人間と人形の幻想演舞   作:天衣

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第二十六章

鏡介と霊夢による人形バトル。

ついに決着がつき、バトルを制したのは…

 

 

「…れいむ人形、戦闘不能っ!よってこの勝負、舞島さんの勝利ですっ!!」

 

 

外来人の人形遣い、舞島 鏡介であった。

 

「や…やったぁ!!ユキ、それにしんみょうまるも!よく頑張ったなぁっ…!!」

 

鏡介は倒れているユキ人形に駆け寄り抱き寄せながら、一緒に喜びを分かち合う。

抱きかかえられたユキ人形は嬉しそうに微笑んでいた。

 

「……」

 

その一方、霊夢は何も言わずに人形を宝石に戻す。冷静な行動であった。

しかし、宝石に戻した後にそれを強く握りしめていることから、感情を抑えているのが伺える。

 

「(負けた…初めて、負けた。今までずっと勝ち続けてきたのに…)」

 

博麗の巫女の敗北。

戦いの形はどうあれ、この幻想郷でそれは決して許されるものではない。霊夢は初めて味わった敗北に戸惑いを隠せずにいた。

 

「霊夢さん、これで旅を認めてくれますか?」

 

「…まさか、アイテムを持たせたことが敗因になるなんて、ね」

 

「え?」

 

「…何でもないわ。悔しいけど、私の負け。…調査をしたいのなら、あんたらの好きにすればいい。ただし、何かあっても自己責任よ。ここはそういう世界だから」

 

鏡介が話しかけると霊夢は何か口ずさんだが、どうやら認めてくれたようだ。

だがその後、霊夢はそそくさと人里へ行ってしまう。人形の回復をしに行くのだろうか。

 

「行っちゃった…」

 

「霊夢様…後ろ姿もカッコいい…」

 

「それにしても、勝てて良かったぁ…」

 

安心して力が抜けたのか、鏡介は思いっきり肩を降ろす。何せあんな無理矢理な要求をしたからには負けられなかった。

 

そして、今回もまたユキ人形には助けられてしまった。この子は何というか、いざという時に頼りになるな。

 

「あの霊夢様に勝つなんてね。やるじゃない舞島さん!…でも、霊夢様は確かもう一体人形を持っていたはずなんだけど、今回は出さなかったのかなぁ?」

 

どうやら光の知るところによると、霊夢は人形をもう一体持っていたようだ。

今回は自分が二体しか持っていないから制限してくれたのか?

 

「ちなみにどんな人形なの?」

 

「えっとね、炎を吹いて力持ちで二本の角が生えていて、いつもお酒飲んで酔っ払ってる鬼の人形よ。名前は知らない」

 

火を吹く力持ちの二本角の鬼…。こっちが知っている「鬼」と大体イメージは一致してるかな。

 

「(鬼か…。すごく強そうだけど、今回はあえて天狗の人形で勝負を仕掛けたんだね…)」

 

もう一体の人形の特徴を聞く限りだと「炎」、もしくは「闘」タイプは持っていそうだし、こっちの方が相性は有利だったのではないだろうか。

やっぱり手を抜いていたのか?いや、彼女は少なくともそんな甘いことはしないと思う。何か理由が?…いまいち腑に落ちないな。

 

「…ま、これで旅を続けることが出来るようになったんだし細かいことはいいじゃない。ほら、行きましょ?舞島さん」

 

「う、うん」

 

光は考え込んでいる鏡介を後押しして先に進む。

 

 

道中は本物の妖怪に出会ったり、人形遣いに勝負を挑まれたりで大変だったがワクワク

する気持ちが勝りあまり苦にはならない。やはり冒険とはいいものだ。

 

 

人形にも出会った。

人里で会った人形解放戦線が使っていたリグル、ミスティア、ルーミアの人形。

捕まえるかは迷ったが、人形の回復が済んでいない状態であった為今回は見送り。

仮に捕まえても結構弱点が共通していることもありバトルで使うかは怪しい。だけど、捕まえたらせめて可愛がることにする。

 

「あ、ここだ。…「香霖堂」って書いてる。うん、間違いない」

 

地図を確認して呟く。とりあえずの目的地である「香霖堂」に着いたようだ。

店の外には様々なものが置いてある。中にはこちらでも見覚えがあるガラクタや看板、

標識があるみたいだ。…一体何屋さんだろうか?

 

「ここって確か外から流れてきたものとかを売ってるちょっと変わった店ね。舞島さんにはちょっと退屈かも?」

 

「ふーん。外っていうと、僕のいる世界のことだよね?…そういえばここは「忘れられたものがたどり着く世界」なんだっけ。

 そうか、どおりで見覚えがあっても知らないものばかりなわけだよ」

 

光の説明でおおよそは理解出来た。

簡単に言うと、様々な中古のものを取り扱ってる店みたいだ。

 

「舞島さん、情報収集がてらに入ってみる?」

 

「うん、そうだね」

 

とりあえず店の中に入ってみることにした。ちょっとどういうのが置いてるかも気になるし…。

 

 

「ごめんくださ~い」

 

 

入り口のドアを開くと、小さく鈴が鳴り響く。

この感じ、何だか時代を感じる。

 

 

「いらっしゃい。…おや、初めて見る客だね」

 

 

声がする方に目を向けると、銀髪の眼鏡をかけた身長の高い男の人が座っていた。

この人がこの店の店主らしい。てっきりまた女の人だと思っていた為、正直驚いている。

 

「えっと、商品を見ても?」

 

「あぁいいとも。ゆっくりしていきたまえ」

 

店主の人は手元の本を読み返しながら返事をする。

 

「霊夢や魔理沙以外がここに来ることは滅多にないから、何だか新鮮だな。…ところで君、最近噂の外来人かな?」

 

「え?…えっと、もしかして新聞で?」

 

「あぁ。…そうか君が舞島君なんだね。魔理沙から色々聞いてるよ。僕はここの店主の森近 霖之助(もりちか りんのすけ)だ。よろしく頼む」

 

「あ、はい。舞島 鏡介です。こちらこそ宜しくお願いします」

 

挨拶を返すと鏡介は商品を見始める。そこには色々興味を惹かれる物があった。

男というのはこういうのが好きなものだ。すると、鏡介は一つの青い遊具に目が行った。

 

これは小学生の頃よく遊んだおもちゃだ。確か名前は「バトル〇-ム」。

懐かしい。CMは今でも覚えている。

 

それにしても、この世界はうわさが広まるのが早いらしい。まさかこんなところまで浸透しているとは…。

どうやら新聞を配っている人物がいるらしいが、なんという仕事の早さであろうか。

 

「…あのー霖之助さん。人形について知ってることはないですか?あ、私は光(ひかる)っていいます」

 

商品を見ている鏡介を尻目に、光が霖之助に聞き込みをする。

 

「うーん、残念ながら僕は人形についてはあんまり知らないな。この先の「魔法の森」に住んでるアリスっていう人物ならあるいは何か知ってるかもね」

 

「そうですか…。元々私達も魔法の森に向かってアリスさんに会うつもりだったんですが、あそこは瘴気があふれていて普通の人間は迂闊に入れないみたいなんですよね…」

 

光がここに向かう途中で思い出した。「魔法の森」には瘴気というものが溢れているということに。

これは耐性がない人じゃないと危険なものだ。しかし、どうにかしないと当然アリスという人物にも会えない。

 

だからここで何か対策できるものがないかと思い入ってみたが…。

 

「ふむ、それならこの「数珠(じゅず)」というアイテムである程度は瘴気の中を進めると思うよ」

 

そういって霖之助はこちらの世界にもよくあるタイプの球が大きめの数珠を取り出す。

 

「ホントですか!?それ下さい!」

 

「ひとつ100円で売ろう」

 

「…あっ」

 

光は懐から財布を出す。150円入っていた。これでは1つしか買うことが出来ない。

 

「…あーこれじゃ十分な数買えないなー…チラッ」

 

光は鏡介の方を何か言いたげに見つめる。

商品の鑑賞に夢中になってる僕への当てつけだろうか。

 

「…分かったよもう。霖之助さん、ここはアイテムの買取は出来ますか?」

 

「あぁもちろん。むしろ喜んで買い取るくらいさ」

 

自分が持ってる所持金でもちょっと足りなさそうなので、道中で手に入れた物を売却することにした。本当はもうちょっと見ていたかったけどしょうがない。

鏡介は鞄から次々にアイテムを出す。中には光の手柄の物もあったり。

何せ連戦続きでこっちの人形はボロボロ。練習がてら光に後半は戦って貰っていたのだ。

 

「銅銭が2つに時計が4つ、後砂金が1つだね。合計1100円になるが、いいかな?」

 

「はい。じゃあついでに数珠を…うーん、6つ下さい」

 

「毎度あり。数珠6つとお釣りの500円だよ」

 

鏡介は霖之助からお釣りとアイテムを受け取る。そして、光に数珠を3つ渡した。

 

「数はこれでいい?」

 

「うん、オッケー!お釣りは今回そっちが全部受け取ってね」

 

「そう?分かった。」

 

500円分のこの砂金は光が手に入れたものだったから渡そうと思ってたが、本人がいいと言うなら遠慮なく貰おう。これで所持金は750円となった。

 

「とりあえずはこれでアリスさんに会えそうね。霖之助さん、ありがとう!」

 

「どういたしまして。…そうだ君達、ついでに頼まれてくれないか?」

 

そう言うと霖之助は小さめの荷物を取り出した。

 

「これをアリスの下に届けて欲しい。この間修理を依頼されていたものなんだ」

 

「えぇ、いいですよ。修理も出来るなんてすごいですね」

 

鏡介は渡された荷物を受け取って鞄にしまいながら話す。

…ひょっとしたら霖之助も何かしらの能力を持っている人物なのだろうか?

 

「魔理沙がよくマジックアイテムを壊すものでね。こういうのは慣れてるんだよ」

 

「アハハ…成程、そういうことですか」

 

結構この人も苦労してるらしい。

しかしその表情から察するに嫌々というよりは好きでやってるという感じがする。

 

「じゃあ頼んだよ。「魔法の森」は店を出て東にある」

 

「はい。ありがとうございました!」

 

霖之助にお礼を言い、二人は香霖堂を後にした。

 




投稿が週一ペースになりつつある今日この頃

後、調べたら魔導書の売却額は1500円でした。ガバガバじゃねーか!
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