人間と人形の幻想演舞   作:天衣

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超!エキサイティン!!(今回は短めです。)




第三十章

人形異変の調査の一環として「魔法の森」に向かい、アリス・マーガトロイドと接触した鏡介。

しかし、彼女は異変の関係者ではなかった。無駄足かと思われたが、代わりに人形に関する新たな情報を入手することが出来た。

 

アリスが言うには、人形は「魔力」で動いているそうだ。魔力を操ることが出来るのは「魔法使い」、又は「魔女」。幻想郷に住むそれらの種族は限られている。

最初に出会った人間の魔法使い、「霧雨 魔理沙」。先程会って来た人形遣い、「アリス・マーガトロイド」。

そしてもう一人、「紅魔館」という屋敷に住む魔女。名は「パチュリー」と言うらしい。

 

魔理沙、アリスは関係ないとなると、残るは一人。紅魔館の魔女だ。とりあえず次はこの人物に会ってみる。

 

 

…が、今は瘴気で倒れていた光を担いで全力疾走した為、非常に疲れている。

鏡介は近くの「香霖堂」で休憩をしていた。

 

「ハハッ、それは大変だったね。光ちゃんなら心配いらない。直に目を覚ますだろう」

 

「ホントに助かりました。ありがとうございます」

 

魔法の森での出来事を聞いた香霖堂の店主、「森近 霖之助」は鏡介に労いの言葉を掛ける。

咄嗟に休ませて貰えるよう頼んだにも関わらず、それを了承してくれたこの人には感謝の気持ちで一杯だ。

何せ人里まで距離もあるし、光を担ぎながらではとても辿り着けそうもなかった。

 

「気にすることはない。これも慣れているから…おや、これは一雨来そうだ」

 

「え?」

 

ふと窓に付いた小さな雨粒を見た霖之助はそう呟いた。

そして次の瞬間、屋根に水滴が落ちる音が建物に次々と響き渡る。雨が降って来たようだ。

そういえばここに来る途中、空模様があまり良くなかったのを思い出す。

 

「…その、申し訳ないんですけど…止むまで雨宿りしても?」

 

恐る恐る、鏡介は聞く。これは完全に計算外だった。

雨の中だと色々都合が悪くなる。主に人形関連で。何せ手持ちの人形達は軒並み「水」が苦手だ。

圧倒的不利な天候と言える。ポケ〇ン知識であるが。こんな状態でバトルを挑まれたら堪ったものではない。

 

「それは構わないが…恐らくこれから何人かここに来るだろうからそのつもりでね」

 

「…?はい、分かりました」

 

これから起こるであろうことを事前に知っているかのように伝える霖之助。

何を言っているのか分からずにいると、入り口の鈴が鳴る。本当に誰かが来た。

 

「うぅ…霖之助さんちょっと雨宿りさせて…。はぁ…」

 

頭と背中に翼を生やした銀髪の少女が店に入ってくる。何やら落ち込んでいる様子だった。

 

「…あ、確か…「朱鷺子」さん?」

 

「え?…あーっ!あの時の人間!何でここに!?」

 

鏡介はこの人物と面識があった。香霖堂に来る途中で会って人形バトルをしている。

本をなくした腹いせに、だ。全く迷惑な話である。

 

「その…あれから見つかったんですか?」

 

「…これが見つかった顔に見える?おまけに雨も降っちゃうしもう最悪よっ!」

 

結局探していた本は見つけられなかったらしい。それに、雨が降ってしまったから仮に

これから探して見つけても本は駄目になっていることだろう。

 

「博麗の巫女にボコボコにされるわこの人間にもやられるわ本は見つからないわ散々よ、もう…」

 

「…何かごめんね?」

 

何というか、とことん不幸な妖怪だった。

流石に少し同情せざるを得ない。あの時一緒に探してあげれば良かったなと思ってしまう。

 

そう思っているとまた鈴の音がした。また来客のようだ。

霖之助の言った通り、次々と香霖堂に誰かしらが集まって来ている。動じないあたり、これも慣れているなのだろう。

 

「お邪魔するわよぉ。雨宿りさせてぇ♪」

 

今度は香霖堂付近にいた妖怪だった。光が言うには確か「静か餅」という名前。いや、種族かな?

 

「…あらあら、その子結局瘴気に当てられちゃったのねぇ」

 

横になっている光を見て静か餅の妖怪はそう言った。

 

「何か事情を知っているのですか?」

 

「私が魔法の森にレアな人形がいるって話をしたら興味を持ってねぇ。どうやら捕まえに行ってたみたいよぉ」

 

「…成程。そうだったんですか」

 

あの時光が魔法の森にいた理由が判明した。てっきり妖精に何かされたとばかり思っていたが…。

この子はげんげつ人形の時といい、ホントに無茶をする。後で説教だな。

 

「…退屈ねぇ。霖之助さん何か本はない?」

 

しばらくの沈黙の中、朱鷺子が霖之助に話を振る。

 

「今は僕が読んでるこれしかないよ」

 

「えー…じゃあどうやって時間潰せばいいのよー」

 

雨はまだしばらく止みそうにない。

朱鷺子の言う通り、何か時間を潰せるものが欲しいところだ。

 

そう思い鏡介は辺りを見回すと、ひとつの遊具に目が行った。

 

 

「…あの、これなんてどうでしょう?」

 

 

鏡介はここにあった「バトル〇-ム」の存在を思い出した。

これは4人で遊べるものなのでちょうどいいと思った鏡介はこの遊具での時間つぶしを提案する。

 

聞いたところ3人は遊び方が分からないとのことなので、やったことがある鏡介が軽く操作の説明をして実際に遊んでみたところ…

 

 

 

 

「「「「  うおおおおおおおぉぉぉーーーーーーっ!!!  」」」」

 

 

 

 

これが意外と盛り上がった。

 

4人は両手でレバーを高速で動かして次々に出てくる球を発射し、相手のゴールにシュートする。

 

「今度は絶対勝ってやるーっ!うおおおぉぉーっ!」

 

「僕も負けませんよっ!うおおおぉぉーっ!」

 

「結構楽しいわこれぇ♪うおおおぉぉーっ!」

 

「ふむ、こんなに熱くなるのは久しぶりだ!うおおぉぉーっ!」

 

もうかれこれ5回戦目だ。

こういった遊具は珍しいのか、自分を除いた3人も夢中になって遊んでいる。

 

ちなみに現在の戦績は鏡介1勝、朱鷺子0勝、静か餅1勝、霖之助2勝。

見事に一人だけ負け続けている。彼女はここでも不運っぷりを発揮していた。

 

「うわっ!?また球が入った!くっそぉーー!」

 

だが朱鷺子はそれでも楽しそうに遊んでいた。

悔しさを首の動きで表現するその仕草はいつかのこの遊具のCMに出演していた子供を彷彿とさせる。

 

しかし、霖之助がこの遊びに興味を持ったのは正直驚いた。最初は渋々遊んでいたのに。

時間が経つにつれ徐々にハマっていったのだろうか?この人もやはり男なんだな。

 

「(…!出なくなった。この場の球で勝負が決まる…!)」

 

 

 

 

 「「「「  うおおおおおおおぉぉぉーーーーーーっ!!!  」」」」

 

 

 

 

4人は必死にレバーを動かす。

勝ちへの執着が両手を忙しくさせ、熱気が辺りを包む。その額には汗が滲み出ていた。

 

やがて最後の球が誰かのゴールに入っていく。

 

「…終わった」

 

場に球がなくなったのを確認した4人は、結果を見せ合う。

 

「…同点!?ど、どうなるのこれ!?」

 

「うーん、これは…」

 

結果は朱鷺子と鏡介の球が一番少なく、そして一緒の数であった。

 

「じゃあお互い1勝ってことで…」

 

まだ一度も勝ってない朱鷺子を気遣い、鏡介は1勝させる提案をする。

 

「駄目よ!それじゃ納得出来ない!ここは「じゃんけん」で決めるわよっ!」

 

しかし朱鷺子、これを拒否。あくまで勝者は1人に拘りたいらしい。

 

「…まぁ、朱鷺子さんがそれでいいなら…」

 

この子は自分の不運を自覚して欲しい。

フェアな提案だが、「じゃんけん」という運が絡む勝負なんて勝てる訳がないではないか。

聞いていた霖之助もこれには頭を抱えている。恐らく同じことを思ったのだろう。

 

「行くわよ!じゃんけんっ…」

 

「え、ちょ!」

 

不意打ちとばかりに朱鷺子は仕掛けてくる。

 

ここは負けてあげたい。心理的に考えろ。

大体勝ちに行く人は高確率で「パー」を出す。だからこちらは「グー」を出そう。

…いや、待て?相手が相手だし単純に「グー」を出す可能性も…?…ええい、ままよっ!

 

 

「「 ポンッ! 」」

 

 

お互いに片手の形を確認。

 

「……」

 

結果を見た朱鷺子は、絶望の表情を浮かべている。

 

 

…うん、知ってた。

 




…本編進んでねぇっ!どうしてこうなった!
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