AK-12の禁止リスト 連載版   作:一ノ瀬0512

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みなさんこんにちは。
復刻イベント、攻略は速攻終わらして地道に貝殻を集めてます。ポイントイベントもぼちぼちと。


今回のメインは運転大好きグリズリーさん。
深度演算モードでも予測しきれないグリズリーさんの運転技術にご期待ください!



第三十九話 グリズリー「道を間違えた時、さて・・・どこへ行こうかしら、ネットは広大だわ。と某少佐の台詞でごまかしてはいけません」

「指揮官出かけるの?なら乗せてってあげるよ」

「ありがとうグリズリー。タクシー呼ぶ手間が省けたわ」

 

 

 

 ここはグリフィンS13地区。特徴がないのが特徴の地区である。当然のことながら基地も特徴がない。ゲームと変わらない標準的な基地だ。

そんな基地の執務室から今回の物語は始まる。

 

 

指揮官は執務室で依頼主との打ち合わせに行くための準備をしていた。化粧ポーチや基本的なビジネス道具から今時使わないシャープペンシルや定規にノートまで。副官のAK-12はなぜそんな時代遅れの物を持っていくのかと聞かれたが、アナログもあると便利だと指揮官は答えた。相手が持ってきた資料による説明だけでは理解してもらえない時、分かりやすい図を紙に書いて説明すると理解してもらえることも多い。

今日はアレクサンドラピアノ教室がS13地区パブリックホールで行うピアノ発表会での警備体制について、依頼主の家で直接打ち合わせをすることになっている。

仕事をリタイアした御婦人が自宅で開いている小さな教室で、発表会も生徒の身内しか来ない規模だが警備は必要だ。数年前から、音楽を習える階層の人間というので強盗がやってくる事件が多発した。現在では小さな催しものでも警備を付けるのは必須になっている。

 

「じゃあAK-12、帰りは迎えに来てね」

 

 

女性指揮官は一度腕を上に伸ばす。女性らしい豊かなバストが強調される。そうして背筋を整えた指揮官は部屋を出て行った。残されたAK-12は迎えに行くときに使う車両を確認する。基地で使用可能な物に六人乗りのワゴン車があった。迎えに使用する車両を決めたAK-12は、なんとなく駐車場の監視カメラをハッキングして覗いてみた。

そこにはグリズリーが運転する車の助手席に乗り込む指揮官の姿があった。

 

 

 

 

・・・数時間後

 

車に乗り指定の場所に駆け付けたAK-12が見たものは、地区ごと崩壊した家屋と、定規が胸に刺さって死んでいる指揮官の姿であった。到着に時間がかかったのは、グリズリーの運転で大規模な玉突き事故が発生し、迂回しようとして道を間違えてしまったからだ。グリズリーの運転は深度演算モードでも予測しきれない。

AK-12はハッキングされた軍用人形に指示をだす。軍用人形達は指揮官を死体袋に入れ、山の方に歩いて行った。

街は鉄血が崩壊させたことになり、復興予算は政府から出ることになるのだろう。

 

AK-12は崩壊した街を眺めながら一人呟く。

 

 

「さて・・・・・・どこへ行こうかしら、ネットは広大だわ」

 

 

 

 


 

 

 

図鑑 No.096 名前 グリズリー

 

銃種 ハンドガン

 

特別収容プロトコル:現在はS13地区の戦術人形として勤務しています。

技能自習性及びグリズリー本人だけが、グリズリーが偶然運転しているあらゆる乗り物に乗ることが許されています。グリズリーが運転するあらゆる乗り物の乗客の数から本人を引いた数の死体袋を準備してください。グリズリーが人口密集地域や重要施設に行く場合はその場所に医療チームを待機させてなければいけません。

 

追記:S13地区の指揮官にはグリズリーの特性について就任時に16LABの人間が直接伝えるようにしてください。新人の女性指揮官が知らずにグリズリーに運転を任せたところ、致命的な被害が起こりました。この被害に関して、カバーストーリー『鉄血人形ハイエンドモデルの襲撃』が適応されました。

 

あらゆる人間・自立人形はグリズリーが運転を申し出たら拒否してください。破壊的な被害が予想されます。

 

 

説明:グリズリーはI.O.P社で製造された戦術人形です。戦闘能力は他の同個体と変わりません。性格も同様です。そしてバイクなどの乗り物をほしがっています。ただ一つ他の個体と違うのはその運転技術が特異なためです。

グリズリー自身が何らかの形で操縦している乗り物に乗る個体は全て死亡します。リズリーが運転する乗り物を回避しても別の車に跳ねられるなどして死亡しています。このことから偶然ではなくなんらかの改変によりそうなっていると思われます。

奇妙なことに、グリズリーは乗り物を介するどんなアクシデントからも常に生き残っています。

グリズリー本人は事故のことを認識していますが、その後も自ら乗り物を操縦したがり、人を乗せたがります。繰り返しますが、彼女には運転させないでください。

 

 

グリズリーが運転がどのようなものなのか、16LABで観測を行いました。周辺の安全を考慮し、居住区から車で二日以上かかる、放置された廃墟都市を使用しています。観測には長距離用ドローンで行い、現地での補助は技能実習生が担当します。

 

実験1

乗り物:普通乗用車

課題:技能実習生を後部座席に乗せ、100m先の建物の前に行く。

結果:技能実習生はGで圧死。建物は二つに分裂。

 

【挿絵表示】

 

 

 

実験2

乗り物:バイク

課題:技能実習生を後部に乗せ、数回角を曲がり指定された地点に行く。

結果:技能実習生は死亡。建物が数棟倒壊。

 

【挿絵表示】

 

 

 

実験3

乗り物:キックスクーター

課題:50m先に置いた物を取ってくる

結果:キックスクーターは火を噴きながらも物を回収することに成功。この際火に巻き込まれた技能実習生が死亡。

 

 

 

補遺:グリズリーをバイクに乗せ、鉄血の領域を通過させる計画がグリフィン社で持ちあがりました。グリズリーが帰投する際にこちらの人員が破壊に巻き込まれる可能性が指摘されたため却下されました。

 

 

 

 

 

39.道を間違えた時、「さて・・・どこへ行こうかしら、ネットは広大だわ」と某少佐の台詞でごまかしてはいけません。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
グリズリー姉さんの運転するバイクに乗せてもらいたいですね。必然的にグリズリー姉さんに抱きつけますから。技能実習生君羨ましい。



今回のキャラクター

グリズリー:今回のメイン。ドライビングテクニックがスゴイ(白目)
AK-12:察して追いかけるもどうにもならなかったが死体袋を用意するなど気遣いと死体処理もできる顔のいい女。
指揮官:女性指揮官。知的な美女で豊かなバスト。胸に定規が刺さって死んだ。


用語説明

アレクサンドラピアノ教室:定年退職したアレクサンドラご婦人が自宅で開いている小さなピアノ教室。毎年近所のパブリックホールでピアノの発表会をやる。発表会は生徒の身内しか来ない。そんなもんですよ。


技能実習生:貧困層の人間や不法移民・難民など立場が弱い人たちに技術を学ぶ実習生という名目で最低賃金以下で使ってる。自立人形って壊れると修復に費用が掛かるんですよ。自社製品であっても高いし。

キックスクーター:キックボードとも言われる。Googleで検索したら出てくる。現在も存在し、一時期流行ってた。

定規:直線や曲線、角を引くために用いる文房具(Wikipediaより引用)

実験1と実験2の挿絵:作者がPhotoshopで作成した。


モチーフにしたSCPオブジェクト

SCP-666-J『ジェラルド博士の運転スキル』
http://scp-jp.wikidot.com/scp-666-j



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