人間と人形の幻想演舞 作:天衣
形式を意識して文章を一部変えたりしてみました。
多分、今出している全話(序章~17章)そうします。ご了承ください。
早苗から人里に向かうことを提案された鏡介は、博麗神社の石段を下りて一の道に来ていた。
「…やっぱり地形が変わっているな」
外の世界にあった道路がそこにはなく、森と道が広がっている。改めて異世界に来たことを痛感する。
だがそれと同時にワクワクしている自分がいた。何せこんな体験、滅多に出来ない。
「よし、行こう」
坂道を下っていく。すると、近くの草むらが揺れた。
「ッ!早速来たか!?」
人形が現れる。
見た目は緑髪でサイドテール、そして背中から羽?みたいなものが生えている。
「(か、可愛い…!)」
人形はこちらを見て怖がっているのか、かなり警戒していた。
スカウターで見てみる。
『名前:だいようせい 種族:妖精 説明:臆病な性格』
妖精…。異世界の代名詞といえる種族だ。
「(うーん、どうするか…仲間に出来ないかな?)」
そう思い近づくと、
「…ッ!!」
ビックリして逃げ出してしまった。
「あいたっ!」
首に股がっていたユキ人形に頭を叩かれる。
人形は危ないと言われたのにあまりに軽率な行動であった。
「ごめんごめん、迂闊だったな」
「(`・ω・´)」
人形のあまりの可愛さに思考停止で近づいてしまった。反省反省。
「人形には気を付けないとな」
そう言って先程よりも気を引き締めて進むと、
「ん?誰かいる…」
正面に男性の姿が見える。何やらそこに立ち止まり、誰かが通るのを待っているようだ。
「…一体何してるんだろう?…まぁいいか」
男性の前を通り過ぎようとすると、
「おっと!待ちな君っ!」
「え…!?」
「目と目があったら人形バトル!」
「ちょ、ちょっとそんないきなり!?」
新米人形使いの こういちが 勝負を仕掛けてきた!
「行くぞ! いけ! ナズーリン!」
「…仕方ない! ユキ!」
ユキ人形は元気よく飛び出す。
まさかこんなに早く人形バトルをするとは思わなかった。
目と目があったらバトルなんて本当にあのゲームじゃないか。
相手の人形は、ネズミの耳が頭から生えていて黒色の服を着ている。
尻尾もあるようだ。籠を器用に持ち上げている。胸元には青い宝石をぶら下げて、手に金属の棒…ダウジングロッド?を持っていた。
ナズーリンと呼ばれている人形をスカウターで見てみる。
『名前:ナズーリン 種族:妖怪 説明:物を探すのが得意』
…なるほど。妖怪なんだ。
「ナズーリン! 陰の気力!」
男はナズーリン人形に指示を出す。
ナズーリン人形は手に持ってるダウジングロッドをかざして赤い弾幕を放った。
「かわせ! ユキ!」
ユキはジャンプしてかわす。
「そのまま 陽の気力!」
ユキは両手を広げ青い弾幕を放つ。
「なっ!?」
「(魔理沙さんとの戦いでジャンプの隙を狙われたからな。今度はそうはいかないぞ…!)」
弾幕はナズーリン人形を囲むように、扇状に広がりばらけて飛んでいく。そして、
「―――ッ!!」
見事に命中した。
ナズーリン人形は目を回し、倒れている。戦闘不能だ。
「負けちまったか…。やるなあんた」
「あはは…どうもです」
何なく勝利。こんなにうまくいくとは。
「この先も人形バトルをしかけてくる奴らがいっぱいいるから、気を付けなよ」
「あ、はい。わざわざありがとうございます」
男性に忠告を受け、鏡介は先に進む。
しばらくすると何やら建物が見える。
近くに看板があるので見てみた。
『疲れた時は休憩所!気軽にお立ち寄り下さい。』…と書かれていた。
「休憩所!ここだ」
早苗が言っていた休憩所という場所にたどり着いた。
とりあえず安心し、ホッと息をつく。
「よし、早速入ろうか。ユキ、お前も疲れたろ?」
「(´-ω-`)」
連戦続きだった為、ユキ人形も相当消耗している。そろそろ休息が必要だと思っていたところだ。
鏡介は休憩所へと足を運ぶ。
「いらっしゃいませ!」
休憩所に入ると、受付にいる待娘が元気よく挨拶をした。
とりあえず受付に向かう。
「いらっしゃいませ!人形の回復をしますか?」
「人形?…あぁ、そうか。人形の回復をしてくれるところなんですね」
ポケ〇ンセンターね。成程。
「えぇ、それでどうしますか?」
「はい、是非お願いします。ほら、ユキ」
ユキ人形を抱え、待娘に渡す。
「じゃあ、お願いします」
「はい!しばらく時間がかかるのでお待ちくださいね」
そう言うと待娘はユキ人形を抱え、奥の部屋に移動した。
「…さてと」
休憩所を見回る。
「…早苗さんが言っていた行商人の人はいなさそうだな…」
封印の糸というアイテムが欲しかったのだが…残念だ。
しょうがないので外に出て、人形の回復を待つ。
「まだ捕まえるのはお預けかー…」
そう呟き、近くの長椅子に腰掛ける。
「回復が済んだら次は人里行って、それからえっと」
あらかじめ次の目標を決めていると、
「…ッ……ッ」
「…ん?」
休憩場の後ろから何かが聞こえる。
「何だ?…誰かが泣いているような声が…」
気になってしまい、その声がする方へ向かう。すると、
「ヒック…ヒック…」
「…人形?」
紫のショートヘアーにお椀を被り、ピンク色の着物を着ている人形が泣いていた。
「(助けてあげたいけど…ついさっきユキに怒られちゃったからなぁ。近づくのはやめとかないと)」
鏡介は引き返そうとするが、
「(………でもやっぱり……!)」
自分の良心がそれを許さなかった。人形に近づき、しゃがみ込む。…また怒られちゃうな。
「どうしたの?」
「ヒック…(;_;)?」
人形は声に気付き、こちらを向く。
人形は何故か警戒する様子はなく、鏡介を真っすぐ見据えていた。
「怪我しちゃったの?」
泣いている理由をやさしく聞いてみる。
人形は首を横に振る。怪我してはいないようだ。
「じゃあ、何かなくしちゃっとか?」
「…」
人形はしばらく貯めた後に首を縦に振った。当たりのようだ。
「そっか…。じゃあ、僕が探すの手伝ってあげるよ!」
「…!」
人形は鏡介が言ったことに驚いた様子を見せるが、嬉しそうな顔を浮かべる。
「どういう物か教えてくれないかな?」
それを聞いた人形は、木の枝を持ってなくした物の絵を地面に描き始めた。
小さな両手で一生懸命描いている。可愛い。
しばらくして、絵が完成する。結構精密に書いてくれた。器用な子らしい。
「えーっと、木槌…かな?」
人形は頷く。それで合ってるみたいだ。
「オッケー、探してみるよ!」
人形が描いた絵を元に、なくした物を探してあげる鏡介であった。