碇ゲンドウは祝われたい   作:鱸のポワレ

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①

「シンジ。今日は何の日か知っているか」

「き、今日?なんかあったっけ」

 

問題ない。ここまでは想定通りだ。

我が愛すべき息子、シンジも父の誕生日を祝うことに対して照れがあるだろう。

ここは私が遠回しに誕生日の話題にしてやるしかない。

 

「大丈夫だシンジ。全てはこれからだ」

「何言ってんだよ父さん。意味がわからないよ」

「問題ない」

「問題しかないよ!会話になってないもん」

「結局何の日かわかったか?」

「あれだろ、昭和の日だろ。祝日だからネルフの人たちも誰もいないし」

「そうきたか」

 

まったく恥ずかしがり屋さんだ。こういう所は私に似てしまったのかもしれんな。

 

「しょうがないヒントをやろう」

「ヒント?」

「ああ。ヒントはアニメだ」

「アニメ?……ああ!そういうことか」

「やっとわかったか」

「わかったよ父さん!」

 

まったく世話の焼ける子供だ。

だがこれで全て解決。勝ったな。

 

「銀魂に出てるマダオの声優の立木文彦の誕生日でしょ!」

「合っているが合っていない」

「どういうことだよ父さん!僕はもう行くよ!」

「また逃げ出すのか」

「…………」

「え、無視?それはやめて」

「…………じゃあ」

「ちょっ、ま、行かないで」

 

……行ってしまった。

も、問題ない。まだ私にはレイがいる。

電話を掛けて呼び出せばいい。

 

『私だ』

『誰?』

『碇ゲンドウだ』

『どうしたんですか指令』

『今日は何の日か知っているか』

『今日?わかりません』

 

レイにも照れという感情があるのか。

まったく可愛い奴だな。

 

『ヒントはアニメだ』

『……アニメ?立木文彦の誕生日ですか?』

『なぜみんなそっちは知ってるんだ!?』

『もういいですか指令?』

『もう少し待ってくれ』

『それは命令ですか?』

『いや、命令ではないが……』

『じゃあさようなら』

『え、冷た……』

 

切られただと……。

べ、別に問題ないもんね。シンジとレイが冷たくても、冬月が祝日の休みを楽しんでてもいいもん。

1人でケーキ食べてやる。ホールのケーキを1人で食べる夢叶えてやる。

よし!さっそくケーキを買いに行くか。

エヴァに乗ってケーキ屋に行こう。みんなの困る顔が目に浮かぶ。

ひとまず第一司令室に行かないとな。

ん?なんか明かりがついてるな?

中に誰かいるのか?

 

「碇司令到着しました」

「父さん!」

「やっときたか碇」

「フン!待ちくたびれたわ」

「何をやっている?」

 

ネルフの職員にパイロット達、冬月までいるじゃないか。

 

「父さんの誕生日パーティーだよ。サプライズでやりたくて。さっきはごめんね」

「問題ない」

「泣いているのか碇」

「問題、……グスッ、ない」

「……父さん。誕生日おめでとう」

「おめでとうございます」

「おめでとうございます」

「おめでとうございます」

「めでたいなあ」

「おめでとさん」

「おめでとう碇」

「まあ、祝ってやるわ。おめでとう」

「おめでとうございます」

「クワックワー!」

「おめでとうございます」

「おめでとうゲンドウ君」

 

そうか、みんな私のために。

レイはいないが。

 

「ありがとう」

 

ネルフ職員にありがとう。

レイに、さようなら。

そして私、碇ゲンドウにおめでとう。

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