やはり俺の実力至上主義な青春ラブコメはまちがっている。   作:シェイド

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大変遅くなり申し訳ないです。
本大人買いして読み続けた挙句、戦闘ものが多くてダンまちを書きたくなったり、アニメを久々に見てイナズマイレブンの方を更新していたり……。

それに加えて二ヵ月ほど、文章を書くことから離れておりました。待ってくださっていた方やメッセージをくれた方々、ありがとうございます。これから少しずつ投稿を再開します。

それにしても、特別試験の描写は難しい。
特にこれ……龍園が関係性に気づいてからの行動や、DクラスとBクラスの行動がなぁ……とりあえずは和やかにお話しているところをお送りしたいと思います(白目)。


翔「で、本命は?」 八幡「いないっての」

 一之瀬から逃げ続けた翌日。

 午後13時から、初めてのグループ別話し合いが行われることになっている。

 その前に一旦情報を整理したいとのことで、俺たちの部屋に俺、神崎、柴田、彩加に加え、一之瀬に白波、小橋、網倉が集まっていた。

 

「さてと、とりあえず今の情報を整理してみたよ」

 

 一之瀬が持参していたノートに書きこまれた文字を全員でのぞき込む。

 

・12のグループ(干支)は四クラスが均等に分けられている。

・優待者を探してどのような結果に導かせるかが試験内容。

・クラスの関係性を無視した方がクリアするための近道!

 →クラスを超えて協力することが大事?

 

 分かりやすく書かれた情報を見て、俺も同じようなことを考えていたので一つ頷く。

 干支に準えたのは12という数とあっていたからという認識で共有している。優待者は、この部屋では白波と小橋がそれに該当していて、残りの者は皆このようなメールが送られてきていた。

 

『厳正なる調整の結果、あなたは優待者に選ばれませんでした。グループの一人として自覚を持って行動し試験に挑んでください。本日午後1時より試験を開始いたします。本試験は本日より3日間行われます。竜グループの方は2階竜部屋に集合して下さい』

 

 白波と小橋のはこれが優待者に選ばれたとあり、それぞれのグループで使う部屋が違うことが記されていた。

 まさに、グループ別のクラス対抗戦。

 分けられた生徒たちの力を測るかのように設定されているのでは、と思えるこの試験。

 ……俺が入ってしまったグループは明らかに仕組まれてるから、行きたくない気持ちでいっぱいだけどね。

 

「まずは試験の方針を決めようか」

 

「そうだな、特に俺と比企谷は相手が相手だ。腹の探り合いで負ける気はないが、相当厳しい戦いになるだろう」

 

「本当に嫌なんだが。なあ柴田、俺と代わらない?」

 

「いや、代えられるもんじゃねえだろ…」

 

「もうっ、八幡!ちゃんと試験頑張ろうよ!!」

 

「そうだな彩加!お前の言う通りだ!」

 

「相変わらずだなお前」

 

「(素晴らしいよ比企谷君!もっと彩加君と仲良くして!)」

 

「(ち、千尋ちゃんが熱視線を送ってる気が……)」

 

 彩加が試験を頑張ろうと言うのなら頑張らなくてはならない。これは絶対だ。宇宙の真理だ。

 それにしても方針か、グループ内でどう動くかってことだろうけど、今の段階だとやれることは少なくないか?

 

「様子見は確実だね。でも、そのグループの雰囲気によるだろうし、試験が始まってからだね。あ、お互いに携帯を見せ合うといったことは絶対しないように!特に比企谷君!龍園くん辺りとしそうだから神崎くんはしっかり見張っててね!」

 

 指さしながら「めっ!」とこちらに鋭い目を向ける一之瀬。

 こういう女子の仕草って異様に可愛かったりする。白波が顔を赤くしてるから、興奮する程可愛かったようだ。

 あいつ、よく一之瀬と俺の部屋で飯食えてたな。未だこれでは、百合は遠そうである。

 

「わかってる。比企谷、変なことはするなよ」

 

「俺は変なことする前提なのかよ……」

 

「「「だって前科持ちじゃん」」」

 

「…すいませんでした」

 

 クラスメイトが辛辣な件について。あ、中学まではそれが当たり前だったわ。

 結局こうしようといった具体的な案は出なかったが、まずは最初の話し合いを無事に終える。それに挑んでから改めて話し合うと言うことに落ち着いたのであった。

 

 

***

 

 

 昼食を食べた後、神崎と途中で合流した安藤さんと指定された辰部屋に向かう。

 中にはすでに、DクラスとAクラスの面々が揃っていた。

 

「やあ、Bクラスの神崎君、比企谷君、安藤さんだね。僕はDクラスの平田洋介。同じグループとしてよろしく頼むよ」

 

「こちらこそよろしくな」

 

「よろしくねー」

 

「お、おう」

 

 なんだこのキラキラとしたオーラは…ケッ、これだからリア充してる奴は。

 俺が平田のリア充オーラに気圧されていたところで13時を告げる音楽が鳴り、ちょうどCクラスの面々が入ってきた。

 

『ではこれより1回目のグループディスカッションを開始します』

 

 船内スピーカーより流れ出た簡潔で短いアナウンス。これ以降特に何もない様子であるから、本当に各自生徒たちに時間の使い方は任せられているんだな。

 

「じゃあ、まず自己紹介をしよう」

 

 そう言いだしたのは平田だ。

 このグループで誰が仕切るのかを考えていたのだが……この中だと積極的に取りまとめ出来る人間は平田か櫛田、葛城辺りだろうし、予想通りだ。

 

「そうだな。学校側から唯一指示されていたことでもある。もし背けば何かしらのペナルティが課せられるかもしれないしな」

 

 神崎が平田を援護するように発言したことで、全員での自己紹介が始まる。

 名前だけを言う簡素な自己紹介だが、俺的にはとてもありがたかった。

 ぼっちを卒業したと言っても過言ではない俺でも、自己紹介は未だに緊張するのである。

 

「さて、自己紹介も終わったけど、これからどうしようか?」

 

「試験についての話し合いをしないか?ルールについての確認もしたい」

 

「そうだね、そのことから話そうか」

 

 平田と神崎を中心に進められる話し合い。

 その間俺は他のクラスの顔色を窺うが、葛城は瞑目し、龍園はニヤニヤし、堀北は真剣な表情を浮かべ、櫛田はオロオロしている。あーいや、最後のは演技ですね。

 相変わらずあざといと思っていれば、櫛田がこちらを睨みつけてきていた。

 ふええ~、桔梗ちゃん怖いよ~!…これはキモいな、俺みたいなのが真似するもんじゃない。

 俺が心の中でクラゲ好きな女の子のように悲鳴を上げていると、話が何やら進んでいた。

 

「この試験で一番怖いのは裏切り者だね。優待者を当てたらそこで終わり。もちろん外しても終わりだ」

 

「気がついたら試験が終わっていた、ということは避けたいな」

 

「うん、僕もそれだけは避けるべきだと思ってるよ」

 

 とりあえず一番避けたい事態を想定していたらしい。

 だがまぁ、このグループは勝手に裏切る奴はいないはずだ。

 Aクラスは葛城が仕切っているし、Bクラスもそうだ。Cクラスは龍園が指示しない限り何一つ変わらないだろう。Dクラスだってそう。

 ……つまり、裏切り者が出たとすれば、それは確実に優待者を見抜いているということになるだろう。当てずっぽうの博打をする馬鹿は、このグループにはいないだろうからな。

 

「それじゃあ、全体で話し合いを……」

 

「すまないが、一ついいだろうか」

 

 平田が全体に呼び掛けたところで、ずっと黙り込んでいた葛城が静かに立ち上がった。

 

「葛城君?」

 

「今回の試験、話し合いをするべきではないと俺たちAクラスは考えている」

 

「話し合いをしない?」

 

 櫛田の呟きに一つ頷く葛城。

 ……なるほどな、葛城はその案で行くのか。

 

「説明された4つの結果の内、どのクラスも避けたい結果は、3と4だろう。裏切り者次第でクラスのポイントをも大きく動く事態になりかねない。だが1と2ならばどうだ?恐らく学校側は全クラスに均等に優待者を振り分けている。説明にも調整したとあったからな。そのことから、今回の試験は裏切り者を出さなければクラス間での差が大きく開くことも狭まることもない、と我々Aクラスは考えている」

 

 これは多分、Aクラス全体がそういった方針をとることにしているだろう。AクラスからしてみればBクラスにかなり迫られているとはいえ、Aクラスのままで居られる。葛城の評価が上がることはないが、これ以上下がることもない。

 慎重かつ堅守的な葛城らしい作戦だ。

 この話し合いが終わったら一之瀬と話し合いだな。

 

「このグループの生徒なら理解できるはずだ。もし裏切り者が出た時のデメリットを考えれば、どのクラスも話し合いをせず、全てのクラスが平等に報酬を得ることが出来る我々の案は悪くないものではないだろうか」

 

「……いいえ、それは困るわね」

 

「……堀北か」

 

 だが、これは少しでも頭が回る人間が聞いたら反対される案だろう。

 Aクラス以外のクラスなら反対は出て当然。特にDクラスでAを目指しているという堀北からすれば、全く持って困る事態になる。

 

「葛城君の案はAクラスにとっては悪くないと思う。だけど、それ以外のクラスからすれば、せっかくの差をつめるチャンスを棒に振るうことになる。これから先、前回の無人島での試験も含めてクラスポイントが大きく動く特別試験の回数は多くはないでしょう。それに、学校側からの試験内容は話し合いが前提だわ。葛城君の案は試験を放棄していると見られても仕方がないと思うのだけれど?」

 

「話し合いをしない、それも一つの方法だと考えているだけだ。とにかく、Aクラスは話し合いをしない」

 

 葛城はそう言い放った後、他のAクラスの面々と一緒に部屋の隅の方へ行ってしまった。

 

「話はまだ終わってないわ」

 

「葛城君、それはさすがに……」

 

 当然、見過ごせないとばかりに堀北が向かい、平田が続いた。

 櫛田や神崎、安藤さんにCクラスの龍園以外の生徒も向かっていった。まぁ、試験放棄とみられても仕方がないような行為ではある。

 葛城の方も反発を踏まえたうえでの行動だろうし、軽く説明はすれど考えを変えるつもりはないだろう。

 そうなったことで……椅子座ってるのは俺と龍園だけになってしまった。

 

「クク、馬鹿みたいな光景だな。そう思わねえか比企谷」

 

「葛城の案を聞いたらそうなるんじゃないか?大方他の部屋でも同じようなことが起きてるんだろ」

 

 何故俺が龍園と一対一で会話しないとならないんだよ。こういう役回りは神崎か一之瀬じゃないの?いつの間に俺がBクラスのリーダー枠に……うん、ごめん、それはないわ。

 

「そういや、こうしてお前と一対一ってのは初めてだな」

 

「嬉しくない初めてだっての」

 

「比企谷に聞きたいことがある」

 

「な、なんだ?」

 

 少し真剣な表情を浮かべてこちらを見てくる龍園。

 龍園が俺に聞きたいことだと…もしかして坂柳の弱点とかか?

 そんなの俺が知りたいっての。

 

「結局何股してんだお前?」

 

「ぶふっ!?」

 

 無駄に真剣さを出したと思えばその質問かよ。あ、笑ってやがる。

 

「その反応、何人かは確実らしいな……やっぱ4人か?」

 

「俺みたいな奴を好きになる奴いねぇっての。一応聞くがその内訳は?」

 

「一之瀬に白波千尋、網倉麻子、小橋夢だ。Bクラスハーレムを築き上げてるってのが学年内の予想一位だ」

 

「デマだって言ってんだろ!」

 

「おいおい、声を大きくしていいのか?神崎から一之瀬に報告が行くんだろ?」

 

「待って、なんでお前がそれ知ってんの?俺一度もCクラスの生徒の前でそんなこと話してないんだけど……」

 

「なんでだろうなぁ?」

 

 ニヤニヤするだけの龍園。暇つぶしと言わんばかりだな。龍園といい、坂柳といい、諜報役の使い方間違ってるよね?坂柳なんて俺のこと見張らせてた時まであるんだし…はぁ、厄介な連中に目をつけられたもんだな。

 あと、学年内予想一位ってなんだよ。何?わざわざ予想してるランキングまであるのか?目立ちすぎじゃない?ついに俺の時代が来たと言うのか!

 ……考えただけで悲しくなってくるな。やめよう。

 

「その4人とはただのクラスメイトってだけだ」

 

「つまんねぇな」

 

「別にお前に楽しんでもらわなくて結構だからな」

 

「で、本命は?」

 

「いないっての」

 

「ひよりか?ひよりなんだろ?」

 

「なんでひよりになるんだよ……」

 

「これだ」

 

 そう言って龍園は自らの携帯画面を見せてくる。

 そこには椎名と俺の読書しているところや本を選んでいるところ、食事をしているところなど多くに渡る写真があった。

 

「……盗撮とか趣味悪すぎだろ」

 

「盗聴が趣味の男に言われても何も感じねえな」

 

 確かにな。趣味:盗聴って完全に犯罪者のそれなんだよなぁ……。

 結局、最初の話し合いは葛城が説明と沈黙を貫き、それを破ることが出来ないまま終了の時刻へとなったのだった。

 

 

***

 

 

「比企谷、葛城の案を受け入れるつもりか?」

 

 話し合いの帰り、神崎がそう聞いてくるので視線だけを向ける。

 

「もし、すべてのグループが話し合いをしないのならばクラス間での差は縮まらない。それはAクラスを目指す道が一つ減ることを意味するんだぞ」

 

 俺個人としてはどのクラスにいても退学になりさえしなければそれでいいんだが……一応、Bクラスは全員でAクラスを目指しているってことにはなってるし、神崎もAクラスに上がりたいと思ってる。

 ……まだ確定ではないが一応話しておくか。

 

「……この試験、俺は話し合いをせずとも優待者を見つける方法があると考えてる」

 

「……そんな方法があるのか?」

 

「先生の説明からするとあるだろ、多分。ま、それが分かれば苦労しないんだがな」

 

 あの説明のどこかにこの試験のヒントが隠されているのは間違いない。

 そして、そんな方法があるとすれば真っ先に見つけるのは龍園に違いないだろう。

 何せクラス全員に言うことを聞かせられる男だ。簡単な話、自クラスの優待者を確認した後、その法則を見つけるだけでいい。

 もちろん法則がない可能性はあるが……学校側が調整して選んだ優待者だ。恐らくは存在しているのだろう。

 

「あ、神崎くんに比企谷君、お疲れー」

 

 廊下を歩いていると一之瀬と出会った。

 情報共有をしようとのことで、近くのカフェに入る。

 

「やっぱり葛城くんの案は全てのグループで行われていると見た方がいいね」

 

「葛城自身がそう言っていたからな」

 

「そうなんだ。あ、クラスの子から相談来てる」

 

 クラス全体でのチャットで一之瀬は呼びかけをしていた。

 今回の試験で困ったことがあれば相談受け付けます!とか書いてたはずだから、Aクラスの作戦を受けて相談したい奴がいるんだろうな。

 

「一之瀬のグループはどうだったんだ?特に危険人物はいないとしても、Aクラスの作戦を破るのは簡単じゃないだろう?」

 

「うーん、そうなんだよね。試験はまだまだ続くから、Aクラス以外のクラスで話し合いをしながら優待者を絞り込んでいく、ってのが今のところの方針かなー……」

 

「まずはそうするべきか……比企谷、次の話し合いからはAクラス以外から絞り込むことにしないか?葛城達に優待者がいてもいなくても、話し合いをして探ることは可能なはずだ」

 

「俺は神崎に合わせるぞ。今日みたいに龍園と一対一とかやりたくもないしな」

 

「比企谷君と龍園君が一対一で話し合い?どういうことかな?かな?」

 

 怖い怖い。その繰り返してる時の目が笑って無いのが凄まじく怖い。どこの香織さんですか。般若のスタンドでもついてるのかしら?

 

「話し合いをする気がないと言った葛城たちAクラスと話すために、部屋のほとんど生徒が葛城達の周りに行ったんだが、比企谷と龍園だけ席に座ったままでな。もしかしたらと思って見張っていたが、大した話はしてない様子だった」

 

「ふーん?ならいいけど。でも今度から試験時間の間、比企谷君にはボイスレコーダーの提出を命じます!」

 

 あ、また自由が減った。

 人権とは一体なんなんだろうね?まあ結局従うが。

 それに、話し合い時にボイスレコーダーを起動しておくのは悪くない。その場で聞いた時にはなんとも思わなかったことでも、後から振り返ると有益な情報だったりするもんだし。

 その後も試験についての議論を三人で交わしていると(俺はほとんど喋ることがなかった)、一之瀬にはクラスの女子からの相談、神崎にも男子からの相談が舞い込んだのでお開きとなった。

 

 二人と別れ、一人煌びやかな廊下を歩く。

 こうしてのんびりと船内を回っていると、ピリピリとした特別試験を忘れそうになる。

 一生に一度あるかないかの豪華客船なのだ。何故俺は頭を使って優待者を見つけなければならないのか。

 優待者を指定して正解すれば得られるものは確かに大きい。だが、失敗のことを考えると気が気でなくなる……やはり竜グループをどうにかしようとする考えはやめだ。わざわざこんな試験で()()()()()()()を更に上げるわけにはいかない。

 ただでさえ、Bクラスは無人島の一件で警戒されやすくなっている。Dクラスもそうだろうが、やはりAクラスが一番蹴落としたいのはBクラスのはず。

 一度部屋から温泉に行く用意をした後、一人でいつもの温泉に向かう。

 彩加と柴田は部屋にいなかった。もしかしたら神崎と共に試験の相談に乗っているのかもしれない。うわ、俺の班俺以外がいい奴過ぎる。

 

「ここからどうするかね」

 

 頭と体を洗い終わり、温泉に浸かりながら考えを整理する。

 優待者の法則がある前提で考える。

 今回の試験で一番危険なのは龍園で間違いない。試験のルールに反しない方法でクラスの優待者を把握することが出来る以上、あいつの思い通りに試験が動いてしまうことになる。

 そしてそれは避けることが出来ないだろう。葛城の作戦はB、Dクラスには有効だが、龍園側からすれば無意味に等しいからだ。

 一之瀬はグループのAクラスの連中に話しかけて情報を得ていると言っていたが、絞り切れないはずだ。むしろ今回の試験を正攻法でクリア出来たらそいつは天才を超えたナニカだろう。契約書で縛るくらいしか俺は思いつかないが…。もしも徹底的にやるなら落としたいクラスを一つ決め、残り三つのクラスで契約書の元にサインを行い、優待者の法則を暴き出して相手に嘘の優待者情報を流し外させ、こちらが均等に当てればかなりクラス順位も変動すると思われるが…この考えを話すだけでも危険視されそうだ。

 まあ、協力なんて出来るわけがない。クラス対抗のような構図で約三か月学校生活を送ってきたのだ。クラスの垣根を越えて同じ答えを出すなんてそうそう出来ることじゃない。

 ある意味、ここに坂柳がいなくて助かった。アイツがいればこの試験がどう転んだか分かったもんじゃない。無人島の件だってあそこまでうまくはいけなかっただろう。

 

 つまり、()()()()()()()()()()()()()()ということ。

 

 もちろん、これからも坂柳が参戦できないような試験があるかもしれない。だが確実性はない。例年同じような特別試験が行われているにしても、次の生徒会長はほぼ100%で南雲雅になる。

 特別試験に生徒会が関われる以上、体育大会以降どうなるかなんて分かったもんじゃない。

 

 なら、今回は―――――――――――

 

 

***

 

 

 午後8時。二度目のグループディスカッション。

 今回も話し合いは話し合いと呼べるようなものではなかった。

 というよりも、葛城達Aクラスの姿勢を崩すことなく所定の一時間が終わってしまったというべきか。

 葛城の作戦の利点は、その作戦を崩せるようなものが何もないこと。

 もし、学校側からAクラスの態度に対し、注意が出たならば話し合いを強要することは可能だっただろう。だが学校側からのアクションはなかった。つまりは、Aクラスの行動にはなんら問題はないということ。

 クラスポイントを維持することが出来るという点でも、無人島での一件で力を削がれてしまった葛城がAクラス全員を従わさせる作戦である点もいいところだ。

 神崎や堀北は葛城達を話し合いに参加させるために葛城に問い詰めることを続け、平田は全員に声をかけながら少しでも話が出来るようにと苦労していた。

 ごめんね?せっかく話しかけてくれたのに、「お、おう」とか「だよな」みたいに同調するようなことしか出来なくて。

 でも龍園よりはマシだ。「お前軽井沢と付き合ってるんだって?女の趣味悪いな」だなんて喧嘩吹っ掛けているとしか言えない発言をする奴よりはマシだろう。

 そしてそれにしっかりと反論できる平田はマジでリア充の鏡と言っていいだろう。俺はなおさら嫌いになったがな。

 え、櫛田?そうだなぁ……葛城達Aクラスに「お話しよ!」とか言ってたりするが、なんでか安藤さんとお喋りしてたな。堀北が嫌いとか言いつつ表ではあんな風に堀北と会話できるのだから、あの仮面も中々のものだ。見ている側からすれば気持ち悪いとしか思えないがな。

 そして、たまに俺のところにやってきて話しかけてくる。もちろん、「そうだな」とか「そうなのか」ぐらいしか答えられない俺。いやだって何を言えばいいんだよ。「比企谷君って変わってるよね」とかどう反応していいのか分からねえよ。

 

「今回も手掛かりなしに終わってしまったな」

 

「そうだな」

 

「どうすれば優待者を見抜けるかな?」

 

 俺、神崎、安藤さんの並びで辰グループの指定部屋から出る。

 葛城達Aクラスの作戦はかなり効いている。話し合いがままならないため、時間だけが浪費されていく。作戦を立てた葛城には他のグループの奴らと思わしき生徒も文句を言いに行っていたが、葛城を動かすことは出来そうにない。

 三人であーだこーだと少々話しながら自室に帰るために安藤さんと別れ、神崎と部屋に戻った。

 

「おかえり~」

 

「おう、お疲れさん。で、どうだったお前らの方は?」

 

 天使と柴田に迎えられ、早速話し合いを始める。

 

「葛城を動かすのは無理だろう。何度言おうが考えを変えるつもりはない様子だった」

 

「一之瀬さんからメッセージが来てたんだけど、兎グループのAクラスの生徒達を動かすことも出来そうにないって」

 

「マジかぁ……手詰まり状態だな」

 

「よし、柴田。俺とお前でグループを入れ替わるか」

 

「だから無理だっつーの。いい加減諦めろ」

 

 柴田にはため息をつかれ、神崎は半目でこちらを見てくるし、彩加でさえ苦笑いをしているが……嫌なもんは嫌なのだ。

 星之宮先生の手によって仕組まれたグループということは、俺が何か行動を起こすことに期待でもしているはずなのだ。昨日話したときにもそう感じた。

 だからこそ癇に障る。このままだと大敗北を喫する可能性がある以上、動かざるを得ない。それすらも見越していたかのようなあの先生に腹が立つのだ。

 動かされていると分かっていても動くしかない。その葛藤すらも見通されているかに感じる。うん、やっぱりBクラス一番の危険人物は一之瀬でも神崎でも白波でもなく星之宮先生だな。間違いない。

 白波をここで上げている理由は、一之瀬が絡むだけで暴走気味になってしまうからだ。本人の前だと全くそんな素振りは見せないし、照れてばかりいるが、無人島で俺を背後から蹴り、川に落としたことを忘れてはならない。あと柴田が犠牲になった件についても。

 

「龍園とか怖いんだって。せっかく平田が声かけてるのに挑発するような奴だ。あれを相手にするのは一之瀬とか神崎で十分だっての」

 

「平田に龍園はなんて言ったんだよ?」

 

 それからはしばらくの間、四人でグループ内で行われた会話や同じグループにいる他クラスの連中について色々と話していた。

 

 そんな中、0時近くになり、「寝るか」と柴田が言った直後だった。

 

 試験は変化を見せてしまった。

 

 俺たち全員に一斉に届いた一通のメール。

 

『猿グループの試験が終了いたしました。猿グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないように気を付けて行動して下さい』

 

「おい、これって……」

 

「ああ、()()()()()()()

 

 クラスのチャットが騒がしくなり、三人には電話もかかってくる始末。

 ……今なら一之瀬もクラスの女子を落ち着かせることで精いっぱいの筈。

 

「ちょっと外の空気吸ってくるわ」

 

 電話中のため、誰も返事をくれなかったが俺は確かに報告した。

 部屋を出て、人目につきにくい、いつも利用している温泉があるフロアで、俺はある人物に電話を掛ける。

 電話を終え、やるべきことは決まった。

 

「……さて、いきますかね」

 

 

***

 

 

 その部屋には三人の生徒がいた。

 外からは廊下を走る音や話し合いの声が聞こえてくる。先ほどのメールで疑心暗鬼は更に高まり、裏切り者が誰なのか、どのような結果を及ぼすのか等、話し合われる内容は尽きない様子である。

 そんな外の騒音を聞きつつ、対面した二人の男子生徒。

 それは………

 

 

 

 

 

 

「ひより経由で連絡を受けた時には驚いたもんだ。まさかお前から仕掛けて来るとは思わなかった」

 

「……そうかよ」

 

「もっとも、お前の話に乗るかどうかは別だがな。なぁ……比企谷」

 




八幡、ボイスレコーダーで割と学校の情報集めてたり……。
なんだろうね、八幡が八幡じゃない……俺ガイル読み直してどうにか似せていきたい……。
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