凪と毎日ほわわんな日々を   作:ピアチェーレ

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黒曜ランドのディナーへようこそ(黒曜)

数か月ぶりに骸が帰ってきた。

「骸さんびゃん!」

犬のうれしそうな声が黒曜ランドに響く。

千種と凪も、骸を見て笑顔で駆け寄る。

犬たちと話していた骸はノエルの方を見ると

「お久しぶりですね」

と言って口元に笑みを浮かべた。

「久しぶり。元気そうで何より」

ノエルも笑みを返す。

骸がノエルと初めて会ったのは、精神世界だった。

骸の出所後も、仕事の関係でイタリアで会ったり、凪たちと出会ってからも精神世界で数回会っていた。

骸は出所した後、イタリアで暮らしていて、今回のようにたまに帰ってくる。

 

骸のイタリアでの土産話や凪の並中での学校生活の話に花を咲かせていると、ふとしたことから、ノエルと骸が言い争いになった。

発端は骸で、内容は覚えていないくらい、ささいなことだった。

空気が凍り付いたが、凪が間を取り持ってくれて、お互い謝り、その場は収まった。

 

骸たちが買い出しに行き、凪とノエルが夕食を作ることになった。

数時間後、テーブルには

麻婆豆腐

カレーライス

サーモンサラダ

が並んだ。

「珍しいよね・・・」

千種がテーブルにつきながらつぶやく。

「カレーが食べたくなって。麻婆豆腐は犬のリクエスト」

ノエルが笑顔で答える。

全員で手を合わせた後、

「おいしい・・・!」

凪が瞳を輝かせてカレーをほおばる。

それぞれがおいしそうに食べている様子を見守り、骸も自分のカレーを口に運んだ。

しかし。

辛い。

全てが辛い・・・!

骸はとっさに口を押さえて、震える手でスプーンを置き、今自分が食べたカレーを見た。

とてもおいしそうな、大きな具材がたくさん入ったカレーだが、じゃがいももにんじんも玉ねぎも。

とても辛いのだ。

急いで隣のご飯をほおばるが、ご飯じゃ打ち消せないほど辛さが強い。

そっと顔を上げて犬たちを見るが、おいしそうに口に運んでいる。

汗を流しながら、

自分が辛い物が苦手だからかもしれない。

そう思った骸は気を取り直し、サラダを食べようと口へ運ぶが

「うっ・・・!」

辛い。

どうして。

サラダなのに・・・。

骸はサラダを凝視する。

実は骸のサラダだけ、手作りの唐辛子入りのドレッシングがたっぷりとかけてあるのだ。

何とか飲み込んで水を口へ運ぶと

「ぐっ・・・!」

水かと思って飲んだ液体は、

「・・・!?」

お酢だ。

凪たちが不思議そうにこちらを見ている。

骸は何でもないかのように額から流れる汗をぬぐった。

ノエルはすました顔で麻婆豆腐を食べている。

カレーも麻婆豆腐もサラダも、凪たちだけ普通の辛さで、骸だけ激辛になっていた。

骸は、麻婆豆腐の豆腐だけすくい、おそるおそる食べるが、舌がしびれるくらい辛い。

痛い。

急いで飲み込むが、直後のどに激痛が走る。

食道が痛い。

辛さで唇を真っ赤にしながら必死に食べる骸を見て、ついにノエルが噴き出した。

突然爆笑し始めるノエルに、凪たちはきょとん顔で見つめる。

カチャン、と骸がスプーンを置いた。

ノエルが笑うのをやめ、骸を見る。

「ノエル、すみませんでした」

頭を下げる骸に

「うん、許してあげる。私も大人げないことしてごめんね」

ノエルも申し訳なさそうな顔で謝った。

ほっとした空気が流れる中、

「でも、最後までちゃんと食べてね。致死量に満たない配合で時間かけて作ったんだから」

骸が青ざめた。

皿にはまだどれも半分以上残っている。

 

数時間後、何とか完食した骸がソファーで横になっていると

「はい、骸」

透明の液体が入ったグラスと薬、チョコレートアイスが入ったカップをトレーに乗せた、ノエルがやってきた

「お口直しに食べて。あとこれは胃薬」

「ああ・・・」

とりあえず水を飲もうとグラスに手を伸ばしたが、さっきのお酢を思い出し、さっと引っ込める。

「今回はちゃんとお水だよ」

ノエルが申し訳なさそうに、手渡す。

「本当にごめんなさい。明日、骸の朝食は骸のリクエスト作るね」

 

遠くからそれを見ていた犬と千種は、改めてノエルを怒らせてはいけないと思った。

その後、トマトパスタなど赤い料理が出ると、びくびくしながら食べていて、本当に申し訳ないとノエルはひっそり思った。




ちなみに、残りの激辛カレーや激辛麻婆豆腐は、次の日ノエルが一人で完食しました。

書いている途中で骸がかわいそうになりました。
ごめんね骸。
あと、凪をあまり出せなかったことが無念です。
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