ホラー動画を探し隊   作:犬屋小鳥本部

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どこの道?『ドッペルゲンガーへ会いに』⑦

好意を寄せた人の顔。動画の中と同じ口調。そっくり同じの誰かさん。

でもみんな知ってたよ。目の前の人が別人だって。

痛い。苦しい。助けて。助けて。助けは来ない。誰も来ない。痛い。痛い。ごめんなさい。

みんな笑ってたよ。

痛くて悲しくて、それでも嬉しいっていう嘘の思いに心を塗り潰されていた。

 

なんで知ってるかって?

私もその一人だからだよ。

 

アハハ、私、バカだった。他のみんなと同じようにあの通りに足を向けた。危険だってわかってたのに、どうしてもそうしたかった。

そこで見たのは女性が犯される現場。

目があったの。その女性と。

彼女は助けを求めていた。私、恐かった。でも同時に怒りで頭が沸騰しそうだった。相手の顔を見るまでは。

 

好きな人だった。だから判った。それは違う人だって。

その人は、そっくりな人だった。ううん、同じで違った。ドッペルゲンガーよ。

 

私は逃げた。

女性がどうなったのかは、知らない。

薄情だって罵ってくれていいよ。自分がその「女性」になるかもしれない恐怖は女性にしかわかんないだろうね。私には、逃げるしか帰り道はなかった。

 

帰ったすぐ後にメールをした。宛先は本物の田中さん。

震えながらメールをした。内容も確認しないで、送信した。

私たちがしてきた嘘のドッペルゲンガーの話。それが現実になってしまった。その代償として私たちは私たちを差し出してきた。そう、なるのかな。

被害者となった女性たちの人生は狂わされた。こんなんじゃなかったと嘆いたはずよ。でも心の何処かでは歓喜している。田中さんのドッペルゲンガーを本物と置き換えて、自分は彼に愛されたと体に刻んだ。

そうしなきゃそれからの未来を生きていくことなんてできない。痛みを誤魔化して、事実を嘘で隠して、そうでなきゃ私たちは立っていられないの。

 

みんなはそれで終わり。私も恐かったで終わればよかった。

でもこれは「ドッペルゲンガーの話」だった。彼は、本物の田中さんはやって来てしまった。この桜ヶ原に。

田中さんのドッペルゲンガーを見つけに。

ねえ。結末がどうなったのか、わかるでしょ? 自分のドッペルゲンガーと会った人は、死ぬ。

田中さんは、死ぬ。

 

 

 

メールの送信ボタンを押して、布団の中で丸くなりながら怯えていた私は思った。

もしも、本当に、田中さんが、あのドッペルゲンガーと、会ってしまったら。

 

 

 

恐くなった。田中さんが死ぬことが 。

だってね、田中さんの動画配信グループって活動休止していたの。知ってる人は知ってるよ。四人中二人がもうこの世にいないってことを。

私は田中さんを三人目にしたくてこの話をしたんじゃない。もしも会えたらっていう希望を込めて始めたの。

だから怖かった。田中さんを私の、私たちのせいで失うことが。

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