セフィロス逆行物語   作:怪紳士

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第2話 セフィロス

地下の研究室から螺旋階段を上り二階の部屋へ、そして西側にあてがわれた自室へ戻った『俺』は検診衣のまま寝床に潜り込む。

すでに背中まで伸びた銀色の髪がベッドに無造作に広がった。

ふと窓に目をやれば、かつての『オレ』が焼き払ったニブルヘイムの村の明かりがうっすらと差し込んでいる。

それを見た後、ゆっくりと目を閉じた。

そして毎晩自分の記憶を遡るのだ。

 

 

 

――ライフストリーム。

それは地上に存在する生命が命の灯火を失った時に還る場所。

星の中心に渦巻く、精神エネルギーでありこの星の歴史が刻まれている。

『オレ』はニブルヘイムの魔晄炉でクラウドにライフストリームへ落とされた。

そこで数多くの知恵と知識を吸収しジェノバと同化した『オレ』は星を我が物とするための行動を開始した。

しかし、それを阻止せんとするクラウド達の手により、大空洞の決戦に敗れ、最後はクラウドの手によって星に還ったはずだった……。

崩れゆく己の身体が、ライフストリームに呑まれていく中で自分が招いた数々の出来事が走馬灯として駆け巡り、意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

……目が覚めたのはこの部屋だった。

最初はライフストリームの中で見ている幻影かと思った。

部屋にあった鏡を見れば幼少期の自分が写っていた。

その後、あまり思い出したくもない実験を重ねる毎日が再び始まっていくと俺はこれが現実なんだという実感が湧いてきた。

なぜ自分が戻ってきたのかはわからない。

セフィロスというジェノバとなった自分を星が拒絶でもしたのか、かつての友が愛読していた物語にあった女神の贈り物なのか、それともやはり現実味はあるがライフストリームの幻影なのか、自分なりに色々と考えては見たものの、いまだに答えは出ない。

多くの知恵と知識を得たにも関らず何もわからない状況に俺は苦笑してしまう。

 

 

しばらくは時間の経過に身を任せてみたが、今の状況と『オレ』の記憶とを照らし合わせてもこれといった相違はないように思えた。

ただ一つ、俺がこのジェノバプロジェクトの事実を知っていることを除けばだが……。

過去と同じ実験・観察・学習の繰り返しで、研究者たちは、相変わらず俺のことを実験体としてしか認識されていなかった。

ただ幼少期に『オレ』が慕っていたガスト博士はこちらの世界でも俺の事を人間として扱ってくれていた。

とはいえ俺の母はジェノバだと教えられ、父親についても言葉を濁すばかりである。

無論、すでに本当の両親を知ってはいるがこれを伝えるべきかどうか悩んでいる。

これについては当時、最重要機密であり、俺が知っているとなれば誰が教えたのだとプロジェクト内で神羅による犯人探しが始まることが容易に想像できる。

きっと無関係な者が冤罪を背負わされるだろう。

何より俺がそれを伝えることで過去が変わることを恐れていたのだ。

分かっていれば先手を打てることも知らなければ後手に回ってしまう可能性もある。

 

 

他にも問題はある。

当時(現在)の俺はジェノバ〈古代種〉を埋め込まれた者として認識されている。

神羅は古代種の伝承にある()()()()に豊富な魔晄エネルギーがあると信じており、それを見つけるために立ち上げたのが本来のジェノバ・プロジェクトである。

そしてジェノバ細胞を埋め込まれた者が古代種となり、星の記憶から約束の地の場所を見つけるのが真の目的であった。

本当のジェノバは古代種ではなく、およそ2000年前に星を襲った厄災の事であるのだが、この時は誰一人知らない。

俺自身も過去にジェノバを古代種と勘違いしてしまったという情けない事実もある。

 

 

ガスト博士もやがて知ることになり、自責の念に苛まれ神羅カンパニーから失踪するだろう。

俺もガスト博士に付いて行きたいが、今の状態じゃ幼すぎて足手まといだ。

いくらジェノバ細胞により普通の人間と違って強化されているといっても今の時点ではまだガスト博士を守ることは出来ない。

過去では本人だけの失踪だから監視付きとはいえ見逃されていたのであり、俺が一緒に付いて行ったのではきっと即座に連れ戻されるか、最悪の場合は殺害されて闇に葬られるであろう。

それどころか古代種最後の女性とも会えず二人の間に娘も生まれないのであっては生意気な後輩に申し訳ない気がするのだ。

たしか博士失踪後はミッドガルで宝条によって戦闘に関する実験や訓練が始まっていくはずだ。

そうなったら過去以上に訓練に取り組むとしよう。

何か有ったときに最後に頼れるのは己の身体だ。

『オレ』以上に鍛えておいて損はない。

俺はまた戦いという道を歩んでいく事になるのだろうか。

だが前とは違う、神羅カンパニーや宝条に言われるがままではなくはっきりとした『俺』の意志だ。

今度は……今度こそは失敗の無いように生きていこうと思う。

『オレ』と関わって不幸になってしまった人達をまた同じようにさせるわけにはいかない。

 

 

そしてジェノバだ。

アレは紛れもなく『オレ』でありジェノバに乗っ取られたと言うことでは無いハズだ。

しっかりと記憶があるのが証拠だろう。

言い訳などするものか、過ちは認める、繰り返さない。

セフィロス……俺はいつかジェノバとは決着を着けなければならない。

 

 

決意を新たにして俺は静かに眠りについていく。

ニブルヘイムの明かりは、まだぼんやりと輝いていた。

 

 




セフィロスの一人称『オレ』はPS1のオリジナル
それ以外の作品は『俺』になっています
古代種だと勘違いしたニブルヘイム以降は『私』

この作品では『オレ』は過去のセフィロス
『俺』は現在のセフィロスです
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