人間と人形の幻想演舞   作:天衣

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ーー追記ーー
形式を意識して文章を一部変えたりしてみました。
多分、今出している全話(序章~17章)そうします。ご了承ください。


第六章

 

普通の西洋人形使い 魔理沙が 勝負を仕掛けてきた!

 

 

「さっきは不意打ちみたいになっちまったからな。お詫びに、今回も先手はお前に譲ってやるよ」

 

まりさ人形は人差し指を軽く動かし、ユキ人形を挑発する。

それを見たユキ人形はムカッとするが、冷静になり鏡介の指示を待つ。

 

「…よし、じゃあ行くよ! ユキ! 陽の気力だ!」

 

ユキ人形に指示を出す。

 

するとユキ人形は両手を上げ、その瞬間に青い弾幕が放たれた。

青い弾幕は扇状に広がりばらけながら、まりさ人形を襲う。

 

「まりさ!こっちも陽の気力だ!」

 

「何!?」

 

まりさ人形は人差し指をユキに向けると、その指から青い弾幕を放たれた。青い弾幕同士がぶつかり合い、火花が散る。

そしてユキ人形の弾幕がわずかに残り、まりさ人形を襲った。

 

「ッ!」  

 

まりさ人形は対応しきれず、数発被弾する。

 

「…へぇ。少しは出来るみたいだな」

 

「まさか同じ技で来るとは…でも何とかなった。いいぞ、ユキ!」

 

「(^^)b」

 

 

まりさ人形の真似だろうか。

こちらを向き親指を立てて答える。可愛い。

 

「よし、反撃だまりさ!陰の気力!」

 

まりさ人形は箒を振り回し、赤い弾幕を放つ。

 

「次はそうはいかない!かわせ、ユキ!」

 

指示を受けるとユキは一点に集中した弾幕を、素早くジャンプしてかわす。

 

「よしえらい!」

 

よかった。今度はうまくいったぞ…!

 

「いいのか?むしろこっちはその行動を待ってたんだぜっ!」

 

「え…!?」

 

「まりさ! 距離を詰めてからもう一度 陰の気力だ!」

 

まりさ人形はユキに向かってダッシュし距離を詰めると、箒から赤い弾幕を放った。

 

「…!よ、よけて!」

 

指示を出すが、ユキ人形はジャンプして身動きが取れない。そして、

 

「ーーッ!!」 

 

弾幕をもろに食らってしまった。ユキ人形は数m吹き飛ばされる。

 

「だ、大丈夫かユキ!?」

 

「へへっ、今のは効いただろ!」

 

ユキ人形はしばらくして立ち上がる。

しかしフラフラだ。相当なダメージを負ってしまっている。後一発食らえばやられてしまうだろう。

 

「ほう、まだ立ち上がるか」

 

「…くっ!」

 

鏡介は頭を必死に回転させ、考える。しかしいい作戦は浮かばない。

 

「(…ここまでか?もう駄目なのか?)」

 

すると、

 

「舞島さん」

 

「…え?」

 

早苗が呼びかけてきた。

 

「人形バトルは攻撃するだけじゃありません。いろんな技を駆使して戦うんですよ。

 あなたの人形が覚えている技、もう一度見つめ直して下さい。諦めるにはまだまだ早いです」

 

「…早苗さん。…!そうか、まだ出してない技があった!」

 

「おいおい、お前は審判だろうが。舞島の味方すんなよー」

 

早苗のヒントで一つ希望が出てきた。

まだ出していないもう一つの技。これにすべてを賭ける。

 

「さて、そろそろおしまいにするぜ!まりさ!とどめの陰の気力!」

 

まりさ人形が力を込めて箒を振りかざそうとするその瞬間、

 

「ユキ! 摩擦熱!」

 

指示を受けたユキ人形は火の粉を纏い、それをまりさ人形に向けて飛ばした。

 

「!?」

 

それを食らったまりさ人形はお尻に火が付き、バタバタと暴れだす。

 

「な、何ぃ!?火傷にする技だとぉ!?」

 

「ーッ!ーッ!」

 

まりさ人形は火を消すのに必死で攻撃どころではない。

 

「…今がチャンスっ!ユキ! 陽の気力!」

 

隙だらけになったまりさ人形に、ユキ人形は力を振り絞り弾幕を放つ。

 

「くっ!まりさ!陰の気力で応戦しろ!」

 

まりさ人形も苦しみながら弾幕を放つ。

が、狙いが定まらず明後日の方向へ飛んでいってしまう。そして、

 

「ーーーーッ!!!」

 

もろに弾幕を食らってしまった。

まりさ人形は目を回し、倒れたままピクリとも動かない。

 

「……まりさ人形、戦闘不能!勝者は舞島さんです!」

 

早苗がまりさ人形の状態を見て、そう宣言する。

 

「や、やったっ!! ユキ、よく頑張った!」

 

「♪~」

 

感極まり、ユキ人形を抱きかかえ頭を撫でる。

ユキ人形も嬉しいのか、満面の笑みを浮かべている。

 

「お見事です、舞島さん!」

 

「ちぇ、まさか負けちまうとはな。…戻れ、まりさ」

 

魔理沙は人形を宝石に戻すと、鏡介に歩み寄る。

 

「見事だ、舞島。初めてのくせにやるじゃないか。これならお前でも何か出来るかもしれないな」

 

「そ、そうですか?ありがとうございます」

 

魔理沙に認められ、ちょっと自信がつく。

 

「それじゃ後は早苗に任せて私はもう行くぜ!霊夢に負けてられないからな!」

 

そう言うと魔理沙は箒に乗ってすごいスピードでどこかへ飛んでいってしまった。

 

「(はえぇ…異世界すごい…)」

 

「…行っちゃいましたね」

 

早苗は魔理沙を見送った後、鏡介の方を見てこう言った。

 

「…私は舞島さんに人形が懐いたことが気になるんですよね。

 強化された結界を超えてきたこともありますし、舞島さんには何かある気がするんですよ。うーん…」

 

「(…やっぱりこの状態は異例なのかな?…あ、そうか。ポケ〇ンでいうところのボールを一切使ってないんだからな…)」

 

早苗は考え込んだ後、

 

「…そうだ!」

 

何かを思いついたようだ。

 

「人里(ひとざと)に人形について調べている人がいたはずなので、そこに行けば何かわかるかもしれません」

 

「人里…ですか?」

 

「はい。あそこでは色々な情報が聞けると思いますし、まずはそちらに向かってはいかがでしょう?

 私は霊夢さんが出かけたら、またお留守番を頼まれてしまうでしょうから一緒には行けませんが…けどその人形がいれば大丈夫です。きっと舞島さんの力になってくれますよ!」

 

「分かりました。じゃあまずは人里という場所に向かいたいと思います。どっちに向かえばいいんでしょう?」

 

「神社を出て西に行ったところにありますよ。途中に看板があるはずです」

 

「西ですね。ありがとうございます!」

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

早苗に人里という場所を教えてもらったので、早速その場所に向かおうとすると、

 

「あ!待ってください!」

 

何かを思い出したようで、早苗は急いで追いかけてくる。

 

「忘れるところでした…。人形と一緒とはいえ、いきなり一人で山道を抜けるのは大変でしょうから、こちらで使えそうなものを探してきたんです!こちらをどうぞ!」

 

そういうと早苗は、何やら和風なデザインをした直径20cm程の四角い箱を取り出す。

 

「え?そんなわざわざありがとうございます!…この箱は何でしょうか?」

 

「これは人形を保管しておくボックスです。人形達のお家みたいなものですね。

 舞島さんがこれから人形を捕まえた際に、持てなくなった人形を入れるのに使ってください」

 

「…そんなに種類がいるんですか?」

 

「えぇ。それはもうたくさん」

 

「そうなんですか……あ」

 

ふと外の世界にいた頃の記憶が蘇る。そう、あの中年男性が出した厚めの本。      

あれには東方projectの百近くキャラがぎっしりと載っていた。

 

つまり、そういうことである。

 

「…はぁ…なるほど…了解です…」

 

「?えぇ、頑張って下さいね!後、こちらも受け取ってください」

 

そういって早苗は次に渡すものを取り出そうとする。しかし、

 

「…あら?」

 

スカートのポケットを漁っているが、そこに入れたものがないことに気付く。

 

「…おかしいですね?確かにここに入れたんですけど…」

 

「どうしました?」

 

早苗はしばらく探し続けるが、やはりどこにもない。そしてひとつの仮定を立てた。

 

「!まさか、魔理沙さんに盗まれた!?…もう、本当にあの人は手癖が悪いです!」

 

「えっと…?」

 

早苗はこの犯行をしたであろう人物に怒りを覚えた後、申し訳なさそうにこちらに事情を話す。

 

「…ごめんなさい。もう一つアイテムを渡すつもりだったのですが…。気付いたら手持ちからなくなってしまいました…」

 

「あらら。まぁ気にしないでください」

 

「渡したかったアイテムはこれなのですが…」

 

そういうと早苗は手持ちから、ひし形の宝石を出す。

 

「あ、これって…」

 

「そうです。私と魔理沙さんが戦った時にチラッと見たでしょう?

 これは『封印の糸(ふういんのいと)』っていいます。本来、人形はこれで捕まえることが出来るんです」

 

「なるほど…」

 

「これをいくつか舞島さんに渡すはずだったんですが…ごめんなさい。

 今はこれ以上持ち合わせがないんです。一応、休憩所に行商人の人がいたら買うとこが出来ますから」

 

「一般的に売っているんですね。わかりました!そこで買います」

 

「すみません、お願いします」

 

早苗は申し訳なさそうにこちらにお辞儀する。

 

まぁ、物をなくすなんてよくあることだ。

あまり責められないし、そもそも責めたくない。

 

「じゃあ、そろそろ行きます!ありがとうございました!」

 

「はい!行ってらっしゃい!」

 

 

こうして、人間と人形の不思議な冒険が始まったのであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「♪~」 

 

封印の糸の入った小袋を楽しそうにぶら下げながら、一体の人形は消え去った。

 

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