自分の作風になっているか不安ですが、とりあえず本文をどうぞ。
P.S.評価をいただきました。ありがとうございました。
主催ライブから1週間が過ぎ去った。今回ご来場いただいたゲストの数は2625人。満員御礼。チケットは完全に売り切った。
というか3年ぶりでこれだけ集まるなんて相当やばくね?俺らってすげえ(他人事)。
で、文化祭でライブをやってからやたらと香澄に絡まれるようになった。というかおたえからもやたらと絡まれるようになった。主催ライブの準備が忙しかったからのらりくらりと逃げていたが、とうとうそのライブも終わり逃げる理由も無くなってしまった。もちろん、主催ライブをするなんて一言もこいつらには言ってないけどな。
「う〜、難しいよ〜……おたえ〜」
「ここはね、こんな感じで……」
「こいつらどこでもギター弾いてるのかよ山吹」
「あはは……いつも、かな?」
時は昼休み。香澄に北斗と冬樹共々連行され、ポピパのメンバーと一緒に中庭で昼食をとっていた。
にしても、久しぶりのなんも追われるもののない日常ってやっぱり平和。いいぞ、この日常ずっと続け。
「ところで私のことは名前で呼ばないの?西秋くん」
なんか急に爆弾降ってきたような気がするんですけど気のせいですかね。
「ん〜?別にそっちが嫌じゃなければ名前で呼んでも良いけど」
「じゃあ〜……、お互い名前呼びにする?」
「良いんじゃね?沙綾」
「わかった、圭介。……う〜ん、ちょっとなんか変な感じする」
「これまで名字呼びだったんだからそりゃそうだろ。あ、北斗その卵焼きくれよ。ウインナーやるからさ」
「良いぞ、持っていけ」
北斗の家の卵焼きは俺の好みの味だ。昔遊びに行ってた時にどういうわけか北斗のお母さんに胃袋を掴まれた。それ以来毎回弁当から一品もらっている。
「私も〜、ケイのハンバーグもらうんだ〜」
「は?いつの間にいたんだおたえ。じゃあ俺もお前からミートボール奪いとるわ」
「ところでここのフレーズ、ケイだったらどうに弾く?」
「なんでおたえはおかず奪いつつ飯食いながらギター弾いてんだよ器用だな」
と、ポピパの日常に巻き込まれることになってしまった。
おたえの追撃をなんとか受け流しながら遠くの会話に俺は聞き耳を立てていた。
ところで地の文までおたえになってるのは、こいつに追撃を食らうから。
花園「おたえ」、やっぱりエスパーだろこいつ。
「でさ〜、この前のMasquerade kissのライブなんだけどさ〜」
「あ〜、ヤバかったよね!あれ3年ぶりなんでしょ?すごかったよね〜」
「うん!ボーカルもCDみたいな声だったし感動した〜……は〜、また行きたい」
あいつら、同じクラスのやつじゃんか。これ身バレしたらますますやばいやつじゃんか。
「そういえばなんだけど、1週間前のライブ、すごかったね、おたえちゃん」
「うん、すごかった!震えた!」
「ん?なんだ?お前らライブやったのか?熱心なもんだな」
「違うよケイくん!見に行ったんだよ?」
「いやいや、言わないと流石に西秋くんわかんないだろ香澄」
「で、どんなバンドのライブ、見に行ったんや?」
「なんだっけ〜?りみりん〜……」
「え〜っと、確か『Masquerade kiss』だよ?」
「そう!それ」
こいつらも見にきてたのか。ちょっとびっくり。
「よくチケット手に入ったな。あれ、すぐ完売したんだろ?」
「Roselia分のチケットもらったんだ〜、『私たちもゲストアクトで出演するから時間があれば』って、友希那先輩がくれた!」
「おい、ちゃんとうちら買っただろ?」
「そうだっけ?」
『あはは……』
沙綾と市ヶ谷さん、その気持ちはよくわかるよ。こいつの相手は大変だよな。
「で、震えたってなんだ?」
北斗が話を元に戻す。もうこいつ食い終わってんじゃん、早いな。
「うん!なんかこう、すごくて、キラキラ〜って感じ」
「はいはい」
「なんか難しいこと言ってるけど言ってること中身ないじゃねえか」
「でも、すごかった!ベースの音も、ギターも!」
「あのドラム、音圧すごかったな」
「キーボードも、ヤバかった」
「ちなみにあのドラムとキーボード、女の子らしいぞ〜」
少しだけ驚いたような顔で北斗と冬樹がこちらを見ている。
『え!?嘘でしょ!?』
お〜、やっぱり食いつきいいな〜。実際あいつらの楽器の腕はすごいからな〜。繊細さを含んだ力強さってのは俺には100年経っても出せる気がしねえ。
「ってか、なんで圭介が知ってるの?メンバーの情報って秘密じゃない?」
「ん〜、昔から俺もファンだったしな〜、噂程度だよ、噂」
「だからお前ら文化祭でカバーしたのか。なるほどな」
「まあね〜、同じく噂の域を出ないけど同年代らしいし、あれだけ上手ければな」
「同年代かあ……」
まあ、このくらいは問題ないだろ。こいつら半分くらい頭の中お花畑のようなもんだし(失礼)。
少しだけ沈黙が流れた後、冬樹が荷物をまとめ始めた。
「自分、そろそろ戻るわ。沙綾、パンありがとな」
「冬樹こそ、いつもありがと」
「なんでお前戻るんだ?なんかあったっけ?」
「ん〜、特に理由はないんやけど。なんとなく?」
「疑問形で言うな冬樹。じゃ、また次の時間に」
で、食い終わってないのがギターを弾きながら飯を食ってる香澄とおたえ、と。
なんかちょっとしたリサイタルを見ている気分だ。
「にしても、なんでそんなにめちゃくちゃギター弾いてるんだ?なんかライブでもあるのか?」
「オーディション、受けるんだ〜」
「ほ〜、どこの?」
「SPACE!」
「ほう、あそこのオーディション受けるんか、頑張れよ、都築さん厳しいから」
「都築さんって、誰?」
「オーナーのこと。オーディション通ったら教えてくれればライブ、見にいくぞ」
「任せて!」
「んで、おたえと香澄は早く昼飯食わないと昼休み終わるぞ〜」
『あ……』
いや気付いてなかったんか〜い。
___
「んで、ポピパに私たちが何者かに繋がるヒントを流した、と」
「おっしゃる通りでございますが言い訳させてください」
『聞いてあげる』
ところ変わってCircle。冬樹が昼休みに早く帰った理由は密告するためだったらしい。あいつ許さない。
「え〜っと、そこまで確信に迫るようなことは吐いてないですし、噂ということを強調しておいたので特に身バレはないかと……」
「え、自分的にはあれだけの情報持ってたらワンチャン沙綾気付くと思うねんけどな〜」
「はい、死刑」
「しぐれ様それだけはお許しをうぎゃっ」
その日以降、圭介の姿を見たものは誰もいなかった。
――
「この辺で遊びは置いておこう?ね?」
「え〜、まあ、ちなったんがそう言うならいいか」
唯一残された良心がこちらに微笑んでくれた……。千夏いいこ。
いや、嘘。これ千夏も怒ってるパターンだ。目が笑ってない。
「……ケイちゃん?」
「はい」
「次はないよ?」
「……気をつけます。はい。ちゃんと許可取ってからにします」
「よろしい。練習、しよっか?」
普段怒らない人間ほど怖いってのはわかってたはずなんだけどなあ(遠い目)
___
「オーディション?」
「ああ、俺らも受けられるなら受けてみないか?」
休憩中。俺はメンバーに今日の昼休みにあったことを洗いざらい話すことになった。で、ふとポピパがオーディションを受けるって話を思い出して話しているうちに、俺らも受けたいって気持ちが増えてきた。
「SPACEか、まあ、いいんやない?ポピパも受けるっぽいしな」
「そうするか。でもあそこガールズバンドの聖地だったよな?俺ら受けられるのか?」
「ん〜、わからん。とりあえず今から行ってみるか?どうせライブ今日もやってんだろ?」
「おたえに聞いたらやってるっぽいぞ、圭介。練習後、いくか?」
「ナイス北斗。行こうぜ」
「じゃあ〜、今日のチケ代ニッシーの奢りで!ありがと〜☆本番のオーディションみたいに練習しないとね〜」
「うん、私もいいと思う。頑張ろう?」
最後の最後でえげつねえなしぐれ。
___
『と〜ちゃ〜く!!!』
「あ〜、ここか〜」
思い出した。SPACE俺ら来たことあるわ。小学生時代ライブしてた。なんなら今の今まで忘れてたけど。
「にしても、昔はオーディションなんてしてなかったけどな。俺らは全力でやりすぎてぶっ倒れてたっけ」
「そういえばそうかも、ケイちゃん、いつも本当にすごかったよね」
「あの時はバンド名を隠すなんてこと考えてなかったからな」
『確かに』
SPACEの前で昔のことを思い出し、輪になって笑っていると、中から懐かしい顔が出てきた。
「騒がしいね。なんだい?……お前ら、来たね」
『お久しぶりです、オーナー』
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