「あの・・・、先日の見回りの件の反省文を書いてきました・・・」
ノエルと朝の見回りをしていて、ツナたちと談笑していたことだ。
本当は反省文を書くほどでもないうえに、わざわざ風紀委員がするようなことでもない。
真面目に業務に取り組んでいる凪らしいことだった。
「ふぅん・・・。ご苦労だったね」
皮肉を込めて言ったが、天然の凪が気づくはずもなく、お願いします、と渡すと
「あの、紅茶淹れましょうか・・・?」
と聞いてきた。
ふう、と雲雀が息を吐くと、
「コーヒーをお願いするよ」
給湯室に歩き出していた凪がぴたり、と止まった。
そして、振り向いて申し訳なさそうな顔をして口を開く。
「私、コーヒー淹れるの下手で・・・。練習してるんですけど、どうしても苦くなってしまって」
紅茶なら、ノエルに褒められるくらい上手に淹れられるんですけど・・・。
上目づかいで言う凪に
「じゃあ、それで」
書類に目を通しながら答える雲雀に、凪はゆっくりうなずいた。
数分後、トレーにダージリンティーを乗せた凪が戻ってきた。
机に置きながら
「お砂糖とミルクは・・・」
雲雀はいらないという風に首を横に振り、ゆっくり口に運んだ。
その様子を、ぎゅっと手を組んで凪が真剣な面持ちで見つめる。
雲雀はソーサーにティーカップを置くと、ふっと笑って
「じゃあ、ノエルがいない日や、僕が紅茶を飲みたくなった時には君にお願いしようかな、クローム」
それを聞いた凪は、ぱっと花が咲いたような顔で
「はいっ!」
と返事をした。
数日後、放課後の応接室にて。
「珍しい紅茶が届いたんだよね~。ちょっと飲んでみない?」
高級そうな缶に入った茶葉をかかげてたずねるノエル。
「・・・僕の紅茶はクロームだから」
手元の書類に目を落としたまま言う雲雀に
「え?」
ノエルはきょとんとした。
凪を見ると、困ったような照れたような表情をしている。
「え、仲良くなるのはすごくうれしいんだけど、いつの間にそんな関係になったの!?しかも僕の紅茶はクロームって何!?」
「そのままの意味だよ、ノエル」
はぐらかす雲雀に
「ノエルもこの紅茶飲むよね?私淹れてくる」
そそくさと逃げるように給湯室へ向かう凪。
その後ろ姿を見送りながら
「あ、ありがとう凪。雲雀!ちょっとその話詳しく!」
ノエルは必死の形相で雲雀に詰め寄った。
ちなみに、反省文を書いてきた凪だが、ノエルはというと、反省文を持ってくることはしなかったが、その日の放課後、応接室を訪れるや否や、
「今朝はごめんね~。委員長のたまってる書類片付けるから許して!」
と言い、ものの数時間で、雲雀の一週間分の仕事を片付け(自分の分の仕事もこなしつつ)颯爽と帰っていった。
荒ぶるノエル。
珍しく取り乱すノエルが書けて、うれしいです。