人間と人形の幻想演舞   作:天衣

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分からない人用に言っておくと、元ネタは製作元が一緒である某二次創作リズムゲーム

そのままはどうかと思ったので、名前はこちらなりに変えております



第五十四章

紅魔館にて姿が小さな人形になってしまい、レミリアの用意した「人形達の舞踏会」なるものをやることになった鏡介。

 

まずは「一」の試練を難なく突破。次に「二」の試練へと挑戦をするところであった。

果たしてどのくらい用意されているのやら…

 

 

「二」の扉を抜けると、そこは見覚えのある風景。紅魔館の門前である。

今度は一体何をされるのだろう…辺りを見回してみると、やはり空に文字が浮かび上がっていた。

 

「侵入者を撃退せよ」…とある。今度はさっきと課題とは毛色が違うらしい。

 

 

『ここが第二の試練よ。今のあなたはここを守る門番「紅 美鈴(ほん めいりん)」となっているわ』

 

「え…!?あ、ホントだ…前と違う…」

 

レミリアの声がどこかから響いてくる。彼女の言う通り、気が付くと自分の体は「ルーミア」から最近見たことのある女の人の姿に変わっていた。

扉を抜けていく際に変えられたのだろうか…魔法恐るべし。

 

『美鈴は身体能力が抜群なのよ。…感じないかしら?溢れんばかりの力を』

 

「…確かに、そうですね…」

 

紅魔館の門前にいた、仕事をさぼり眠ていた中華風の女の人。彼女が「紅 美鈴(ほん めいりん)」らしい。

第一印象がアレだったから気にならなかったのだが、人形の身でもハッキリ分かる。鍛えられたこの肉体…一体どんな修行を積んで来たのだろう。

肉体だけではない。何やら体の奥から湧き出る謎の力…これは何だ?一度放出すれば、某格ゲーの「波動拳」でも出せそうではないか。

この人、こんなに強かったんだな…何で普段あんな感じなのだろうか。本気出せば魔理沙の侵入くらい軽く防げるだろうに。

 

…後、ルーミアにはなかったこの圧倒的胸囲の重み…で、でかい。何がとは言わないが。でも、そうか。大きい人って結構苦労しているんだな…。

 

『美鈴は門番の仕事をサボりがちなところがあるのが偶に傷ね。現にネズミが一匹入っているようだし…

 そういえばあなた、彼女とは一度会っているでしょう?ここに来たら招待するよう言っておいたのだけど、起きていた?』

 

「…あーえっと…彼女どうやら眠っていたので、そのまま黙って通らせて頂きました…」

 

『…うん、あいつ今月も減収。まぁ咲夜が後で叩き起こすでしょう』

 

どうやら普段からあの様子らしい。上司に何気なく報告してしまったが、どうか悪く思わないで欲しい。

鏡介(めいりん人形)は小さく合掌し、美鈴本人に対する追悼を行った。

 

『まぁそれは兎も角、ここの課題は単純明快。その力を使い、迫りくる敵をドンドン倒していけばクリアよ。一応ボスも用意してみたわ。人形となって実際に戦うことがここのテーマって訳ね』

 

「戦う…ですか。正直、自信ないですけど…」

 

『大丈夫よ、身体を動かしていく内に自然と分かってくる筈…ほら、早速来た』

 

「…!」

 

前を向くと、目の前に白い毛のフサフサした丸い生き物がこちらに向かって来ている。

とりあえず鏡介(めいりん)は戦闘態勢をとる為に構えようとするが、その時自然と体が動き中華っぽいあの独特の構えである「カンフー」のポーズをとっていた。

するつもりではなかったのに、こうすればいいと分かってしまった…何だこれは?鏡介(めいりん人形)は経験したことのない感覚に戸惑いつつも、迫って来ていた白い毛のふさふさした丸い生き物を迎え撃つ。

 

鏡介(めいりん人形)は呼吸を整える。目の前にいる白い毛のふさふさした丸い生き物…差し詰め、「毛玉」といっただろうところか。

その毛玉に意識を集中し、拳を引き足を大きく開いて構えると、強烈な「正拳突き(せいけんづき)」を放った。拳を食らい顔をめり込ませた毛玉は、その圧倒的パワーに耐えられず吹き飛ばされながら消滅していく。

 

何か身を任せたら出来ちゃったよ。あの生き物跡形もなくなっちゃったし…

鏡介(めいりん人形)は自分のやったことにも拘わらず、キョトンとした表情のまま固まる。

 

『そうそうその調子。…この人形という生き物は強い力を持っている。本人程ではないにしろ、凄まじいでしょう?』

 

「…はい。まさかこれ程とは…」

 

『実は今のあなたはかなりレベルの高い設定なの。しかも、まだ成長の余地を残している…。パチェもそうだけど、私にとっても人形は興味深い存在ね』

 

成程…この異常な力は実際にかなりステータスが高いからなのか。手持ちであるユキ人形達では現状こんな力は出せないと思っていたので、これで合点がいった。

本当に人形って凄い生き物なんだなと改めて実感する。今までにも何度かそれを感じてきたが、人形はずばり「可能性の塊」と言える。

 

そう思っていると、今度は二体の毛玉がこちらに迫って来た。今度は上下に分かれているようなのでここはひとつ、この溢れる気を上の毛玉に放ってみるか。

鏡介(めいりん人形)は両手を構え、上にいる毛玉に目掛けて「ブレイクショット」を放つ。丸鋸のような形をしたエネルギー弾幕は、上から飛んで来た毛玉を真っ二つに切り裂いた。

…やばい、某漫画の地球人最強の使うあの技みたいでカッコいい…。鏡介(めいりん人形)は自分の使う技に惚れ惚れする。

 

 

「!っと危ない…!」

 

 

だが下から来ていた毛玉の存在を忘れ接近を許してしまうが、それも難なく回避。

回避した勢いを逆に利用し、今度は鋭い回し蹴りである「チャージングスタン」をお見舞いする。当然、食らった毛玉は消滅。

最小限の動きでかわし、その隙を突く。実に鮮やかに決まった。

 

どちらかというとインドアで運動が苦手だった自分が今、こうして自在に動けているのが実に不思議だ。

身体を動かすことがこんなにも気持ちいいなんて…後で本人に頼んで色々教えて貰おうかな?

 

 

『中々やるわね。さぁ、今度は少し手強いわよ』

 

 

レミリアの忠告が聞こえてくると、さっきより少し大きめの毛玉が一体こちらに向かってきた。確かに今までのものと比べて耐久力はありそうだ。

鏡介はまず小手調べに少しい大きい毛玉に「正拳突き」を放つ。まともに食らった毛玉は顔がへこみ、動きが止まるが消滅はしない。これでは足りないようだ。

だがもう動けないようなので、とどめに片手に力を込めてそれを一気に振り下ろす「崩山掌(ほうざんしょう)」を食らわせる。

軽く地面にクレーターが出来、辺りはひび割れが発生するほどの衝撃。これには堪らず毛玉も消滅したようだ。…少しやりすぎただろうか?

 

だがそう思うのも束の間、次々と大きめの毛玉はやって来る。

強力な技を使った方がいいと判断した鏡介(めいりん人形)は呼吸を整え、エネルギーを片腕に集めると強大な拳を形成し、それで思いっきり振り上げる「天昇(てんしょう)」を放った。

巨大な拳を食らい天に吹き飛ばされた毛玉達はやがて見えなくなり、二度と戻ってくることはない。確認するまでもなく、毛玉は消滅していったのだろう。

 

まだ残っている毛玉達がいるので、今度はエネルギーを全身に込めてから飛び蹴りを放つ「捨命の型(しゃみょうのかた)」で突撃する。

下手をすれば使用者の命を落としかねない諸刃の攻撃…その威力はすさまじく、当たっていく毛玉達は激しく吹き飛ばされて塵も残さなかった。

毛玉を殲滅し、元に位置に返って来た鏡介(きょうすけ)は、大技の連発に少し息を切らす。

 

「はぁ…はぁ…流石に疲れた…」

 

強力な技はその威力と引き換えに、多少のリスクを伴う。身をもって経験した。

前にもユキ人形の覚醒時で使用し、その後倒れてしまったことを思い出す。こういった技はやはり使いどころを考える必要がありそうだ。

 

『あらあら、ちょっと張り切りすぎた?まだ最後のボスが残っているわよ。こんな調子で大丈夫なのかしら?』

 

「…や、やってやりますよっ!」

 

『…フフッ、それでこそ私が見込んだ人ね。これが最後の敵よ』

 

突然、目の前が影によって暗くなる。何事かと思い上を見上げると、空から何やら巨大な物体が降って来ていた。

それはこれまでとは比べ物にならない超巨大毛玉で、ざっと自分の身長の数十倍はあるだろう。流石の鏡介(めいりん人形)も、これには少したじろいだ。

地面に着地すると同時に、地面は激しく揺れてこちらの体制が崩れる。よく見ると頭上に王冠が乗っていた。どこか見覚えのあるフォルムだ。「キング毛玉」とでも呼んでおこうか。

 

これだけ巨大な敵だ。生半可な攻撃は効かないであろう。そう判断し、鏡介は先程使用した「天昇」を食らわすべく片腕にエネルギーを込める。

自分の人形にはこんな無茶はさせたくないが、今回は自分が人形。多少の無茶もしてみせよう。巨大な拳を形成し、鏡介(めいりん人形)はキング毛玉にそれを振り上げる。

 

確かに鏡介の右拳はキング毛玉に直撃した。しかしその刹那、その放漫すぎるボディに衝撃が吸収されてしまう。

それどころかその吸収された力が跳ね返り、こちらが吹き飛ばされてしまった。間一髪、空中で体勢を立て直すことが出来たが、あれ程の攻撃がまさかノーダメージとは…。

 

その後も何度か攻撃を食らわしてみたがまるで手応えがない。これは正攻法では勝つことが難しそうだ。

何か弱点はないのか?どこかにそれらしきものは…!あの王冠、少し怪しいな。ゲームで培った勘がそう言っている。

 

鏡介は両手を広げ、エネルギーを手元に集中し「ブレイクショット」を放つ。

すると、キング毛玉は何かを恐れたのか攻撃を受け止めることなく大きく息を吸い込み、強力なブレスで丸鋸弾幕を打ち落とす。

やっぱり、あの王冠の中に弱点がある。実はさっきの攻撃は囮で、本命は…

 

 

 

「 メテオ…インパクトォーーーーーッ!! 」

 

 

 

この使うのにチャージが必要な、「メテオインパクト」だ。

流星の如く降り注ぎ敵を打ち倒すこの大技…隙が大きいのでこうでもしなければ、直撃させるのは厳しかったであろう。

 

この攻撃により頭上にあった王冠は粉々に破壊され、丸見えになった頭が姿を現す。「ここが弱点です」と言わんばかりの絆創膏が見え、そこに自分が覚えている技の中での最大の技を叩き込む。

 

 

「……」

 

 

瞳を閉じ、自分の持つ全パワーをその拳に集中させる。後先を考えない。これで確実に仕留めるという絶対なる意思を持って、鏡介(めいりん人形)は技名を声高々に叫んだ。

 

 

 

「 真空っ!破断拳! 」

 

 

 

鏡介(めいりん人形)の拳が振り下ろされる瞬間、キング毛玉の脳天が勝ち割られて見る見るとそこを中心にへこんでいく。

攻撃を終えた鏡介(めいりん人形)はその場を離れ、静かに背を向けて佇む。そして次の瞬間、キング毛玉は光り輝くと盛大に爆発四散していった。

 

先程までやっていた「ヒーロー戦隊」みたいにカッコ付けてみたが、中々決まったのではないだろうか。ちるの人形達にもこの雄姿を見せてあげたかったな。

 

 

『お見事!よくぞ「毛玉・ザ・エンペラー」の弱点を見つけたわね。…正直悔しい気分だけれど(うー…頑張って作ったのに…)』

 

「いや、どうも…まぁ完全に勘でしたけどね……あ」

 

 

あれ程の大技を使用したこと、そして緊張の糸が切れたのが重なり、鏡介(めいりん人形)は立っていられなくなり尻餅をつく。…体がまるで動かない。

あの「真空破断拳(しんくうはだんけん)」という技…使うとこうしてしばらく動けなくなってしまうようだ。最後だったからって少し無茶をし過ぎた。というかあの毛玉、そんな名前だったのか。

 

 

『これで第二の試練もクリア。次は「三」の扉に…と言いたいところだけど、流石に休憩が必要かしらね?』

 

「…お、お願いします…」

 

 

レミリアの気遣いに甘え、鏡介(きょうすけ)はその場で横になり休憩を挟むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休息が終わり、次の「三」の扉へと進んでいった鏡介(めいりん人形)。

今度は誰の姿になり何をやらされるのか…それはここを作ったレミリアのみぞ知る。

 

扉を抜けると、そこは紅魔館の広大なベランダであった。そして自分の姿は…やっぱり変わっている。メイド服を着た女性に。

髪は銀髪のボブ。両端を三つ編みにしていて、そこに緑のリボンを付けている。紅魔館のメイドの一人だろうか…見るからに妖精ではなさそうだ。

そして身体の節々から何やら硬いものが…何だろう…!これは、ナイフ?護身用だろうか?それにしてはかなりの数だ。

 

 

『第三の試練にようこそ。あなたは今、私の誠実な部下であり、ここのメイド長である「十六夜 咲夜(いざよい さくや)」になっているわ』

 

「メイド長…ですか」

 

『咲夜はここの家事全般をこなしているわ。ここで唯一の「人間」でもあるわね』

 

 

この人はどうやら結構偉い立場にあるらしい。成程、人間なのか…って、え?こんな悪魔の住んでいる屋敷に人間…?正気か?バイトにしても場所を選んだ方が…

 

鏡介(さくや人形)は、元になった人物の素性に驚きを隠せなかった。

この世界の人間は何と言うか、本当に逞しいというか怖いもの知らずだと思う。レミリアに対して恩でもあるのだろうか?まぁ何か事情があるのだろうが…すごく気になる。

 

『さて、完全で瀟洒なメイド長になったあなたに次のお題よ。ここの妖精メイド達に紅茶を振舞いなさい』

 

「紅茶?…あ、何かいつの間にか手に持ってる…」

 

気が付くと、手元にお洒落な紅茶のティーポッドがあることに気が付く。

そして横にはカップを持った大量の妖精メイド達の行列がある。…まさか、これ全部を?マジ?

 

『メイド長たるもの、量の一切の狂いは許されないわ。ここではあなたの「正確さ」を見させて貰うわよ』

 

「えっそんな急に言われても」

 

『はい、それじゃスタート!』

 

レミリアの開始の合図と共に、待機していた妖精メイド達は一斉に動き出す。ご丁寧に列を崩さず並びながらだ。

とんだ無茶ぶりもいいところである。どれくらいが適量かも聞いてないし…ええいままよ!

 

鏡介(さくや人形)は一匹目の妖精メイドに紅茶を注ぐ。よくカップを見てみると、意味深な横線が張られていることに気が付く。

何だ、ちゃんと目安は教えてくれるのね…。ひとまずはどうにかなりそうで安心した。

 

目安のところまで到達したところで紅茶を注ぎ終えると、妖精メイドはベランダにある席へ向かっていった。だが、その妖精メイドはどこか悲しげな顔を浮かべている。

何かが駄目だったらしい。我ながら上手く注げたと思ったのだが…思ったより厳しい判定をしているようだ。レミリアの言う通り、本当に一切の狂いも許されないらしい。

これがメイド長の日常だとでもいうのか…骨が折れそうだ。

 

 

 

こうして次々と来る妖精メイド達に紅茶を振舞い続けること早30分…足が痛い。背中も痛い。本人の癖からか、いつもより背筋をピンと伸ばし続けているのだが、これがきつい。

人間の身である為、これは共感出来る痛みであるが…メイド長たるものその素振りを見せないようにしようとしてしまう。彼女はいつもこんな過酷な仕事を一人で…?

 

レミリアはこの試練のテーマを「正確さ」と言っていたが、これはどちらかと言うと「忍耐」に近いのではないだろうか。

痛みを我慢することで頭が一杯で、正確さがどうしても欠けてしまう。これではメイド長である本人には遠く及ばない…クリア出来るのかコレ?

 

 

「……はっ!?」

 

 

何か、妖精メイド達の列の向こうから威圧感を感じる。他とは違う何かが、いる。確実にいる。

鏡介(さくや人形)は紅茶を注ぎ続けながらその正体を恐る恐る見てみると、それは小さなレミリアの姿をした人形であった。大きめのカップを持ち、紅茶が注がれるのを心待ちにしているように見える。

 

その時、鏡介(さくや人形)に電流走る。

 

 

身体に力が漲り、落ちかけていた背筋を元に戻す。こ、これが本人の忠誠心だとでもいうのか…凄まじい精神力だ。

 

 

自身の主に振舞う紅茶。これだけは、絶対にしくじってはならない。

 

 

鏡介は(さくや人形)次にやって来るれみりあ人形に自分のすべてを捧げるべく、細心の注意を払ってその大きめのカップに紅茶を注ぐ。

ティーポッドから流れる紅茶がカップに渦を巻いていき、その様子をれみりあ人形はキラキラした目で眺めていた。主の嬉しそうな表情に思わず笑みが零れるが、今は紅茶を注ぐことに集中する。

数々の妖精メイド達に振舞った経験から、最も最適な注ぎ方を徐々にマスターしていった鏡介(さくや人形)。その腕は本人には及ばないものの、最早一流のものであった。

 

やがて紅茶を注ぎ終わり、鏡介(さくや人形)は静かに佇む。れみりあ人形は満面の笑みを浮かべ、その場でカップを片手に持つ。

香りを楽しみ、一杯飲んで味を堪能したところで、れみりあ人形はこう言った。

 

 

 

「ギリごーかくーー!」

 

 

 

れみりあ人形自身から、「可」の判定を貰う。鏡介(さくや人形)はそれを静かに聞き入れ、深くお辞儀するのであった。

 

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