セフィロス逆行物語   作:怪紳士

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第13話 イファルナ

何の前触れもなく訪問してきた銃を持った人達に怯え、慌てて主人の元に駆け寄った私は不気味な白衣の男と主人との会話に耳を傾けました。

話を聞けばその男は宝条と言うらしく、主人が話してくれたかつての部下だという事がその時わかりました。

どうやらこの男は主人以外に私と娘のエアリス…セトラを求めているらしく協力を要請してきたのです。

しかし、身の安全を全く感じない話に私は思わず男にすがりつきました。

私はどうなってもいい、娘と主人だけは見逃してと……

それを聞いた主人は私を慌てて男から引き離し、自分の体で私を隠すよう前に立ちました。

しかし、ニヤニヤとする男が娘の名前を口にした瞬間、主人は勢いよく相手の白衣の襟を掴みました。

両脇に居た人達が主人に銃を向け、私は「ッあなた!」と叫ぼうとした時……

 

その少年は現れました。

 

「待つんだ」と言って少年は冷たい表情を浮かべ私達の方に近付いてきました。

主人の前で止まると彼は表情も変えず淡々というのです。

 

「ご無沙汰しております、ガスト博士」

 

それを聞き主人の顔が少し優しくなったのがわかりました。

そして主人が少年の名を呼んだ時、私は初めてこの子が()()()()()ということを知ったのです。

少年を近くで見た時、私はゾッとしたのを憶えています。

なぜならかの()()の面影を感じとったからです。

そしてこの少年も私達を連れに来たと言った時、主人の顔は再び険しくなりました。

主人ははっきりと会社には戻らないと強い口調で伝え、それを聞いても少年はまったく表情を変えません。

その様子を見ていた白衣の男は、ポケットからカードを取り出し主人に差し出して言うのです。

主人は会社をずっと休んでいるだけでそろそろ戻って来いと、新しい計画には()()()必要なのだと。

白衣の男のとても説得とは言い難い説明を聞いても主人は頑なに言います。

 

「私は……戻るつもりはない、娘もイファルナも差し出すつもりもない」

 

その時、主人の言葉を聞いた少年は「わかりました」と言って持っていた剣を構えました。

警戒した主人は咄嗟に身構えましたが、少年は私達を背にして白衣の男達に剣を向けました。

そして少年は……セフィロスは言いました。

 

「俺が貴方達を守ります」

 

それを聞いた時、銃を持った二人はたじろぎましたが白衣の男は微動だにせずに口を開きました。

 

「ほう、これはこれは……

 だがセフィロス、君も知っている通り兵はまだ控えているのだぞ」

 

「ガスト博士たちを逃がすことくらいは出来る、俺はどうなってもいい」

 

それを聞いた主人は動揺していました。

その時、玄関の方からさらに数名の銃を持った人達が入って来たのです。

主人はセフィロスに声をかけます。

 

「セフィロスッ!、無茶だ、相手は銃を持っているんだぞ!」

 

「俺が時間を稼ぎます」

 

入って来た人達は銃を構え、白衣の男を守るように私たちを取り囲みました。

たじろいだ二人も状況を把握したのか銃を構えます。

この状況でも何一つ表情変えず臆することなく、セフィロスは私達を守るように剣を相手に向けています。

そして「早く逃げてください」と私達に促してきました。

でも主人は動きません、何かを迷っているようでした。

それを見た私は主人の気持ちをすぐに察して、言葉をかけました。

 

「あなた、私は大丈夫です」

 

「……すまないイファルナ、ありがとう」

 

言葉の意味を理解したのか私に謝罪をして主人は白衣の男に呼びかけます。

 

「宝条くん、君に従う、だからもう止めてくれ」

 

それを聞いた途端に、白衣の男は「そうですか」と呟き、周りに銃を下げるよう指示を出し、

 

「では向かう準備をお願いしますよ、ガスト博士」

 

それだけ言ってこの場から立ち去っていきました。

銃を下ろした人達もそれに釣られて出て行きセフィロスだけがこの場に残ります。

 

「貴方達の安全は俺が保障します」

 

それだけ言うとセフィロスも部屋から出て行きました。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

神羅カンパニーへ向かう準備をするための猶予を貰い、必要な物をカバンに詰めてると主人が近寄ってきて私に謝りました。

 

「本当にすまない、どんなことをしても守ると言ったのに…」

 

「あなた、別に嘘はついていないわ、私もエアリスも無事よ」

 

「しかし…」

 

言い淀む主人に抱き着く。

 

「あなたの事、私は信じています。

 向こうに着いてもきっと私達を守ってくれるって」

 

無言のままこちらを強く抱きしめる主人。

 

「それに、あの子の事。

 放っておけなかったんでしょう?」

 

 

――まだお腹の中にエアリスがいる時、一度だけ主人が話してくれた事がある。

その時は酷く弱気な声で言っていたの覚えています。

 

『自分は子供を見捨ててしまった事がある、父親になる資格はあるのだろうか』

 

私は薄々感じていました、子供が出来た時、すごく喜んでくれた主人。

だけどその夜酷く悩んでいた主人。

いつか話してくれるだろうと、そしてその時はしっかり受け止めてあげようと思っていました。

それを伝えたら主人は決意して話してくれました。

その見捨ててしまった()()な子供“セフィロス”の事。

そして最後に主人は言いました。

 

『もしセフィロスが訪ねてきたら、暖かく迎えて欲しい。

 そして私は彼の力になってあげたい』――

 

 

「あなた、あの子の力になってあげてください。

 私たちを守ろうとする、あの子は本気でした」

 

「……いやはや全部お見通しか、まいったな」

 

そう言って私から離れ、頭をポリポリと掻いて見せる主人。

そうこうしていると玄関が再び開かれ、白衣の男とセフィロスが入ってきました。

 

「準備はよろしいですか、ガスト博士」

 

声を掛けてきた白衣の男、それを聞き主人が返事を返しました。

 

「宝条くん、一つ条件がある。

 私はどうなってもいい。

 ただ危ない実験や、命に係わるような事は妻と娘には絶対にしないでくれ」

 

「了承したあとに、条件を付けるとはあなたも交渉が下手ですね。

 口が巧いとはいえそこは、やはり科学者ですか」

 

「……頼む」

 

頭を下げる主人を見て私も横に立ち一緒にお願いをする。

ただし、主人と違って私はどうなってもいいから娘だけは何もしないで、というお願いです。

 

「頼む…と言われましてもねぇ。

 そもそも実験内容を決めるのは貴方ですよガスト博士。

 私の仕事を増やさないで頂きたい」

 

「……は?」

 

どういうことだと不思議な顔になる主人をよそに話を続ける白衣の男。

 

「今回の計画の責任者は貴方ですよガスト博士。

 わたしはジェノバプロジェクトで忙しいのですよ」

 

「宝条、伝えていなかったのか」

 

「いやいや私は話そうとしたんだよ、セフィロス。

 ただ話す機会がなかっただけで」

 

全てを悟ったかのようにはぁーと深いため息を吐きながらセフィロスは「だから頑なに断っていたのか」と一言漏らしていたのが聞こえました。

厄災の面影はいまだに拭えない。

けど私はこの少年を信じてみようと思います。

 

そんな一連の状況でずっとスヤスヤと眠っていたエアリスを見て私はきっと強い子に育つわなんて思ったりして。

 

 

 

 

 




当初は5話くらいで辿り着く予定だった
この先は大幅にCCも含めた原作が変わっていきます。
何卒ご了承下さい。
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