AK-12の禁止リスト 連載版   作:一ノ瀬0512

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この物語は


作者がP90爆死した頭で深く考えず


AK-12の禁止リストの単発版を元に考え出したお話です


0-2周回でもしながらお読みください





第一話 コルトSAA「AK-12はコルトSAAに対してコーラを使ったいかなる食物もあたえてはいけません」

グリフィンS13支部。特徴がないのが特徴の地区である。

この地区の特徴のない基地の特徴のない食堂の朝を覗いてみよう。

食堂に一人の戦術人形がやってきた。彼女の目には隈ができ、肌はボロボロである。まるで徹夜で鉄血人形と戦ってきたかのような有様である。

そんな彼女の名前はコルトSAA。ピースメーカーともいわれ西部開拓時代に使用され現在でも生産が続く、45LC弾を使用するシングルアクションリボルバーの戦術人形である。

彼女はメニューを開き食事を注文する「ねえ、コーラはあるの?」

食堂の自律人形は「コーラハアリマセン」と答える。それでも粘って聞き続けるが食堂の自律人形は「コーラハアリマセン」と答える。この自律人形には大したAIは搭載されていない。SAAは諦めコーヒーとモーニングCセットを注文する。

数分後モーニングCセットが来た。

合成トーストに合成目玉焼きとこんがり焼いた合成肉ソーセージ。そしてバイオサラダ。

典型的なモーニングセットである。この時代では典型的なのである。

話がいきなり変わるが皆は目玉焼きに何をかけるのだろうか。ソースや醤油、ウスターソース、塩コショウ。色々ある。ちなみに作者は塩コショウ派だ。成人するまでそれ以外のものを目玉焼きにかけるというのを知らなった。

 

では彼女は何をかけるのだろうか。彼女はポケットからとある瓶を取り出す。

蓋を開け液体をかける。暖かい目玉焼きが一瞬にして冷め、炭酸がはじける音とか甘い匂いと合成目玉焼きの匂いが融合した食欲を落とす匂いが立ち込める。

彼女はそう、目玉焼きにはコーラをかけるのだ。

その目玉焼きを彼女は美味しそうに食べる。合成トーストや合成ソーセージにもコーラをかける。そしてドリンクのホットコーヒーにもコーラを混ぜる。コーヒーのコーラ割り。人によっては棺桶を担いで踊るガーナ人達が見えそうな飲み物だ。作者には見えたので読者の皆様にも挑戦してみてほしい。

そんなどんよりするモーニングを食べているコルトSAA。徹夜明けのような眼の隈はとれ、肌もツヤツヤになってきている。本当に普通のコーラなのだろうか。ナノマシンコーラか何かなのではないか。

そんな悪夢の続きみたいなモーニングを堪能している所に近づく者が一人。

「こら、コルト!あれ程コーラは止めろと言ったのに。そもそも何処で手に入れた!?」

指揮官が近づいてる来る。指揮官は明らかに怒っている。目玉焼きにコーラをかけるのは確かにおかしいがそこまで怒ることだろうか。

「砂糖中毒から人形初の糖尿病になったの忘れたのか!それから失明して新しいボディになったんだぞ!」

このコルトSAAはどうやら偏食家どころか病的な偏食家らしい。いや、実際に病気になってる当たり病気の偏食家だろうか。

指揮官が怒りながらコルトSAAからコーラを取り上げようとする。しかし彼女は全力で抵抗する。こうなると指揮官の力ではどうにもならない。小さい女の子に見えても戦術人形、成人男性と同じ程度の力はあるのだ。

指揮官は諦め、何処でコーラを手に入れたか聞く。コルトSAAが糖尿病から失明した後、基地内のコーラは全て廃棄処分したのだ。基地に食料品を納入する業者にもコーラは入れないように言っているし、後方幕僚のカリーナにも言ってある。街の巡回を担当する戦術人形にもコーラは持ち帰らないように言っている。

コルトSAAは白状した。

「AK-12さんから貰ったの」

やはりかと指揮官は思った。あの女の能力なら何処からか基地にコーラを入れることも不可能ではない。指揮官は気が緩んだコルトからコーラを取り上げAK-12の部屋へ向かった。

指揮官がいなくなったコルトSAAはズボンのポケットから予備のコーラを取り出した。あの見た目でさらにコーラ入るスペースがあるのかと疑問にお思いだろうが、戦術人形とはいえ女の子。そして女の子には秘密が多いのである。

 

 

ところ変わってこちらはAK-12の部屋。

何処から調達したのか合成じゃない本物の麦を使ったトーストにこちらも本物の卵。そして本物の豚肉で作られたソーセージ。ウルトラモーニングCセットと言えるべき内容だ。飲み物はオレンジジュース。このオレンジジュースももちろん本物のオレンジから絞り出した物だ。レーションに入ってるアレではない。

入れてくれるのはミニスカメイド服姿のAN-94。太ももの絶対領域がたまらない。

2060年代とは思えない優雅な朝。そんな素晴らしい朝を過ごしていたが指揮官がノックもせず入ってきた。

指揮官の顔には青筋が浮かんでいる。AK-12には心当たりがあった。

「AN-94にジャパニーズホワイトスクミズを着せて夜中に基地を散歩していた件よね」

「そう!それ!って違う。コルトSAAにコーラを渡した件だ。何故渡したんだ!コルトSAAのコーラ中毒の件ならしってるだろ!」

一瞬だけ乗せられかかり、それはそれで気になりかけたが学生時代のサトーで培ったワサビのスピリッツでコルトの件を問い詰める。

AK-12はその端正な顔をゆがめることなく、いつも通り目を閉じたまま答える。

「あぁ、その事。単に興味深かったからよ。彼女の話は私も聞いたわ。戦術人形がまさかの成人病だなんて。だけど彼女が糖尿病からの失明でボディを新しくしたのは私がくる少し前なのよ」

だから見て見たかったと彼女は答えた。

実に自分勝手な理由である。この戦術人形、様々なことに興味をもち、その高い能力で問題を起こすこともあるのだ。

問題を起こすだけなら即解体処分にすればいいだけだが、作戦行動で極めて高い戦果を出すため解体処分もできない。

この間も相棒のAN-94と二人だけで犯罪組織を壊滅させた。本社からも些細なことは見逃すように言われている。

コルトSAAはきっと止められない。そのうち厨房の砂糖まで漁りだす。

指揮官は考えた。AK-12に自身にこれ以上コーラをあげられない事を言わせればよいのだ。後ろに自身がいればコルトSAAもAK-12も納得するだろう。

指揮官はAK-12に自身の口からコルトSAAにもうコーラはあげられない事を伝えるようAK-12に命令したらAK-12は素直にしたがった。

そして執務室にコルトSAAを呼び出した。

「コルト、ごめんね、もうコーラは上げられないの」

「うん、分かったよAK-12さん。あたしのせいで指揮官に怒られちゃったよね。ごめんなさい」

AK-12はコルトSAAの頭を撫で彼女に退室するよう即した。コルトSAAは退室していく。

「指揮官、これでいい?」

勝手に退室させた事に文句を言いたいが、サトーで培ったワサビスピリッツで乗り切った。

「あぁ、これでいい。コルトSAAには糖分をあげるなよ。退室してよし」

AK-12は敬礼をして退室していった。嫌味のつもりか何かなのか。たまったストレスは甘いものを食べて鎮静化させるに限る。指揮官は合成シナモンロールを食べた。そして秘蔵の高級合成サイダーで喉を潤す。

ふと気になり、部屋の片隅にある防犯カメラをみた。一瞬だが誰かに見られているような気がしたのだ。

 

深夜1時。自室で寝ていた指揮官は目が覚めた。変な夢でも見たのだろうか、物凄い汗をかいている。枕元に置いてあった安物合成サイダーを飲み干した。少し小腹がすいたなと思い冷蔵庫の仲を見渡しても食べ物は入っていない。他の基地の指揮官専属メイドと化しているG36なら食べ物を補充してくれたりもするのだがこの基地のG36は指揮官の事をご主人様と呼ぶものの、人形宿舎の管理人のような形になっている。

G36曰く、この基地全体に仕えているのだとか。遠回しに指揮官の専属メイドではないと言っているのである。

この時間、売店はやっていないが合成エネルギーバーの自動販売機はある。エネルギーバーという時点で合成じゃないのかとお思いだろうが、食品会社は近未来感を出すために合成とつけたらしい。

 

自動販売機にたどり着くと先客がいた。暗くてシルエットしか見えないが、小柄な体格からしてハンドガンだろうか。しゃがんで何かをしようとしている。P7が小銭でも漁っているのだろうか。それとも何かいたずらの仕込みで見しようとしているのだろうか。

他の人形や訪れたグリフィン社員、出入り業者も自動販売機を利用するため本格的ないたずらはまずい。幸い相手はこちらに気づいている様子はない。後ろから不意打ち気味にで大声で注意すれば仕込みをやめて逃げるだろう。そう思い、指揮官は足音を消し、さらに近づいた。

近づくと人形の姿が見えてきた。P7じゃなくコルトSAAだ。彼女も空腹で何かを買いに来たのだろうか。

コルトSAAは後ろに誰かが近づいてくるのに気づき素早く銃を抜いた。

「おいおい、俺だ。俺だよ」

指揮官は両腕を挙げながらコルトSAAに自分であることを伝えた。それでも彼女は銃を下ろさない。無言で接近したのを怒っているのだろうか。それとも深夜の買い食いを黙ってろとの事だろうか。

他の人形が自販機にいたずらしようとしていると思い、それを注意しようとしたこと、コルトSAAが買い食いを使用としていたことを言わない事を説明した。

説明はしたのだが、コルトSAAの様子がおかしい。

あれから言いつけを守りコーラを飲んでいないのだろう。ボロボロの肌に目にはすごい隈。そこはいい。今は禁断症状でそうなっているだけで時期に治ると思う。自分を見る眼付きだ。こちらを見ているのだが、別のものとして認識している気がする。

人間でいうと寝ぼけているのかもしれないと思いもう一度説明する。

「俺だ、指揮官だ。暗くてよく見えないがしゃがんでたし、P7が小銭漁っているか自販機に悪戯の仕込みをしようとしていると思ってな。それを注意しようと思って足音を消して近づいたんだ。それにコルトがいたことも言わないよ。夜食を買ってるのを見られて恥ずかしい気持なんか俺にはよく分からないが、女の子にはいろいろあるんだろ。それくらいは分かる。だからな、銃を下ろそう」

指揮官がもう一度説明するもコルトSAAが銃を下ろす様子はない。

コルトSAAはこちらをじっと見ているが、寝ぼけているわけではないのに指揮官を別のものとして認識しているように思える。

もしかしてウイルスか何かで認識を変えられているんだろうか。だとしたら誰か呼ばなければ。

そう思いポケットに手を入れるも携帯端末は部屋に置いたまま。指揮官はゆっくりと後ずさり、タイミングを見計らって逃げようとしたがそれをさっちしたのか、コルトSAAが口を開いた。

「あー、コーラが逃げようとしてる」

指揮官はわけが分からなかったがとりあえずコーラではないと伝えたかったが言えなかった。

コルトSAAが発砲したのだ。銃弾は首に当たり指揮官の首から血が噴き出る。コルトSAAは口を大きくあけながらその返り血を浴びる。

すると目の隈はとれ、肌はツルツルになる。まるでコーラを飲んだかのように。

コルトSAAはそのまま指揮官の首に吸いついた。止血ではない。今の彼女は指揮官をコーラの缶だと認識している。缶に穴が開いて中身がこぼれるともったいないから吸いついて飲みほそうとしているのだ。

指揮官は残った力でコルトSAAを振りほどこうとしているが当然できるはずがなく、徐々に身体から力が抜けて、そのまま動かなくなった。

 

やがて指揮官の心臓も止まり、全ての血液を飲み干したのか、コルトSAAは満足して自室に戻っていった。

 

数分後、指揮官の死体に近づく影が二つ。

AK-12とAN-94だ。AK-12は自身の好奇心が満たせたのか心なしか満足そうだが、AN-94は指揮官死亡に動揺している。コルトSAAが指揮官に発砲しただけではなく吸血鬼のごとく嚙みついて失血多量で死亡させたのだ。それが普通だろう。

「AK-12、コルトSAAは何故こんなことを?朝の件で恨んでいるのなら普通に殺すだけで十分だと思うけど」

AN-94の疑問は当然だ。

「コルトSAAに指揮官を殺したつもりはないわ」

どういう事だろうか。発砲して噛みついたのに殺したつもりはない?AK-12の答えがよく分からず、AN-94は首を傾げた。

その仕草が可愛かったのか、AN-94の頭を撫でながら答えた。

「私は昨日正確には一昨日かしら。彼女にコーラをあげたの。戦術人形が重度の砂糖中毒から成人病になるなんて興味深かったからね」

AK-12は何処からか瓶のコーラを出し一口飲んだ。

「彼女は肌がボロボロで目にも隈ができていた。人形にこんなこというのもあれだけど、生気がなかった。なのにコーラをあげたらまるで快速修復契約で快速修復したみたいに治ったのよ。当然市販のコーラで特殊なものなんて何一つ入ってない。他の戦術人形が飲んでも普通の炭酸飲料。今飲んでるのは彼女に挙げたのと同じものよ。AN-94、あなたも飲んでみて」

AN-94に自身が持っているコーラを手渡し飲ませる。AK-12が口を付けたコーラ。

AN-94も飲んでみる。飲み物としては普通のコーラだがAK-12が口を付けたコーラ。どんな高級な飲料より美味しく感じる。AK-12が口を付けたコーラ。AN-94の思考があらぬ方向に脱線しかけたが、AK-12に「ね、普通の炭酸飲料でしょ」と言われ正気に戻る。

「だから私は思ったのよ。彼女はコーラを飲んで身体が修復されるのではなくコーラと認識した物を飲んで身体が修復されているとね」

「次は何を飲ませるか考えてたら指揮官からのあの命令。指揮官は私が彼女にコーラを渡すなということ。その事を彼女に言えとのこと。だから彼女と会った時、彼女の認識を少しだけ変えたのよ。糖分が切れた状態で見た人間をコーラだと認識するように」

戦術人形の認識の書き換え。それができる人形はいないことはないが、ここまで自然かつ気づかれずにできる人形はいない。やはりAK-12は天才だとAN-94改めて感じた。

「命令には何一つ違反してないわ。流石に発砲したのは予想外だったけれど」

AK-12はクスリと笑ってAN-94の手からコーラをとり残りを一気に飲みほした。

「指揮官はウェゲッップ……」AK-12の口からつぶれた蛙のようなげっぷ音が響き渡る。大量に飲んだからか時間も長く、そして誰もいない廊下な事もあってよく響いた。知らぬものがこの音を聞けば季節外れの幽霊がでたと思うだろう。

「指揮官はどうしましょうか。その辺に埋めておきましょう。たまに指揮官の脱走ってあるみたいだし、血痕はどうしようかしらって思ったけどあの子本当に全部飲み干したのね。軍用人形でもできないわよ」

先ほどのゲップをなかったことにしたいのかやたら饒舌に喋りだす。いつも通りの微笑かと思えば少しだけほほがひきつっている。

「薬莢は、あったわね」薬莢を回収し何故かAN-94に手渡すとパチンと指を鳴らす。すると何処からか土木作業用の自律人形が現れた。この自律人形もハッキングされた物だろう。指揮官だった物の死体を折り畳み袋に入れたことを確認し山で埋めるよう指示をだした。AN-94はそれを見ながら空薬莢を握りしめた。

「指揮官、あなたの事は忘れな『忘れなさいAN-94』わかった」

 

自律人形へのルート指示や出入りに関するセキュリティシステムのハッキングが全て終わったのかAK-12は部屋へ戻ろうとする。もう深夜2時半だ。指揮官は死んでも明日も任務がある。そうでなくても夜更かしは体に悪い。睡眠不足は任務にもお肌にも大敵だ。

AN-94は袋のにあいたわずかな隙間から先ほどの空薬莢をいれ、AK-12の後に追従した。

「まって、AK-12」

真っ暗の廊下に残るのは弾痕を見て誰かが何かあったと思うかもしれない。だがすぐに修復され短期間で忘れさられるだろう。

 

コルトSAAはコーラをたくさん飲むことができ、AK-12はその好奇心を満たすことができた。

 

 

 

第一話 AK-12はコルトSAAに対してコーラを使ったいかなる食物もあたえてはいけません

 




お読みいただきありがとうございました。
こういうハッピーなお話が続きます。
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