やはり俺の実力至上主義な青春ラブコメはまちがっている。 作:シェイド
それでも良い方だけ読んでください。
一応前話から読んだ方がいい気がします。
「比企谷くんの馬鹿!!」
パチッ。
僕は、どうしても我慢できなくなって、比企谷くんの頬を叩いた。
「……戸塚?」
比企谷くんは驚いたような顔をしている。
僕だって、自分の行動に驚いている。こんなことしたのは生まれて初めてだから。
でも、今はそんなのどうだっていい!!
「どうして……どうして比企谷くんはそうやって僕を、みんなを突き放そうとするの!」
「……別に突き放したりなんてしてねえよ」
「してる!僕はそう感じてるもん!」
「仮にそうだとしても何の問題があるんだよ?結局、ただクラスの足手纏いが怪我をしたってだけだろ」
「足手纏いなんかじゃない!比企谷くんは……」
そうだ、比企谷くんはカッコいい。自分が優秀なところを誰かに自慢するわけでもない、孤高の存在のようで、一匹狼みたいで……
比企谷くんは、僕の憧れなんだ。
他の人が動けない時に、咄嗟に行動を起こせる、優しい人だって知ってるから。
だから、足手纏いなんかじゃ決してないんだよ!
「比企谷くんは……」
「……とにかく、これ以上は時間がもったいない。定期試験の結果次第ではポイントを増やすチャンスで、加えて赤点取ったら退学だろ。こんな問題放置しておくのが一番だっての……悪い、今日は帰るわ」
「あっ……」
どうやったら伝わるんだろうって、どうやったらわかってくれるんだろうって。
でも僕が言い淀んでしまったことで、もう話は終わりだとばかりに八幡くんは一人、寮へと帰っていった。
……悔しい。
僕はいつも助けられてばかりだ。僕が傷つけられそうになったりしたとき、比企谷くんは助けてくれた。
でも、僕は比企谷くんに何もしてあげられない……。
「比企谷くんもなかなか面倒な性格してるねー」
「全くだ。元々積極的ではないとは思っていたが……ここまでとはな」
「比企谷くん、本当に黙ってるつもりなのかな……?」
「ここまで言っても何もしないってなら、本人の望み通りになかったことのようにしてしまうのがいいってのか……?」
「でもあの怪我は酷すぎるよ!」
「だ、だよな!」
「俺たちだけでも、もう少し考えようぜ!」
比企谷くんが帰ったあとも、後半の勉強グループは話し合いを続けた。
…だけど、有効な解決策は特に出なかった。
指紋の検証の案も出たけど、暴力を振るったことまでを立証できないだろうってことで却下になった。
比企谷くんの突き放すような態度の影響なのか、Bクラスの雰囲気はあまりよくないまま、今日のところは全員部屋に戻ろうってことになった。
「このまま、何もできないのかな……」
でも、何かできたとしても、比企谷くんは迷惑だって思うのかもしれない。
それならいっそ、何もなかったように過ごすのが一番だったりするのかな?
いやいや!そんなことない!絶対に許せることじゃないんだ!
「……ん?一之瀬さんからメール?」
***
『告白と見せかけての集団リンチ+パンチラ事件』が起きた次の日。
俺は寮の隣人、綾小路と共に登校していた。
朝たまたま出る時間が被ったからだが、当然ギプスなんてつけてりゃ何かあったのかって聞かれる。階段から落ちたと答えたが、なんとなく嘘だと気づかれてる気がする。
まあ、それ以上は追及してこなかったから良しとしよう。
「で、Dクラスは0ポイントだったんだろ?」
「ああ、歴代のDクラスでも0はなかったらしいから、今年のDクラスは史上最低の不良品らしい」
「不良品って言っても、クラス単位ってだけであれだろ?個人で見ればまともな生徒もいるんだろ。お前とかお前の彼女とか」
「彼女……?」
「前の部活動集会の時、お前、ロングの黒髪の美少女と二人で話してただろ。あれ、彼女じゃないのか?」
「ああ、堀北のことか。生憎だが違うぞ。それとオレはごく普通の一般生徒だ」
なんだよ、彼女じゃなかったのか。俺とのボッチ同盟を破り、青い春でも謳歌するのかと思ったがそんなことなかったんだな……普通に美少女と話せるって時点で差がついてるなんて思ってないからな!
「いや、お前は多分、俺より成績良いだろ」
「残念だが、全教科50点という、平凡中の平凡でな」
「……ふっ、舐めてもらっては困るな。俺の数学と理科の点数は20と40だ」
「……普通の生徒って苦手教科があるものなのか?」
「それは人によるだろうけど……普通、得意教科と苦手教科はあるんじゃね?」
「そ、そうか……」
そう言って綾小路は少し失敗したようなオーラを出し始めた。そこまで普通の生徒に憧れているのだろうか。正直な話、ここの高校に入学した時点で普通な生徒ってのは難しい気がするんだが……。
それに全教科50点ってなんだよ、狙ってそろえたの?偶然?どんな確率だよ……やはり綾小路は相当優秀とみていいな。そしてそれを表に出したがっていない。
幸いにも取って食おうとは思っていないようだし、ボッチ仲間だし、今後とも隣人としての付き合いが続いていくことを願うのみだ。
今日は少しばかり俺の歩くスピードが遅かったため、学校に着くのも結構ぎりぎりになってしまった。綾小路が歩幅を合わせてくれていたので、なんとなく申し訳ない気持ちになる。
今度、MAXコーヒーでも奢ってやるかな。
綾小路と別れ、Bクラスの教室に入り、自分の席に着く。
もちろん、いきなり怪我した姿で現れたことから多少クラス内がざわざわしたが、特に何か言ってくるわけでもなかったので授業まで寝たふりをして過ごす。
しかし、なんか人が少なくないか……?周りを見れば一之瀬や神崎、戸塚とか昨日の後半勉強組がごっそりいないことに気づいた。
なにかやっているのだろうか?まあ、俺に何も言ってこないってことは別段学校に働きかけていたりとかはないみたいだが……。
朝のHR前には全員戻ってきたので大事にはならないはずだ。
***
午前中の授業を終え、昼休みはベストプレイスと化した保健室裏で一人過ごす。
「隣座るね~」
訂正、二人になりました。
「……別に俺の許可を取らなくていいって言ってるじゃないですか」
俺がここにくるたびに必ず現れる星之宮先生から少し距離を取りながら言う。
相変わらず距離が近い。なんかいい匂いするし、胸あたるし、やめてもらいたい。このままだと勘違いして告白して振られるまであるぞ。もしくは星之宮先生ルートに突入するかもしれない。禁断の教師ルートとかどこのギャルゲーだよ。
だが、星之宮先生から俺が距離をとってもすぐに詰めてくる。諦めずに離れることを繰り返すが、座る場所がなくなりそうだったので結局は俺が折れる形になり、一緒に昼食を食べる。
さすがにこの怪我だと外食や自炊が難しいので、昨日勉強会(勉強してないが)のあとにコンビニに寄って数日分の食糧を調達しておいた。その中から持ってきたおにぎりと総菜パンを食べる。
焼きそばパン美味いな……二穂お嬢様がハマる理由もわかるってもんだ。
星之宮先生はいつもお弁当だ。如何にも「お弁当作ってる私可愛いでしょ」アピールのようなお弁当なのだが、無理矢理あーんされたときにめちゃくちゃ美味しかったのは記憶に新しい。
つい、弁当を見てしまっていたためか、星之宮先生に気づかれ強制あーんを執行されてしまった。正直美人な女教師に手作り弁当をあーんされているなんて男として嬉しいことこの上ないはずなのだが、相手が星之宮先生だからか、素直に喜べない。
何か裏があるんじゃないか?俺をこき使わせるための布石なのか……など行動の裏側を勘ぐってしまう。
悪い癖なんだろう。人によっては善意の行動を疑われるんだからたまったものじゃないはずだ。
それでも……人を無条件に信じることなんて俺にはできない。できる気がしなかった。
「そう言えば、比企谷君は知ってる?」
「?……何がですか?」
「あー知らないんだ。これは放課後が面白くなりそうだねー」
ケラケラと星之宮先生は笑うが俺には心当たりがない。特に今日はおかしなことはなかった……強いて言えば昨日の後半組がHRぎりぎりで帰ってきたことぐらいだが、特別変わった様子はなかった。
なんだ?一体……まさか一之瀬達が何かしたのか?いや、まさかな……。
***
「りゅ、龍園さん。すみません、ついカッとなってしまって……」
「ふん、別にいい。今度からは気を付けろ」
「「「は、はい!!」」」
石崎、小宮、近藤の三人は怖がりながらも罰がないことに安堵し、自分たちの席についた。
「ちょっと」
「なんだ伊吹?」
「あれでよかったの?うちのクラスポイント減ったんだけど」
「Bクラスの動きがしっかりと見れたからな」
「……」
「もともと今回はBクラスを仲違いさせて団結力を欠如させようと仕掛けただけだ。しっかしまあ、クク、面白いことをしてくるもんだな。もっと優等生だと思ってたが案外そうでもない、か」
「……働きに見合った結果は得られてないんじゃないの?」
「Bクラスの中心人物の思考パターンと行動はある程度掴んだ。まだSシステムの全貌が明らかになっていない中で一番必要なのは情報なんだよ」
「そ……でも、目的達成には程遠かったでしょうが」
「別に構わねえさ。仲良しクラスがさらに仲良しクラスになっただけだ。Bはある程度知れた。次は試験後にDクラスだ」
「……そう、でも次からは私動かないから」
「ああ、しばらくは好きにしてていい」
***
午後の授業も終わり、HRの時間になった。
星之宮先生が現れたが、何やら報告があるらしい。
「みんな注目~。残念なお知らせだけど、Bクラスのクラスポイントが30ポイント失われました」
「……」
……は?
クラスポイントが30減った?何があったんだ?
他のクラスメイト達は……全員が驚いていない、だと?
「Cクラスも減ったから、現状のポイントはBクラス570、Cクラス460になってるからね~。今回は初めてだったこともあるからこれくらいで済んでるけど、次からのペナルティはもっと重くなるから気を付けてねー。ではHRを終わります」
伝えることは伝えたと星之宮先生はさっさと教室から出て行ってしまった。
相変わらず、クラスメイトに動揺はない。
『あー…知らないの?放課後が面白くなりそうだねー』
昼休みの時の星之宮先生の言葉は意味がわからなかったが、このことを指していたのだろう。
Cクラスも30下がっていることも踏まえると、多分、BクラスとCクラスの間で、俺の知らないことが起こった。
その結果がこれだと言うのだろうか。
「おい、一之瀬」
「何かな?比企谷くん?」
「お前ら、何をした?」
「別に何もしてないよ……って言ったら?」
「何もしてなくて30も減るわけないだろ……Cクラスと衝突でもしたのか」
「君に答える義理はないよね?」
な、なんだ……やけに突っぱねる態度をとるもんだな。ま、まあ一之瀬とは仲良くないし当然と言えば当然か。なら違う奴に聞けばいい。
「戸塚、何かしたのか?」
「……比企谷くんには関係ないもんっ」
そ、そんな馬鹿な、俺の天使が、俺の戸塚が、そんな態度をとるだと……!
……そういえば頭に血が上っててあまり考えていなかったが、昨日、頬叩かれたんだよな。今日は口きいてくれなくて……俺のオアシスはもうどこにもないんだな。
「そ、そうか……」
俺に言えないことだったりするのだろうか。まあ、確かに俺だけクラスではぶられてるっぽいし、メールが回ってきてないのも、『みんな』の中に俺が入ってないってことなのだろう。
なら、簡単だ。
これまで通り、ぼっちで過ごせばいい。
戸塚と話したり、クラスメイト達の雰囲気を見て、少しばかり勘違いをしていたのかもしれない。夢を見ていたのかもしれない。
そうじゃないだろ。
俺の住む世界はそこじゃない。こいつらと同じようにはできない。
なら、これまでと同じように一人で三年間を過ごせばいい。
自嘲気味に少し笑い、教室から出ようとドアに手をかけた――――
「待ちなよ」
それを止めたのは一之瀬だった。
いや、君何自然に手を上から被せてるの?柔らかい……じゃなくて。
「……さっきは答える義理がないとか何とか言ってなかったか?」
「はぁー、比企谷くんは本当にめんどくさいね」
「は?」
困った人だ、みたいなリアクションをしながら顔を横に振る一之瀬。いや、だって答える気なかったよね?戸塚も答えてくれないんじゃクラスメイトの誰も答えてくれないだろうし、帰るよね普通?
「よっし、じゃあ戸塚くん!」
「うん……は、八幡!!!」
「ひゃ、ひゃい!?」
突然俺の目の前にきた戸塚が大きな声を出し始めたからびっくりしてしまった。変な声出ちゃったよ……
だが、次の一言は予想もできないものだったのだ。
「僕は八幡が好きなんだ!!」
「……え?」
***
「だから八幡、ここの計算式はこうやって……」
「お、おう……」
「ちょっと比企谷くん、なんで私が教えるときは逃げようとするのに、戸塚くんが相手だとそんなに素直なの?」
「いや、そ、それはですね……」
「おいおい、一之瀬に惚れてんのか?」
「ちげえよ……女子に近づかれたらそりゃ逃げるだろ」
「戸塚は?」
「戸塚は性別戸塚だからいいんだよ」
「八幡、僕男の子だよ……?」
「お、おう」
「……どうしてだ。勉強が捗らなくなっている気がするんだが」
俺はその日、部活に所属していない組や今日部活ない組の方の勉強会に参加していた。
……あのあと戸塚の衝撃の告白から何をしたのかを教えられた。
なんということでしょう。昨日のメンツで朝からCクラスに突撃していたらしい。何のためと思えば俺に暴力を振るった奴を散々挑発したらしい。ちょっと現実逃避したくなった。
さらに言えば、逆上させて暴力を振るわせたらしい。しかもCクラス担任の坂上先生の前で。さすがに停学処分ものだったらしいが、Bクラスが挑発していたところも見ていたようで両者が罰せられるところだったらしい。が、そこでCクラスの龍園がポイントで代わりに支払えないのかを尋ね、その流れからなんか色々あってクラスポイントが失われる流れになったんだと。
正直、戸塚からの告白まがいのもののせいで頭真っ白だったから全然頭に入ってこなかった。
……それらの情報は、また今度考えることにしよう。
『あ、あのね、比企谷くんはクラスの足手纏いなんかじゃないの!悪いのは暴力してきたCクラスなの!だからみんなで協力して……まだ全然足りてないけど少しだけ罪を償わせたから。まだまだ全然、足りないけどね』
戸塚が途中から黒戸塚になってしまっていたことが怖かったが、黒戸塚はそれはそれでありだと思いました。
『なんでこんなことしたんだよ……お前らの目標はAクラスに上がることだろ……』
たった一人のために大切なクラスポイントを減らす必要はなかったはずだ。なんでだよ……。
『あのね、比企谷くん。BクラスはBクラス全員でAクラスに上がるの。誰か一人でも欠けたくないんだよ』
『……馬鹿にもほどがあるだろ』
『これがBクラスなんだよ!!』
『…』
本当に馬鹿ばっかりだ。真面目過ぎる、優しすぎる。いいやつ過ぎる。
こいつらとなら……いや、そうやって期待を押し付けるのは傲慢、か。
それでも、そう考えてしまうほどには、彼ら彼女らに俺は心を揺さぶられているのだろう。
***
休日。それは学校に行かないで済み一人で引きこもれる最高の日である。
ここ最近は色々あった。なんか。割と覚えてないことばっかりだったりする。覚えていることと言えば、戸塚の『八幡のことが好きなんだ!!』ぐらい……あと伊吹の青パンツくらいだな。あとは、一之瀬の手が柔らかかったくらいか。
俺碌なこと覚えてないなー。でも男の子だもん。みんな可愛いから仕方ない。俺は悪くない、美少女と戸塚が悪い。
「へぇー、比企谷くんあんまり物とか買ってないんだね?」
あー、碌なことがないと言えば暴力な、暴力。虐めとかは初めてではないが今回は別の意図が感じられた。この学校だからこその暴力の使用方法もあるんだろう。多分、知らんけど。
俺には使えないカードだ。だって喧嘩弱いし。むしろ最弱と言えるまであるな。
「あ、これすごく甘いコーヒーだよね?一つ貰っていいかな?」
……ってなわけで色々あった俺には休息が必要だと思うのだ。
毎日勉強会とか緊張するしな……特に女子に国語教えるときとか。
みんな顔面偏差値高すぎなんだよ。どうなってんのこの学校?
「あ、美味しいけどやっぱり甘いね。これ飲みすぎると糖尿病にならない?あんまり飲みすぎはお勧めしないな」
………だからだな、その……なんというか……なんで……
「じゃあ今日一日理系科目頑張ろうか!」
「なんで当たり前に俺の部屋にいるんだ、一之瀬」
そう、俺の部屋には今……クラスのリーダー様がおられるのである。
「なんでこうなったんだ……?」
とりあえず焦って出したので文章力の低さが露呈していますが、改めて書き直しや書き足しは少しづつやろうと思います。
読んでくれる方には感謝です。