「イファルナさん、ではお願いします」
そう言ってビデオカメラのボタンを押すガスト博士。
古代種について教えて欲しいと頼まれた私は
――セトラは“星読み”という特殊な事が出来る種族。星読みとは感覚的なものなので具体的な説明が難しく、言葉にするなら星との対話です。
およそ2000年前に先祖のセトラは星の悲鳴を聞いたそうです。
地上にある生命力がエネルギーとなり星の修復をするため、たくさんのセトラ達が必死でエネルギーを絶やさぬよう土地を育てました。
しかし傷は深く、莫大なエネルギーが必要なため星自身が長い年月をかけて治していくほかなかったのです。
この周辺が一年中雪解けがないのもその影響です。
多くのエネルギーを必要とするためノルズポル周辺の大地は急速に枯れ、やがて星はセトラ達にこの土地を離れたほうが良いと伝えてきたそうです。
それを聞き惜しみつつもセトラ達は長年住んだ土地を離れることを決めました。
だけど旅立ちの準備をしている最中に
そしてセトラ達の親しき者……亡くなった母や兄に姿を真似て、幻影を見せ、近づきました。
親しげな顔で近づいた
やがてノルズポル以外の場所にいた別のセトラ達も襲われたそうです。
セトラ達を襲った
ジェノバにより多くのセトラが亡くなっていきました。
そして星はジェノバを滅ぼすことを意識し始めました。
ジェノバを滅ぼす為に星は
何故なら数少ない生き残りのセトラがジェノバを封印することに成功したからです。
しかし、封印がとかれジェノバが蘇る可能性がある限り、星も警戒を続けています。
星はまだ癒えていないのです。
そして今はもう、星の声はあまり聞こえない――
「……ありがとうイファルナさん
今日は、このくらいで……」
そう言ってガスト博士は回していたビデオカメラを止める。
少し気分の悪くなった私は立ち眩みをしてしまった。
「大丈夫ですか、イファルナさん」
「はい……大丈夫です博士」
心配そうにこちらを見つめる博士に私は精一杯の返事をする。
私の顔色が優れないのを見ると博士は「今日の家事は自分がするのでゆっくりして下さい」と張り切って下に降りて行った。
博士と出会ってもうすぐ一年は経つのかな。
そんなことふと思い過去を振り返る。
ーーーーーーーーーー
私はセトラ最後の生き残りであり、亡くなった両親からもおいそれと素性を明かさないようにと言われて育ちました。
私達セトラは特殊な力を持った種族で、それを狙った人間は決して少なくないと。
唯一それを知る人間は父の古い知り合いのブーゲンバーゲンさんという方で、私も一度だけお会いした事があります。
だけど私はあまり交流が無く、父が亡くなった時にその事を知らせるため、一度だけ手紙を差し出してそれっきり。
返ってきた手紙にはお悔やみの言葉と、生前の父と約束したセトラの生き残りがいるということは誰にも教えないから安心して欲しいという事が書かれていました。
ブーゲンバーゲンさんの紹介で私を訪ねてきたと博士がおっしゃった時はびっくりしたけど、私がセトラという事は伝えていないようで博士もなぜ私を紹介されたのか疑問だったみたい。
博士には自分はセトラだとは明かさずに、ただの一人の女性として接したわ。
だけど博士は逆に包み隠さずに教えて下さいました。
自分は神羅に所属して古代種の研究をしていた、しかし自分が主導したプロジェクトは失敗した、
あまつさえすべてを捨てて逃げ出してきたと……。
そんな話を聞かされた私は思っていた事を口にしました。
「博士はいったいこれからどうされたいのですか?」
「……わかりません」
それだけ言って博士は黙ってしまったのを憶えています。
――その後しばらくして博士は近くに古代種が暮らしていた都があるので、アイシクルロッジに滞在して古代種の研究を続けると告げられました。
私はそれを聞いた時、またこの人は過ちを繰り返すのかと思ってしまったのです。
でもどうやらそうではなくて、博士は私に聞かれたことの答えを伝えてきました。
「イファルナさん、私はもう一度古代種の研究をしたいと思います。
でもそれは、利益を追求するためではありません。
古代種について真実が知りたい。
そして
「償い…ですか…」
「はい、このままでは古代種が化け物だったと不名誉な烙印を押されてしまう。
でも私は彼等がそんな種族ではないと思うのです。
時間はかかるでしょうがいつか本当の彼等を知りたい。
そして真実を伝えていくことが償いだと私は思います」
これを聞いたとき、博士が決して私利私欲にまみれた人ではないと感じました。
彼は私達セトラに謝罪がしたい、謝罪をするために何が間違っていたのか知りたいのだと――。
そうした博士の真摯な対応を見たので、意を決して自分が古代種…セトラであることを彼に告白しようと思いました。
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イファルナさんが古代種だと告げてきた時は最初はからかわれているのかと思った。
でも彼女はそんな冗談を言う人ではないと知っていた。
なによりこちらに対して真剣な眼差しで言ってきた人を疑うなんて事は出来るはずもない。
そして私たちは二人で古代種の研究を続けた。
とうとう私は古代種が考えていた通り、いやそれ以上に素晴らしい種族だとはっきりとわかったのだ。
あの時の
それも彼女が真実を打ち明けてくれて、研究を手伝ってくれたおかげだ。
――ある時研究に没頭するあまり身の回りの事はすべて後回しにしていたら
『まったく、博士って家事もまともに出来ないのね、そういうとこ私の父にそっくりだわ』
なんて小言を言われてしまったが、その日から彼女は私の身の回りの世話もしてくれるようになった。
いやはや研究どころか私生活までサポートしてくれるとはいくら感謝しても足りないくらいだ。
そんな事を考えながら私は研究記録として映像に残した大量のビデオカメラのテープを日付ごとに整理しようとしているのだが
「…父か、イファルナさんにはそう見えているのか」
思わず呟いてしまった言葉が私の心を締め付ける。
胸に抱いた淡い思いを否定する言葉を必死に頭の中で繰り返す。
彼女はあくまで協力者だ。
身の回りの世話も善意であってそれ以上ではない。
だいたい研究一筋のこんなイケてない男が
そうだ、否定する材料はいくらでもあるのに肯定する材料は何もない。
私は科学者だ、証明する材料が多い方が正しいはず。
あぁなのに…なぜこの気持ちを破棄出来ないのか。
それに私の元部下達は夫婦間が破綻した者ばかり。
研究者なんてそんなもの。
万が一、いや億が一があったとしてもきっと、私も例に漏れず破綻するだろう。
そもそも子供を見捨てた私にはそんな権利は無いだろうな。
「私は父親になれなかった、なってはいけなかった」
すまない…すまない…何度心のなかで謝ったかわからない、かの少年を思い出す。
古代種だけではない、
正直に話した中でセフィロスの件だけは伝えられないでいた。
「ただ、約束は守ろう」
神羅を出るとき交わした約束。
そうだ、それを守るためにはまずイファルナさんに料理を教わろう。
また彼女にお願いすることが増えてしまった。
果たして引き受けて貰えるだろうか。
ビデオカメラのテープは一向に整理される気配はなかった――。
恋愛描写はぶん投げますよ・・・
本編でも気付いたらくっついてたし・・・
Q、本編でビデオそんなになかっただろ!
A、宝条に回収されたんです、多分