としては漫画家を目指す切歌ちゃんを支えたいらしい。まあ、彼女がちゃんとした一人暮らしが出来る想像はできないので、向こうは喜ぶだろう。

とは言え、これから先、何かしらやりたいこともできるだろうから、もうちょっと悩んでみたらいいと答えておいた。本人は困った様子だったが、こればっかりは適当なことを言うわけにもいかない。

ちなみにこの数年後、世界的なファッションデザイナーとして彼女が活躍することになるのだけど、それはまた別のお話。

 

天羽奏は、ギャラルホルン事変の後、歌手としてもう一度歌いたいという夢を叶えるため、もう特訓を重ねてブランクをわずか半年で克服、歌手に復帰した。

ツヴァイウィングの復活は当人たちで話し合った結果、それぞれで頑張るという事で叶わなかったが、すでにいくつか2人がデュエットしている曲が発表されたりしている。

復帰当時はいろいろと言われていた彼女だったが、それすら跳ね除けて僅か1年足らずで、前よりもさらに人気を博すようになった。

 

セレナ・カデンツァヴナ・イブは、新築を建てた。そして恋人であるエルと一緒にそこに移り住んだ。しかもそれなりに大きい屋敷だ。

話を聞けば、どうやらセレナはこういう大きいお屋敷に住んでみたいと、前々から思っていたらしい。おそらくそれには、F.I.S.時代のことが記憶が関係しているのだろうと思ったが、全然そういう事はなかった。

単に、みんなで暮らせれば素敵だろうなという可愛らしい考えがあったかららしい。

だからなのか、彼女の家では頻繁にお泊り会が行われている。

2人が私たちが住んでいる家から引っ越したことは寂しいが、会いに行こうと思えばいつでも行ける。それに、これは2人で決めた2人の暮らしだ。私がとやかく言う事じゃない。

そういえば、1年ほど前ぐらいから彼女の家にメイドが2人増えた。

片方は底抜けに明るく無邪気な姉で、もう片方はそれを窘める妹だそうで、セレナがエルと共に()()()という、()()()()()()()()()なのだとか。

 

姉さんはやっぱり、というかなんというか、S.O.N.G.にて研究者として活動しており、有事の際にはビルドとして現場に赴くことがあるという。

まあ、最近はそんなことも滅多になく、助手として傍にいると決めたクリスをハチャメチャに振り回してそうだけどね。

ただ……あの姉さんが、クリスの気持ちに気付かないなんてこと……真相は当人たちしか知らずってね。

 

 

そして私たちはというと……

 

「あれがこの世界で暴れているというロボット……まんまトリロバイトマギアだな」

「だねぇ……時空の狭間に飛んでいった拍子に落っこちたのを複製したのかな。で、今来たのがこの世界の装者か」

「それじゃあ、いつも通りにやるぞ。まずはこの世界の2課とコンタクトを取る。そのためにまず、あのトリロバイトマギアを倒す」

「そうだな。セレナたちも引越して、今家には()()()1人だ。『私は()()なのです。()()()()たちがいない間は、私が留守を守ります』とは言うが、それでは寂しいからな。だからオレたちがいない間は、セレナたちの家にいろと言っているのに」

「まあまあ……だったら早く終わらせてしまおうよ」

「そういう事だ。行くぞシャナ」

「ああ」

 

私たちの仕事は、()()()()()()()が発生させるゲートを通り、平行世界に起きている問題を解決すること。

ギャラルホルン事変にて時空の狭間に飛んでいったフロンティアだったが、実はギャラルホルンだけはちゃっかり回収しておいた。

主な理由は、いつかシャナがいた世界を見つけるため。とは言え、彼女はすでに私の恋人で家族なのだから手放すつもりはない。だけど、元いた世界には連れて行ってあげたいのだ。あー例えるならあれだ。故郷を見せてあげたいみたいな……違うかな?

 

ともかく、その後S.O.N.G.での解析の結果、ギャラルホルンは平行世界との道を繋げるだけでなく、平行世界に何かしらの危機が起こった場合、それを知らせる役割も持っているとのことらしい。

というわけで、その先発隊が私、キャロル、シャナというわけだ。

ギャラルホルンが危機を知らせた平行世界で、友好的な組織と接触しその後他のメンバーを呼ぶための体制を整える。それが私たちのお仕事だ。

ギャラルホルンが危機を知らせる頻度はそこまで多くないが、それでも結構大変なお仕事である。

だけど、私は今の暮らしに満足している。

家族がいて、友人がいて、愛しい人がそばにいる…この暮らしは私の幸せである。

 

 

私たちは転移して、トリロバイトマギアが暴れている場所に向かう。

急に現れた私たちに、戦っていたこの世界の装者が驚愕した様子で問い掛けてくる。

 

「な、何者だ!」

「強いて言うなら、味方かな?」

「怪しさ満々だな」

「キャロル、そういう事言わないの」

「「変身」」

 

《ロボットイングゥリィィス!》

《When the five horns cross,the golden soldier THOUSER is born.》

 

「仮面ライダーサウザー。オレの力を、測れると思うなよ?」

「仮面ライダーグリス……」

 

 

 

「心火を燃やして……ぶっ潰すッ!」

 

 

<螺旋の憎悪編 完結>

 




ちなみにアークゼロ戦の、最後の必殺技ラッシュの時のセリフは

七海→『Perfect Triumph』
キャロル→『五線譜のサンクチュアリ』
セレナ→『誰かのためのヒカリ』
奏→『キミト云ウ 音奏デ ツキルマデ』
黒夜→『Be The One』

の歌詞から(多少アレンジしてたりしますが)取っています。

そして、お墓に置かれていた青い花「ネモフィラ」の花言葉は、『どこでも成功』『可憐』そして…………『貴方を許す』

というわけで、これにて螺旋の憎悪編完結です!

11月1日からタク-Fさんとのコラボ投稿が開始!
章の名前は『シアワセという名のキセキ~精霊と人の輪舞~』です。
という事で10月31日をたっぷり使って、コラボ先の『マジで……この世界!?』を読んでおくことをお勧めします!
リンク先 https://syosetu.org/novel/234619/

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