人間と人形の幻想演舞   作:天衣

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最初の語りはあれです。OPで流れるやつです
偶にはこういうのあってもいいかなと。今回は短め




第四十六章

幻想入りをした外来人の舞島 鏡介、人里で出会った光と準、そして異変解決の専門家である博麗 霊夢、霧雨 魔理沙。

それぞれが何かしらの目的で今、この幻想郷で起こっている「人形異変」に関わっている。

 

 

「 異変の調査もいいけど、もっと人形達と触れ合いたい 」

 

「「 もっと強い人形を手に入れ、人形遣いとして強くなりたい 」」

 

「 一刻も早く、この「人形異変」を解決しなければ 」

 

 

この「人形異変」について皆が思うことはバラバラであるが、物語は進んでいく…

 

それぞれの冒険は今、始まりを迎えたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

鏡介は光と別れた後、「紅魔館」へ行く準備を済ませると休憩所を後にした。

準備とはいっても特に大きな買い物はせず、主に回復アイテムの補充がメインだ。

お金の余裕がないものの、これまでの経験上「封印の糸」だけで事足りるし、「護符」も余程のことがない限り必要ない。

 

「永遠亭印のお薬は如何ですかー?」

 

五の道を目指し歩き始めようとしたら、近くから行商の声が聞こえた。どうやらこちらが最近行ってきた「永遠亭」のお薬を売っているらしい。

少し興味が沸いた鏡介は、その行商に話し掛ける。よく見ると、いつもの男の人ではなく傘帽子を被った女の人が商売をやっていた。

 

「…あら?あなたは舞島さん?」

 

「え…?僕を知っているんですか?」

 

「ほら、私ですよっ!永遠亭の鈴仙です!その節はどうも」

 

女の人が傘帽子を軽く外すと、見覚えのある兎の耳と紫色の髪が姿を現す。

最初に出会った時のブレザー姿とはまるで雰囲気が違った為、全く分からなかった。この格好は姿を隠す為の工夫なのであろうか?

…そういえば、この人里の中では妖怪であることを隠す為に姿を変えている者もいるという話を光から聞いた。これも、その一つなのかもしれない。

 

「今朝いないと思ったら、お仕事に行かれていたんですね。お疲れ様です」

 

「いえいえそんな。お世話になったのに碌にお礼も出来ず、申し訳ありませんでした。…姫様を止めて頂き、本当にありがとうございます」

 

鈴仙は鏡介に対し、お辞儀をして感謝を伝える。

こちらとしては当然のことをしたのだから、そこまで畏まらないで欲しいのだが…

 

「気にしないで下さいよ。…あぁそうだ、良かったらお薬売ってください。人形用ってあります?」

 

「ごめんなさい。まだ人形用は開発途中らしいんですよ。…代わりといっては何ですが、お礼も兼ねてこの「胡蝶夢丸(こちょうむがん)を差し上げます。お代はいいですよ」

 

鈴仙は背負っている籠から袋を取り出し、それを鏡介に渡す。

受け取った鏡介は袋を開くと、そこには紅い丸薬がいくつか入っていた。

 

「こちょう…むがん?」

 

「はい、これを寝る前に数粒飲むと悪夢を見ず、楽しい夢を見ることが出来ます。師匠の自作したお薬ですから、効果は保証しますよ!」

 

「はぁ、成程…疲れている時に良さそうですね。ありがとうございます!」

 

どうやらこれは夢見が良くなる薬らしい。流石、異世界のお薬だ。常識外れな能力をしている。

一人旅では何かとお世話になりそうだ。ありがたく貰っておこう。

 

「では、私も仕事がありますからこの辺で。異変調査、頑張ってください!」

 

「はい、お仕事頑張って下さいね」

 

 

 

 

 

五の道の「霧の湖」への通路に立ち塞がる一本の細長い木…前はどかすことが出来なかったが、今は違う。

 

 

「よし、これの出番だな」

 

 

鏡介は鞄から「木こり人形」を取り出すと、人形は細木に反応して動きを見せる。

宙に浮き、こがさ人形が新調した斧を構えると、それを真横に薙ぎ払った。細木は見事に両断され、先の道が切り開かれる。

 

「一体どんな技術で動いているんだろう…魔法って便利だなぁ」

 

手元に返ってくる木こり人形を回収しつつ、鏡介はその仕組みに関心を示す。

アリスが作ったであろうこの人形。手元で動かしていたのとは違い、まるで自分の意志で動いているようだった。

実に見事な作りであるが、今この幻想郷に溢れている様々な姿をした人形達は軽くその上を行っている。もはや一つの生き物といっても過言ではないくらいの出来だ。

正直、アリスがこの異変に何も関与していないことが不思議である。本人からすれば、興味を擽られる存在である筈なのに。

アリスと所縁のある者…その中の「紅魔館」のパチュリーという人物は今から会いに行くのだが、これもハッキリ言って期待は出来ない。

 

それとユキ人形とアリスの目の色や顔立ちが似ていたことは、やはり何か関係がある気がしてならない。抑々、ユキ人形の元になった人物の素性もはっきりしていないのだ。名前以外は。

しんみょうまる人形、こがさ人形は種族などがはっきりしている中、ユキ人形だけは謎に包まれている…これが偶然と言えるだろうか?

 

 

「…なんて、今考えても答えは出ないな。よし、進もう」

 

 

ユキ人形と直接話が出来ればいいのだが、そんな都合の良い展開がそう易々と訪れる訳がない。

一度魔理沙に聞いてはみたのだが、人形と直接話せるような機械はまだ当分無理だと言っていた。人形が話している言葉の理解は、それこそ人形でないと分からないのだろう。

 

 

 

 

五の道の霧の湖方面でも、やはり人形遣いとの戦闘と新しい人形との出会いが待っていた。

新しい人形の中でも目を引いたのが、人里で何回か会った女子高生、宇佐見 董子の姿をした人形だ。人形でも同じ帽子にマント姿で、摩訶不思議な力を行使してきた。

スカウターの説明によると、彼女は「超能力者」らしい。手にスプーンを持っていた理由は、それを見て納得がいった。

勿論仲間にしようと説得を試みたが、近づくと何故か酷く拒絶され逃げてしまった。今までにない反応だった為、少し心が傷つく。

 

今回結構な数の人形遣いと戦闘をした為、しんみょうまる人形の経験値が溜まりスタイルチェンジが可能となった。

タブレットを早速起動し、スタイル先を確認する。しんみょうまる人形は「ディフェンス」、「パワー」の2つようだ。

案の定スタイル先を迷ったが、スタイルは元のタイプと同じである「ディフェンス」に決定。「大地」タイプは使い勝手が良かったので、この先もそれを崩したくはないと思った次第である。

しんみょうまる人形の「ディフェンス」スタイルは、魔理沙の言っていたスタイルの中でも特殊なもののようで、「自分の集弾の威力を2倍、相手の集弾のダメージを半減」と、アビリティが強さの象徴となっているようだ。

これで残りのスタイルチェンジはこがさ人形、そして…まだ完全に仲間にはなっていないが、もう一体。

 

 

「…お、この辺がいいかな」

 

 

結構な距離を歩き、疲れた鏡介は小休止を挟もうと鏡介は河の畔に座り込む。そして、鞄から人形箱を取り出すとその中から毒壺を両手でそっと引き出した。

 

「…メディスン?起きてる?」

 

鏡介が呼び出すと、壺の口からひょっこりとメディスン人形の可愛らしい顔が出てくる。どうやらすっかり元気になってくれたようだ。

乱れていた金髪は綺麗になり、服も新調されている。

 

「ほら、見て御覧?河が日光に照らされて綺麗でしょ?」

 

河の方を指差しながら、メディスン人形と共に景色を楽しむことにした。

壺から出ることはしないものの、メディスン人形はその河を見つめてくれる。鏡介はそっと、怖がらせないように優しく頭を触るとメディスン人形は少しびっくりするが、嫌そうにはしていない。

 

 

『アビリティ:ポイズンボディ  発動』

 

 

スカウターが反応した。今この時にそんな情報は知りたくはないので、鏡介は右耳に手を伸ばしてスカウターの電源を落とす。

そして引き続き、メディスン人形との時間を過ごす。

 

「メディスン、大丈夫だよ。僕は君に酷いことなんてしないからね?毒は僕に効かないし、いくらでも甘えてくれていいんだからさ」

 

「それで…いつか一緒に来てくれて、助けてくれるなら…僕は嬉しいな」

 

頭を撫でながら、鏡介は自分の気持ちをメディスン人形に打ち明けた。

いつかユキ人形達と共にこの冒険を支えてくれる、パートナーとなってくれることを願って…

 

 

 

 

ーーそして気が付けば、すっかり日が沈んでいた。

 

今日はこの辺りで休もう。しんみょうまる人形が時間をかけて作ってくれた、この手作り寝袋で。

折角だし鈴仙から貰った「胡蝶夢丸」、飲んでみようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あった!この枕さえあれば、夢の世界に…フフフッ…楽しみね」

 

鏡介が人里を出た頃、光は自宅の蔵に置いてあった「スイート安眠枕」を持ち出していた。

親に見つからないようこっそりと抜き足、差し足、忍び足で。

 

そして同じく蔵に置いてあったアイテムを入れる用の鞄を持ち出す。これからは沢山のアイテムを管理することになるので、これはその為の準備だ。

 

「まぁ、これくらい大きければ十分よね。よし、しゅっぱ~つ!」

 

大声を出さず呟くように言いながら、光はその場を去って行った。

 

 

 

そして鏡介と光、この二人の再開はあまりにも早く訪れることとなるのであった。

 

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