錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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前回までのあらすじ

ブラッドの襲撃によって、分断されてしまった5人。

七海と勇の世界のキャロルは、謎の街を散策する中で来禅高校と言う場所を見つける。

潜入した来禅高校で、2人は何を見るのか……


シアワセのその影で

来禅高校の門をくぐり抜けると、グラウンドには朝練をしているらしい生徒たちが不通にいた。あれだけ街を歩いても誰も見当たらなかったのに、何故この学園の中にはたくさんの人達がいるのか。

疑問は尽きないけど、考えていても分からないので後者の中に入る。

 

夕弦(ゆづる)!今日はテストの点で勝負するからね!」

「了解。しかし耶倶矢相手では、すでに勝敗は決まったようなものですが」

「何でよッ!」

 

靴を履き替え階段を上ると、たくさんの生徒が思い思いの話題を話していた。

昨日何してた?とか、昨日のテレビが~とか、その光景は至って普通の学園の風景だ。

 

「アイツ遅いなー」

「あ、あれじゃない?やーっと来た」

「まったく、遅刻ギリギリじゃん」

 

この会話すら、まさしく普通なそれであり――――

 

「おーい!お待たせー!」

「……ッ!?」

 

―――しかしそれは、駆け足ですれ違った女子生徒の顔を見た途端に、異常を感じるものだった。

 

「…………」

「……?突然立ち止まってどうし……っておい。そんな怖い顔して、ほんとどうした?」

「いや、なんでもないよ。うん、なんでもない」

「…そうか」

 

……表情を無理矢理直しながら、キャロルちゃんに返事をする。

キャロルちゃんは若干訝しんだものの、再び歩き始める。

私も、何事もなかったかのように歩き始める。

 

「それにしても、本当にここに手掛かりがあるの?」

「知らん」

「ええ!?それはないよ~!」

「あの、そこのお2人!」

 

後ろからかけられた声に振り向くと………誰もいなかった。

 

「あの!人と話す時は目を合わせるのですよ!」

「え?……えっとーどちら様?」

「なッ!?先生に向かってその言い方はどうなのですかッ!?」

「先生ッ!?いや…だって、私と同じくらいの身長……」

「こ、こんな身長ですけど!こう見えて先生なのですよ!……ぅぅ」

 

これ以上絡まれてもいけないので、自虐で落ち込んでる先生を置いてすぐにその場を退散する。

キャロルちゃん?気づいたらいなかったよ畜生め。

 

「ちょっと!まだお話は終わってないですよ!」

「あ、たまちゃんおはよー」

 

なんとかたまちゃんと呼ばれていた先生?を振り切って、私を置いて行ったキャロルちゃんに追いつく。

 

「置いてかないでよ」

「知るか。何でオレが、あんな見た目子供の様なやつと話さねばならん」

「それ、完全にブーメランだよね。というかキャロルちゃんあの先生より低いよね?」

「……次何か言ったら息の根止めてやるからな」

「それは勘弁」

 

変わらず素っ気ないキャロルちゃんの様子に、肩をすくめる。仲良くなるにはまだ難しそうだ。

どうすれば仲良くなれるのだろうか?そんなことを考えながら、ふと窓の外を見て……ッ!?

 

「キャロルちゃん伏せて!」

「なッ!?」

 

キャロルちゃんを押し倒し、その上に覆い被さる。

突然のことにキャロルちゃんが文句を言おうとした瞬間、廊下の窓ガラスを突き破って数本の触手が突っ込んできた。

 

「……大丈夫?」

「あ、ああ……というか、早くどけ!」

 

キャロルちゃんが身体強化術式を使ってまで私をどけようとするので、素直に上から退く。

 

「それで、一体何が起きた?薄々分かってはいるが」

「外にブラッドがいる。私が気づいた時には、すでに触手を伸ばしていたから、何も対策が取れなか……あれ?」

 

そこまで言って気づいた。()()()()()()()()()

突然窓ガラスが突き破られたのだ。さすがに誰かが叫ぶなりするはず……。

そこまで考えて、目の前の教室から3人の女子生徒が出てくるのに気づいて顔を上げた瞬間、ギョッとした。

整っている顔には、さっきの衝撃で飛ばされたのであろう窓ガラスの破片が刺さっており、血がダラダラと流れている。

それどころか腕の一部が触手にやられたのか、変な方向に曲がっている。

だけど、()()()()()()()()()()()()()

 

「なんだ……何でこいつらは、()()()()()()

 

キャロルちゃんも目の前の光景が信じられないのか、目を見開いて固まっている。

さらに驚くことに、女子生徒たちの傷は見る見るうちに治っていく……いや、()()()()()。まるで初めから何もなかったかのように。

 

「……手掛かり、ようやく見つけたかな?」

「ますます意味が分からんがな。とりあえず、あいつを叩く!」

 

キャロルちゃんは立ち上がるとともに、割れた窓から飛び出す。

私もそれを追って窓から飛び出し、落ちながら変身する。

 

「変身ッ!」

《ロボッットォイングゥゥリスゥゥゥ!》

《ブルァァァァァ!》

《ツインブレイカー!》

「ハァ!……なッ!?」

 

変身を終え、ツインブレイカーから光弾を放つ。しかしその光弾は、キャロルちゃんが放ったと思われる火球とぶつかり霧散した。

 

「何ッ!?邪魔をするな!」

「いや、そんなつもりはないって!」

「ふん…私を前に仲間割れか。舐められたものだな」

「別にこいつがいなくても、オレだけで十分だ!」

「ならば、やって見せるがいい」

 

ブラッドが手を広げると、赤黒いスライムのような粘液が出てきて、人型を形成する。人間のような姿形だが顔がなく、金属のような体である。

 

 

「なんだ、あれは?」

「こいつら、スマッシュ!?」

「そうだ。スピリットスマッシュと言う……いけ」

 

ブラッドの命令に従い、3体のスマッシュが手に持った武器を掲げながら近づいてくる。

 

「面白い。<塵殺公(サンダルフォン)>!」

 

キャロルちゃんは両手に大剣を呼び出し、スピリットスマッシュに向かっていく。

その小さな体からは想像できない膂力で大剣を振り下ろすが、小柄な天女と牛を合わせた様なスマッシュが手にした戦斧で防ぐ。

動きが止まったキャロルちゃんを、魔女のような姿のスマッシュが先が枝分かれした槍で攻撃するが、それを私がツインブレイカーで弾く。

 

「邪魔をするなと言っただろう!」

「そんなわけにもいかないでしょ!」

《シングルフィニッシュ!》

「<絶滅天使(メタトロン)>!」

 

私のツインブレイカーとキャロルちゃんの砲台から放たれた光線がスマッシュたちに向かっていくが、3体いるうちの一体、いたる所に時計の装飾がついたゴスロリ服を着ているスマッシュが前に出て腕を突き出す。

すると、装飾の時計の針が回りだし、私たちが放った光線が()()()

 

「「なッ!?」」

 

突然起こった不可思議な現象に、私たちはそろって動きが止まる。

その隙を狙われ、天女のスマッシュが戦斧から炎の砲弾を撃ってきた。

その上、魔女のスマッシュも全く同じ攻撃を放ってくる。

 

「だぁ!」

「<氷結傀儡(ザドキエル)>!」

 

私はツインブレイカーで、キャロルちゃんは氷の障壁で迎え撃つ。

炎の弾丸は爆発し、私たちはその衝撃に吹き飛ばされる。

 

「ぐぅ……強い」

「カマエルにハニエル、そしてザフキエル。この力…やはり精霊の力と同じ。あの時、勇から奪った力か!」

「勇君の…?だからスピリット(精霊)スマッシュなのか」

「そうだ。この力は随分と便利だな。こうしてスマッシュを作ることも、そして<凶禍楽園(エデン)>を作ることもできるのだから」

「<凶禍楽園(エデン)>……?」

 

聞きなれない単語に、私たちは眉根を寄せる。

 

「そう。それは全ての生物に幸せをもたらすもの。刹那に終わる泡沫の夢などではなく、それは永遠に終わらない永続の夢」

「幸せ……?幸せと言ったの?ここの光景が幸せ……?ふざけるな…ふざけるなぁ!」

 

私はふつふつと湧き上がる怒りと衝動に任せて叫んだ。

私が叫んだことにキャロルちゃんは驚いた様子で、ブラッドも困惑したように手を顎に当てた。

 

「ふむ……何が不満なのだ?この世界は自身の望むものを、ありとあらゆる生物の理想を叶えてくれるのだぞ?」

「訳の分からないことを……その上貴様が勇の力を利用するなどッ!」

「……ッ!?キャロルちゃんッ!」

「哀れなものだ」

 

今度は逆上したキャロルちゃんが叫び、大剣を掲げてブラッドに斬りかかる。

そしてブラッドは、ビルドドライバーのレバーを回す。

 

《Ready Go!》

「貴様も沈むが良い。甘美なる夢に」

「くそッ!」

《オーソライズゥ!》

 

ブラッドの右手にエネルギーが集まるのを見た私は、焦りながらもリボルウルフをツインブレイカーにセットして駆け出す。

 

「アアアアアアッ!<塵殺公(サンダルフォン)>!<最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)>ゥゥウウウウウッッ!」

 

キャロルちゃんの絶叫と共に、振り上げた大剣に何かの欠片が集まりさらに巨大な剣となる。

 

「これで終わりだぁああ!」

《ハザードフィニッシュ!》

「ふんッ!」

「―――ガッ!?」

 

ブラッドが右手を握ると、円状に発生した波動が発生し、キャロルちゃんはいともたやすく吹き飛ばされる。

 

「終わりだ」

《グレートドラゴニックフィニッシュ!》

「くッ!」

「オオオオオッ!!」

 

コブラ型のエネルギー体がキャロルちゃんに向かって放たれるが、その前にキャロルちゃんの前に立ちツインブレイカーをぶつける。

しかし徐々に押され始め、撃ち返せないと悟った私は咄嗟に自身の身体を盾に、キャロルちゃんを守る。

 

「うわああああああッ!!……あ……にげ、て。キャロ…ル……」

 

爆発が私の身体を叩き、私は変身が解除されたのを感じたが、それを最後に意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

……やられる。そう思った時には、すでにあいつ(白黄七海)がオレの前に立っていた。

 

「………おい。おい……!」

 

ブラッドの攻撃からオレを庇い、ライダーシステムとやらが解除されたあいつが俺に覆い被さるように倒れてきた。

どれだけ声をかけても、どれだけ揺すっても、こいつは目を開けなかった。

なんで…こいつは勇を傷つけた奴だ。別に気にする必要など……ないはずだ。

 

「こんなものか…まあいい。次は貴様だ。やれ」

 

ブラッドの指示で、カマエルの力を持った奴が戦斧を構えて炎の砲弾を撃ってきた。

オレはこいつのポケットから見えたものを掴むと、地面に叩きつけて割る。

その直後、砲弾が着弾して爆発する。

その煙に紛れて、こいつを連れて撤退した。

 

 




勇君と七海の世界のキャロルとシャナの様子は、タク-Fさんの投稿で確認ください!

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勇君視点もこちらから!
タク-Fさん投稿「マジで……この世界!?」
https://syosetu.org/novel/234619/


次回予告

来禅高校で見つけた異常。

仮面ライダーブラッドが言う<凶禍楽園>とはなんなのか。

そして七海の過去は、再び彼女を苦しめる。

それを癒すのは、彼女の愛に他ならない。

次回もお楽しみに!



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  • ゲーマーキャロルちゃん
  • 原作開始前に命題に気づいたキャロルちゃん
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