セフィロス逆行物語   作:怪紳士

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第33話 幹部会議

神羅ビルのとある一室に鬱々たる空気が漂よっている。

プレジデント神羅(社長)を上座に据えて副社長及び各部門の統括が一堂に会する幹部会議。

社長から向かって右側の席には手前から、副社長ルーファウス、ソルジャー部門統括ラザード、都市開発部門統括リーブが着席。

社長から向かって左側の席には治安維持部門統括ハイデッカー、兵器開発部門統括スカーレット、宇宙開発部門統括パルマー、そして科学部門統括宝条博士が順に着座する。

議題は組織の改革と予算編成について。

すでに会議開始から数時間は経つ。

ソルジャー部門と治安維持部門を除いた各部門については既に協議を終えていた。

各統括は凡そ納得した様子であり、中でも科学部門統括は()()()と言った表情である。

そして各々は残りの2部門の動向を観察していた。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

プレジデント神羅は吹かし終えた葉巻を灰皿に置いて各統括の顔を見渡すと次の部門へと話を進めた。

 

「では次のソルジャー部門の件についてだが…」

 

社長(プレジデント)、ソルジャー達は再び一部隊として治安維持部門の傘下にくだってもらい規模を縮小して予算を他に充てるべきです」

 

待ってましたと言わんばかりに社長の言葉を最後まで聞くことなくハイデッカーが再統合の重要性を説き始める。

 

「この資料を御覧になっても分かる通り、ここまで膨れ上がったソルジャー部門の予算は会社の大きな負担となりますし、すでに大きな脅威の無い現状、治安維持部門だけあれば会社の守備は問題ありません」

 

この言葉には事前に社長と密談を重ね、ほぼ決定事項という段階まで進めていた裏があり、ハイデッカーは公式の場で正式な回答を貰う事を今日まで待ちわびていた。

他の面々も薄々気付いてはおり、この茶番は冷めた目で見ていたのだが、一人だけ真っ向から異議を申し立てる者がいた。

 

「ふむ、守備は問題ないと申しますかハイデッカー殿。

 それでは先日のジュノン襲撃の件についてどう説明されるのですかな」

 

かけた眼鏡のレンズ越しから不服そうな目つきで睨みつけるラザード。

 

「その件については、見ての通り社長(プレジデント)は無事である。

 そもそもお前の所(ソルジャー部門)が居なくてもこちら側のみ(治安維持部門)で対処可能であったのだ。

 余計な事をして必要のなかった会社の金を使ったそっちこそどう説明する?

 俺はソルジャー部門存続のための自作自演とまで疑っているんだぞ」

 

ハイデッカーは声を上げ力強く反論した。

 

「では一つ一つ説明いたしましょう。

 アバランチは社長(プレジデント)の居たジュノンのビルを占領しようと襲撃をかけましたが、当初警備にあたっていた兵では対応に遅れ易々と敵の潜入を許しています。

 また応戦した警備兵ではアバランチ兵の奇襲に終始圧倒されていたとの証言も有ります。

 さらにミッドガルで未遂に終わった敵の破壊工作も後手だったではありませんか。

 これらを踏まえると、そちらの戦力だけでアバランチに対処可能だったとは到底思えません。

 ついでに捕らえた敵リーダーとやらはセフィロス曰く、『強敵……であった』と報告を受けています」

 

「そ、そんなのはあくまで推測だ。

 確かに初動はそうだったのかもしれんがすぐに増援が来て敵を制圧するハズだったッ!

 それにミッドガルはタークスが対応しただろッ!」

 

「その増援ですが一体何時間かけてミッドガルからジュノンへ向かう予定だったんでしょうね?

 タークス側はソルジャーのおかげで何とかなったとも言っていましたが。

 まぁ次の説明に移ります。

 ソルジャーの派遣費用ですが、もともとジュノン近郊で訓練プログラムを()()から予定していましてね。

 今回、対応に当たったソルジャー達は()()()()その場に居合わせたに過ぎません。

 訓練は中止となりましたが出費は当初の予算内で収まっています。

 あぁ訓練計画を疑うのならそちらで調べてもらって構いませんよ。

 ()()()()()()()()()()()にしっかり記載されていますのでね」

 

「お前ッ…!!」

 

両手に作った握り拳に爪を食い込ませ額に青筋を立てるハイデッカー。

そんな状況をお構い無しと涼しい顔で更に説明を続けるラザード。

 

「最後に自作自演とおっしゃいましたが、()()()()()()()のどこを調べてもアバランチとの接点などありません。

 むしろ、社長(プレジデント)の演説に警備兵だけしか配置しなかったハイデッカー殿の方が疑わしい。

 なぜタークスを配置しなかったのですか?」

 

「言わせておけばッ!!!

 いい加減にしろよ、青二才がほざきやがってぇッッ!!!」

 

とうとう顔を真っ赤にして怒りを爆発せたハイデッカーは会議の場というのも構わず怒鳴り散らした。

 

「タークスを使ってお前をケツの穴まで調べ尽くしてやるぞ!

 それにあの演説でタークスを配置しなかったのは社長(プレジデント)が必要「それ以上の発言は慎みたまえ」

 

その怒号を遮ったのはそれまで一言も喋らず背もたれに踏ん反り返りながら二人を眺めていた副社長のルーファウスであった。

 

「な、何故ですか副社長。

 アイツは俺のことを…神羅創設時から社長(プレジデント)に尽くして来た俺を疑っているんですよ!」

 

突然の横やりに焦り、必死に自分の正当性を訴えるハイデッカー。

だが、それがどうしたといった態度でルーファウスは言う。

 

「貴様はまだ立場がわかってないようだな。

タークスは治安維持部門の課であり君はその統括だ。

 確かにタークスは社長直属のような扱いになってはいるが、あくまで責任者は君だろう。

 私が遮らなかったら、自分の失敗を棚に上げ、()()にその責任を擦り付ける発言をすることになっていたぞ」

 

「そ、そんなつもりは…」

 

自分の発言を思い返し、額から汗が滲んでいるハイデッカー。

しどろもどろになりながら必死でその場を取り繕う言葉を考えている様を見て各統括はあきれた様子であった。

ただ、そんな彼に対し助け船を出す者が居た。

 

「ハッハッハッ!

 してやられたなようだなハイデッカー君」

 

この状況に似つかわしくない笑い声が部屋に響き渡る。

その場に居た者達の注目を一手に集め、愉快そうにプレジデント神羅は手を叩いた。

そして弁明をしようとするハイデッカーを鎮め、ラザードに確認をとる。

 

「確かに、ソルジャー部門は重要であるな。

 今回は現状維持という方向で調整しよう。

 それでいいかねラザード君?」

 

「ありがとうございます。

 ですが一つお願いがございます」

 

「ほぅ、続けたまえ」

 

「今回の件で治安維持部門の問題が浮き彫りとなりました。

 こちらでフォロー出来たから良い物を毎回こういう訳にはいきません。

 またソルジャー部門も完璧ではなく、少数精鋭と言うのは時として弱点となりえます。

 そこでさらなる増員が必要と考えます。

 具体的にはこちらの部門で直轄として動かせる兵を治安維持部門から引き抜く許可を頂けませんか?」

 

この言葉に異議を唱えようと勢いよく椅子を立ち上がるハイデッカーだが、プレジデント神羅はそれを手で制する。

それを見届けたラザードは再び話し出す。

 

「今までは任務の度に兵を治安維持部門に要請していましたが、今回のようなテロリズムには迅速な対応が肝心。

 即応展開するためにもソルジャー部門の規模拡大は重要です」

 

さらにラザードの意見を後押しするようにルーファスが付け加える。

 

「私もそれは必要であると思う。

 さらに言えばその引き抜きにはタークスも含めるべきだ。

 いくら社長(プレジデント)の命令が優先と言えど、時には統括自身が己で考え指示を出さなければならないだろう。

 失礼を承知で言わせてもらうが現状よりソルジャー統括の方が相応しいと考える」

 

「ば、馬鹿な事を言わないでもらいたい。

 それではソルジャーに戦力が集中し過ぎてしまうではないか!」

 

社長に宥められていたハイデッカーであったが流石にこの件に関しては許容できないようだ。

 

「その戦力を有効活用出来ていなかったのは何処の誰であったかな?

 それに聞けば魔晄炉襲撃犯を確保出来たのはソルジャーとの連携が上手く行った結果らしいじゃないか。

 ならばより業務を円滑に運べるよう、部門を同じにした方がメリットはあると思うのだがね」

 

煽るように事実を突きつけハイデッカーを黙らせ、有用性を訴える副社長。

それを聞き顎に手を当てて考え込む社長であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変ですッ!」

 

突然、会議室の扉が勢いよく開かれると息を荒げた兵が飛び込んできた。

 

「何事かね、今は会議中だぞ」

 

「申し訳ありません。

 ですが緊急事態です。

 ヴェルド主任が、捕虜を連れて神羅から居なくなりました!」

 

「なんだって!?」「えらいこっちゃ!」「クックックッ」「あら、それは大変ねぇ」

 

兵の報告に各統括はそれぞれ反応を示した。

そんな中ルーファウスは冷静を努め、ハイデッカーに確認を取った。

 

「捕虜の管理はタークス、逃がしたのはその主任。

 つまり治安維持部門の失態だ、コレの責任はどうするのかな?」

 

「お、俺は、そ、そんな」

 

狼狽え、顔が青冷めていくハイデッカー。

タークス主任と言うのは神羅の秘密を社長と同等レベルに把握している存在だ。

それが逃げたとなれば神羅の積み重ねてきた数々のモノが崩れ去る危険をはらんでいる。

この尻拭いは誰がやるのか、今のハイデッカーに任せるのは不安が残ると、この場の誰もが考える。

そんな中、立候補する者がいた。

 

社長(プレジデント)、今すぐ私に指揮権を下されば情報を流失させることなく適切な処置を行います」

 

「君がなんとかするというのかね、ラザード君」

 

「はい、ソルジャーとタークスを総動員して無事()()して御覧に入れます」

 

「私が言わんとしてることが分かるようだな。

 よろしい、今から総務部調査課(タークス)はソルジャー部門の管轄とする」

 

社長からその言葉を聞いたラザードは起立して一礼をする。

 

「では急を要するため、失礼ではございますがこのまま退室させていただきます」

 

「うむ、期待している」

 

社長の返事を聞くとそのまま会議室を後にしたラザード。

そしてその様子を黙って見つめていたルーファウス。

この一連の結果に二人は内心嘲笑っていた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

その後、会議はお開きとなり各統括及び副社長が退室していく様子を社長は見送っていた。

しかし、一人だけ椅子から立ち上がる気力もなく魂が抜けたように呆然としてるハイデッカー。

二人以外の人間が居なくなると社長は葉巻に火を着けて呟いた。

 

「一本とられたようだな」

 

「プ、社長(プレジデント)この度は大変、大変申し訳ありませんでした」

 

「ま、これでもう一度自分を見つめ直せ」

 

社内では傲慢で有名なハイデッカーだが、まるで別人の如く借りてきた猫のように縮こまっている。

長い付き合いとなっているこの男の様子を見て少しは不安を解消してやろうと思ったのか、社長は笑みを浮かべながら語り掛けた。

 

「しかし、あの二人は昔の()達を思い出すじゃないか、なぁ()()()()()()

 

 

 

 

 




小ネタ
残りの統括の反応

パルマー「シドちゃん!ロケット打ち上げは絶対に成功させよう!」

リーブ「ミッドガルに加えてウータイの開発も……やることが沢山だ……」

スカーレット「暫くは目立った活動が出来そうにないわねぇ、バカンスでもいこうかしら」

宝条「いやぁこんなに予算を割いてもらって何だか申し訳ないですなぁ、クックックッ」


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