人間と人形の幻想演舞   作:天衣

12 / 163
ーー追記ーー
形式を意識して文章を一部変えたりしてみました。
多分、今出している全話(序章~17章)そうします。ご了承ください。


第十章

休憩所を後にし、次の目的地である人里に向けて進む鏡介と人形御一行。

 

「♪~]

 

「…!」

 

ユキ人形は首に股がった状態で楽しそうに足をプラプラと動かし、

しんみょうまる人形は物珍しそうにあたりを見回している。

 

それを見て鏡介は、

 

「(あぁ…、癒される…)」

 

ニヤけ顔になってホッコリしていた。

 

…決してロリコンなどではなく、単に小動物のような癒しキャラとして鏡介は認識している。

 

今二人の人形を担いでいるが、この子達は驚くほど軽い。

それこそこっちの世界の人形ぐらいの重さだ。全然苦にならない。

こんな素晴らしい人形を作った人は間違いなく天才だ、尊敬する。「いいね!」 を何回でも押したい。

 

「…まぁ、この世界にSNSとかインスタなんてないよね。ははっ」

 

一人でそんなことを言っていると、

 

「おいお前!」

 

川の前にいた少年に話しかけられた。…これはもしかして、

 

「人形を待ってるってことは人形使いだな!俺の人形と勝負だ!」

 

 

…ですよねー

 

 

 

ワルガキ おさむが 勝負を仕掛けてきた!

 

 

 

「行け! ちぇん!」

 

こんな子供も人形を持ってるとは思わなかった。

もうちょっとこの和やかな時間を過ごしたかったが、仕方ない。

 

「よし、初陣だ! 行け! しんみょうまる!」

 

そう言ってしんみょうまる人形を地面に降ろす。

 

相手の人形は、猫耳を付けて赤い服を着た中華風な子だった。

猫の尻尾もあるが、二又になっている。やはり妖怪なのか?

 

スカウターで確認する。

 

 

『名前:ちぇん  種族:妖怪  説明:八雲 藍の式神』

 

 

「(八雲って…そうか。あの夢に出た人の苗字!家族なのかな?こんなのもいるんだ)」

 

スカウターの内容を見ていると、

 

「ちぇん! 陽の気力!」

 

「おっと…!」

 

相手が先に仕掛けてくる。

しんみょうまる人形が覚えている技をスカウターで確認しながら

 

「しんみょうまる! 陰の気力だ!」

 

攻撃の指示を出す。

 

指示を受けると、しんみょうまる人形は持っている小槌をかざして赤い弾幕を放つ。

赤の弾幕と青の弾幕はぶつかり合い、火花を散らす。そして、ぶつかり合った中で残った弾幕が飛んできて、

 

「「ッ!」」

 

お互いに数発被弾した。勝負は互角といったところか。

 

「もう一度だ! 陽の気力!」

 

「こっちももう一度 陰の気力!」

 

赤と青の弾幕がまたぶつかり合う。しかし今度は青の弾幕が劣勢だった。

しんみょうまる人形の弾幕がうまく青の弾幕を打ち消し、ちぇん人形を襲った。

 

「――ッ!」

 

ちぇん人形はまともに食らい、吹き飛ばされる。

 

「あぁ!?」

 

「いいぞ!」

 

ちぇん人形はまだ空中にいる。結構な高さだ。

ちょっとやりすぎかもしれない。

 

…ん?あの下って…川?

 

「「 あっ… 」」

 

当然、ちぇん人形はその川に真っ逆さまに落下する。

 

 

 

「「 ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!? 」」

 

 

 

「ガボゴボゴボボガボガボッ!!

 

まさかのアクシデント発生。

近くに川があったばかりに、ちぇん人形をそこに落としてしまった。

 

ちぇん人形はかなづちなのか、溺れているようだ。

すごく可哀そうだった。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 

「ご、ごめん!悪気はなかったんだ!」

 

「あぁ…早く助けないと!あの子水が苦手なんだ!バトルは一旦中止!」

 

男の子は相当慌てている。

どうやらもうバトルどころではない。急いで助けなければ!

 

「僕が助けてくるよ!ユキ!ここで待ってて!」

 

そう言って鏡介は荷物とユキ人形を置いて川に飛び込んだ。

 

「(((;゚Д゚)))」 

 

しんみょうまる人形はやってしまったという顔をし、それをユキ人形が宥める。

しんみょうまる人形にとって苦い思い出となってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、何やかんやでちぇん人形を助け出した。

 

「ごめんね?まさかこんなことになるなんて…」

 

「いや、いいよ。こっちも場所選ぶべきだったし。ちぇん、大丈夫か?」

 

「キュー…」 

 

ちぇん人形はかなり弱った様子で、もう戦うことが出来そうにない。

 

「俺はこの子を休憩所に連れてくよ。ありがとう兄さん。この子助けてくれて。」

 

「ううん、元々はこっちの責任だから。気にしないで」

 

少年はちぇん人形を宝石に戻すと、手を振りながら休憩所に向かっていった。

こちらも手を振り、やがて少年が見えなくなった。

 

「……寒っ!!」

 

当然だった。何せ川に飛び込んだのだから。

ふと、しんみょうまる人形の方を向くと、

 

「(´・ω・`)」 

 

かなり落ち込んでいた。罪悪感があるのだろう。

鏡介は、しゃがみ込んで励ます。

 

「まぁそんなこともあるさ。しんみょうまるは何も悪くないよ。僕の配慮が足りなかったんだから。ね?だから元気出して」

 

しんみょうまる人形は小さく頷く。良かった。あんまり落ち込んでるとこっちも参ってしまうからね。

 

「…そういえばユキはどこに?」

 

置いてきた場所に荷物はあったが、ユキ人形の姿がなかった。

どこに行ってしまったのだろう。

 

すると道の外れから何か音がする。何か地面を引きずっているような音が。

 

「…ッ…ッ」

 

ユキ人形が木の枝を探して一か所にまとめている姿が見えた。

 

「ユキ?何やってるんだ?」

 

「…!」

 

ユキ人形は集まった木の枝を燃やして、小さな焚火を作った。

炎タイプの知恵といったところだろうか。

 

「…まさか、温める為にわざわざ作ってくれたのか?」

 

「(^-^)」

 

川に飛び込んだのを見てあらかじめ準備をしてくれてたのだろうか。

何て気が利く子なのだろう。

 

「そうか!ありがとう、助かるよ!」

 

「♪~」

 

頭をナデナデする。

可愛くて、しかも賢い。人形はなんて完璧なのだ…。

 

 

 

ーーーその後、しばらくして、

 

「…よし!体も十分温まったし、先に進もう!」

 

ユキ人形の粋な計らいで元気になった鏡介は再び人里に向かった。

 




ちぇんの下りをやりたかったんだ。許してくれ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。