閃の軌跡~軌跡の刃~   作:兄上、お労しい

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心の声

「すみません、助かりました」

 

「いえいえ、このぐらいお安い御用ですよ」

 

自由行動日の日

 

前回と同じくリィンのポストに投函されていた依頼書をエルドとリィンの二人で分け、それぞれの依頼をこなしていた。

 

今回エルドは、トールズにある園芸部の手伝いに来ており、園芸部部長のエーデルと共にトリスタにある花屋へと赴いていた。

 

花屋で肥料や土を購入し、持ってきた台車へと乗せ、現在学院へと向かっていた。

 

「それにしても、園芸って結構力仕事が多いんですね」

 

「そうなんです。でも、園芸部に男性部員はいなくて………こういう時、男性の力があると凄く助かるんですけどね」

 

「なら、そういう時はいつでも呼んでください。俺で良ければいくらでも手伝いますんで」

 

「ふふ、ありがとうございますね、エルド君」

 

学院に着くと、エーデルはここまででいいと言ったが、エルドは折角だから園芸部の倉庫まで運ぶと言い、学園の裏にある園芸部の活動場所まで移動する。

 

すると、そこに見覚えのある人物がいるのに気づいた。

 

「あ、エルド」

 

「フィーじゃないか。どうしてここに?」

 

「どうしてって、私園芸部だし」

 

「そうだったのか。なんか意外だな」

 

「意外って……どういう意味?」

 

「あ、いや、別に悪い意味で言ったわけじゃなくてな!」

 

ジト目で見てくるフィーに、エルドは慌てて弁解する。

 

その様子を見て、エーデルは楽しそうに笑っていた。

 

その後、エーデルから折角だからと言われ、エルドは園芸部に体験入部することになった。

 

幸い、リィンと分けた仕事はエーデルからの園芸部の手伝いで最後で、まだリィンの方の仕事が終わってないこともあり、エルドは園芸部の活動を体験することにした。

 

「へ~、花を育てるのにも色々やり方があるんだな」

 

「はい、様々な人がいる様に花にも様々な特徴があります。同じ花でもよく見ると違いがあったりするんです。それに合わせて肥料や土を変えたり、日光が当たる位置を工夫したりして変えていくんです。とても面白いでしょう?」

 

「はい、楽しいです」

 

初めての体験にエルドは少し興奮気味に答え、活動をする。

 

「それにしても、どうしてフィーは園芸部に入ろうと思ったんだ?」

 

エルドは隣で作業してるフィーに尋ねる。

 

「部長に誘われたから」

 

「誘われた?」

 

「中庭で寝てたら声かけられた。断るのも面倒だったから誘われた」

 

「…………なんて言うか、フィーってあまり自分で決める事ってしないんだな」

 

エルドは手に着いた土を払いながら、フィーに言う。

 

「Ⅶ組に入る時も面倒だからってサラ教官に決めてもらおうとしてたし、園芸部への入部だって断るのが面倒だからなんだろ?」

 

「だって本当に面倒だし………どうでもいいし」

 

「……多分だけど、フィーはさ、自分の心の声が小さいんじゃないかな?」

 

「心の声?」

 

「そう。心の声が小さいから、自分が何をしたいのか分からない。その分からないが、いつの間にか面倒やどうでもいいって感情になってる。俺はそう思うんだよな」

 

そう言うエルドの顔を、フィーは見つめる。

 

「そうだ!フィー、何か植えてみないか?」

 

「え?」

 

「何でもいいからさ、花の種を植えよう」

 

「………じゃあ、これ」

 

そう言ってフィーは袋に入った種を取り出す。

 

「これは何の種だ?」

 

「分からない。」

 

「そうか。それじゃあ、エーデル先輩から教わった方法で植えよう」

 

基本的に花の植え方は、特殊な花でもない限り植え方は変わらず、エーデルからもフィーが持っていた種は珍しいものではないとの事だったので、普通のやり方で植える。

 

「よし!これでOK」

 

「ねぇ、エルド。これで何がしたいの?」

 

「簡単なことだよ。フィー、この花が咲いたらフィーは自分の心の声をよく聞くんだ。フィーは心の声が小さいだけで、無いわけじゃない。だから、フィーがしっかり耳を傾ければ、心の声は聞こえる。それまでは、この花を育てるんだ。俺も時間を見つけて手伝うからさ。どうだ?」

 

「………まぁ、いいよ。面倒だけど、退屈はしなさそうだし」

 

そう言って、フィーは少しだけ笑った。

 

その直後、エルドのARCUSに着信が入る。

 

『すまない、エルド。待たせたな』

 

「いや、こっちも丁度いい時間つぶししてたから問題ない。旧校舎の探索だよな。現地集合でいいよな?」

 

『ああ。俺の方からガイウスやエリオットに声を掛けるよ。ついでに、アリサやラウラもッ誘おうと思う』

 

「俺はいいぞ。じゃあ、後でな」

 

通信を切り、エルドはフィーに向き直る。

 

「それじゃあフィー。またな。エーデル先輩も、今日はありがとうございました」

 

「ん、じゃーね」

 

「はい。また来て下さいね」

 

二人に見送られ、エルドは旧校舎の方へと向かう。

 

「ふふ、どんな花が咲くか楽しみですね、フィーちゃん」

 

「ん、そうかも」

 

エーデルの言葉に頷き、フィーは何処か楽し気に水をやり始めた。

 

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