人間と人形の幻想演舞 作:天衣
形式を意識して文章を一部変えたりしてみました。
多分、今出している全話(序章~17章)そうします。ご了承ください。
「……ううん?」
目が覚めると部屋の中にいた。
「ここは…休憩所?」
自分はどうやら気を失ったらしい。誰かがここまで運んでくれたみたいだ。
すると隣から女性の声がした。
「あら、良かった。気が付いたんですね」
「あ、はい…。えっと、僕は一体…」
事の経緯を待娘に尋ねる。
「あなたは人形から毒を受けてしまって、命の危機に陥っていたんですよ」
「え…」
毒を?そんなのいつどこで?…あ、そういえば噛まれたんだっけ。
「命蓮寺印の命蓮茶を飲んでいなかったらどうなっていたか…。結構危ない状態だったんですよ?」
「…そうだったんですか。ありがとうございます」
そうか、あの人形は毒タイプだったんだな…
まさか、人生で毒を体に受けてしまうとは…正直死ぬかと思った。
「そうそう、あなたの人形。もう回復は済みましたよ。ほら、すぐそこに」
「(^-^)」
ユキ人形は鏡介の真横に座っていた。
「おかえり、ユキ。突然こんなことになっててビックリしたよな。ごめんよ」
そう言ってユキ人形の頭を軽く撫でる。
「♪~」
「…そうだ!あの、浩一さんはまだいますか?色々とお礼を言いたいんですけど…」
「浩一さんでしたら、外であなたを待ってるはずですよ」
あの人には散々お世話になった。一言でもちゃんとお礼を言わないと。
「そうですか、わかりました。もう体は大丈夫そうなので会いに行ってきます。ありがとうございました!ユキ、行こう」
「お気をつけて!」
ユキ人形を定位置に乗せ、休憩所を後にする。
辺りを見回すと、
「あ、いた。浩一さーん!」
「ん?おぉ!あんたか!良かった無事だったんだな!」
待娘が言っていた通り、外の長椅子に座って待ってくれていた。
「この度は本当にお世話になりました。
無茶なお願いだったにもかかわらず、付き合ってくれて本当にありがとうございます…!」
「いいってことよ!困ったときはお互い様さ!俺にとってもいい経験になったしな。…それに、ほれ」
そう言って浩一は下に指を差す。
そこには椅子の下に座り込んでるしんみょうまる人形の姿があった。
「あ、この子…」
「ずっとお前が来るのを待ってたみたいだぞ?」
「…!」
来たことに気付いたしんみょうまる人形は、テクテクと近づいてくる。
鏡介はしゃがみ込み、顔を合わせる。
「お見舞いに来てくれたのか?何だか心配かけちゃったな。でも、もう大丈夫だよ」
「(^-^)」
やさしい人形のようだ。こうして待っててくれてたなんて。ホッコリしていると、
「あいたっ」
ユキに頭を叩かれる。
また野生の人形と気軽に接しようとしているのでお怒りなのだろう。
「ユキ。この子は大丈夫だよ」
「……」
それを聞いたユキは、不満そうにしながらも大人しくなる。
すると、しんみょうまる人形は真っすぐこちらを向き、何か言いたげにしている。
「えっと、どうしたんだろう?」
「……もしかして一緒に行きたいんじゃないか?」
浩一がそう推察する。
「…一緒に来るか?」
「!」
それを聞いたしんみょうまる人形は嬉しそうに頷く。
「…そうか。うん、一緒に行こう!よろしくな、しんみょうまる!」
しんみょうまる人形を腕に抱えた。
「♪~」
「…俺も本当はそのしんみょうまる人形欲しいけどよ、流石にそんなの見せられちゃあな。今回は見過ごすことにするぜ」
「アハハ…その…頑張って下さいね」
この人にいつか良い巡り合わせが来るよう願う。
「頑張れよ。えっと…そういやずっと名前聞いてなかったな」
「あ、これは失礼しました。僕は舞島 鏡介(まいじま きょうすけ)といいます」
そういえば名乗りもせずに頼み込んでしまっていた。
そのくらい必死になってたのかな…。
「鏡介、か。いい名前だな!困ったときはいつでも呼んでくれ!力になるぜ!これも何かの縁だ」
「はい!ありがとうございました!」
浩一と別れ際の挨拶を交わした鏡介は、新たなる仲間と共に先に進むのだった。