人間と人形の幻想演舞 作:天衣
形式を意識して文章を一部変えたりしてみました。
多分、今出している全話(序章~17章)そうします。ご了承ください。
人形のなくした物を探す鏡介。
しかし、一向に見つからない。かれこれ十分くらい探しているのだが、見つかる気配がない。
「困ったな…。こういう時に専用の道具があれば…」
ポケ〇ンでは、ダウジングロッドというアイテムで探すことが出来るが、生憎そんなものは持っていない。
「……ん?ダウジングロッド?……」
何かが引っかかる。
「あ!そうだ、あのネズミの人形!」
そう、先ほどバトルをした時に見た人形、ナズーリンである。
「スカウターにも探し物が得意ってあったし、きっとあの子がいれば解決だ!」
「…でも捕まえられないんだよなぁ…はぁ」
希望が見えたが、自分の置かれている現実を見て落胆する。
封印の糸は未だに買えていないのだ。
「…こうなったら…」
一の道の道中
「…なるほど、探し物か。いいぜ!俺のナズーリン人形の手を貸してやるよ」
「本当ですかっ!?ありがとうございますっ!えっと…」
「浩一(こういち)だ」
「はい!では浩一さん、早速ですが付いて来て貰えますか?」
「おうよ!」
先ほど人形バトルをした男性、浩一の手を借りることが出来た。
この人が持ってるナズーリン人形なら、なくした物を見つかるだろう。
「あ、そういえばバトルしたばかりだから、浩一さんのナズーリン人形も一回休憩所に行くべきですよね…」
自分でやっておいてこう言うのもなんだが、流石にボロボロの人形に手伝ってもらうのも気が引ける。
「ん?あぁ、その心配はいらないぜ。さっき人形に藤原煎餅(ふじわらせんべい)を食べさせたらスッカリ元気になった」
「藤原煎餅?」
「知らないのか?人形を回復できるアイテムだよ。その先の休憩所にある『甘味処(かんみどころ)』に売ってるぞ」
「へぇ…(なるほど、キズぐすりみたいなものか)。」
貴重な情報をくれた。後で買っておこう。
「あ、ここです。そこに人形がいるでしょう?あの子のなくした物を見つけて欲しいんです」
「ん?あの人形か…って!?」
浩一は人形の姿を見て驚く。
「…おいおい。まさか、こんなところで拝めるとはな」
「?えっと、どうしました?」
浩一の表情が変わる。
大森の時もだったが急に変わるとちょっと怖いからやめて欲しい。
「あいつの名前はしんみょうまる。ここらではめったに姿を現さない人形だって有名なんだぜ?」
「え?そうなんですか?」
どうやらしんみょうまる人形は、いってしまえばレアな存在らしい。
成程、それでこの反応なんだなと納得する。
「俺もこいつを求めて彼是二日探したことがあったが、一度も現れなかった。あんた、相当運がいいよ…」
「(^^;)」
しんみょうまると呼ばれた人形は、浩一の清々しいくらいの敗北顔を見てどうしたらいいか困っている。
本人に自覚はないようだ。
「…まぁとりあえず、この人形のなくした物を探せばいいんだな?出てこい! ナズーリン!」
宝石が光ると、ナズーリン人形が出てくる。
「ナズーリン。今回はバトルお預けだ。こいつがお前に物を探してほしいんだってさ。頼めるか?」
ナズーリン人形は静かに頷くと、しんみょうまる人形に近づき会話を始める。
何を言ってるのかはわからないが、特徴などを聞いているのだろう。
ナズーリン人形は手に持ってるダウジングロッドを垂直に持つとする目を閉じて集中する。始めるみたいだ。
すると勢いよくダウジングロッドが動いた。それは北西に向いている。
ナズーリン人形はその方向へ歩く。
するとその先には、何やら樽が置かれていた。更に近づいていくと、ダウジングロッドが見る見る開いていく。
どうやらこの樽に反応しているようだ。
「なるほど。道理で回りにはない訳だ」
「ナズーリン、お手柄だ!」
「b」
ナズーリン人形は誇らしげに親指を立てる。
「中に入っているのかな?ちょっと探してみます」
そういって樽の中に片手を入れて探る。すると突然、
「…ッ!?いっったぁっ!!?」
何か噛まれたような痛みが走った。急いで手を振り回す。
「痛い痛い痛い!!」
必死な抵抗の末、何とか離すことは出来た。急いで樽から手を抜く。
「ったー…。な、中に何かいますよ」
「おいおい大丈夫か?」
「はい、何とか」
腕を見ると、綺麗な歯形が付いていた。
歯の形を見るに動物のような感じではない。人に近いような?
「それより、樽に何かいたのは確かです。もしかして中にいるやつが盗んだ犯人かも」
「だとしたら厄介だな。樽を攻撃したら盗まれたものを壊してしまう恐れがあるし…。」
「「うーーん…。」」
しばらく考えた末にひとつ作戦を思い付く。
「…樽をひっくり返して、そーっと持ち上げてみますか?」
「おーなるほど、いい考えだ。やってみるか!」
思い付いた作戦を実行してみる。二人で樽を囲んで持ち上げ、
「よし行くぞ! せーっ」
「のっ!」
ひっくり返した。それなりの重さだったので腕が痛い。
二人は樽から離れて様子を窺う。
「さてどうだ?」
「…妙ですね…音がしなかったですよ」
普通は中に物があると重力で下に落ちる筈。どうなってるのだろう?
そう思ったその瞬間、不思議なことが起こった。
「「 えっ 」」
何と樽が空中でひっくり返り、元に戻ったのだ。
「な…!?」
「一体どうなって…!?」
すると樽から何かが飛び出す。
「(# ゚Д゚)」
「…人形!?」
「で、出やがった!」
樽の中にいたのは何と人形だった。見るからに怒っている。
「…!あんたの予想が当たってたみたいだぜ!あいつの手元を見ろ!」
「え?…あ!」
人形の手には金色の小さな木槌があった。
しんみょうまる人形が描いた絵にそっくりだ。間違いない。
人形は白と黒と赤の髪で、頭に小さな角が生えている。
そして至る所ところに矢印が付いた服を着ていた。
スカウターで確認する。
『名前:せいじゃ 種族:妖怪 説明:色んなものをひっくりかえす。』
「せいじゃ…か。まさか人形と遭遇するなんて…。ユキを預けているのにどうしよう…」
人形とバトルするとは思っておらず、何も出来ない。
「何だそうなのか?なら俺に任せろ!サクッとやっつけてやる!」
「…すみません。お願いします」
浩一はせいじゃ人形の前に立つ。この人がいてくれて助かった。
「そこの人形!俺が相手になるぜ! ナズーリン! 陰の気力だ!」
ナズーリン人形は赤い弾幕を放つ。
しかし、せいじゃ人形はこれを軽々とかわす。
「…結構素早いな」
向こうの反撃が来る。
せいじゃ人形は後ろを向き、そこから首を斜めに曲げ口からベロを出しポーズをとるとそこから紫の煙を出した。
煙はナズーリン人形を襲うが、何ともなさそうだった。
「へへっ、残念。鋼タイプに毒技はきかないぜ」
「おお…すごい」
毒に完全耐性だったナズーリンはピンピンしていた。
「とっておきの攻撃を見せてやる!ナズーリン! 虎視眈々(こしたんたん)!」
ナズーリン人形は指示を受けると、せいじゃ人形を鋭く睨みつけた。
「ッ!」
せいじゃ人形は思わずビビってしまう。
「そこから 陰の気力だ!」
ナズーリン人形は赤い弾幕を放った。
「え?また避けられちゃうんじゃ…」
「まぁ見てろよ」
赤い弾幕はせいじゃ人形を襲うが、またかわされてしまった。
しかし赤い弾幕はそのまま真っすぐ飛ばずに、方向転換する。そして、
「ーーーッ!?」
弾幕は見事に命中した。せいじゃ人形は目を回して気絶している。
「い、一体何が…?」
何が起こったのかわからず、浩一に尋ねる。
「今ナズーリンが使った虎視眈々の効果だ。あれを使った後に技を出すと、技が必ず命中するのさ」
「(。-`ω-)」
ナズーリン人形は腕を組み、ドヤ顔を決めている。なるほど、ロックオンしたのか。
「それより小槌を取り返さないと」
「あ、そうだった!…起きないでねー…」
鏡介はそっと人形に近づき、せいじゃ人形から小槌を回収する。
「よし、取り返した!」
「やったな!」
「何もかも浩一さんのおかげです!ありが…」
そう言いかけた瞬間、眩暈がした。…思ってるより疲れていたのだろうか。
「だ、大丈夫か!?」
「あ…すみません。ちょっと疲れが溜まっちゃってたみたいです。…これをしんみょうまるに返してあげないと」
そう言ってしんみょうまる人形に小槌を返す。
「!!」
すごく感謝をしているようだ。顔もすっかり元気を取り戻していた。
良かった良かった。
「もう取られないようにね?」
しんみょうまる人形は元気よく頷く。
「うん。いい子だね…ッ……うっ……」
…何だ?体が熱い。すごくだるくて…眩暈もひどい。顔も真っ青だ。
「はぁ………はぁ………ッ…」
そして、
「ッ!?」
倒れてしまった。段々と意識が遠のいていく。
「(……体が……思うように動かない……なんだ…これ?僕は…死んでしまうのか?…)」
「ーッ!ー-ッ!」
「ーーい!ーーーーしろ!」
浩一(こういち)はゲーム内で魔理沙を除いて最初に戦うとこになる人形使いです。
故に出番を与えたかった!