前書きになにを書くかはそのうち決めようと思います。
#2、気ままにお付き合いください。
「ようこそ、花咲川学園へ!」
校門を一歩入ると、上級生だろうか、制服を纏った生徒らしき人がテントの中から挨拶をしてきた。朝早くからお勤めご苦労様ですっと。
にしてもさすが女子校だったところ、女子だらけ。これ男子の人権ないやつでは?
「圭介、あの人混み、なんだ?」
北斗に言われて気付いたが、何やら掲示板の近くにえらい人混みができている。
「知らん、行ってみるか?」
俺らは近くまで行ってみることにした。
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掲示板付近まで行ってみると、クラス分けの紙が張り出されていた。
なるほど、これは確かに大事だ。クラスがわかんなきゃこれから1年間困っちまう。
「北斗〜、お前、何組だった?」
「俺はA組。お前は?」
「おお、同じじゃん、1年間よろしく頼んだ」
「で、冬樹は?」
「自分もA組や。よろしくやで」
全員A組だったようだ。よかった。最悪他が全員女子でも、なんとかやっていけそうだ。
ところで俺の隣にいた女子たちはなんか「いい匂いがする!」とか言いながらひっついてた。女子校(だったところ)怖い。あいつらとは同じ組なのだろうか。
ま、名前がわからないから知りようもないけどね。
一緒の組だったらひっついてた方とはできる限り関わらないようにした方がいいかもしれない。
クラスを確認したのち、新入生は教室まで移動して入学式に出席。
生徒代表挨拶の代表者がサボりで出てこなかったのは北斗と冬樹と一緒に驚いたが、それ以外はつつがなく式も進み、時は流れ、HR。
クラス全員、まずは自己紹介をやろうとのこと。担任の先生から「高校生らしい自己紹介を期待しています」と来たもんだ。高校生らし自己紹介ってなんだよ。知らんわ。まあ、適当に済ませておきますか。
最初に挨拶を済ませたのは北斗。女子校だっただけあって、自己紹介後には周りの女子たちが騒いでたような気がする。名字の50音順で自己紹介が進んでいくから、俺は冬樹の次だ。
冬樹が席についたところで、俺は続けて席をたった。
「西秋 圭介です。3年間海外の学校に通っていて、日本の学校は久しぶりです。皆さんと仲良くしていければと思います。1年間、どうぞよろしく」
まあ、高校生らしい挨拶なんてよくわからねえから、適当にこんなもんでいいだろ。
男子の挨拶はこれで終わり。掲示板の名前を見た限りだと新入生の男子は各クラス3人程度しかいなかった。
自己紹介はここからは女子の番。まずは女子の1番だが……
「あっ、あのっ……、牛込 りみです。よろしくお願いします」
トップバッターは牛込さんっていうのか、多分自己紹介とか苦手なタイプだろうな。
1人目の自己紹介を聴いたら飽きたために、春うららかな校庭を窓越しにのぞいていると、あれよあれよという間に自己紹介は進んでいた。
「次、戸山さん」
「はい!戸山 香澄15歳!……」
おっと、これは事故紹介が始まったぞ……。
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自己紹介が全員終わったのちは、担任の先生から諸注意が話され、それで今日は終了となった。よくよく見ると事故紹介してた奴は掲示板のところで見かけた奴だったことが判明した。
「北斗、昼飯どうする?」
「ん〜俺はどっかで適当に弁当でも食うわ。圭介は?」
「持ってきてねえから購買かなあ今から行って間に合うかどうかはわからないけど。冬樹はどうする?」
「俺は今日は帰って飯を食うことにしてる。……今日練習どうするんや」
今日の練習のことについては全く考えていなかった。なんせ帰ってきたのが久々で、向こうではなかなか楽器を触っている時間もなかったために、正直なところバンド全員で集まって練習できる状況とは思えない。
「各自でいいんじゃね?正直俺も勘を取り戻したいところだし。全員での練習開始は来週あたりからでいいと思うぞ」
「りょーかいっと。そんじゃ、お先」
手早く荷物をまとめて帰っていく冬樹を見送ると、俺は財布を持って購買へと向かった。
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結局購買にはなんにも売ってなかった。
行った時間がおそらく遅かった。今日の俺の昼飯がなくなってしまったことが確定したため、大人しく帰宅することに決めた。そういえば冬樹が持ってたパン屋って、どこにあるのだろう。商店街散策するがてら、ちょっくら探してみるか。
俺の家は商店街の少し外れにある。家の周囲に何があるか位は多少なりとも把握しておかないとまずい。
実際こっちでの生活はほぼ1人暮らしのようなもんだしな。両親も1週間後には向こうに戻っちまうし。
家に荷物を置き、商店街を少しばかり彷徨っていると、たまたま「やまぶきベーカリー」を見つけた。昨日行った羽沢珈琲店のすぐ近くだったのに、どうして気付かなかったんだと自分を呪った。
「ん〜、今日の昼飯はパンでいっか。パンなら食いながら最悪練習できるし。午後は防音室籠って練習になるだろうし」
パン屋のドアを開けると、中から香ばしい小麦の美味しそうな匂いが漂ってきた。
「いらっしゃいませ〜、メロンパン、焼き立てです」
年の近い女の子の店員がこちらを見ると、少しだけ目を大きくして、それから少し微笑んできた。
俺はトレーにフランスパンと焼きたてと言っていたメロンパン、そしてクリームパンを乗っけてレジへ。
「ねえ、キミ、西秋君だよね?」
「そうだけど、なんで?」
「やっぱり。私、同じクラスだったの、覚えてない?」
「あ〜……、うん、覚えてない。自己紹介のときあんまり聴いてなかったから。すまんな」
「山吹 沙綾」
「へ?」
「私の名前。自己紹介聴いてなかったんだから、ちゃんと今伝えておこうって思って」
「そりゃどうも。ところでいくら?」
「400円になります」
「ほい、ありがとさん。それじゃまた学校でな、山吹」
「ありがとうございました」
家の近くのパン屋の娘が同級生だったことに内心驚きが隠せないが、まあ別にそんなに気にする必要もないだろう。
腹が減った俺は、家まで待ちきれず、帰り道で袋を開けてメロンパンを食べてみた。
「あ、すげーうまい」
次から練習前の飯をあそこで買って行こうと決意した圭介だった。
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自宅に戻ると、制服を脱ぎ、早速圭介は自室の隣にある防音室に入る。
「そうか〜、これまでのギターにもう1本追加で買わないとバレるのか、どうしたもんかねえ」
バンド、「Masquerade kiss」の絶対の約束。それは、身バレしないこと。
身バレをするときはメンバー全員の了承を取ってからでなければならないが、全員が全員普通の学校生活を送りたい、有名人として「目立ちたくない」ので、絶対了承なんか取れない。
「というか他のやつら新しい楽器買うのか?」
俺はLAINを開き、彼らに聞いてみた。
「今のままの楽器を使い続けたらそっから身バレする可能性あるけど、お前ら新しい楽器買うの?」
「俺は高校合格祝いで親父に半分出してもらって2本目は持ってる。めっちゃ高かったけど買うの久しぶりだから許してもらえたわ」
「俺も2本目は一応持ってるで。ライブでも使えるくらいのやつ。だから多分心配はいらんやろ」
「あたしはドラムだからいっかなって。会場にあるやつ使えばいいっしょ」
「私は買ってない。ただ最近気になってるブランドのちょっといい感じの子が発売されたから買おうかなって思ってる」
「あ、結局みなさん買うんですね」
「なに、もしかして圭介2本目持ってなかったのか?」
「これまで正直なところどうにかなってたからなあ」
これまでの練習場所では練習場所のギターを貸してもらっていたため問題がなかったのだが、バンドを掛け持つとなると話は別になってくる。
「この機会に買っちゃえばいいじゃん、今のと似たようなやつ」
「……色違いもうポチったわ」
「はや!?」
みんな2本目を持っているとなればもうそれは買うしかないですよね。はい。
まだ会話が続きそうなLAINグループをそっと閉じ、俺は自分の練習に入っていった。
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「このチャキチャキ感やっぱりいいよな」
Marshallのアンプに愛用のギターを繋げて久しぶりにかき鳴らす。
「懐かしい音だけど全く変わってねえなあ、お前のそんなところも好きだぞ」
小学生から愛用していた赤いギターでカッティングなど初歩的なテクニックを試す練習曲で少しだけ遊んだら、オリジナルの曲の練習へ。
〜♪〜♫
ギターソロ部分以外は単調なリフで作られている簡単な曲。
だけどそれは、俺らの仲を紡いでくれた大切な曲。
腕は多少なりとも落ちてはいたものの、なんとか弾きこなせたから来週のバンド練習もなんとかなるだろう。
他の曲も適当に弾いていると、いつの間にか3時間経っていた。
「明日も学校だし、ちょっぴり予習してから寝るか〜」
暇なら次のライブのセトリでも考えてればいいし。
自室に戻り、机に座っていたらいつの間にか意識が薄くなっていった。
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