人間と人形の幻想演舞   作:天衣

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※ほんのわずかに流血表現あり


第十九章

圧倒的な力を見せつけるげんげつ人形。

その人形の攻撃の標準が、今度は光に向かっていることに気付く鏡介。気付くと勝手に体は動いていた。

 

 

「光ちゃんっ!!」

 

「…え?」

 

 

呼びかけるが、時すでに遅し。

無慈悲にも、白いレーザーは光に向かって飛んでいく。

 

 

「…くっ!」

 

 

咄嗟に鏡介は光を勢いよく押して、

 

「ぐぁ…っ!」

 

代わりにレーザー攻撃を受ける。

 

「…!ま、舞島さんっ!!大丈夫!?」

 

「…平気だよ、腕をかすめただけだから……っ!」

 

その様子を見ていたげんげつ人形は笑みを浮かべていた。まさか、人形使いを直接狙ってくるなんて…。

 

…分かっていたじゃないか。人形は危険な存在だということを。

特にあの人形は危ない。こうやって殺されそうになったのだから。

 

それにしても、痛い。血も出ている。

かすめただけなのに、手で抑えてないと耐えがたい痛みが体に走っていた。

 

人生で一番大きな怪我をしているのではないだろうか。

平和主義者な僕は、今まで喧嘩なんてしたことがないし。

 

そばにいたユキ人形としんみょうまる人形は、とても心配そうにこちらを見ていた。

そして駆け寄ってくる。…ありがとうな。

 

ユキ人形の方は…何か震えている。

よく見ると、目には涙を浮かべているのがわかる。

 

…そっか、人形も泣くんだな。僕の為に泣いてくれて、ありがとう…。

 

「…ユキ、しんみょうまる。僕はもう動けそうにないから、光ちゃんと逃げて」

 

人形達は激しく首を横に振る。でも、このままじゃみんなやられてしまう。

 

こういう状況になってしまったのは僕の責任だ。だから、せめてこの子達と光ちゃんは…。

 

 

そう思っていたら、突如ユキ人形に異変が起こる。

 

 

「ッ!?」

 

 

ユキ人形は眩しく光りだすと、体から金色のオーラと炎を周りに纏っていた。

 

「…ユキ?一体何が…」

 

何が起こっているのか分からずにいると、

 

「…!ま、舞島さん!」

 

スカウターを見ていた光は、何か驚いた様子で話しかける。

 

 

「ユキ人形のステータスが、耐久を除いて飛躍的に上がってるよ!」

 

「えっ…!?」

 

 

「そしてもうひとつ。技の項目なんだけど、これも増えてる! 「ヴォルケイノ」って技がっ!」

 

 

どうやらユキ人形は、原因不明のパワーアップをしたらしい。

 

「舞島さん、これならあの人形にも勝てるかも…!」

 

確かに、今のユキ人形なら太刀打ちできるかもしれないが…。状態が明らかに普通ではない。

 

するとユキ人形は指示を受けていないのに、げんげつ人形の方へ飛んでいき炎を飛ばす。一人で戦うつもりなのだろうか。

 

「(ユキ。お前…怒りで我を失ってしまったのか?)」

 

げんげつ人形も負けじと光(ひかり)の弾幕で返してくる。

 

勝負はほぼ互角だった。

げんげつ人形もダメージが少しづつ蓄積しているせいか、動きが鈍くなっているように見える。

 

後一撃、何か大きな技をぶつけられれば捕まえることが出来るかもしれない。

 

「…光ちゃん。さっき言ってた新しい技は「ヴォルケイノ」だったね?」

 

「え?うん、そうだけど…」

 

名前から察するに、この技は恐らく強力なものだ。この技を当てられれば…。

 

「使ってみて、その技。こっちもフォローするから」

 

「…分かった。やってみるよ!」

 

鏡介の言葉を信じ、光はユキ人形に指示を出す。

 

 

「ユキ! ヴォルケイノよ!」

 

 

ユキ人形は頷く。良かった。まだ理性は残ってくれていたようだ。

 

ユキ人形は、両手を上げて力を溜め始める。

その手元から火球が現れ、徐々に大きくなっていく。

 

発動に時間がかかる技らしい。思った通りだ。

 

 

それを黙って見ているはずもなく、げんげつ人形は先程自分を襲ったレーザー攻撃をユキ人形に放つ。

 

「させないっ!しんみょうまる! 防壁強化だ! ユキを守って!」

 

しんみょうまる人形はユキ人形の前に立つと、バリアを展開してレーザー攻撃を防ぐ。

 

「ナイスだしんみょうまる!」

 

初めて使う技だったけど、うまくいった。思った通り防御系の技みたいだ。

 

ユキ人形の手元の火球はまだ大きくなり続けている。ざっとユキ人形の身長と同じくらいだ。もう少しか…?

 

 

それを見てげんげつ人形は、紫の弾幕を放つ。幻覚を見せる厄介な技だ。

 

げんげつ人形もあの技を撃たれるのを恐れているのだろう。

 

「しんみょうまる!ユキを守ることに集中するんだ!」

 

指示を受けたしんみょうまる人形は、ユキ人形の元に来る弾幕を受け止める。

幻覚ではない弾幕のほとんどがユキ人形に向かっていたので、しんみょうまる人形も流石にダメージが蓄積され苦しそうだ。

 

「ごめん…!でも、よく耐えきったぞしんみょうまる!」

 

しんみょうまる人形は笑みをこちらに浮かべる。後でいっぱいナデナデしてあげよう。

 

「舞島さん、攻撃の準備が整ったよ!」

 

ユキ人形の手元の火球は先程の二倍の大きさとなっていて、これ以上大きさが変わらない。

もう打つことが出来る状態になっていると判断した。

 

 

「「 ユキ! いっけぇっ!! 」」

 

 

指示を受けたユキ人形は火球を勢いよく下に叩き付けた。

 

 

「「 えっ 」」

 

 

思っていた攻撃手段とは違うみたいだ。

 

すると、げんげつ人形の足元に火口が現れる。

 

 

「…!?」

 

 

焦るげんげつ人形。急いでその場から離れようとするが、

 

「おっと!そうはいかないよ!それっ!」

 

光、その隙を見逃さない。封印の糸を投げつけ拘束する。

 

身動きが取れなくなったげんげつ人形は、火口の中に真っ逆さまに落ちていく。

 

そして、物凄い噴火がげんげつ人形を襲った。

流石にひとたまりもないであろう。

 

やがて噴火が終わると、封印状態のげんげつ人形が降ってくる。

 

「た、倒した…の?」

 

恐る恐る近づく二人。

するとげんげつ人形は消滅していき、やがてひし形の宝石となって光の元に来た。

 

 

 

「「 ……や、 」」

 

 

「「 やったぁーーーーーっ!! 」」

 

 

 

無事にゲットすることが出来た。達成感がすごい。

 

今回手伝いであった鏡介も思わず自分のことみたいに喜ぶのであった。

 

 




とりあえず、今思い付いているところはここまで。

次回は結構、間が空くかもしれません。では。
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