人間と人形の幻想演舞   作:天衣

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最初に言っておきます。リグル好きの人ごめんなさい。


ーー追記ーー
形式を意識して文章を一部変えたりしてみました。
多分、今出している全話(序章~17章)そうします。ご了承ください。



第十六章

人形戦線のリーダー(仮)、ルーミアを倒した鏡介と魔理沙。

 

「さぁ、もう手持ちは全滅しただろう。観念するんだな」

 

「……」

 

ルーミアは下を向いたまま黙っていた。

 

「確か、この騒ぎを起こした理由は「使役された人形の開放」だったね。そんなことをして一体何をするつもり?」

 

「……」

 

ルーミアは何も答えない。

 

「…だんまりか、まぁいい。舞島、こいつを阿求のとこに連れてくぞ」

 

「う、うん。そうだね」

 

埒が明かないので連れて行こうとしたその瞬間、

 

 

「…とりゃ!」

 

 

ルーミアは辺りを真っ暗にした。そして、

 

 

「みすちー!チルノ!」

 

 

ルーミアが上空に声を響かせると、

 

「任せて!♪~♪~~」

 

「凍っちゃえー!」

 

その上空から歌声と氷の弾幕が降り注いだ。

 

「くっ!舞島耳を塞げ!この歌声を聞いたら駄目だ!」 

 

「わ、分かった!…うわわわっ!」 

 

悪魔で威嚇射撃なのか、当たりはしなかったがまともに動ける状況ではなくなってしまう。

 

「二人ともナイス!この隙に逃げるよ!」

 

「えっと、こういう時何ていうんだっけ…そうだ!今日のとこはこの辺にしておいてやる!覚えてろー!」

 

そう言ってルーミアは、この場を逃走した。

 

「…痛っ!!」 

 

「…あうっ!」

 

闇を操れるルーミアだが、周りを暗くすると自分も先が見えなくなってしまう。 

 

「前見えないー!」 

 

ルーミアは頭などを何回もぶつけながら、森の中に逃走することに成功。だが、その頭にはたんこぶがいくつも出来ていた。

 

 

 

 

 

 

闇の空間が徐々に消えていく。

 

辺りを見回すが、どこにもいない。うまく逃げられてしまったようだ。上空にいた二人も姿はなかった。

 

「ちっ、逃げられちまったか。あいつらにしてはいい連携してたぜ」

 

「…今のがあの子達の力なの?」

 

「あぁそうだ。それぞれ「闇を操る程度の能力」、「冷気を操る程度の能力」、「歌で人を狂わす程度の能力」を発動させてきやがった。油断していたな」

 

「(「闇」、「冷気」…。持っている人形も同じタイプだったな)」

 

「…まぁいいか。既に一人確保してることだしな。お手柄だぞ舞島」

 

「え?あ…そう言えばそうだった」

 

門前にいた触角の生えた子。恐らく「人形開放戦線」のメンバーということで引き渡したが、今頃どうなってるだろう。

少なくとも、阿求に何かしらのお仕置きはされてると思うと少し罪悪感はある。

 

「とりあえず阿求のとこに一旦戻るぞ。「人形開放戦線」のこと、詳しく聞いておかないとな」

 

「うん」

 

 

 

少年少女移動中……

 

 

 

「あら、おかえりなさい。魔理沙さん、舞島さん」

 

 

「「(……うわぁ)」」

 

 

屋敷に戻って部屋を訪れるとそこには、触角の子に札を何重にも貼って縄で拘束し、目の前に殺虫剤をちらつかせている阿求の姿があった。

 

「んーーー!!んーーーーー!!!」

 

触角の子はガタガタ震えながら目の前の殺虫剤に拒絶反応を示し、泣いている。

やっぱり見た目通り虫の妖怪とかなのだろうか。すごく可哀そうだった。渡したのは自分だが。

 

「…ありゃ相当きてるな阿求の奴」 

 

「そうだね…。思った以上に怖いよあの人…」

 

阿求がご乱心の様子であることは、この状況から見て取れた。

 

 

「さて、お二人も来たことですしそろそろ始めましょうか。尋問を」

 

「死なない程度にしろよ?」

 

「その、ほどほどにね?」

 

 

尋問が始まる。

 

阿求は触角の子に貼ってあった口元の札を外す。

 

 

「さて、蛍の妖怪リグル・ナイトバグ。あなたにいくつか質問します」

 

「…」

 

「…が、その前に」 

 

「え」

 

 

阿求はリグルの後ろに向かい、殺虫剤を勢いよく放った。

するとそこには、何匹かの蟲の死骸が転がっていた。

 

…え?殺虫剤の威力じゃないでしょ…何アレ。

ポケ〇ンのにも似たものはあるけど、あれは軽い兵器だ。絶対おかしい。

 

「何やら背後に蟲を忍ばせていたようですね。縄でも解いてもらうつもりでしたか?」

 

「あ、あぁ、あっ…」

 

リグルは自分の考えが筒抜けだったことに絶望する。

 

「私は「幻想郷縁起」を書いている者ですよ?あなた達妖怪のことは知り尽くしています。もちろん、能力も。前にお聞きしましたよね?」

 

「…は、はい…」

 

「この殺虫剤は「八意印」の特別製でしてね。よく効くんですよ?」

 

「ひぃっ!!」 

 

笑顔で「八意印」の殺虫剤を振る阿求と、それを見て顔が真っ青になり震え上がるリグル。一体どっちが妖怪なのだろうか。

 

「苦しみたくなかったら、これから聞くことに正直に答えることですね。リグルさん?」

 

「はい…(あんなの食らったら間違いなく死ぬよっ!)」

 

今のを見て、リグルも観念したようだ。

これ以上この人を怒らせたら何されるか分かったものではないから賢明と言えよう。

 

「ではまず一つ目。「人形解放戦線」とはなんですか?」

 

「…に、人形開放戦線は、使役されてるすべての人形を束縛から解放する為に活動している団体だよ」

 

一応こちらはルーミアと戦った際にこの事は聞いている。

使役された人形の開放…。一体何でそんなことをするのだろうか。

 

「ふむ、何故そんなことを?異変の元凶ではありますが、今の幻想郷に人形は欠かせないものの筈ですよ。人形には人形でしか対抗できないのですから」

 

「…それは私も知らない。私達はただリーダーに言われたとおりに行動しただけだよ!」

 

…さっきのルーミアって子はどうもリーダーっていう感じじゃなかった。聞いてみるか。

 

「リーダーってルーミアって子のこと?」

 

「ちg…うん!そうそう!」

 

リグルは必死に首を縦にし、言いかけたことを誤魔化す。

 

 

「あ…。」

 

 

が、ダメッ! 阿求の耳は誤魔化せなかった。頭に殺虫剤を突き付けられる。

 

「さっきの言い分だと、この人形開放戦線を仕切っている別のリーダー格がいますね?答えて下さい」

 

「…え、えっと…メディスン・メランコリーっていう子…です…(あぁ、また別で怒られる…)」

 

やってしまったという顔をするリグル。知られたくなかったんだろう。

 

「メディスン・メランコリー…?」

 

「…成程、合点が付きました。彼女ならやりかねないですね。」

 

どうやらメディスン・メランコリーという人物が、この「人形開放戦線」を仕切っているそうだ。

 

「何者なのですか?そのメディスンっていう人物は?」

 

「メディスン・メランコリー。彼女は、人間に捨てられた人形が妖怪化して生まれました。その為、人間をひどく嫌っています」

 

「捨てられた人形が…」

 

「彼女は一度、「人形達の開放」を謳っていたことがあります。その時は地獄の裁判長に嗜められて大人しくしていましたが…

 この異変を機に、再度その野望を果たそうとしているみたいですね」

 

「……」

 

「彼女の能力は、「毒を操る程度の能力」。うかつに近づいてはいけませんよ?舞島さん。彼女は人間には容赦しません」

 

「…はい。」

 

 

その後もしばらく尋問は続いたが、有益な情報はこれ以上引き出せなかった。というか、持っていなかった。

 

「…阿求さん。もういいんじゃないですか?これ以上は見てられないです…」

 

「舞島の言う通りだ。本当にこれ以上情報は持っていなさそうだぜ」

 

尋問という名の拷問をされ続けたリグルは、

 

「あ…あ……もう…やめて…」

 

既に虫の息となっていた。

 

「…ふむ、どうやらそうみたいですね。仕方がありません、開放しましょうか。お願いします」

 

近くにいた門番の人が札や縄を解いていく。

リグルは抵抗する様子もなく大人しい。どうやら肉体的にも精神的にも完全に参っているようだ。

 

そしてフラフラと空に飛んでいった。まるで死にかけの蝉のように。

 

「…舞島さん、これからどちらに?」

 

阿求に今後の予定を聞かれる。

 

「うーん、そうですね…。とりあえずこの子たちを休ませて僕もちょっと休憩したいです」

 

「そうですか。大した名物もない里ですが、ゆっくりして行って下さいね」

 

「私もしばらくここにいることにするぜ。何かあったらここにいるから訪ねてきてくれ」

 

魔理沙は阿求亭にしばらくいるみたいだ。恐らく人形についての調査報告とかだろう。

 

「うん、ありがとう」

 

そう言って一旦別れた後、すぐに休憩所に到着。人形達を預ける。

 

「お願いします」

 

「はい。お預かりします!」

 

預けた後、近くの休憩スペースに腰掛ける。

 

「ふぅ。色々あって疲れた…」

 

休憩しながら、手にした情報と今後の方針を考える。

 

「(人形開放戦線…か。今後も関わってくるのかな。気を付けないと。メディスンって子が仕切っているみたいだけど…)」

 

「…あの」

 

「(後、今後どうするか…これはまだはっきりしていない。どうしよう…うーん…)」

 

 

「あのっ!!すみませんっ!!」

 

「おっ!?」 

 

考え事をしていて声を掛けられていたことに気付かず、驚いてしまった。

 

「やっと気付いた」

 

声を掛けた人物は、自分より恐らく年下の女の子だった。この人里の村娘といったところか。

 

「あなた、最近噂になってる人形使いさんでしょ?確か、まいじま きょうすけっていう」

 

「えっと、うん。そうだけど…」

 

「お願いがあるの。私…その…」

 

町娘はそう言って下を向く。

 

「…?」

 

しばらくして、覚悟が決まったのかこちらを真っすぐ見据えこう言った。

 

 

「…私、人形使いになりたい!」

 

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