異世界転生したらTSさせられて結婚してました!?は?まじ???   作:すやき

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突然ですが

第一部[完]!!!!


終わりよければすべてよしってね

扉をこじ開けて入ってきたのはアーベントじゃなかった。

室内は暗いし背後の光でよりその男の顔はよく見えない。なんだか知らないけど俺の名前を呼んだ。ここには今日来たばかりだから知り合いなんて全然いないのに……

なんて事を頭をぐるぐる回しながら考えていたら、答えが呆気なく向こうからやってきた。

 

「あれ、会ったばかりなのに忘れちゃったんですか?私です、フィーですよ」

 

「え、……あっ、フィーと、リフさん!」

 

男の後ろからひょっこり現れたのは今日知り合ったフィーだった。

ということはこの男はリフか。

ここに来るまでに色々ありすぎてすっかり忘れていたが、そういえばリフもアーベントと同じ軍に所属していたんだったか。なら封鎖された部屋からの脱出も、見つからないように変装することも簡単だろう。

それにしても今日初めて知り合った相手が前見たのとは全く違う身なりになられると、困ってしまう。それで誰か当ててなんて無茶言わないで欲しい。

言ってしまえば情けないが俺は暗記はそこそこ苦手なんだ。

いや、本気出せば覚えられるけどね?勉強も得意だったし。ただし対人は一瞬でへなちょこに成り下がる。営業や会社の人、家族以外とまともに話したことがないからそういったスキルは磨かれなかったのだ。……予想以上にダメじゃないか?

ま、まぁその分コミュ力に振ったからな。初対面でこうして覚えて貰えるくらいには人間ができてるからいいんだよ。べ、べつに負け惜しみじゃないから!

 

「無事でよかった!アーベントとは会いましたか?怪我とかしてないかな?」

 

「はい、そちらこそよくご無事で。アーベントさんも怪我ひとつなく、今頃は元気に敵を殲滅中でしょう。おひとりですしあと五分ほどで終わると思います」

 

そっかアーベントは無事なのか。……よかった。怪我が無いなら心配いらな、…せんめつちゅう?……あと5分?

 

「…え、っと、あと5分で終わるの?」

 

「ええ、本人が言っていましたので。正確にはあと2分28秒でしょうか」

 

今どき珍しいアンティークの時計を取り出したフィーは生真面目に時を刻む秒針を見つめている。俺もそれを覗き込んで一緒に数えた。3、2、1、…………─────

 

「わっ!」

 

時間ぴったりに大きく部屋が揺れた。遠くからドォン!と何かが爆発する音に続いて崩れる音もする。これが終わりの合図なのだろうか?

 

「さ、行きましょうキサラさんっ!」

 

「へ、どこに?」

 

「アーベントさんのとこですよ!よく頑張ったって褒めてあげましょう!」

 

「う、うん」

 

道中をリフに警護されながらフィーに手を引かれ、アーベントのもとに向かった。

至る所に戦闘のあとと敵の下っ端が転がっているのを見ると、本当に全部アーベントがやったのか不思議な気持ちになる。

だってそれくらい数が多かったんだ。

 

「もうすぐですよ、もうすぐ合流地点に到着します」

 

フィーは楽しみですね、とまるでここで戦闘があったことなんて感じさせない口調で話す。こういう事態に慣れているのかと聞けば、フィーはなんてことない顔で頷いた。もともと生まれた土地の治安があまりよろしくない場所だったらしい。

 

「前に以前からお付き合いしていたと言いましたよね。リフとは幼馴染だったんです。そこでずっと守ってもらっていてですね。喧嘩とかも日常茶飯事でしたので巻き込まれるのにも、巻き込むのにも慣れてしまいました」

 

なるほどそれならこれほどまでの肝の座り方にも納得だ。俺の生まれた場所はとても治安の良い場所だったから、血が流れる所なんて事故かテレビの中でしか見たことがなかった。どこか浮いているような気持ちの俺が、アーベントをみてどんな反応をするのか自分でも分からなくて、少し怖い。

 

「大丈夫かな……」

 

「大丈夫です!アーベントさんの事だからきっと傷一つないと思いますよ」

 

フィーは俺の言葉をいい方に解釈して励ましてくれる。違うんだ。俺が心配しているのはアーベントを怖がってしまわないか、というところなんだ。

よくマンガやアニメの中には助けてくれた恩人を化け物などと罵るモブがいるが、俺はそんな人間になりたくはない。「あ、アーベントさん」「遅い」「ごめんなさい。でも、わざわざキサラさんを迎えに来るなんてよっぽど好きなんですねー」「やだなぁ照れないでくださいよ」

落ち着いて、落ち着いて……深呼吸して会う覚悟を決めろ。

 

「キサラ」

 

「ピョエッ」

 

あ、あ、アーベントぉっ!いつの間にっ!いきなり来ないでよ、こっちは心臓が口から出そうになったんだから!

変な声が出て飛び上がる俺はさぞかし気持ち悪いだろうな。なんなもうやだなぁ。

ぐずついた思考のまま、いつの間にかあと一歩で手が届く距離にいるアーベントを俯きがちに見る。

 

「無事か」

 

「ぅ、はい。アーベントは……それ」

 

「傷はない」

 

全身血まみれでなんなら滴ってもいるアーベントだが、傷はないということは全て返り血なのだろう。うぅ、血の匂いってキツイのな。

とりあえず本当に傷がないのか、もっと近くて確認しようと距離を詰めるために1歩踏み出すと、何故かアーベントも1歩下がった。

俺が1歩2歩と近づくとその分下がるアーベント。どうやら俺に近寄って欲しくないみたいだ。

 

「なんで??」

 

「その、血がついてしまうだろう」

 

そりゃまあ俺の今の装備は真っ白なワンピースですけどね?今の今まで頑張ってた人を、血まみれだからって拒絶するほど人間できてない訳では無いんですが?

なるほど、アーベントがそのつもりなら俺もそれ相応の態度で行かせてもらいますよ。

 

「とりゃーー!!」

 

俺は助走もそこそこにアーベントに飛びかかった。さぁ!こんなか弱い女の子が地面に激突してもいいんだったら避けるがいいさ!

だがアーベント!お前には無理だろうよ、諦めて俺を受け止めろ!

アーベントは俺の思惑通りめちゃくちゃ安定感のある腕で抱きとめてくれた。

すっごい……元同じ男として悔しくならないくらい、こんな安心できる腕は初めてだった。

ガッチリと筋肉の着いた硬い腕だが俺を抱きとめる力強さが半端ではない。

揺らがない体幹が、いくら体重をかけても落とされないと解るから、思いっきり身を任せてしまえる。

その上不器用ながらも女の子の大事なとこには触らないように配慮するその精神がもう完璧。

 

「んふふ、よく頑張りました。お疲れ様、アーベント」

 

美少女の抱擁に、頭なでなでも追加してやろう。今日はとにかくアーベントを褒めて褒めて褒めてやろうな。本当に、ありがとう……アーベント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、俺とアーベントの怒涛の1日は終わりを迎えたのだった。

 

ちゃんちゃん。

 

 

 




思いつきで書き始めた本作でしたが、想像以上に長い小説を書くのって大変なんですね。
ぜんぜんプロットの通りに書けないし、途中で設定忘れてトチって書き直したりするし、これは1度キリのいいところで終わらせてもっと練習してからだな、と思いまして。
突然で申し訳ないのですが、今回で完結とさせていただきます。
これからは短編を中心に書いていこうと思ってるので、もし見かけたら覗いてやってください。
今までお付き合い頂き、誠に感謝しております。
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