幻想郷エイリアン   作:螢雪

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前回は、とりあえず全員の様子を書きましたが、基本は万事屋をベースに話が進みます。
とりあえず、今回は安定の紅魔館編で。爆発はしません。


その1.2「食ってはいけない鍋がある」

侍の国。僕たちの国がそう呼ばれていたのは、今は昔の話。

 

20年前、突如宇宙から舞い降りた天人の台頭と廃刀令により、侍は衰退の一途を辿っていた。

 

そんな時代に、侍魂をもった男が一人、その名は坂田銀時。

 

甘党&無鉄砲なこの男の営む万事屋で、ひょんな事から働く事になった僕、志村新八と神楽ちゃん。

 

僕ら万事屋三人で、腐った江戸を一刀両断。

 

 

…って、今はそんなこと全く関係ないんだけど…。

 

 

 

 

 

紅美鈴。それはかなりスタイルのいい、チャイナ服をまとった妖怪。

 

その笑顔や雰囲気からは、普段は温厚な性格なのかと伺える。…顔に浴びた返り血さえなければ。

 

その顔に坂田銀時、志村新八は怯え、距離を保って警戒態勢に入っている。

 

そんな中、前に進み出しているのは…、

 

「おいてめー、そんな生半可な気持ちでチャイナキャラやってんじゃねーヨ!」

「えええ…?何言ってんですか貴女…、てか、チャイナキャラって覚悟がないとダメなんですか?」

「ちょうどいいネ、どっちが本当のチャイナヒロインか、白黒はっきりつけてやるネ!」

「急展開!?」

 

腕をブンブンと振り回して美鈴に向かおうとする神楽を、すんでのところで銀時と新八が抑える。

 

「落ち着いて神楽ちゃん!相手は妖怪だよ!」

「妖怪ぃぃ!?」

 

新八の言葉に銀時が驚愕する。あ、と新八がまだ伝えてないことに気づいた。

 

「これ見てください」

 

図鑑を手渡され、銀時は画面を食い入るように見る。そしてある一文を目にした瞬間、

 

「…あのー」

「何か?」

「あなたはサイ○人ですか?」

「は?」

 

美鈴が目を丸くする。

 

「ちょっ、いきなり何言ってんですか!」

「いやだってこれさぁ…」

 

銀時が画面を見せると、新八は目を剥いた。

 

「気を操る程度の能力ぅ!?ちょ、本当のサイ○人じゃないですか!」

「な?これは同じジャンプ同士、もしかしたら和解できるかも…」

 

パァン!

 

「…ん?」

 

景気良くなったその音は、

 

「はん、これで終わりネ」

 

 

神楽が傘の銃を構えており、銃口からは煙が出ていた。

 

 

「なななななななななな何してんだああああ!」

「銀ちゃん!私やったヨ!妖怪に勝ったヨ!」

 

万歳三唱する神楽だったが、

 

「いったぁ…、久しぶりに刺激を感じたかも」

「!?」

 

美鈴は倒れるどころか、弾が当たった額をさすって、まるでぶつけただけなのかのように呟いた。

 

美鈴は神楽を見つめた後、ポーズを決めて言い放つ。

 

「次にお前は、『な、なんで撃たれているのに生きているんだ』と言いますね!」

「な、なんで撃たれているのに生きているんだ…、はっ!」

「ちょっと待てそれパクリじゃねぇか!」

 

驚いた表情を見せる神楽の後ろで新八が思いっきり突っ込む。だが銀時はさほど驚いておらず、

 

「うーん、でも俺の中の人が同じだから問題ないんじゃないかな」

「良くねぇよ!ここの作者銀魂にも杉田さんにも無関係だよ!」

「俺は烏丸先生にもなれるんだからな」

「なれるとか言うな!」

「それにしてもお前…」

 

銀時は美鈴の額に目を凝らす。

 

「銃弾受けて持ちこたえるのはよく見るが、なんで脳天でも耐えているんだ…?」

「あー、まぁこれくらい頑丈じゃないと門番なんで勤まりませんからね。最近は咲夜さんにナイフぶっ刺されても何も感じなくなりました」

「それもしかして不感症なんじゃないんですか?」

 

銀時が怯えながらの愛想笑いで誤魔化す横で、新八が同じような表情で質問した。むしろ質問して時間を稼いでいるに等しい。

 

「そ、そのさっきから言っている咲夜さんって何者なんですか?」

「紅魔館のメイド長ですよ。ご飯を持ってきてくれるんですけど、私が寝てたらナイフで起こされた後説教して次の飯が抜きになります」

「門番なのに寝てるの!?」

「門番あるあるじゃないですか?」

「もしかして毎日やってます!?」

「まぁそんな次第で昼飯抜きで。仕方なく狩ってたってわけですよ」

 

美鈴はそう言って手に持っている鳥の死体を掲げる。それに、と美鈴は人差し指を顎に当て、…返り血と発言内容が無ければ可愛らしい仕草でこう言った。

 

「そういえば、新鮮な人肉って最近食べてないような気が…」

「逃げろっ!」

 

すぐさま銀時が新八と神楽を両脇に抱えてダッシュするも、

 

「はっ!」

 

美鈴が放った気に吹き飛ばされ、呆気なく門前まで戻される。いよいよ本当のサイ○人だ。

 

「さ、早く入ってくださいな。最後の晩餐をしましょう」

「誰がするかぁ!クッソ、こうなったら仕方がない…」

 

銀時は手を離し、木刀を引き抜く。新八と神楽は「ぐぇ」と言って地面に落ちた。

 

「正面突破だぁ!」

 

だがしかし。

 

ガチャン、という音と共に銀時の腕が引っ張られる。

 

「…な、」

 

いつの間にか、手には見覚えのない鎖が巻かれており、それは神楽と新八にもつけられていた。その3つの鎖を持つのは、

 

「銃声がしたと思ったら…、食材を手に入れてくれたのね。美鈴ありがと」

「いえいえ、どういたしまして咲夜さん」

 

メイド服を着た十六夜咲夜が、3つの鎖を手首に巻きつけて固定していた。

 

 

 

 

 

「ネェ銀ちゃん、私たちどうなるの?」

「俺に聞かないで、言いたくなくなるから」

 

咲夜に連れられて紅魔館内に入った万事屋メンバー、主に銀時と新八は完全に「詰んだなこれ」という顔をし、神楽はまだ状況を理解出来ていない様子だ。

 

「まぁそう怯えないでください」

「怯えないことがあるかよ!」

 

横から話しかけた美鈴に銀時が反射で突っ込む。

 

「だから大丈夫ですよ。これからは皆さんに食事会をしていただくのですから」

「しょ、食事会?」

「そうです、まぁうちのお嬢様が物好きですからねー、珍しいものを見ると興奮するんですよ」

「それでまずは食事会で相手の様子を見ようと…?」

 

新八も会話に入ってきた。覚悟が出来たらしく、顔色が少し落ち着いている。

 

「そういうことです。その後は多分色々と質問すると思いますよ。で、しばらく経った後、飽きたら解体して今日の晩御飯にします」

「結局喰われるんじゃねぇか!」

「逆に考えてくださいよ、それまで生きられるんですよ?すぐに殺されなくて良かったじゃないですか」

「ただのなぶり殺しだろォそれは!」

 

銀時が怒鳴り散らし、美鈴はまあまあと沈めようとする。

 

「着きました。お入りください」

 

咲夜の丁寧な態度が返って恐怖感を募らせる。神楽は食事と聞いてテンションが上がっているが、銀時と新八は更に顔を青くする。

 

あの中に、多分恐るべし吸血鬼が…。

 

───仕方ない、行くしかねぇ。

 

咲夜が開けた扉の中に、銀時達はゆっくりと入っていった…。

 

 

 

 

 

中はとても綺麗に掃除されており、天井から照らす照明が、中央のテーブルの食器やワイングラスを煌めかせる。

 

その滅多に見られない豪華な光景に、一瞬だけ銀時達は呆気にとられた。

 

その輝く食器をつい見ていると、奥に誰かがいることに気づいた。

 

「ご紹介します、我が紅魔館の主…」

 

すくりと、奥にいた人物が立ち上がる。そしてカリスマ溢れる動作でお辞儀をする。

 

「初めまして、そして、ようこそ幻想郷へ。私はこの紅魔館の主、レミリア・スカーレットですわ」

 

やけに丁寧なその動きから、この手の挨拶などに手慣れていることがわかる。…だが、

 

何かおかしい。

 

「…銀さん?」

 

新八が不審そうな目で銀時を見る。銀時はと言えば、何か引っかかることがあるのか、じっとレミリアを見つめていた。

 

「…何かしら?」

 

銀時の不審な行動に気づいたレミリアは、特に顔色を変えずに銀時に話を振る。しかし銀時は何も答えず、思考を巡らしていた。

 

後ろに羽がある…、コウモリの羽?ならばここ、紅魔館の主に違いない。しかし何かが引っかかる。

 

 

…そうか、

 

 

「…ガキだからか」

 

 

銀時の呟きに美鈴がびくりと肩を震わせ、咲夜が目を怒らせる。神楽は「おー!」とどこか納得した様子になり、新八がその逆で完全に動揺していた。

 

「ちょっと銀さん!何失礼なこと言ってんですか!?今僕たちは囚われの身ですよ!?早死にしたいんですか?」

「いやー、さっきから主らしき人が挨拶してるんだけど、どうもしっくりこなくてな…、何が違うかって、こいつ小さいんだよ」

「やめてください、もう言わないでください!」

「そんでまぁ、主がそんなわけないだろ、って考えると、結論はこうだ」

 

銀時はビシッとレミリアに指をさし、こう告げた。

 

「そこのガキ、ご主人様ごっこはもうやめだ!早くここの主を出しなさい」

「何も言うなって言っただろうがお前!失礼に失礼を重ねるな!」

「…お嬢様、殺害の許可を」

 

スッと咲夜がいつの間にか銀時の後ろに回り込み、首元にナイフを当てていた。

 

「ちょっと、咲夜さん!?俺何か変なこと言いました!?」

「言ってたよさっきからベラベラベラベラ!自覚なしかよ!」

 

銀時のすっとぼけた言葉に思わず新八は突っ込む。

 

「…まぁ落ち着きなさい、咲夜」

 

レミリアは動揺をしているそぶりを1つも見せずに、自分の席に座りなおした。

 

「もう慣れているわ、幼女だのロリだの言われることに。それと、坂田銀時さん、だったかしら?信じられないと思うけど、私が本当のここの主よ。咲夜の行動がそれを一番に表しているわ」

 

銀時はまだ何か言いたそうだったが、咲夜にナイフを押し付けられ、しぶしぶ黙り込んだ。

 

「ま、カリスマ溢れる私には、その手のことに関しては全く気にしないわ。だから、志村新八さん?あまり気にしなくてもいいわ」

「は、はぁ、ありがとうございます…」

 

静かに紅茶を飲むレミリアを見ながら、新八は答えるが、

 

(あれ、めっちゃイライラしてるな)

 

レミリアが持っている紅茶が、小刻みに震えて中身が溢れていた。

 

「咲夜、鎖を外しなさい」

 

レミリアがそう言い終わるや否や、3人の両手の重みが消えた。今の一瞬で繋がれていた鎖が無くなっている。

 

「さて、ここに呼んだのは他でもないわ。咲夜達からもう聞いてるかもしれないけど、貴方達にはこれから私たちの食事会に参加してもらうわ」

「…食事会、とは」

 

新八はレミリア達が豪勢な食べ物を食べている横で、自分達がとても食べ物とは言えない代物を口にしている絵面を想像した。

 

「別にそれ以上でもそれ以下でも無いわ。ただ料理をお互いに食べながら、会談もしたりするだけ。まぁ私たちと貴方達とは洋と和の違いがあるから、食事は違うかもしれないけど、ちゃんとした料理を提供するわ」

 

咲夜にナイフを当てられ続けている銀時はふと、咲夜の胸元に視線を落とした。

 

…こいつ、結構ある。

 

「本当はこの食事会の後、貴方達もついでに食すつもりなのだけれど、この食事会の行いによって、少しの間生き延びられるか、場合によっては見逃してもらえるかもしれないわ」

 

銀時はゆっくりと手を後ろから咲夜に伸ばした。後ろにいた美鈴はいつの間にかいなくなっており、ノーマークである。

 

「それは、どういうことで…」

 

新八の問いに、レミリアはすぐに答えた。

 

「要は私やここの住民に気に入ってもらったらいいのよ。外来人と交流するなんて滅多に出来ないことだし、私たちだってすぐ殺したい訳でもないのよ。…運が良ければ誰かのペットになるかもね」

 

ペットって…、僕たちにはもう逃げ切れる策なんて無いのか…。結局望んだ結果は叶う様子もなく、新八はがっくしと肩を落とした。

 

「…ちょっと銀さん、黙ってないで何か言って…」

 

新八は銀時を振り向くと、

 

「…何してるんですか」

「…いや、別に」

 

額にナイフがぶっ刺さった銀時は、何もなかったかのように答えた。

 

「じゃあそのナイフは何ですか」

「咲夜にやられた」

「咲夜さんに何したんですか」

「別にぃ〜、お前が知らないだけでぇ〜、マジで大変だったんだぞぉ〜」

「語尾ウザいですやめてください」

「お前が見ていない間になぁ、俺は咲夜とリアルファイトをやりあってだな…」

「触ろうとしたんですか?」

「あと一歩だったなぁ、あともう少しで、咲夜を打ち負かして俺らは逃げれたかもしれないのに、お前ってやつは」

「触ろうとしたんですか?」

「…」

 

ちらりと新八が咲夜を見る。咲夜は新八を見て、そして銀時を見て、

 

ナイフを取り出し、殺し屋の顔をした。

 

「銀さん…」

 

新八の言葉に、銀時は答えなかった。

 

「それじゃ、とりあえずお掛けください」

「いやっほーい!」

 

神楽が上機嫌で美鈴に案内された椅子に座る。

 

「まともな食事なんて久しぶりネ!」

「えっ、今まで何食べてきたんですか!?」

「豆パンと、おやつに酢昆布ネ」

「えええ…?」

「豆パンはすぐに飽きるけど、酢昆布は私の大好物なんだヨ!」

 

困惑する美鈴。クックック、とレミリアが笑いを漏らす。

 

「どうやらまともな食事も取れてないようね。銀時さん、貴方、神楽さんの保護者でしょ?保護者がそんな有様でいいのかしら?」

「るっせーな、ボンボンは黙ってろ。テメーにはわからないだろうな、貧乏人の苦労が」

「貧乏人になるから苦労するのよ」

「その発想だよその発想!ったく、だからボンボンは嫌いなんだよ、こいつと言い、高杉と言い…」

 

銀時が愚痴ると、突然嘲笑していたレミリアが真顔に戻る。

 

「高杉、だと?」

「あん?…ああ、すまん。高杉じゃなくて低杉だったな」

「違うそうじゃない。…いや、そうかもしれない」

 

そう言うなり考え込むレミリア。「おーい?カリスマさーん?」と銀時が声をかけても、深く考え込んでいるのか気づかない。

 

「…何なんだよ、全く」

「もしかして、高杉さんは一度、幻想郷に来たことが…?」

「はぁ?ンなわけねぇだろ、あいつ自体も知らない反応だったし、大体どうやってここに辿り着くよ」

「それはまぁ、突然外来のものが流れ込んでくることが稀にあると、パンフレットには書いてありますけど…」

「じゃあ帰り道は」

「…それも稀にです」

「じゃあほぼほぼゼロパーだろうが。きっと同姓だ同姓。高杉なんて苗字割とあるだろ。…あ、でも低杉はそんなにないか?」

「それ本名じゃないですから!あだ名ですから!」

「すみませんが、早く座ってください」

 

咲夜が口論に夢中になる銀時と新八に注意すると、即座に2人は席についた。咲夜の顔だけ殺人予告はよほど応えたらしい。

 

「あらあら、そんなに焦らなくてもいいのよ」

「焦らせたのはどっちだよ…」

「こっちの住民が集まるまで待ってほしいわ。どうせなら食事会は人数が多くなきゃね」

 

ワインを片手に優雅に話すレミリアを見ると、銀時はだんだんとイライラしてきた。

 

「…銀時さん?何かご不満でも?」

「不満しかねぇよ。こんなガキに見下されるだなんてなぁ」

 

銀時の肩肘をついて放った言葉にレミリアは目を怒らせた。

 

「ガキじゃないって言ってるでしょ!私はカリスマ溢れる紅魔館の当主・レミリア・スカーレットよ!」

「あーはいはい、カリスマ(笑)ね」

「余計なものを付け加えるな!」

 

漫才を繰り広げる2人に新八はオロオロとする。

 

(ちょっと、ここでまたレミリアさんをバカにしたら咲夜さんが…)

 

小声でそう伝えるも、銀時の口調はだんだんと荒っぽくなり、新八の声は届かない。

 

「大体服が当主らしくねぇんだよ。西洋なら西洋らしくドレスでも着てこい!何だその頭に被ってるドアノブカバーは!」

「ドアノブカバー!?ドアノブカバーって言った!?そんなこと言う人初めてよ、何この人!?」

 

(ああまずい、殺される…)

 

これは銀時のみを差し出してなんとか収まってもらおう…、そう思っていたが、

 

(…あれ)

 

咲夜の方を見ると、まるで目の前のやり取りを見ていないかのように、部屋から出ていった。と想ったのも束の間、料理を運んで来て、それをレミリアの前や、レミリアの近くの席に並べる。

 

(…忠誠心が、なんか微妙…)

 

「すみませんが、貴方方の席はそこではありません。あそこに移動してもらえませんか」

「はいいっ!!」

 

咲夜が言い終わらないうちに銀時と新八は、咲夜が指をさした、神楽の向かいの席に移動した。

 

「…なぁおい、料理ってなんだと思う…?」

「さ、さぁ…、毒は入れないようですが」

「でもデスソース丸ごとぶち込まれた火炎放射料理とか来たらどうするよ?」

「なんでそんな子供みたいな発想…。でもその線も怪しいですね…」

「やべーよ、おいどーするよ。俺思い出しちゃうよ?大好きなパフェにタバスコ丸々入れられて、それ一気飲みして火ぃ吹いたの」

「知らねーよ!てかパフェは一気飲みするもんじゃねーよ!」

「ネェ銀ちゃん、新八。料理ってどんな美味しいものが出てくるアルか?」

「お前はもうちょっと危機感を持て!」

 

完全に食事モードに入った神楽に思わず突っ込む銀時。神楽は「食事する側」ではなく「食事される側」だということにまだ気づいていない。

 

「…騒がしいと思ったら、客を連れてたのね」

 

銀時達の声でかき消されそうな、か弱い声がする。新八はいち早く気づいて後ろを振り向くと、

 

「あ、パチェ遅いわよ」

「読書はすぐにはやめられないの。解ってちょうだい。それよりもこの人達は…、あ、ふーん。そういうことね」

 

新八達の顔を見たパチュリーは、既に全てを察したようだ。

 

「レミィ、私は人肉要らないからね。私、妖怪じゃないから。この前無理に食べてぶっ倒れたの覚えてるでしょ」

「解ってるわよそれくらい」

「ちょ、何か酷い言葉が聞こえてきたんですけど…」

 

引きつらせた顔の新八に、パチュリーは挨拶する。

 

「初めまして、パチュリー・ノーレッジよ。紅魔館の図書館で毎日過ごしているわ。気が向いたら来てもいいけど…、まぁそんな余裕はなさそうね」

「おいおい、図書館にずっと暮らしてるだなんてただのニートじゃねぇか」

「何言ってんですか、銀さんと一緒にしないでください。あんたは漫画ばっか読んでますけど、この人はもしかしたらあらゆる言語の本を読んでいるかも」

「はぁ?お前ジャンプ舐めてんのか?」

「別に舐めてるとは一言も言ってないですよ」

 

銀時と新八がコソコソと話す様子を見て、パチュリーの後ろからついてきた小悪魔が「何だこいつら」という目で見ていた。

 

 

 

 

 

レミリアとパチュリー、美鈴、咲夜が座り、少し離れたところに万事屋3人が座って、とりあえずこれで決まったようだ。

 

「雑談をするのかと思いましたが…、とっとと料理を持ってきた方が良さそうですね」

 

そう言って咲夜が席を立つ。

 

「ネェ銀ちゃん、何で私とあいつらの席が離れてるの?」

「それはなお前、料理の匂いが混ざらないためだ。決して俺らが汚物扱いされているわけじゃないぞ」

「え?汚物みたいなものでしょ?」

「銀さん、レミリアさんにきっぱりと否定されてます」

 

あまり時間をおかずに、咲夜が部屋に入ってくる、と思うや否や、豪勢な料理がレミリア達の目の前に一瞬で現れた。

 

「うおっ!?何だこれは!ハリー◯ッターか!?」

「咲夜は時間を止める事が出来るわ。だから冷めないうちにこうやってすぐに並べたがるのよ」

「お褒め頂き光栄です」

 

レミリアの言葉に感謝の意を述べた咲夜は、いつの間にか新八の後ろに立っており、思わず新八が「おわっ」と声を上げる。そして咲夜の手に持っているものに視線を向け、呟いた。

 

「こ、これは…鍋?」

「そちらの文化に合わせてみましたわ」

 

咲夜が丁寧に答え、銀時達の前にコトリと鍋を置く。

 

その瞬間、ハッと気づく。

 

「うへへ…、鍋ネ…、肉かな…?蟹かな…?」

「まずい!神楽ちゃんが戦争モードに入った!」

 

かつて万事屋家で開いた鍋パーティーやそれに相当する料理を食べる時、必ずと言っていいほど争奪戦争が勃発する。それは日頃から寂しい食事しか摂っていない銀時達が、目の前の豪華料理(に思えるもの)に感動したからであって、彼らは必ずそれを独占しようと考え、デ◯ノートばりの計画戦を繰り広げる。そしてそこには何故かお登勢一家やお妙も乱入することもあり、最終的には腑に落ちない結果で終わり、しかもだいたいが神楽が得をしているような気がする。

 

その戦争は実に盛大なもので、時には天空の城まで築いたこともあり、バックでも「父さん〜が〜♪」と流れたほどの壮大さである。…あれ、確かあの曲って、円盤作る時に差し替えられたんじゃなかったっけ?

 

とにもかくにも、今は争っている場合じゃない。というか今争ったら確実にレミリアから見放される。そして奴らの餌と…、

 

「おい神楽!目を覚ませ!今は飯を呑気に食ってる暇はねぇ!」

「あら、ひどいことを言うわね。せっかく食事会に招待してあげたって言うのに」

 

レミリアはクックックッと見下したように笑う。

 

「安心しなさい。食事だけでも充分盛り上がるわ」

「は?おいそれはどういうことだ」

「調べさせたら、鍋にも色々な種類があるのね。だからその中から一番楽しそうなものを選んだわ」

「鍋で楽しいって…、美味しいってことじゃ…」

「まぁ貴方達はどうやら鍋がお好きなようだし。味わいなさい、我が紅魔館特注の…」

 

レミリアの言葉に合わせ、咲夜が鍋の蓋を開いた。

 

 

 

 

「……闇鍋よ」

「鍋ってそっちぃぃぃぃぃぃ!?!?」

 

 

 

 

「おいレミリア!これはどういうことだ!」

「どういうことって、見てわからない?貴方方が大好きな鍋料理よ」

「誰が名前にダークがつく鍋を持って来いって言ったよ!お前これは鍋であって鍋でねぇからな!」

「いいじゃないの、楽しければ」

「楽しいのはお前らだけじゃねぇか!!」

 

 

 

 

説明しよう!闇鍋とは…。

 

食材を入れた本人以外は、入れた食材がわからない状態で、暗闇の中で鍋をつつくゲームのようなものである。

 

誰も触れたがらないので、もっぱら時計回りで進められたりする。

 

もちろん食材以外も可。参加者は闇鍋終了後の責任は自分でとらなければならない。

 

創作界隈で大体は地獄絵図と化す。

 

 

 

 

「だけど今回は明かりをつけてあげるわ。何だったかわかった方がいいでしょう」

「中止しろ!そんな中途半端な優しさ要らないから中止しろ!」

「じゃ、まず銀時さんから」

「人の話を聞けぇぇ!」

 

喚き騒ぐ銀時の様子がよほどお気に召したのか、レミリアは笑いを隠せずに銀時を見下す。

 

「どうかしら?紅魔館の主・レミリア・スカーレットの恐ろしさを少しは感じられたかしら?」

「しょぼいわ!これはこれで恐ろしいけどしょぼいわ!」

 

新八も加わってツッコミが過激化していると、

 

「銀ちゃんたち要らないのなら、私が先に食べるネ!」

「あっ、ちょ、ちょ待てよ!神楽!」

 

空腹に耐えられなくなった神楽が、箸を鍋に向かって伸ばしていた。

 

「待て待て待て待て!」

 

銀時が間一髪、神楽の箸がつく直前で鍋を取り上げたものの、素手で鍋を触ってしまったので、

 

「あっつっ!熱い熱い熱い!」

 

思わず手を離してしまい、鍋は床にぶちまけられて、

 

「…え、これって」

 

 

十数本のナイフがぶちまけられていた。

 

 

「おおい!もう完全にモノ食わすつもりねぇじゃねーか!何だよオールナイフって!参加者こいつだけだろ!」

 

銀時が咲夜を指差してレミリアに訴える。

 

「え?だってそれが闇鍋でしょう?」

「いやそうかもしれないけど…って違うわ!食えねぇもん食わすのは想像上の話だ!」

 

横から新八も目を怒らせて参戦する。

 

と、その後ろで神楽が落ちたナイフを手に取り、力を入れて曲げようとしたりする。

 

「なんだ、本物のナイフかヨ」

「まだ食べ物だって信じてたの?ナイフ型のチョコだとか思ってたのぉ!?」

 

銀時が神楽にそう言っていると、

 

「別にありますけど」

 

咲夜がバリボリと音を立ててナイフを齧っていた。そこから甘い匂いが漂う。

 

「ちょ、咲夜それ何!?聞いてないんだけど!?」

 

まさかの事実とその絵面にレミリアは驚愕する。咲夜はナイフチョコを齧り続けながら答える。

 

「何で言う必要があるんですか?こんないつ過労してもおかしくない仕事しているのですから、仕事の合間にこうやって糖分摂取ぐらいさせてくださいよ」

「いやそれに関してはいいわよ!何でナイフ型なのよ!」

「チョコ持ってるってわかってたら、お嬢様がすぐ『ちょうだい』ってすがりついてくるじゃないですか」

「確かにそうかもだけど、いやそれでもやっぱり頂戴!主人に隠し事するつもり!?」

「欲しいんだったら素直に言ってください。あげませんけど」

「ああああああもう!!」

 

レミリアと咲夜が漫才を繰り広げている横で、パチュリーがトントンとレミリアの肩を指でつつく。

 

「何!?」

「逃げちゃったわよ、彼ら」

 

パチュリーの指摘にパッと振り向くと、

 

 

銀時達が、既にその場にはいなかった。

 

 

「あっ、ああああっ!逃げたわね!」

「そりゃあんだけ隙だらけだったらね」

 

叫ぶレミリアにパチュリーが呆れた目線を送る。「何で追わなかったのよ!」とレミリアが美鈴に激昂するも、美鈴も「お嬢様の指示がないと動けませんので」とへこへこする。

 

「ああもう!すぐに捕まえて!」

「御意」

 

レミリアの指示に、咲夜が素早く能力を発動させ、その場から消えた。

 

「あっ、ちょっと!美鈴の能力ならすぐ見つかるのに先走って…」

「全く、いつから紅魔館は間抜けになったのだか」

 

完全に呆れきったパチュリーは、捕獲を他の人に任せ、小悪魔を連れてさっさと図書館に戻っていった。

 

 

 

 

 

「…なぁおい、出口ってどこだ?」

「知りませんよ…、あ、でもあそこじゃないですか?」

 

窓から正門らしきものが見える。つまりあの門の正面まで廊下を進めば良い。

 

「あっぶねぇ、ほんと死ぬかと思ったぜ…」

「ええ、本当に死ねばいいのに」

 

上から降りかかった声にギョッとして見上げる3人。そこには咲夜が空中浮遊していた。

 

「お、お前飛んで…」

 

次の瞬間、時が止まり、

 

「…何も知らずに、死になさい」

 

そして、時は動き出す。

 

「っ!!」

 

ゼロ距離で、大量のナイフが降りかかった。そして瞬く間に、ナイフが突き刺さる音が廊下に充満し…、

 

否、

 

「…!?」

 

突き刺さる音と共に、別の音が聞こえてきた。

 

 

…弾かれる音と、ナイフ同士がぶつかる音が。

 

 

「…おいおい、危ねえじゃねぇか」

 

銀時が木刀を構えて、新八と神楽の前に立っていた。

 

「時を止めるとは聞いていたが、まさか止めている間にナイフを大量になげとばすとはな。どこにそんな量を隠し持ってんだ?このザ・ワールド女」

 

小言をかました銀時は、新八の方を振り向いた。

 

「大丈夫か?」

「銀さ…」

 

振り向く銀時に、新八が顔を喜ばせるが、

 

 

額にナイフが刺さった銀時に、渋い顔を見せた。

 

 

「銀さん、あの…刺さってます」

「え?何が?」

「あの…全部弾いたって顔してますけど、額に刺さって…、てかこんなこと前にもありませんでした?」

 

銀時は即座に背を向けて額からナイフを引き抜いた。

 

「バッキャロー、額に何が刺さってるんだ?」

「誤魔化す気ですか、って、この流れだとまさか…」

「おいてめー」

 

何かを察した新八に気づかず、銀時は咲夜に目を向けた。

 

「人に危ないもん向けるんじゃねぇ。こうやって人に向けられたら不愉快だ…」

 

そう言って銀時は木刀を咲夜に向けるも、

 

 

手の甲にナイフが刺さっており、血が吹き出していた。

 

 

「…おいやべーよ、今絶対に見られたよ。がっつり見られたよ」

「やっぱり、もう完全な二の舞じゃないですか」

「これ、あれかな?月詠みたいに優しくしてくれるかな?身を呈して庇った形にしてくれるかな?」

「甘えんじゃねぇよ!つか小声のくせに聞こえるように話すな!」

 

この一連の流れを見ていた咲夜は、

 

「…かっこよく全部弾こうとしたのね。そのくせ二本も…ブフォwww」

「おいあいつムカつくよ!今完全にバカにしたよ!」

「うるせぇ!バカにされることじゃねぇか!…はっ!」

 

再び察した新八は、パッと振り返った。しかしすぐに自分を落ち着かせる。

 

(大丈夫だ、いくら同じ流れでも、今回は清太くん的存在はいないから、大丈夫だろ…)

 

しかし、そんな気持ちとは裏腹に、

 

「…あ、」

 

 

神楽が、頭にナイフが刺さったままぶっ倒れてた。

 

 

「おいいい!前回と全く同じじゃねぇか!何遊んでんだ!何味しめてんだこの野郎!」

「わざとじゃねぇよ!俺そこまでサイコパスじゃねぇよ!弱いサ◯ア人は要らないっつって仲間のナ◯パ消しとばしたりはしないの!」

 

激しく口論を交わす銀時と新八を見て、微笑を浮かべた咲夜が一言。

 

「…カッコつけて弾いたくせに頭と手にナイフを受けてその上他の人にまで…。面白いわ」

「なぁ、ちょくちょく煽ってくるこいつ何なんだよ!こいつそんなキャラだったのか!?」

 

と、その時、

 

「うおおおおお!!」

 

神楽が猛烈に叫びながら、後頭部のナイフを引き抜き、咲夜に突進していった。

 

「てんめええええ!よくも可愛い美少女の後頭部に!!」

「ふん、ライバルを消して何が悪いの」

「ライバルってことは、咲夜さんも自分のこと美少女って思ってるんですね…」

 

新八のツッコミは誰も拾わず、神楽が思いっきりナイフを投げつける。

 

「…そんな攻撃、バレバレよ」

 

そう言って咲夜は横にスライドするように避けるが、

 

「オラァ!!」

「っ!!」

 

息つく間もなく、神楽が傘の銃を咲夜に向かって連射する。

 

「くっ、」

 

既にナイフを避けた体勢になっていたので、立て続けに銃を避けるのは不可能だった。故に、咲夜は時間を止める。

 

そして、銀時の後ろに回り込む。

 

「…手っ取り早く処理することにするわ」

 

そして、時は動き出した。

 

銀時は気配を察して、後ろに咲夜がいることに驚いた顔を見せたが、次の瞬間、

 

 

ニヤリと、うざったらしい顔で笑った。

 

 

「っ!?」

 

窮地に追い込まれているはずなのに、不敵に笑った銀時に一瞬だけ寒気を覚える。そして咲夜が動く前に、

 

「おわっ!!」

 

新八の手を引いて、銀時は咲夜から離れた。

 

「なっ」

 

咲夜から離れると、出口とは反対方向に行くことになる。焦りのあまり判断力を失ったかと思うが、

 

「おら大人しくしろ!」

 

銀時は猛り狂う神楽を脇腹に抱え、そして、

 

 

近くの部屋の扉を蹴り開き、中へと逃げ込んだ。

 

「!?」

 

部屋に逃げ込むなど、愚策中の愚策。自ら袋の鼠となるようなものである。…しかし、

 

あの銀時の不敵な笑みからは、明らかに何か企んでいたとしか思えない。

 

「…ちっ」

 

追わずにはいられない、そう結論を下した咲夜は直ぐに部屋の中に駆け込んだ、その瞬間、

 

「…!」

 

今、明らかに後ろをとられた。高くジャンプして滞空していたのか、咲夜が部屋に入って数歩で真後ろに着地した気配がした。

 

あの一瞬で騙し討ちの準備を!?とにかく距離をとらなければ、と咲夜は部屋に入り込んだ勢いのまま、後ろを振り向きながら警戒体勢に入る、その目の前で、

 

 

扉が閉じられた。

 

 

「なっ…!?」

 

ここで扉を閉めて何の意味が、と一瞬止まるが、次の瞬間、この部屋についてのことを思い出した。

 

 

この部屋は、外から鍵をかける数少ない部屋だということを。

 

 

「くそっ、」

 

咲夜がすかさず扉を開こうとするも、既に鍵をかけられていた。

 

一瞬だけ迷った。だが扉の損害と銀時達を取り逃がす損害とを天秤にかけると、圧倒的に銀時達の方が重い。頭の中で、扉の損害の重りが傾いた拍子にどこかに転がっていった。

 

銀時のように助走なしで扉は蹴破れない。咲夜は素早く後ろに下がり、バスケプレイヤーも驚愕するほどの切り返しで肩から扉を破った。が、

 

「…手遅れね」

 

既に銀時達の姿はなかった。

 

正に一本取られてしまった形だ。ホームグラウンドで、紅魔館の造りを利用されてしまうとは。

 

…とにかく、今はミスをカバーしなければ。

咲夜はまず逃げ道を抑える為、入り口へと向かった。

 

 

 

 

 

「…おい、行ったか?」

「足音が遠ざかっているので、恐らくは」

 

扉を出て目の前の窓を抜けて、すぐに窓から見えないようにしゃがんでいた銀時達は、こっそりと廊下の様子を覗いた。

 

「大丈夫です。扉はぶち壊されてますけど」

「しっかし、何でここは真昼間から窓にカーテンを閉めているんだ、真っ暗じゃねぇか。カーテンを閉めて窓も閉める手間で、危うく気づかれるところだったぜ」

「やっぱり当主が吸血鬼だからじゃないですか?ほら、日光に弱いって聞きますし…」

 

とにかく、こんな馬鹿げたところから早く逃げるぞ、と銀時は出口を見た、とその時、

 

「行動に移すまでが遅すぎるわ」

「っ!?」

 

後ろを振り向くと、そこにはパチュリーが仁王立ちしていた。

 

「な…!?このパジャマ女いつの間に…!?」

「あまり馬鹿にすると仕留めるわよ」

 

銀時の言葉に対し、睨みつけるパチュリー。

 

「だいたいね、うちには気を察するサ◯ア人門番がいるんだから、外に出たところですぐ見つかるだけよ」

「サ◯ア人って言ったよこの人!?何!?幻想郷にもジャンプ出回ってるの!?」

「書籍として保存してるわ。単行本も一応は揃えてるけど…、『ギンタマン』だけは保存してないわ」

「あ、超わかる。あんなのただの産業廃棄物だもんな」

「全く、あの作品はジャンプを舐めきっているわ。何が『どんだけ〜』よ、そんなのこれっぽっちも面白くないし、まず作者がゴリラってだけでも馬鹿馬鹿しいわ」

 

いきなりジャンプ談義を始める銀時とパチュリー。呆気にとられている新八だが、もしかしたら友好な関係を築けるかもしれない、と少し期待を寄せる。

 

「…お前とはいい酒が飲めそうだ、ところで、お前のイチオシ漫画は何だ?俺は最近ヒ◯アカの評価が高くなってきたが…」

「は?馬鹿にしないで頂戴」

 

銀時の問いに、軽蔑するようにパチュリーが鼻で笑った。

 

「私は月刊アクション派よ。最近になって漫画を知ったから全般的な知識があるだけであって、正直ジャンプは大人が読むものじゃないってのが私の個人的意見ね」

「んだとコラァ!!」

 

突然のアンチジャンプ派の意見に、銀時がいきり立った。同時に新八が同盟の線が消えたとがっかりする。

 

「ジャンプは大人も楽しめるっていう全年齢層にウケる素晴らしきコミックだ!」

「それは楽しんでいる人の偏見ね、あなたたちがそう思っているだけで、世の中にはジャンプが子供向けだって認識している人はゴロゴロいるわ。視野が狭いのよ」

「んだとコラァ!!」

「二回目よそれ」

 

ていうか、とパチュリーが呆れた顔をする。

 

「圧倒的不利な立場の癖に、どうもそこまで喧嘩を売れるのかしら。せっかく逃してあげようかと思ったのに」

「え、逃してあげる…?」

 

新八が何とか銀時を押さえ込んで、パチュリーに聞き返す。

 

「それってどういう…」

「女に同じ事二度言わす気?そんなんだから万年童貞なのよ」

「誰が童貞だ!ていうか今の話の流れに全く関係ないだろ!」

 

突っ込む新八を無視し、パチュリーは銀時に向かって説明した。

 

「とりあえず、美鈴に気を悟られないようにして、なおかつ透明化の魔法をかけるわ。1時間後に切れるから、それまでにここから離れておきなさい。門は使わない方が良いわ、多分咲夜か美鈴かが既に見張ってる」

「…おいあんた、何企んでんだ?」

 

銀時の問いに、パチュリーが眉をひそめた。

 

「別に?これだけ対策しても捕まる確率は70%以上よ。手助けとは言い難いわね。そもそも私は人肉を食べたいとは思ってないから、あなたたちを捕まえることには興味が無いの」

「だったら何で手助けするような真似を…」

「…単に嫌なのよ」

 

そう言ってパチュリーは本当に嫌そうな顔をする。

 

「言われるがままに指名手配されてるあなたたちを殺して、言われるがままに報酬を受け取る。…聞こえのいいサービスに感じるけど、私は踊らされてるようなら気がするのよ」

 

銀時達を殺すことがサービスと言えるほど容易いことなのか、と聞くことは流石に憚られる。

 

「…まぁ、逃げた先でもあなたたちは死にかねないとは思うけど。少なくとも、私は嫌だわ」

 

ほら、早く行って、とパチュリーは追い払うように手を振った。既に魔法はかけられているのだろう。

 

「…礼は言わないぜ」

「言われたところで気持ち悪いから要らないわよ」

 

銀時達はそう言われると、何も言わずに外壁に向かって走っていった。

 

 

 

 

 

「…余計なことしたわね、パチェ」

「何のことかしら?」

「まぁ今は問い詰めないわ、全員外出用意、あの野郎を捕まえに行くわよ。フランも呼んできなさい」

 

レミリアの一言に、パチュリーは反対した。

 

「パスするわ、私は留守を守る」

 

断固としたその態度に、レミリアはフッと笑った。

 

「まぁいいわ、また逃がされたら困るもの」

 

レミリア達が出払った後、パチュリーは素早く図書館へと戻る。

 

誰もいない方が、都合が良い。

 

「こあ、もちろんいるわよね」

「もちろんです」

 

パチュリーの横を、小悪魔が並んで歩く。

 

「今から注文する本を探してきて頂戴」

「了解しました」

 

そして指示を出しつつも、自らで別の本を手に取り、自分の机に戻る時間も惜しく、その場で立ち読む。

 

 

——本は、全てを映す。それを全て読み取れるかは、読み手次第。

 

 

「残り2日半…、間に合うかしら」

 

 

パチュリーは静かな図書館の中で1人、そう呟いた。

 

 

 

 

 

「しかしまぁ、ラッキーだったなぁ」

「ホントですよ、でも、パチュリーさん、どうしてそんなことを…」

「細かいことはこの際気にするな、それよりも、もう1時間経つぞ、物陰に隠れろ」

 

そう言って銀時達が隠れたのは、

 

 

 

 

——なお指名手配騒ぎが収まらない、人里内だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(棒読みで)教えて!銀八先生〜!

 

銀八「はーい、今回は新規の登場人物が紅魔勢の数人だけなので、一度溜めて次回に『3年Z組銀八先生』をやりますので、今回はこれで我慢してください。

 

 

と、言うわけで、今回はこんなお便りが来ておりまーす。

 

 

ペンネーム・紅白の素敵な巫女さんからです。

 

 

昔から私の神社に来る、箒に乗った白黒の金髪の子がいるのですが、いつも語尾に『ZE☆』、とつけて喋っているのに、突然『うふふ』とか言い出したり、語尾にハートマークをつけたりします。

 

それだけならキャラを作っているのかと思うのですが、少し前には、自分の得意技であるビームを出すと、突拍子もなく餅が出て来たりと、どうも様子がおかしいです。

 

やはり精神的な病なのでしょうか、時々目障りなので、元に戻す方法を教えてください。

 

 

はい、まぁこういう質問はよく聞いたりしますね。情緒不安定と言いますか、そんなところです。

 

 

そんな時は、何も触れないであげてください。人間、誰しも触れられたく無い過去というものがあります。取り敢えず斬ってみようとしていた白髪の死にかけ剣士然り、顔面整形疑惑の漂う覚妖怪然り、見栄を張っていたと言われるPAD長然り、誰もが黒歴史を持っているのです。

 

 

と、言うわけで、紅白の素敵な巫女さん、生温かい目でご友人さんを見守ってあげてください。

 

 

そして水無神螢、小説の質を上げなさーい」

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