そのバンド、シャイにつき。   作:acidaq

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主催ライブです。前回に引き続き切りどころが分からず文字数が多くなりました。
では、本編をどうぞ。


#7 紅き舞踏会

文化祭ライブは大成功に終わった。

山吹もまたドラムを叩く決心がついたようだ。なんと言うか、よかったなあとしみじみ感じる。絶対そんなことは言わないけど。

「にしても、まさかあんなにMasquerade kissのことを知ってくれてる人がいるとはなあ」

「そうやな、びっくりした」

時は変わって文化祭終了の2日後。まだ学校は文化祭の空気が冷めやらない感じだが、俺らはとっととそんな空気とはおさらばしなければならない。

「んで、主催ライブまであと1週間ちょいってわけだ」

元々主催ライブもとい活動再開の会は文化祭の2週間後でセッティングしてある。

「そろそろ本番を意識して練習しないとな」

「そうやな、ゲストアクトも決まったわけだしな」

ゲストアクトの選考は文化祭の3日前に済ませた。というかゲストアクトの選考で30バンドも見ることになるとは思わなかったし、何より驚いたのはその中にRoseliaまでいたことだ。もちろん、俺らの主催ライブだから俺らの思った通りに、贔屓目なしに選考したけど。

「んじゃ〜、今日の練習の時に今後の日程詰めるか〜」

『そうだな』

 

授業中は今後の予定を立てるのに腐心していた。顔合わせのリハをはじめ、スタジオとの最終的な打ち合わせの日程決め、ゲネプロ……、本番前の最終準備……。

やらなきゃ行けないことが相変わらず多いんだよな。セトリはもう決めたからいいけど。

う〜ん、だるい。

「……じゃあ、次の問題。西秋くん、お願いします」

大体質問とか問題とかってのはこういう話を聞いてないときとかうとうとしてる時に限って飛んでくるんですよね分かりますよええ。

___

「んじゃ〜練習前に今後の予定を決めます」

「どしたのニッシーそんなに改まって」

「何もそこまで心配することはないでしょしぐれさん」

練習前に大事というか時間のかかりそうなことは済ませておかないとね

「いつも通り、顔合わせの時からライブ衣装で行きます。顔合わせは4日後、当日のライブ会場で行うってことで各バンドと調整をかけてある。ゲネプロは前日。本番の俺らの入りは朝8時から。で、ライブ開始が19:00からで最初はゲストアクトだから出番は大体30分後かなと思ってる。で、なんだっけ?」

「うわでたよ悪い癖」

「そんな自分らに聞かれてもわからんわ」

「次は撤収じゃないの?ケイちゃん」

「お〜、そうだった。千夏ナイス」

長めの文章っていうかなんというかを色々考えながら喋ってるとどうしても途中で忘れちゃうよね。そういうことよくある。うん。

「で、終了は21:00ごろを予定していて、最後に告知があれば告知って感じかな。告知は他のバンドにも一応募ろうと思う。撤収は23:00までに済ませること。まあどんなに見積もっても1時間30くらいがマックスで取れる時間だから結構きついかもしれんが、なんとかなるだろ」

ふい〜、やっと言い終わった。

「で、何か質問のあるやつは?」

『特になし』

「オッケ〜、そんじゃ、いつも通りの分担であとは頼むわ。練習するぞ〜」

最初の話し合いが終わったら、練習を開始。

あ〜、俺のギターがジャキジャキ言ってて気持ちがええんじゃ〜。

「☆チケット情報☆

・出演バンドはRoselia、××(ダブルキッス)と決定しました

・以前の投稿の通り、明日10:00からチケットの販売をはじめます。

・値段は1枚4000円です。取置き分は各バンドにご相談ください。

・一般枠は2400枚用意しております。券種はオールスタンディングです。

・一般枠の他にも、各バンド取置き分が25枚ずつありますので、お問い合わせください。

・整理番号は発券時に抽選されますのでご了承ください。

・ツリーに各バンドの連絡先を投稿しますので、適宜ご参照ください。

それでは来る日の晩、皆様にお会いできることを楽しみにしています」

___

んで、今日は顔合わせの日だ。顔合わせと言ってもそんなに時間はかからない。こちらからある程度注意事項を説明して終わり。

「Roseliaです、よろしくお願いします」

「××です、同じくよろしくお願いいたします」

「Masquerade kissです、どうぞよろしくお願いします。それでは今日の顔合わせを始めます」

注意事項を話し始める。今回はカンペもとい原稿を用意してきたから内容を失念することはない。

Roseliaに氷川先輩いるから少しやりにくいんだよな。まあ身バレはしないだろうけど。

「……以上です。何か質問のある方はいらっしゃいますか」

「ちょっといいですか?」

「はい、どうぞ」

「はい。あ、Roseliaのベース、今井って言います。あの、もし各バンドの取置き分が売れ残った場合はどうすればいいですか?」

流石にリサ先輩もいつもと口調が違うか。

「ありがとうございます。売れのこりについてはこちらで後ほど処理するので問題ありません。当日販売にしても問題ないはずですので。他に質問はありませんか?」

周りを見渡したが、特に質問がある様子ではなかったので、今日の顔合わせは終わりだ。

「それでは本日は以上です。次回のゲネプロ、よろしくお願いします」

『はい』

___

ゲネプロもいつの間にか終わり、今日は本番当日。結局事前販売分のチケットは売れ残ることはなかったが、当日分にチケットを150枚ほど用意してある。

どのバンドの取置き分も売れたというのだからちょっとびっくりした。

「全員、準備はできたか?」

「あたしは大丈夫」

「俺も」

「自分も」

「私も」

「よし、大丈夫そうだな。それじゃ、思いっきり今日は楽しんでいこうな」

時は15時。久々の主催ライブのスタート。

 

ゲストアクトのバンドをそれぞれの控え室に案内したり、会場の最終的なセッティングを確認しているうちにいつの間にか18:00になっていた。

会場外には結構人が集まっている。当日券の列を見る限り、全部チケはハケそうだな。

俺は列に出ると、ライブ用に中性的な声を作って声高らかに宣言した。

「それでは今から開場並びに当日券の販売を始めます。今回は当日券は150枚です。現在並んでいただいている方で締切となります。では、会場へとお入りください」

上からパッと数えてみたけど並んでる人は150人ちょい。ちょっと無理言って入れてもらおう。キャパ的に入るしいけるいける。会場側にもそう言ってあるしね。

ライブまではあと1時間。もうすぐだ。

___

「出演者の皆さん、本日のために時間を割いていただきありがとうございます」

開演前の出演者挨拶は北斗。俺はもう挨拶するの疲れたからな。

「皆さんの実力を出し切れば、必ずや成功します。それでは、気合を入れて、最高のライブにしましょう」

『はい!!!』

「××さん、準備お願いします」

ちょうどスタッフさんからお呼び出し。ゲストアクトが始まる。けど、その前にちょっと挨拶。

「皆さんどうもこんばんは。そして、お久しぶりです。今回はMasquerade kiss再開の会に集まっていただき、心より感謝申し上げます。我々は今日からバンド活動を再開します。今日はゲストアクトからですが、我々が選考したバンド、実力は折り紙つきです。どうぞ楽しんでいただければ幸いです。では、最初のバンドの出演です。どうぞ」

さっき挨拶は疲れたと言ったな。あれは嘘だ(いや、実際疲れてはいるけど)。

まあこれで開幕には十分だろう。思いっくりふるわせてくれよ。

___

ゲストアクトの2バンドが終わり、ついに俺らのバンドの出番。失敗はできない。主催だしね、当たり前当たり前。

「やっば、緊張してきた。死ぬかも」

「自分もわりとやばいわ。死ぬ」

「いっつもお前ら大げさすぎ!ほら、行くよ!」

「私も頑張るから、みんなの頑張ろう?ね?」

「良心は千夏だけだったな。しゃきっとして行こうぜ。円陣、組むぞ」

サッと全員が肩に手を回し、五角形の円陣を組む。

「この感じも久しぶりだな。んじゃ今日は冬樹、頼む」

「了解。行くぞ!」

『おう!』

「ゲストアクトが盛り上げてくれたところで、次は我々、Masquerade kissです。まずは久しぶりなのでメンバー紹介からいきましょう。紅いPRSを持つのは我らがリードギター、『春』」

北斗が紹介に合わせて軽くフレーズを弾く。

我らが身バレ防止手段=ライブ衣装で仮面をつける+メンバーそれぞれをコードネームというか芸名で呼ぶ。そして俺は中性的な声を頑張って出す。

声変わりが完了したからちょっと感覚が違う感じだったが、普通に出せるようになってて一安心した。

今のところばれてないから身バレ防止は結構機能してるはず。

「続いて、ベース、Taka」

「ドラム、ミナミ」

「キーボード、中華」

それぞれ冬樹、しぐれ、千夏の名前。千夏のは……名前をローマ字にしたらChinaって出てきたから中華になった。それぞれが軽くフレーズを奏でたら、最後は俺。

「最後に我らがボーカル&ギター、Kei!」

ん〜、悩んだけどてきと〜にシャウトでもしとくか。今日の声の調子もOKっと。

「盛り上がってるようで何よりです。ゲストアクトの方々に感謝しております。それでは早速一曲目。この曲から始めます。『Liebe dich』」

一時期英語以外の曲名をつけようキャンペーンを行っていた時期に作った曲だ。

バラード調でそんなに難易度も高くない。しっとりと歌い上げるかつ声出しに選んだ曲だ。

「良い感じにあったまってきてますね、皆様。3年ぶりに会う方、どのくらいいますか?」

一曲目が終わり、軽くMC。3年前はギリギリ小学生だったからな、その頃から追っかけてくれてる人たちは今は大学生とかになってるのか?

フロアの反応を見ると、結構多いのな。3年前も来てくれた人。

「みんなに会えて嬉しいよ〜、ありがと☆」

「んじゃ、自分初めてだよ〜って人、どのくらいいますか〜?」

俺に続きしぐれと冬樹が質問する。おっと、ステージ上ではTakaとミナミ、だったな。

「初めての人も多いみたいですね、ありがたいです」

「んじゃKei、そろそろ次の曲でもいきますか?」

「そうですね。次の曲は、3年ぶりの人は懐かしのあの曲です。聞いてください、『ひとりごちて』」

___

「次で最後の演目となりました。皆さんと過ごす時間はあっという間に過ぎ去ってしまうといつも思ってます。さて、最後は、最近コピーされることも増えてきたような気もするこの曲です。どうぞ」

最後の曲は文化祭でwerewolfの方でも演奏した『仮面』。このバンドの中心的な曲だ。

最後の1音が鳴り止むと、次の瞬間、俺らは破れんばかりの拍手に包まれた。

3年ぶりの主催ライブは、大成功のうちに終わった。

 




これ以上オリジナルバンドを増やすとよく分からなくなるので××についてはバンド名だけ考えました。

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