「シンジ。今日は何の日か知っているか」
「き、今日?なんかあったっけ」
問題ない。ここまでは想定通りだ。
我が愛すべき息子、シンジも父の誕生日を祝うことに対して照れがあるだろう。
ここは私が遠回しに誕生日の話題にしてやるしかない。
「大丈夫だシンジ。全てはこれからだ」
「何言ってんだよ父さん。意味がわからないよ」
「問題ない」
「問題しかないよ!会話になってないもん」
「結局何の日かわかったか?」
「あれだろ、昭和の日だろ。祝日だからネルフの人たちも誰もいないし」
「そうきたか」
まったく恥ずかしがり屋さんだ。こういう所は私に似てしまったのかもしれんな。
「しょうがないヒントをやろう」
「ヒント?」
「ああ。ヒントはアニメだ」
「アニメ?……ああ!そういうことか」
「やっとわかったか」
「わかったよ父さん!」
まったく世話の焼ける子供だ。
だがこれで全て解決。勝ったな。
「銀魂に出てるマダオの声優の立木文彦の誕生日でしょ!」
「合っているが合っていない」
「どういうことだよ父さん!僕はもう行くよ!」
「また逃げ出すのか」
「…………」
「え、無視?それはやめて」
「…………じゃあ」
「ちょっ、ま、行かないで」
……行ってしまった。
も、問題ない。まだ私にはレイがいる。
電話を掛けて呼び出せばいい。
『私だ』
『誰?』
『碇ゲンドウだ』
『どうしたんですか指令』
『今日は何の日か知っているか』
『今日?わかりません』
レイにも照れという感情があるのか。
まったく可愛い奴だな。
『ヒントはアニメだ』
『……アニメ?立木文彦の誕生日ですか?』
『なぜみんなそっちは知ってるんだ!?』
『もういいですか指令?』
『もう少し待ってくれ』
『それは命令ですか?』
『いや、命令ではないが……』
『じゃあさようなら』
『え、冷た……』
切られただと……。
べ、別に問題ないもんね。シンジとレイが冷たくても、冬月が祝日の休みを楽しんでてもいいもん。
1人でケーキ食べてやる。ホールのケーキを1人で食べる夢叶えてやる。
よし!さっそくケーキを買いに行くか。
エヴァに乗ってケーキ屋に行こう。みんなの困る顔が目に浮かぶ。
ひとまず第一司令室に行かないとな。
ん?なんか明かりがついてるな?
中に誰かいるのか?
「碇司令到着しました」
「父さん!」
「やっときたか碇」
「フン!待ちくたびれたわ」
「何をやっている?」
ネルフの職員にパイロット達、冬月までいるじゃないか。
「父さんの誕生日パーティーだよ。サプライズでやりたくて。さっきはごめんね」
「問題ない」
「泣いているのか碇」
「問題、……グスッ、ない」
「……父さん。誕生日おめでとう」
「おめでとうございます」
「おめでとうございます」
「おめでとうございます」
「めでたいなあ」
「おめでとさん」
「おめでとう碇」
「まあ、祝ってやるわ。おめでとう」
「おめでとうございます」
「クワックワー!」
「おめでとうございます」
「おめでとうゲンドウ君」
そうか、みんな私のために。
レイはいないが。
「ありがとう」
ネルフ職員にありがとう。
レイに、さようなら。
そして私、碇ゲンドウにおめでとう。