人間と人形の幻想演舞 作:天衣
この外伝は、私が書いている小説「人間と人形の幻想演舞」の人形視点のストーリーです。
その為、人形が普通にしゃべります。そのことを注意した上でご覧ください。
今回はしんみょうまる人形と主人公・舞島 鏡介の出会いから仲間になるところまでです。
ーー追記ーー
形式を意識して文章を一部変えたりしてみました。
多分、今出している全話(序章~17章)そうします。ご了承ください。
どうしましょう…。
小鬼のお方に騙され、まさか我が一族の秘宝「打ち出の小槌」が盗まれてしまうなんて…。
「騙される方が悪いのさ、少名(すくな)のお嬢様。ケッケッケッ…!」
自分が情けない。
早く何とかしないと…でもどうしたら?
戦う?多少剣術の腕には自信はありましたが…今はこの「輝針剣(きしんけん)」を使うことが出来ません。精々弾幕を放つことしか…。
そもそも逃げられた以上、見つけられないことには取り戻しようが…。
「…うぅ…っ…」
自分の無力さ、不甲斐なさに涙が溢れる。
「もうおしまいです…あれがないと私は何も…うわーーーん!」
涙が止まらない。
「打ち出の小槌」がない私なんて、一体何が出来るというのでしょうか。
自分の軽率な行動に後悔して絶望し、心が段々と暗くなっていく。
「私なんて……私なんて……」
ネガティブな感情がしんみょうまるを支配する。
しかしその時、
「どうしたの?」
「……え?」
壊れかけていたしんみょうまるの心に、一本の光る糸と針が通った。
私に声を掛けたのは、大きな人間の殿方でした。
小人である私にとって、この身長差は普通なので特別驚きはしません。
「………」
しんみょうまるは見つめる。自分でも気づかないうちに長い時間。
「(…はっ!?私ったら何を…///)」
何でしょう…このお方が放っている独特な優しい雰囲気は?とても暖かくて、落ち着く…。
その方は私の事情を知るや否や、一緒に探すのを手伝ってくれました。
さっき騙された私ですが、この方は悪い人ではない。そう信じられます。
殿方は小槌を探しながらも、落ち込んでる私を励まして元気づけてくれました。
「大丈夫、きっと見つかる」と、見ず知らずの私の為に一生懸命。
しばらくすると殿方は何かを思いついたようで、道の方に走っていきました。
そして戻ってくると、もう一人別の男性がやって来ます。
その別の男性は私を見て驚いているみたいです。
うーん、何やら私が「珍しい」と言っているみたいですが…急にそんなこと言われても困ります…。
すると別の男性は、宝石から私と同じくらいの大きさのネズミさんの人形を
出しました。どうやらこの人形の方が私のなくした物を探してくれるそうです。
「やぁ、君が依頼主かな?私はナズーリン。よろしく」
「えっと、はい。私はしんみょうまると申します。こちらこそよろしくお願い致します」
「早速だけど、なくした物の特徴を教えてもらえるかな?」
「はい。なくしたものというのは、我が一族の秘宝の「打ち出の小槌」という代物なのですが…」
少女説明中……
「成程、大体わかった。しかし、ご主人といい何でそんな大切なものをなくすんだか…もっと大切にしたまえ。全く最近の奴は…」
「う…」
返す言葉もない。
「…まぁいい。お説教はこの辺にして、その秘宝とやらをこのダウジングで探してみるとしようか」
「はい、お願いします」
ナズーリン人形は目を閉じる。教えて貰った特徴をイメージしてダウジングロッドに神経を集中させる。
しばらくして、ダウジングロッドは勢いよく北西に向いた。
「こっちだ」
「(初めて見ました…生のダウジング…!すごいっ!)」
初めて見るダウジングにテンションが上がる。箱庭育ちの私には新鮮です!
ダウジングロッドが向いた先には、何やら大きな樽が置かれている。
反応から見るに、この樽に「打ち出の小槌」があるみたいだ。
すると殿方は樽に片手を入れ、何かないか探し始めました。すると、
「いっったぁっ!!?」
殿方は何かすごい痛みに襲われたようです。あぁ…大丈夫でしょうか…?
どうやら何かがそこにいるのは間違いなさそうです。
お二人は考えた後、協力して樽を持ち上げてひっくり返しました。
そしてしばらく様子を窺ったところ、何故か樽は一人でに空中に舞い、元の状態に戻ってしまいました。
「…やっぱりあの中に私の「打ち出の小槌」を盗んだ犯人がいますね。「ひっくり返す」あの能力は私も使われましたから、間違いありません!」
「ふむ、君がそういうならもう間違いないね」
すると樽の中から小さな影が飛び出して、
「誰だぁ?折角気持ちよく寝てんのにいきなり何しやがる!」
小槌を盗んだ犯人が姿を現した。
「見つけましたよ!さぁ、私の「打ち出の小槌」を返してください!」
「あぁ?」
犯人の小鬼はすこぶる機嫌が悪く、鋭く私を睨みつけました。こ、怖くないんですからっ…!
「これはこれは。こちらの罠にまんまとかかって、大事なものを盗られてしまった哀れなお姫様じゃないか。」
「こ、この卑怯者!私が一息ついているところを狙って…頭打ってすごく痛かったんですから!」
「そんな硬い被り物してるお前が悪いんだよバーカ」
「な…!これは私達小人族のアイデンティティーです!侮辱は許しませんっ!」
「落ち着きたまえ姫。相手のペースに飲まれているぞ」
「…!す、すみません…」
ナズーリン人形に言われ、冷静さを取り戻す。
殿方が何やら右目に付いている機械であの不届き者を見たところ、あの小鬼の名前は「せいじゃ」というみたいです。
…何でしょう。その名前を聞くだけで不快になっている自分がいます。前世で何かあったかの様に。
殿方は戦う人形が今いらっしゃらないみたいなので、代わりにもう一人の男性の方が ナズーリンさんを戦わせる形になりました。
「お気を付けて」
「何、心配はいらない。すぐ片付けるさ」
「ふん、雑魚が。かかってこいよぉ!!」
数分後…
「ば、馬鹿な…」
本当にすぐに片付いてしまった。ナズーリン人形に攻撃は無効化され歯も立たず、何とも無残な敗北だった。
「タイプ相性的に、お前に最初から勝ち目などなかったのさ」
「流石ナズーリンさん!」
見事せいじゃ人形を倒し、殿方が「打ち出の小槌」を私にお返しして下さいました。 本当にありがとうございます!
…しかし何やら殿方の顔色が優れないように見えます。大丈夫でしょうか…
そう思っていたら、
「!?」
殿方は倒れてしまいました。
大変!きっとさっき噛まれたところから毒が回って…!このままでは殿方が…
慌てて休憩所に向かい助けを求めにいったもう一人の男性。
「…もう時間がありません。今こそ、このお方に恩返しをする時です。……」
打ち出の小槌よ…
この者の毒を打ち払いたまえ!
「打ち出の小槌(うちでのこづち)」
小人族であるしんみょうまるにしか扱えない秘宝で、どんな願いも叶えることが
出来る。しかし、それを使ったら使用者に対し代償が払われることになる。そして人形の使う「打ち出の小槌」では大した願いは叶えられない。
殿方の顔色が少し良くなった気がします。
これでとりあえずは一命を取り留められたでしょうか。本当に良かった…。
しばらくしてもう一人の男性と休憩場のお方が駆け付けて、殿方は搬送されて行きました。
「…どうかご無事で」
あれから約一時間。
しんみょうまるは休憩所の外で待ち続け、今後どうするか考えていた。
今回は親切な殿方にこうやって取り返してもらいましたが、またいつ襲われるかわかりません。
外は危険だと散々言われて育てられましたが…本当にどうやらその通りのようです。
あの殿方はどうやら人形使いであられるみたいでしたし…どうか仲間にしてもらえないでしょうか…。
それに…親切にしてくれた恩返しとして、私はあの殿方の助けになりたい。
そしてさらに一時間経った後、休憩所から殿方が元気な姿で出てきました。
無事に治ったみたいです。
私が殿方の方に駆け寄ると、殿方はしゃがみ込んで私に優しく語り掛けます。
お礼を言ってくれました。
…「打ち出の小槌」を使用したことは私だけの秘密にしましょう。
後悔はしていません。私の意志で使ったのですから。…でもおかしいですね?
代償が私に来るはずですが…今のところは何も起こりません。
私は殿方に付いていきたいが、言葉が通じないのでどうしたものかと困っていた
ところ、近くに座っていたもう一人の男性が、
「…もしかして一緒に行きたいんじゃないか?」
私の様子を見て殿方にそう伝えた。
「…一緒に来るか?」
「…!はいっ!」
「…そうか。うん、一緒に行こう!よろしくな!しんみょうまる!」
そう言うと殿方は私を胸元に抱き抱えました。
嬉しい…!そして…あぁ、殿方の胸元はこんなにも暖かいのですね……ポッ
…今度はもう一人の男性の方に助けられてしまいました。
そういえば殿方のお名前を聞いていませんでした。
ふむ…舞島 鏡介(まいじま きょうすけ)様、というのですね。素敵な名前です!
では、私はこれからこのお方を、親しみを込めて
「鏡様(きょうさま)」とお呼びします。
これからもよろしくお願い致しますね、鏡様♪
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一方、博麗神社。
「…あれ?何か身長がまた縮んだような…小槌使ってないのに」
少名 針妙丸は鏡を見ながらそう呟いた。