閃の軌跡~軌跡の刃~   作:兄上、お労しい

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呼吸の使い手VS八葉の剣士

入学して二週間が経過した。

 

エルド達、Ⅶ組は他の生徒たちとは違う寮で過ごすことになった。

 

本来なら貴族は第一学生寮、平民は第二学生寮で過ごすのだが、Ⅶ組は少々特殊な為、空き家となってる家を学院側が買い取り、寮として全員で過ごしている。

 

「すぅー………はぁー………」

 

朝日が昇り始めた頃、エルドは一人鍛錬をしていた。

 

日課としている走り込みを終え、素振りをし、最後に型を一通り流して終えようとしていた。

 

「《水の呼吸 壱ノ型 水面斬り》!」

 

交差させた両腕から勢い良く水平に刀を振る。

 

「(続けて弐ノ型)《水車》!」

 

縦方向に身体ごと一回転しながら刀を振る。

 

こうして、全ての型を繋げていき、水の呼吸の十まである型を終える。

 

続けて、雷の呼吸の六つの型を流す。

 

そのまま風の呼吸、炎の呼吸、岩の呼吸の型も流し、鍛錬を追える。

 

「ふぅ……水と雷は無駄なく使えるけど、やっぱ残りの三つがなぁ………」

 

そう言い、刀を鞘に仕舞う。

 

エルドは水と雷の呼吸は洗練された動きで使えるが、残りの三つはまだ無駄が多く、本人は納得していない。

 

「もっと走り込みと素振りの回数を増やすか………」

 

今後の鍛錬の内容を変えようかと考えていると、誰かの足音が聞こえ、そちらを振り向く。

 

「リィン、いつからそこに?」

 

そこに居たリィンに驚き、エルドは声を掛ける。

 

「すまない、のぞき見するつもりはなかったんだけど、鍛錬を邪魔するのも悪いと思って声を掛けなかったんだ」

 

「それは構わないさ。それより、もしかしてリィンも鍛錬か?」

 

「ああ。それにしても、グリファス家に伝わる五つの呼吸か。改めて、良い物を見せてもらったよ」

 

「ありがとう。と言っても、水と雷以外、まだまだ無駄の多い粗削りだよ。もっと精進しないとな」

 

そこまで言って、エルドはあることを思いついた。

 

「そうだ、折角だしリィン。手合わせを頼めないか?」

 

「え?」

 

「八葉の剣術。どんなのかは知ってるけど、使い手とは戦ったことがないんだ。興味深いし、ぜひお願いしたいんだが」

 

そう言うと、リィンは驚いた表情をする。

 

「驚いたな。帝国ではほとんど知られてない流派なんだけど」

 

「俺の使う全集中の呼吸も、元を辿れば東方由来の技なんだ。調べている内に《八葉一刀流》に辿り着いてな。それで、どうだ?嫌なら断ってくれて構わないけど………」

 

「………いや、俺の方からも頼むよ。グリファス家伝統の操身術、是非ともこの身で感じてみたい」

 

「なら、決まりだな」

 

互いに距離を取り、武器を構える。

 

「じゃあ、行くぞ!」

 

最初に仕掛けたのは、エルドだった。

 

「《水の呼吸 参の型 流流舞い》!」

 

水流のごとく流れるような足運びで、エルドはリィンを翻弄する。

 

だが、リィンも負けじと刀を自身の周りをなぞるように振り、エルドの接近を防ぐ。

 

「《漆ノ型 雫波紋突き》!」

 

今度は水の呼吸の中でも、最速のスピードを誇る突きを放つ。

 

「《伍ノ型 残月》!」

 

リィンは、居合の構えから抜刀する防御技にしてカウンター技でもある《残月》を使う。

 

《雫波紋突き》を防がれ、エルドが僅かに後ろに押される。

 

「《肆ノ型 紅葉斬り》!」

 

その隙を逃さず、抜刀してすれ違いざまに相手を斬りつける剣速重視の型で、エルドに斬り掛かる。

 

「《岩の呼吸 参ノ型 岩軀の膚》!」

 

エルドは、自身の周囲に刀を振り回しリィンの攻撃を防ぐ。

 

(くっ!やっぱり、完全に使いこなせてない!威力を殺しきれなかった!)

 

自身の技の反省点を考えつつ、エルドは攻撃を凌ぎると、素早く攻撃に映る。

 

「《風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ》!」

 

凄まじい勢いで螺旋状に地面を抉りながら突進する。

 

リィンはその攻撃を受け流すと、刀を上段に構える。

 

「《参ノ型 業炎撃》!」

 

「《炎ノ呼吸 弐ノ型 昇り炎天》!」

 

炎を纏ったかのような袈裟斬りをリィンが放つも、エルドの放たれた斬り上げに防がれる。

 

(もうそろそろ時間だな。この技が最後だ!)

 

時間の事を考え、エルドは最後の技を放とうとする。

 

リィンも直感的に、次の攻撃で最後と悟り、最後の技を構える。

 

「《壱ノ型 螺旋撃》!」

 

「《水の呼吸 陸ノ型 捻じれ渦》!」

 

互いに回転を主体とした技を放ち、同時にぶつかる。

 

そのあまりにも強力な衝撃に、互いに吹き飛ばされる。

 

「ぐっ!」

 

「がっ!」

 

互いに距離を取る様に離れ、そして、互いに踏み止まる。

 

「………はぁ、引き分けか」

 

エルドがそう言い、刀を鞘の納める。

 

「そのようだな」

 

リィンも納得し、刀を鞘に納める。

 

「流石は、《八葉一刀流》。その凄さ、身に染みたよ」

 

「いや、そちらこそ凄かった。五つの呼吸による技と、操身術。どれも驚かされるばかりのものだった。いい経験が出来たよ」

 

「また機会があったら、手合わせよろしくな」

 

エルドはリィンに近づき、握手を求める。

 

「ああ、俺の方こそ。機会があったらまた頼むよ」

 

その握手にリィンも応える。

 

「それじゃあ、寮に帰ろう。このままじゃ遅刻だしな」

 

「ああ、そうだな」

 

お互いに技の出し方の癖や改善点、更には鍛錬のやり方などを話し合って、二人は寮へと帰った。

 




岩の呼吸は、原作だと棘鉄球が鎖で繋がれた手斧でしたが、ここでは刀で使えるように独自のアレンジを加えています。

今回は、エルドの得意とする水と雷の呼吸以外の呼吸を出してみました
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