やはり俺の実力至上主義な青春ラブコメはまちがっている。   作:シェイド

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星之宮先生視点で一度書いてみたかった。
駄文?いつものことですので気にせずチャレンジしてみました。
内容としては入学から夏休み前(期末考査)までです。

原作の情報をベースに長めに書き換えました。
加え、それぞれの評価を新しくしました。

短いけれど番外編として軽く目を通す気持ちでお読みいただければ。


番外編:星之宮知恵のクラス総評①

 夏休み。

 それは学校に通う生徒たちにとっては天国ともいえる日々。

 加えて、東育では夏休みの課題といった類のものは出ない。毎日遊んで暮らせる最高の時間だろう。

 ……もちろん、最低限勉強をしていなければ二学期から厳しい日々が待っているのだが。

 

 そんな夏休みに、1年Bクラス担任の星之宮知恵は職員室にいた。

 東育ではブラックともいわれる先生の仕事がほとんど存在しない。国が運営していることもあって事務員は他におり、雑務はあまり回ってこない。

 その代わり、細かい規定やルールが課せられてはいるが、それも話したりミスさえしなければ何も問題はないのだ。

 

「サーエちゃんっ、Dクラスの総評は書き終わった?」

 

「チエ、お前は馬鹿なのか?他クラスの担任に見せるわけがないだろう。勝手に覗き見してくるな」

 

「だって~気になるんだもん!」

 

「……私だってBクラスの生徒は気になるが、余計な詮索はしないようにしている。お前もそれくらいは自重しろ」

 

「サエちゃんが気になってるのは比企谷君でしょー?入学式の日といい、トラブルに巻き込まれることといい、今一番面白いと言っても過言じゃない子だからねぇ」

 

「ほぅ?お前がそこまで言うほどか。尚更興味が湧いてきたな」

 

「でも駄目でーすっ。サエちゃんには教えませーん」

 

「なら早く自分の席で総評を書け。私もまだ残っているのだから邪魔をするな」

 

「ちぇーサエちゃんのケチ!」

 

「むしろお前が露骨すぎる。鬱陶しいにもほどがあるからな。さっさと終わらせて帰れ」

 

 各担任がそれぞれ記入しているのは、一学期の自クラスの総評と生徒個人個人の評価である。

 もちろん、成績表や生活態度など一般高校と同じ部分もあるが、あらゆる面を評価する裏評価も存在している。

 各種監視カメラによる映像やクラスとしての動き、個人としての動き、その全てを書き記す。

 

 茶柱が相手をしなくなり、つまらなくなったのか自分の席に戻りクラスの評価をまとめていく星之宮。

 ……いったい何を考えているのだろうか。

 

 

***

 

 

 クラスや生徒個人の評価をするのがここまで楽しみなのは初めてだった。

 これまでも数回、担任を受け持ってきたけどここまで個性豊かで面白い生徒が集まったことはなかった。

 

「まずはクラス評価からかなー」

 

 自然と、入学式の日を思い出す。

 クラスに入って、いつもの説明をして、生徒たちの顔を見回したとき目を惹いた生徒は数人いた。

 一之瀬帆波、神崎隆二、そして……比企谷八幡。

 戸塚君もある意味では目を惹いたけど……興味が湧いたのは三人。

 その中でも、比企谷八幡君。彼のような目をした人間に初めて会ったと思う。

 だから、その日のうちに私を訪ねてきてくれたことが嬉しかったりしたっけ。

 

 さてさて、クラスの評価だ。

 Bクラスは比較的優秀な子が集まるクラス。Aクラスとは言わないまでも、あと一歩でAクラスになれるような生徒たちばかりだ。ただし、比企谷君は除くけど。

 最初に頭角を現したのは一之瀬さん。彼女を中心としてクラスは動いていくようになり、神崎君がその補佐に回るような形で落ち着いた。

 クラスの子たちと接して、仲がいいクラスになるんだろうなって思った。入学してからの短時間であそこまでクラスとしての統率がとれたのも一重に仲の良さからだろう。

 このまま三年間仲良く勉学に励んでもらいたいと思えるクラス。逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()だった。

 だけど彼……比企谷君の存在で少しずつ変化が起きている。

 

 Cクラスの生徒たちによって呼び出された比企谷君が暴力を振るわれた事件。あの一件で少しだけクラスが変わる予兆が見られた。

 注目するべきは比企谷君の行動理由。彼は()()()()()C()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()自分から引っかかりに行った。

 自己犠牲、そう言葉にしてしまえば簡単に片づけられてしまうけれどそうじゃない。あれはただ効率を求めただけ。クラスにとって一番損害が少ないと考えた結果に過ぎない。

 なかなかやる。けど、クラスメイト達はそれを放っておけず、翌日にはCクラスに殴り込みに行った。あの時は盛大に笑っちゃったなぁ……お利口さんばかりじゃないと知って安心もしたんだけど。その話をするとふてくされたように顔を背けちゃう比企谷君も可愛かったなぁ。

 

 監視カメラでその日の放課後の様子は見たけれど、まだまだ比企谷君の殻には罅が入った程度だった感じだね。クラスメイト達と少しずつ会話するようになっていったのもその頃。仲がいいけど問題が起こったら行動できる。

 あの出来事で少しだけ評価を上げたんだよね。

 

 次は中間考査。勉強会を開くという普通の対策。元々が優秀だからこそ効果があったけど、物足りないと感じもした。

 あと、比企谷君と一之瀬さんがギスギスしたような雰囲気になっていた。それに影響されてか、クラスの雰囲気もあまりよくはなかったと思われる。学生だねぇ……。

 結果的に試験は高得点。だけど、戸塚君が解答欄のズレで赤点になり、退学処分を言い渡した。

 あの時だったかな、比企谷君の力を測ろうとしたのは。

 分かりやすくヒントを出していたせいか、本人はイライラしていた様子だったけど。

 だってどうでもいいんだもん。戸塚君が退学になっても、誰が退学になっても、成績に影響するだけ。まぁ、面白い子が減るのは残念だとは思うけどね。最終的に担当クラスがAクラスに上がってくれればそれでいいし。

 

「あの時はね……ふふっ」

 

「チエ、突然笑うな。気味が悪いぞ」

 

「ごめんごめん、比企谷君が面白くってつい」

 

「だからと言って表に出すな」

 

「ごめんってば」

 

 でもねサエちゃん、比企谷君とあの時対峙してみれば分かると思うよ。

 あれは、自分のことをなんとも思っていない。顧みることもせず、自己保身に走ろうともせず、ただ、自分なりの最適解を平然とやる。

 多分初めてではないだろうか。この学校設立以来初。

 代わりに自分を退学にしろ……なんて言う生徒は。そんなこと、聞いたことも考えたこともなかった。

 あそこまで歪めば立派な欠陥品だ。比企谷君ならCでもDでもありえたかもしれない。

 一之瀬さんとの言い合いも最高だったなぁ。わざわざテストの点数をすぐに売らないようにして良かったよ。

 

 その後はクラス全体としては特にないねー……一番学生して、青春してるとは思うけど。特にいざこざは起こさないし、他クラスを貶めようともしない。まあ、学校生活を一番普通に送れてるとも言えるんだけど。

 

 あえて文字に起こすとするなら……

 

『一之瀬さんを筆頭にクラス全体が仲良く、まとまりが出来ていました。少々問題ある生徒もいますが、これからの変化に期待が持てるでしょう』

 

 

***

 

 

「次は個人……」

 

 一人一人の学業の成績表は付け終わってる。

 あとは評価、全体的実力の評価。

 大体の生徒は入学時と変わらない。もしくは少しだけ過剰に評価していたと思う部分や、過小評価で会った部分を変更するだけの簡単な作業。

 残りはあと三人。

 

 一人は戸塚彩加君。

 初期のメモを見直すと、容姿にしか言及していないことが分かる。ちょっと適当すぎだったかな。

 評価も変更してメモも変えておこう。

 

「こんな感じかなー……」

 

 さて、残すは問題の二人。

 

 一之瀬帆波と比企谷八幡。

 

 ……正直評価しにくいんだよねー、この二人。

 一之瀬さんは最初バラバラだったクラスをまとめて、クラスの中心人物になった。素直な性格と能力の高さ、優しさもあってかクラスの皆からの信頼は大きい。彼女に対しては私も信頼を寄せている。

 比企谷君はそのまとまるBクラスの中でも異端。ひっそりと輪の中にいるようでいないからか、一之瀬さんが手を焼いているところも見たことがある。それでも、彼の行動は効率的で頭もキれる。

 

 Bクラスはこの二人と神崎君次第で、AクラスになったりDクラスになったりするだろう。

 

 まだ大きなポイント変動が起きる試験がないから、具体的な予想は出来ない。それでも、二人の行動でクラスは動くだろうね。

 

 一之瀬さんは生徒会に立候補し、落選はしたものの後々南雲副会長が声をかけるはず。生徒会入りは遅くなっただけでほとんど確実。南雲君は優秀だけど、優秀だからこそ変な道に走っちゃってるよねー。比企谷君ならアホを見るような目で見つめてそう。

 対して、比企谷君はいつも校内、敷地内を歩き回ってる姿が監視カメラに映ってる。

 視線をよくカメラに向けていることから、監視カメラの位置は把握しているんだろう。加え、彼はボイスレコーダーを持っているはず。様々な情報から有益な情報を手に入れているはず。

 

 まるで表と裏、太陽と月、陽と陰、正反対の二人。

 

 誰に対しても素直に信頼したり信用するのが一之瀬さんだとすれば、比企谷君は誰に対してもその言葉や行動の裏を読もうとする。

 

 もし、二人の力が合わさり、それを神崎君をはじめとするクラスメイト達がサポートすれば……

 

「本当に、これからが楽しみだよ」

 

 

***

 

 

氏名:戸塚彩加

クラス:1年B組

学籍番号:S01T004673

部活動:テニス部

誕生日:5月9日

 

評価

学力:B

知性:C+

判断力:B

身体能力:B

協調性:B+

 

担任メモ

入学時に指摘されていた自分への自信のなさは少し改善され、自分の意見を少しずつ言うようになりました。一之瀬さんをはじめ、男女ともに多くの友人がいます。今後も自信をつけながら能力を伸ばしてほしいです。

 

 

氏名:一之瀬帆波

クラス:1年Bクラス

学籍番号:S01T004620

部活動:無所属

誕生日:7月20日

 

評価

学力:B+

知性:A

判断力:B+

身体能力:C

協調性:A-

 

担任メモ

私が全幅の信頼を寄せる女の子。バラバラだったBクラスをまとめ上げた素直な性格と高い能力、間違いなくAクラスでもおかしくない子。ちょっとばかり純粋すぎるところがあるけど、最近ではクラスメイトの比企谷君に触発されている部分を感じます。これからが楽しみな子です。

 

 

氏名:比企谷八幡

クラス:1年Bクラス

学籍番号:S01T004679

誕生日:8月8日

 

評価

学力:C+

知性:A-

判断力:A

身体能力:C

協調性:D+

 

担任メモ

相変わらず考え方が捻くれています。ですが、少しずつクラスに馴染んでいるようにも感じます。入学時よりもクラスメイトとの交流が増え、良い傾向です。加えて、一之瀬さんとの関わりで変化の兆しが見られます。これからが楽しみな子です。

 




書き終わってから読み返して感じたこと。
裏を隠し持っているとした場合で書いてたけど……星之宮先生強すぎない?(笑)

まぁ、過去東育でどんなことをしたのかは分かりませんが、素直に敗北するような人には見えないし、なんなら思い通りになるまで裏から操っていた疑惑すら感じます。

もっと先生たちの情報が欲しいぜ……。
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