閃の軌跡~軌跡の刃~ 作:兄上、お労しい
旧校舎の探索で、今回は前回のメンバーにアリサとラウラが加わり、探索を行った。
そこで、またしても旧校舎の異変に気付いた。
前回まではなかったのに、今回は部屋の中に昇降機があった。
パネルもあり、調べるとランプが付き、ⅠとⅡのマークが点滅していた。
他にもいくつかボタンがあったが、押しても何の反応はなく、おそらくランプが点灯しているボタン以外は反応がないのだろうと思い、Ⅱのボタンを押した。
すると、昇降機が下がり、新しい部屋へと付いた。
魔獣と戦闘を行い、慎重に進み最奥につくと、またしても部屋の主と思しき魔獣と遭遇した。
全員で戦術リンクを繋げ、連携を取り、最後はリィンとラウラの技でとどめを刺し、今回の旧校舎探索は終わった。
前回は部屋の主の魔獣を倒したら、今回、昇降機が現れ新たな場所へと行けた。
エルドとリィンは、次の探索では、また行ける階が増えていると思い、旧校舎を後にした。
水曜日になり、実技テスト当日。
いつも通り、グラウンドに集まったエルドたちは、前と同じようにサラ教官が用意した人形相手に戦うことになった。
今回は、前回の実習の時の班に分かれて戦い、A班は見事な連携で人形を翻弄し、倒すことができた。
その結果にサラも満足そうに頷く。
そして、次はB班のテストになった。
ここが問題だった。
正確には、ユーシスとマキアスの二人が問題だった。
二人は元々の実力が高く、うまく連携が取れれば人形程度に後れを取ることはない。
だが、相性の悪さのせいで戦術リンクが結べず、それどころかお互いの足を引っ張り合うと言う本末転倒な結果になった。
人形は殆ど、ガイウスとフィー、エマの三人で倒したようなものだ。
全員に疲労が見え、唯一フィーだけは平然と立っているも、表情に出てないだけで、マキアスとユーシスの仲の悪さに困っていた。
「分かってはいたけど、これは酷すぎるわね。そこの二人は精々反省しなさい。この体たらくはあんたたちの責任よ」
サラは厳しく、マキアスとユーシスの二人を見る。
二人は悔しそうに俯き、歯を食いしばる。
お互い、自分達が原因だと分かってはいる。
分かっていながら、それを改善する気がない。
余計にたちが悪かった。
そんな二人に、サラはあきれたように溜息を吐き、プリントを取り出す。
「それじゃあ、今月の《特別実習》の実習地と班分けの発表をするわよ」
全員にプリントを配布し、それを見る。
A班:リィン、マキアス、ユーシス、フィー、エマ(公都バリアハート)
B班:エルド、ガイウス、エリオット、アリサ、ラウラ(旧都セントアーク)
「え!?」
「この班分けは……」
「A班のコレは………」
サラは、マキアスとユーシスの仲の悪さを知っていながら、また同じ班にした。
「冗談じゃない!!サラ教官、いい加減にしてください!何か僕たちに恨みでもあるんですか!?」
「……茶番だな。こんな班分けは認めない。再検討をしてもらおうか」
とうとう二人の怒りが頂点に達し、二人は班分けの再検討を要求した。
「うーん、あたし的にはこれがベストなんだけどな。特に君は故郷ってことでA班からは外せないのよね」
そう言ってユーシスを見る。
この一言でユーシスは黙り出す。
「だったら僕を外せばいいでしょう!セントアークもそうだが、誰かさんの故郷に行く事に比べると、遥かにマシだ!翡翠の公都……貴族主義に凝り固まった連中の巣窟っていう話じゃないですか!?」
「だからこそ君をA班に入れたんじゃない」
サラはサラで、何か考えがあったの事らしいがマキアスとユーシスの二人は納得が行かない様子だった。
「まぁ、あたしは軍人じゃないし、君たちもまだ軍人の卵。命令に従う義理はないわ。でも、あたしはⅦ組の担任として、君たちの教官として、君たちを適切に導く使命がある。それに意義があるなら………二人がかりで、力ずくで言うこと聞かせてみる?」
そう言ってにっこりと笑う。
その発言に、ユーシスとマキアスは頷き、前に出た。
「流石に、ここまで言われたら引き下がれないわよね、男の子は」
凶悪そうな見た目の導力銃と、これまた凶悪そうな見た目の剣を抜き、サラが構える。
「二人だけじゃ勝負にならないし、リィンとエルドも参加しなさい!まとめて相手してあげるわ!!」
「わ、分かりました!!」
「は、はい!」
エルドとリィンが強制参加となり、前に出る。
「それじゃあ、《実技テスト》の補習と行きましょうか。トールズ士官学院・戦術教官、サラ・バレンスタイン、参る!」
そう言うと、サラは目にもとまらぬ速さで、マキアスへと接近した。
「なっ!?」
既に剣が降られる態勢になっており。反撃が間に合わない。
「がっ!?」
マキアスの腹部に、サラの一撃が当たる。
「く、くそっ!?」
マキアスは後ろに倒れながらも、銃をサラ教官に向け、引き金を引く。
だが、無茶苦茶な体制の一撃が当たるはずもなく、サラは、体をちょっと横にずらし、剣でマキアスの導力銃をコツンっと突く。
銃口はユーシスの方に向けられ、ユーシスに導力弾が当たる。
「がっ!き、貴様……何をしている!?」
ユーシスはマキアスにそう言いながら、サラに接近する。
「《クイックスラスト》!」
素早い三連撃の突きが放たれるが、サラは剣を、ユーシスの剣に添えるように動かし、あっさりと弾き、そのまま至近距離で銃を撃つ。
「くっ!?」
腹部に銃撃をくらい、ユーシスの動きが止まる。
「ユーシス!マキアス!」
リィンが倒れた二人の方を向く。
「リィン!前から来るぞ!」
エルドがそう言うと、リィンの前には既にサラが迫っていた。
「《雷の呼吸 肆ノ型 遠雷》!」
遠距離からの踏み込みで距離を詰め、大きく袈裟斬りをする技を使い、リィンを庇うも、サラはあっさりと袈裟斬りを受け止め、そのまま剣の柄頭でエルドの額を軽く小突く。
「ぐっ!?」
「《肆ノ型 紅葉斬り》!」
その直後、エルドの後ろからリィンが飛び出し、サラに攻撃する。
これには流石のサラも、後ろへと下がり回避する。
「エルド!行くぞ!」
「ああ!」
「《参ノ型 業炎撃》!」「《風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐》!」
リィンの渾身の袈裟斬りと、エルドの体を捻って下方から巻き上げる様にして振るう刃がサラに迫る。
流石にこれは回避できない。
エルドとリィンはそう思った。
仮に回避できたとしても、既にユーシスとマキアスの二人が回復し、向かっていた。
倒せなくとも、一矢報いることが出来る。
そう思った。
だが、サラは跳躍し、軽々とエルドたちの頭上を取る。
「はあああああああああ!!」
剣が電撃を纏い、それを地面に突き刺す。
電撃がエルドたちを襲い、全員が膝をつく。
「これはおまけよ!」
サラはダメ押しと言わんばかりに、後ろに飛びながら、導力銃を構えて、連射する。
そして、エルドたちの敗北は決まった。
「だ、大丈夫!?」
「と、とんでもなさすぎるわよ……」
「一応手加減はしてあったみたいだな」
「ふむ、どんな流派が見当もつかないな」
「でも、これで……」
「決まりだね」
全員が口々にそんな言葉を口にし、サラを見る。
「ふふん、あたしの勝ちね。それじゃあ、A班・B班共に、週末は頑張ってきてね」