錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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前回までのあらすじ

仮面ライダーブラッドを追う七海は、謎の青年ともう一人のキャロルと出会った。

成り行き上戦闘となり、その過程でキャロルとも合流。

謎の青年たちを信じることにした七海と、そして同じ考えを持った青年によって、キャロル同士の戦闘は中断する。

彼女らの出会いは、この世界に何をもたらすのか……


戦闘、そして分断

それぞれ矛を収めた私たちは、お互いの自己紹介をすることになった。

 

「―――ほんっとうにゴメンナサイッッ!!!」

 

その言葉と共に目の前の青年―――雪音勇くんに頭を下げる。

何とも言えない空気が広がり、勇君は困惑した表情を浮かべる。

 

「まさか、デートが中断させられたから攻撃したとは……何をやってるんだ」

「いや、ちがっ……くもないけどぉ!?彼の力とこの世界を覆う結界が同じだったから……ブラッドの仲間かと思ってつい……」

「「………はぁ」」

 

人差し指を合わせながら弁明する私に、キャロルとシャナがため息を合わせて呆れる。

 

「それが最後の言葉か……オレの勇を傷つけた罪がその程度で済むと思っているのか?」

「貴様も同じようなものだろ」

「なんだと……?」

「ああ……?」

「おい、似た者同士仲良くしろ」

「「誰がッ!?……むっ!ぐぬぬぬぬぬ……!」」

「まったく、これだからキャロルの名を持つものは」

「「お前が言うなッ!!ッ!いちいちセリフを被せるなー!?」」

 

顔を突き合わせ、がみがみと言い争う()()()()()()()

3人の内2人は、こちらのキャロルと実体化したシャナなんだけど、もう一人は先ほど戦ったキャロル。

話を聞く限り、どうも本物のキャロル・マールス・ディーンハイムらしい。

というのも、どうやら勇君は平行世界の人間らしく、彼を守ったキャロルちゃん(以後ちゃん付けで呼ぶことにする)は勇君の世界のキャロル・マールス・ディーンハイムということだ。

このあたりのことは、同じく平行世界出身のシャナが気付いた。

 

「まあまあ、落ち着いて3人とも」

 

そしていがみ合う3人を宥めている青年が、名前を雪音勇。

彼は錬金術師でもありながら、『精霊』と呼ばれる力を身に宿し、『天使』という武器を扱える。

キャロルちゃんも彼との繋がり(なんかうまい具合にはぐらかされたけど)があるらしく、彼女もまた同じようなことができるとのこと。

私やキャロルとの戦闘で使っていた攻撃は、その天使によるものらしい。

 

「勇ッ!こいつらはお前を傷つけたんだぞ!?本来なら、考える限りの手で殺してやるものを……!」

「はっ!それはこちらのセリフだ。ナナ姉えを傷つけられたことを、黙って見過ごすと思うか?」

 

精霊に天使……随分と不思議な力だなぁと思っていると、どうも2人のキャロルの言い争いがヒートアップしてきた。

 

「貴様が俺に勝てるものか!ライダーシステムとかいう兵装に頼り切って、錬金術での戦いを忘れたザコに!」

「なんだとッ!貴様こそ錬金術を使わず、他人の力に縋っているだけじゃないのか!?錬金術師モドキがッ!」

「何ッ!」

「やるかッ!?」

「「キャロルッ!!」」

「「ッ!?」」

 

私と勇君の叱りつける声に、2人のキャロルは身体をビクゥッ!と振るわせる。

だけど、さすがにこれは見逃すわけにはいかない。

 

 

「今回のことは、私が一方的に彼らを攻撃したことが悪いの。だから、向こうの…キャロルちゃんを悪く言うのはダメ。すれ違いや間違いを起こすのは良い。でも、自分から相手を暴力で押さえつけようとしてはいけない。いい?」

「キャロルもだ。ボク達に守るものがあるように、彼女たちにも守るものがある。今回のことは不幸なすれ違いだったんだ。だったら、ちゃんと話し合って仲直りできる。でも、自分たちから挑んでしまえば、それはすごく難しくなる。いいね?」

「むぅ…ナナ姉が良いなら……」

「勇がそう言うなら……」

 

私たちのお説教に、2人のキャロルは渋々といった感じで頷く。

でも、それじゃダメだ。

 

「「キャロル」」

「あーもう!分かった!あいつとは喧嘩しない!」

「ぐ……オレもだ。あいつとの諍いを起こさないよう、努力はしよう」

「……まぁ、これくらいが妥協案かな」

「やれやれ。どうしてこうなるのやら」

「同族嫌悪とか?」

「あー……」

「「なんか言ったか?」」

「「………………」」

 

2人のキャロルのドスの利いた声に、私と勇君はそろってそっぽを向く。

いやー、でもあると思うんだけどなー。同族嫌悪ならぬ同人嫌悪。

 

「ふぁ……やっと終わったか」

「シャナ……貴女見てないで止めてよ」

「お断りだ。オレが止めるより、お前たちの説教の方がこいつ等には効くだろう?」

 

実際そうだろうけどさぁ……シャナはこういうところで頭がよく回る。

 

「それより……来たぞ」

「え?……ッ!」

 

シャナが指差した方向に向けると、そこから紫色の球体が飛んできた。

 

「ガブリエル!輪舞曲(ロンド)!」

 

咄嗟に勇君が音による衝撃波で、球体を弾き飛ばしてくれた。球体は見当はずれな場所に着弾すると、轟音と共に爆発した。

そして、私たちがこの世界に来た原因でもある、仮面ライダーブラッドが姿を現した。

 

「まさか私を追ってきていたとは。それに、そこの2人は……なるほど、アイツが連れてきたのか」

「アイツ……まさか、彼女のことを知っているのか?」

 

ブラッドの言葉に、勇君が首を捻る。

勇君たちの話では、どうやら勇君とキャロルちゃんは、謎の人物によってこの世界に連れてこられたらしい。しかも、その際に彼の力も奪われているのだとか。

 

「仮面ライダー…ブラッド」

「え?あれが……七海さんたちが追ってきたって言う」

「そうだ。仮面ライダーブラッド。オレたちの世界から、ビルドドライバーとハザードトリガーを奪ったヤツだ」

「そこまで強そうには見えないがな」

「黙っていろ。シャナ」

「ああ」

 

キャロルとシャナが拳を会わせ、シャナが粒子化してキャロルの中に入る。

そして、私はロボットスクラッシュゼリーを取り出し、キャロルはアメイジングコーカサスプログライズキーを展開する。

 

《ゼツメツ!Evolution!》

《ブレイク!ホーン!》

《ロボットゼェリィィ!》

 

私は左手を正面に伸ばす。

キャロルは掲げたプログライズキーに魔方陣を展開させ、そこからライダモデルとロストモデルを召喚する。

 

「「変身ッ!」」

 

《When the five horns cross,the golden soldier THOUSER is born.》

《Presented by Alchemist!》

《潰れるぅ! 流れるぅ! 溢れ出るぅ!》

《ロボッットォイングゥゥリスゥゥゥ!》

《ブルァァァァァ!》

 

仮面ライダーグリスと仮面ライダーサウザーに変身した私たちは、それぞれの武器を構え、ブラッドに攻撃を仕掛ける。

 

「ハアアッ!」

「フンッ!」

「貴様らでは、私に勝てん」

 

ブラッドはそう言って、私の攻撃を受け流し、キャロルのサウザンドジャッカーを弾き飛ばす。

そして、両手から波動を飛ばして私たちを吹き飛ばした。

 

「ぐぁ!」

「ガッ!」

「安心しろ。苦しむ暇もなく殺してやる」

「舐めるなぁ!クローズドラゴン!」

「キュールル!」

《Ready Go!》

《レッツフィニッシュ!》

「フンッ!」

《JACKING BREAK!》

「その程度で……ハアッ!」

 

余裕な態度を見せるブラッドに対し、私とキャロルはオオカミ型のエネルギー弾を飛ばすが、ブラッドはコブラ型のエネルギー体を2体生成する。

コブラ型のエネルギー体は、私たちのエネルギー弾を容易く打ち破り、私たちも突進を食らってしまった。

 

「ハッ!」

「なッ!?」

「くそ!離せ!」

「フンッ!」

 

さらにブラッドは両手から触手を伸ばし、私たちを拘束。そのまま振り回され、投げ飛ばされてしまう。

 

「ガ、ハッ……」

「グウウ……」

 

木々をなぎ倒しながら倒れた私たちは、ダメージのせいで立ち上がれなかった。

ブラッドの方を見れば、勇君たちもブラッドと戦っていた。

 

「くっ……」

「こいつッ!?」

 

しかし、2人も私たち同様にブラッドの攻撃を食らってしまい吹き飛ばされてきた。

 

「やはり障害と言えどこの程度……そうだ。余分にあったところで、困りはせんだろう」

 

ブラッドはそう言うと、()()()()()のキャップを捻り勇君に向ける。

すると、勇君の身体から色とりどりの粒子が溢れだし、ブラッドの持つボトルに吸い込まれていく。

ブラッドは何をして……まさかッ!?ブラッドは勇君の力を奪うつもりか!

 

「好き勝手させるかッ!」

 

キャロルもそれに気づいたのか、中断させるためにブラッドに斬りかかる。

しかし、ブラッドにヒラリと躱され、逆に反撃を食らってしまう。

 

「消えるがいい」

「うわあああああッ!」

 

ブラッドの拳によってキャロルは吹き飛ばされ、近くにある崖から落ちてしまう。

 

「キャロルッ!」

「いけないッ!」

 

咄嗟に勇君も動き、キャロルを追って崖から飛び降りる。

本当なら私も追いたいけど……

 

「ふん。まとめて2人始末できたか」

「貴様ァァアアア!」

 

こっちを放っておくわけにもいかない。

逆上したキャロルちゃんが、ブラッドの波動によって下がらせられた上に、体勢を崩してしまう。

 

「貴様も後を追うがいい」

「ッ!」

「やらせるかァアア!」

《スクラップフィニッシュ!》

 

ブラッドが止めとばかりに、紫色の球体をキャロルちゃんに投げる。

体勢を崩したキャロルちゃんだと、直撃は防げてもダメージは負ってしまうと判断した私は、ギリギリで間に入りこみエネルギーを込めたパンチで迎撃する。

しかし、球体は爆発しその爆風によって、私たちも崖から放り出されてしまう。

足場のない空中にいる不安定な感覚の中、どうにかしてキャロルちゃんを引き寄せる。

 

「貴様らのことだ。どうせしぶとく生き残るだろう。だが、次目覚める時は、すでに夢の中だ」

 

朦朧とする意識の中で、薄っすらと聞こえたブラッドの言葉を最後に、私の意識は途絶えた。

 

 




何気にこの作品の仮面ライダーブラッドって、超強化されてるんですよね。
だって、変身してあまり時間が経っていないにも関わらず、七海とキャロルを圧倒。
しかも超強化されてる勇君とキャロルちゃんにも勝利してるし。

勇君とキャロルちゃんがどれだけ強化されているかは、こっちを見てね。
勇君視点もこちらから!

タク-Fさん投稿「マジで……この世界!?」
https://syosetu.org/novel/234619/

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次回予告

ブラッドの襲撃に会い、2手に分断されてしまった4人。

「次目覚める時は、すでに夢の中だ」

この言葉が差す意味とは?そして、ブラッドの目的とは一体なんなのか?

次回もお楽しみに!

何も言わずに選んでください

  • ゲーマーキャロルちゃん
  • 原作開始前に命題に気づいたキャロルちゃん
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