異世界転生したらTSさせられて結婚してました!?は?まじ??? 作:すやき
嘘だろバーニィ!!前回の投稿が2ヶ月前なんて嘘だって言ってくれよ!
作中の工作はマジで何も知らない状態で書いたので間違ってても優しく見守っといてください
そっと壁際によって、薄暗い室内を見渡す。
人質はみんな反対側の壁の方に集まっているようだ。少し数えにくいけど、だいたい50人前後は居るかな。この施設の規模としては少ない気がするんだけど、もしかしたら他の部屋にも集められてたりする?
もしそうだったら厄介だ……ま、そんなこと考えてもしゃあないか。
さてさて、雑にだが人質の人数把握も済ませたし次は脱出のための小細工を始めようか。
扉は1箇所だけ?いやいやこんなことで脱出経路が1つだけなわけないでしょ。
とりあえず適当に近くの人に聞こうか。
「ちょっとそこのお兄さん、この部屋に詳しいかな?」
「へっ?!」
うん驚いてる。いきなり話しかけられたらテンパるその気持ちわかるよ。だけど今は目的が1番だから落ち着くまで待ってやれないんだ、ごめんな。
「この部屋、出入口が1箇所だけじゃないですよね。どこかしら閉じ込められたりした時ように、薄い壁の場所とかありますよね?それか電気配線のいちだけでも十分です」
え、あ、と口ごもっている職員のお兄さんに務めて優しく話しかける。お願いだからせめて電気配線の位置くらいは知っててくれ〜!
内心焦りまくる俺に天は手を差し伸べてくれましたよやったね。お隣のお姉さんがまさかのそっち方面担当で配置図にも詳しかったのです。この勝負勝ったな。
お姉さんに教えてもらった場所をえいっ!とナイフで抉る。
おおっ、このナイフ意外と優秀だ。壁紙を剥がして1番大変な作業の硬い部分もお兄さんの力を借りて取り除いたら、断熱材までは楽。あとは配線を傷つけないように慎重に剥がして、見つけた。
この部屋の近くに通ってる配線はデカい。それを遠慮なくぶちんっとナイフで両断する。もともと部屋は暗かったしへーきへーき。
とばっちりで個室のドアが開かなくなるかもしれないけど別設備である水道は生きてるから水は出る。だから最悪すぐに死にはしない。
これでこの施設の電気で動く設備の大部分が使えなくなった。あとはアーベントの活躍次第で、俺に出来ることはもうない。
ん、なんだか寒いなぁ。空調までいかれちゃったのかな。大丈夫これは寒いから震えてるだけなんだから。
……ちょっとすみませんね。申し訳ないけど一塊になっている職員さんたちの中に紛れさせてもらう。だって俺が犯人だってバレたら絶対ろくな目に遭わないでしょ。
バンッ!!ガンッガンッガンッ!
「んびゃっ!」
空間が揺れているのかと思えるくらいの音と衝撃がやってきて部屋の中にこだまする。
シャンデリアがグラグラと揺れている様子が不安を煽る。音は外から聞こえている用で時折怒号も聞こえてくる。
これはきっとアーベントが暴れている音だろう。怯えて縮こまりさらに密着していく職員さんたちにもみくちゃにされながら、前の方に波をかき分けるように出ようとする。どうせ1番に扉を開けるのはアーベントだろうし、1番に労ってやることもやぶさかではない。
「そこっ!君みたいな小さい子が前に出たら危ないだろう!」
えっ、ちょっ、まって。
なぜだかこんな時に親切心を発揮した優しい人が俺を庇うように背後に押し込もうとしてくる。周りの人たちも合わせて俺を引き留めようとするからちっとも前に進まない。
ちょっと、変なとこ触るなよっ!絶対わかっててやってる奴この中にいるよ!女の子になってそういう視線には敏感になったんだからな俺!
あー!アーベントーここに変態がいまーす!早く来て助けてくれー!
こんな時にも変態行為に勤しむバカの手を力いっぱい抓る。痛がる素振りを見せた奴の足を事故を装って思いっきり踏み抜いてやれば露骨に痛がっているのが声だけで分かった。態とらしいほどわざとらしく、しょんぼりして謝ってやればそれで許してくれるんだからチョロいな。
とりあえず人の塊からは抜け出し反対方向の隅に避難した。善意の塊ってのは優しいがその分傍にいるだけで厄介だったりもする。
そうこうしているうちに戦闘音はより激しさを増していく。
ドンッ!と壁に重いものが激突する音や銃を発砲する音、どう表せばいいのか分からない生き物の叫び声。いまもぐちゃりと何かが潰れる音がした。
部屋の中にいるみんなが息を潜めている中で、ここ1番の衝撃を受けて部屋が揺れた。天井からパラパラと埃が降ってきた。
一際強い衝撃に「ひぃっ……」と、どこからかか細い悲鳴が聞こえる。その恐怖が伝染するように、か細い悲鳴と涙声がそこかしこから上がり始めた。
それから、恐れざわつき出す職員たちとは違い、彼女は外の様子を伺っていた。
いつの間にか外の戦闘音は聞こえなくなり、次いで扉が歪な音を立てて開かれる。無理やり開かれた扉の隙間から照明の光が漏れだし、人ひとりが通れるほどの光量ともなれば外の硝煙と血鉄の匂いも漂ってくる。
闇に慣れた目に光が刺さる。僅かに細めた目が男の影を捉えた。
来てくれた。歓喜に震える胸に手を重ねて抑え込む。至って冷静に行こうと決めたばかりなのだ。ここではしゃいでしまったら三日坊主所ではない。
ふぅーーと深く息を吐く。
一拍あけて、よしっと顔を上げて影の持ち主を見る。
「ああ、そこにいたんですねキサラさん」
「………え?」
影は、待っていたあいつじゃなかった。