そのバンド、シャイにつき。   作:acidaq

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文化祭当日です。
1人不在のようですが……。大丈夫でしょうか(原作通りです)。

では、本文を。


#5 少なくとも文化祭の準備自体は地獄

翌日。俺はHRの前、生徒会室にきていた。

「こんにちは、文化祭でライブをするにあたり質問があるのですが、大丈夫ですか」

生徒会室のドアを開けて恐る恐る訊ねてみる。

学年が2つ違う先輩ってほら、怖いじゃん?わかる?

そういえば2年前は女子校だったらしいから、3年生の先輩はみんな女子か……なお怖えじゃねえか。

「おはようございます。生徒会長は朝の風紀チェックで不在ですが、質問なら私が承ります」

なんか水色の髪の毛の先輩だ。確か……氷川先輩って言ったっけ?

「あ、はい。文化祭でバンドをやりたいんですけど、他校の生徒を花咲川に呼ぶことは可能でしょうか」

「そうですね……、生徒会長の許可が降りれば可能です。申請書を提出していただき、その内容を生徒会内で確認、決済という形です。ただ、きちんとした内容であれば許可は下りるかと」

「わかりました。まずは申請書書いて提出しろって話ですね。わかりました。申請書、いただけますか?」

「こちらが申請書です。全てに記入して生徒会室に持ってきてください」

「ありがとうございます。お手数おかけしました」

「いえ、ライブ、楽しみにしています」

「?」

まさかの風紀委員にそんなこと言われるとは思わなかったから、疑問符を浮かべちまった。多分頭の上にも疑問符浮いてるやつだこれ。

「あ、いえ。私もバンドをやっているものでして」

「そうですか、なるほど。確かにそれなら気になりますね。では、記入出来次第、提出します」

もうちょいでHRだし、山吹と各種書類について確認しないとだしな。教室に戻るか。

 

「山吹、今ちょっといいか?」

「ん?あ、西秋くんか。どうしたの?」

「提出する書類について確認してほしいんだが、これで大丈夫か、戸山と一緒に確認してくれるか?まだ決まってないところについては決定し次第、そっちで記入してほしい。仕事を任せちまって申し訳ないが、できるだけやったつもりだ」

「すご……。1日でこれだけ書いたの?大丈夫?」

「雑務は慣れてるもんでな、こんなの朝飯前だ。書いた時間を考えると就寝前だけどな」

小学生時代から主催ライブをやってた力がこんなところで生きるとは思わなかったけどなってのが、正直なところ。

「ありがと。後はこっちで書いておくね」

「ああ、任せた。他にやるべきことはないか?」

「いやいや、西秋君ばかりに仕事を任せるのはよくないって」

「ふ〜ん、ま、何か手伝えることあったら言ってくれよ」

「了解っ、その時はお願いするね」

「あいよ〜」

俺は山吹との用事を済ませると、北斗と冬樹のいる自分の机の方へ向かった。

「さすがケイやな。1日で仕上げるなんて」

「お前らなら普段どれだけ俺がやってるかわかるだろうが」

「それもそうだな。助かってる。で、ライブの件はどうなった?」

「ああ、確認してきた。とりあえず申請書を記入して生徒会内で決済だそうだ。まともな企画ならほぼ問題ないそうだ。一応これから書いて、今日の練習の時にでも確認をとってもらおうと思う」

これまでは1週間に1回の練習だったが、さすがにライブが近い時はそうは言ってられない。これからは毎日練習の日々。まあ、楽しいからいいけど。

じゃあ、他のメンバーは……?

―――

「みんなは毎日いっぱい練習してるけど、大丈夫?楽しくなくない?」

「俺は大丈夫だぞ、千夏。音楽は音を楽しむこと。楽しんでなきゃ、観客も楽しませられない」

「俺も同意見。お前らと過ごしてるともっとギターが上手く弾ける。だから、すごく楽しい」

「自分もや。みんなと一緒に過ごしてる時間が一番好きだぞ」

「あたしも、時々きつくなるけど、みんなでいるのが一番だから。めっちゃ頑張れる」

―――

毎日練習していたあの時のことを思い出して、少し懐かしくなった。

俺らがバンドを組んだのは小学4年生。そっから解散だの仲違いだのがなかったことは半分くらい奇跡だろうな。

きっと今も大丈夫。俺らがみんなの音をちゃんと聞いてれば、俺らは音で繋がれる。俺らにしか、奏でられない音で。

___

学校を終えると、いつものように各自楽器を持ってCircleへ。

「文化祭ライブの申請書、こんな感じでいいか?一応書いてみたから各自で確認してみてくれ」

練習前、俺はメンバーに申請書を見せる。これで参加可否が決まるんだから、この書類はめっちゃ重要。

「ん〜、パッとみた感じ大丈夫だな」

「自分も確認してみたけど、特に問題はないで」

「あたしも大丈夫かな、ありがと、ニッシー」

「私も大丈夫だよ、ケイちゃん」

しばらくの後、全員からOKが出て、晴れて提出できるようになった。

「オッケー、ありがとな。そんじゃ早速始めるか。セトリ通りに一回通して、その後新曲のポイント練習って感じにしよう」

〜♪

___

「ふう〜、大体準備も終わってきたかな」

「そうっぽいな。後やるべきことと言えばシフト調整と最終確認かな」

時は流れて文化祭の前日。結局のところ申請書はOKがでたと氷川先輩から返事があった。生徒会長に提出したはずなのに氷川先輩から返事をもらうとは思ってなかったし、しかも返事をもらった場所がCircleってどういうことよ。

「あれ?香澄は?」

「ポピパで下見じゃね?山吹は行かなくていいのか?」

「あ〜……、あれ、香澄たちが間違って書いちゃってさ、あはは」

「ふ〜ん、そっか。またドラム叩くんかと思ってた」

「……え?どうして……?」

「知り合いから聞いただけ。気にすんな」

山吹がドラムをやってたっていうのは冬樹から聞いた。どうやらあいつ、中学時代から山吹に顔を覚えられるレベルで山吹ベーカリーに通ってた常連で、いろいろ山吹の相談を受けてたらしい。

「もしかして……、冬樹?」

山吹がドラムを叩くか叩かないかについて半分くらいどうでも良くなってシフト表をざっと確認してみると、戸山が働き過ぎなことに気がついた。あいついくら何でも働きすぎ。

「さ〜ね〜?……あ。悪い山吹、戸山呼んできてくれねえ?ちょっとシフト調整する」

「ねえ、私の話聞いてた?……わかった」

「せんきゅ。助かる」

半分くらい諦めた顔だった山吹を俺は見送った。

あいつを助けてやるのは、少なくとも俺の役割じゃない。

「んじゃ、戸山が来るまでシフト調整と明日の搬入の段取り、組んでおきますか」

俺は少し伸びをした後、作業に取り掛かった。

___

 

「え〜、働きすぎかな〜?」

「お前こんなに働いたらライブでキラキラドキドキできねえぞ多分」

「え〜、でも、やりたいことだし……」

山吹が戸山を連れてきてはや10分。ずっとこんな感じだ。

こいつ……、こんなに働きたいなんて正気か?

「ところで戸山。お前ギター歴どのくらいだ?」

「ん〜、1ヶ月?」

「で、ライブの経験は?」

「ん〜、クライブを入れていいなら2回目?」

まあ、なんと言おうとシフトは削って差し上げるんですけど。ライブそんなにやったことない奴がこんなに入ってたら絶対ライブで力尽きる。その道の先輩の言うことを聞け。

「はいシフト組めた。お前のシフトは明日の午前だけだ。後はライブに集中しろ。いいな」

「ええ〜……」

「駄々をこねても聞きません〜。ほら、明日ライブなんだろ?練習練習」

「う〜、ケイくんの意地悪〜」

戸山は泣く泣く去っていった。まあ納得させられたようだしよかった。

「さ〜て、残りのシフトは大丈夫そうだな。ライブのあるやつは戸山と山吹くらいだしな」

「も〜、だから私は出ないって」

山吹を揶揄いながら俺は北斗と冬樹のシフトを調整して、ライブ前に調整できるようにした。

文化祭ライブは、明日だ。

___

「みんな〜、文化祭、成功させるぞ〜!!」

「1A、1A、えいえいやー!」

「そこはオー!じゃないの?」

「まあいいじゃん?」

と、文化祭当日です。すでにやまぶきベーカリーのパンの搬入を終え、後は営業開始を待つのみ。

山吹はどうやら来れなくなったようだが……。ご家族が倒れたならまあしょうがない。俺らで頑張るのみ。

ちなみにやまぶきベーカリーを出すってなったのは牛込さんの案。企画書を書く時はちょっと冷や冷やしたが、無事に通った。さてはここの生徒会、イベントごとの企画に関してはかなりゆるゆるだな?

「さーて、戸山。開店準備だ。みんなに指示出して」

「あ!そうだった!!」

委員長様がこれで本当に大丈夫ですかねえ……。

まあ、俺も精一杯頑張ったし何とかなるだろ。ほんとに久々に地獄を味わった……。

文化祭が幕を開けようとしていた。

 




本当は文化祭を2日構成にしようと思っていたけれど、それはまた後に取っておきます。
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次回更新は未定ですができる限り早く更新します……
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