閃の軌跡~軌跡の刃~   作:兄上、お労しい

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自由行動日

翌日、自由行動日となったこの日、エルドは制服に着替えて、一階へと降りる。

 

そこには既にリィンがいた。

 

「リィン。おはよう」

 

「ああ、エルド。おはよう」

 

「それが仕事か?」

 

「ああ。ただ一つ気になるのがあって」

 

そう言ってリィンが見せてきた内容は旧校舎の探索だった。

 

「旧校舎?それって、もしかしてオリエンテーションの時のあそこか?」

 

「多分。詳しいことは学院長にって書いてある。どうする?」

 

「とりあえず、この必須の奴は後で一緒にやろう。それ以外の必須じゃないのは、二人で手分けすればいいだろう」

 

「それがいいかもな。エルドは何かやりたい仕事あるか?」

 

「どれでもいいぞ。先にリィンが決めてくれ」

 

「じゃあ……」

 

そう言ってリィンは、仕事の依頼書から適当に半分を手にし、残りをエルドに渡してくる。

 

「それじゃあ、これが片付いたら連絡くれ。お互いのが終わったら、必須のを一緒にやろう」

 

「ああ、じゃあ後でな」

 

リィンと別れ、エルドは自分の分の仕事をしに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな所かな」

 

エルドはリィンから貰った仕事を終えると、学院の学食で一息ついていた。

 

貰った仕事以外に、学園内で偶然困ってる学生がおり、その学生の困り事も解決した為、少々疲れを感じていた。

 

「ん?そこにいるのは、エルド少年か!」

 

聞き覚えのある大きな声に気づき、そちらを振り向くと、両手に大量の書類を抱えたリアンが居た。

 

「リアン先輩!」

 

「その様子だと、俺とトワで厳選した仕事を終えた所か?」

 

「ええ、後は必須になってる旧校舎の探索だけです」

 

「む?あれか。あれは学院長直々の依頼でな!本来なら俺が行くつもりだったのだが、学院長から是非とも君たち新生Ⅶ組にやってもらいたいとの事だ!」

 

「学院長直々の?」

 

「うむ!それだけ君たちには期待していると言うことだろう!俺も、君たち新生Ⅶ組には期待している一人だ!何かあれば遠慮なく言ってくれ!」

 

そう言い、リアンは生徒会室へと向かい、休憩を終えたエルドはリィンへと連絡を取った

 

「リィン、俺だ」

 

『シエルドか?』

 

「ああ。こっちはもう片付いた。そっちはどうだ?」

 

『こっちも今終わったところだ。学院長室前で合流しよう』

 

「了解」

 

通信を切り、学院長室へと向かう。

 

学院長室前には既にリィンが待っており、エルドは遅れたことを謝ってから、二人で学院長室に入る。

 

学院長が言うには、旧校舎には不思議な逸話があり、エルドたちが最後に戦ったガーゴイルもその一つらしい。

 

倒しても、いつの間にか元の石像になって戻っているらしく、昔は生徒たちの腕試しとして使われていたそうだ。

 

だが、最近、覚えのない扉が増えたり、どこから過去絵が聞こえたりと不思議な現象が続いて起きており、それを調べるのが今回の仕事らしい。

 

「旧校舎の探索か。リィン、どう思う?」

 

「事実なら調べた方がいいだろう。でも、俺たち二人でできるかどうか……」

 

「なら、誰かを誘うか。ガイウスやエリオット辺りはどうだ?」

 

「そうだな……正直、誘うのは心苦しいけど、この際しょうがないか」

 

リィンはARUCSをだし、エリオットとガイウスに連絡を取る。

 

すると、二人とも二つ返事でOKをしてくれて、数分後には旧校舎へと来てくれた。

 

早速学院長から預かったカギで、扉を開け中に入る。

 

中は、あの日と変わらず薄暗い雰囲気だった。

 

「うう、相変わらずいい雰囲気とは言えないね」

 

「そうだな」

 

「二人とも、もし気の進まないようだったら、引き返しても大丈夫だぞ」

 

「ううん。来週は実践テストもあるみたいだし、少しでも魔導杖の扱いに慣れておかないと。それに、三人だけて何かあったら嫌だし」

 

「この人数だ。慎重に行こう。あそこの扉から入ればいいのか?」

 

ガイウスの視線の先には、オリエンテーションの時、エルドたちが上がってきた階段の扉だった。

 

「ああ、あそこから地下に降りる。さすがに落とし穴から行くわけにもいかないしな」

 

「あの部屋か……ガーゴイルが出ませんように」

 

「そればかりは祈るしかないな」

 

四人で地下に降りると、あの日見た部屋がそこにあった。

 

「よかった。あの石像はないみたいだね。………あれ?」

 

するとエリオットが何かに気づき、声を上げる。

 

そして、エルドとリィン、ガイウスも気づいてる。

 

「リィン、俺の記憶違いじゃなければ、この部屋ってこんなに小さくなかったと思うが」

 

「いや、あの時と比べて、明らかに部屋が狭くなってる」

 

「見た感じ二回りほど小さくなってるな」

 

「それに……あんな扉、前はなかった」

 

部屋の奥には新たな扉があり、異様な存在感を放っていた。

 

「扉が増えてるとか、変な声が聞こえる程度なら勘違いや気のせいで済ませられるが、部屋の大きさの変化にあからさまな扉の出現…………この旧校舎、何かあるな………」

 

部屋を見渡しながら、俺は言う。

 

「とにかく行こう。離れないように、固まって行動するぞ」

 

リィンの指示に全頷き、奥の扉を開ける。

 

すると、そこにはが見たことのない通路が広がっていた。

 

「な、なんなのこれ!?僕たち、こんなところ通ってないよ!?」

 

「どうやら地下の構造が完全に変わってるらしい」

 

「徘徊している魔獣の気配も変わってる」

 

「地下の構造がわずか数週間で変わって、徘徊してる魔獣まで変わる。いくらなんでも、おかし過ぎるな」

 

「どうする、リィン、エルド」

 

ガイウスが俺とリィンに答えを聞いてくる。

 

リィンは少し考えると、意を決して頷く。

 

「進もう。学院長に言われたのはこの地下の調査だ。何の成果もなしには帰れないし、なにより何かあった時のためにも地下の中を把握する必要がある」

 

「俺も賛成だ。それに、これだけの異変だ。何か起きてからじゃ遅いしな」

 

「はぁ、仕方ないか~」

 

「女神の加護を。行くとしよう」

 

 

  

 

 

 

 

 

 

前回と同じ編成で、奥へと進んでいく。

 

前とは違う魔獣で苦戦するかもと思ったが、あの時と比べるとエルドたちも随分と力をつけたらしく結構楽に倒せた。

 

戦術リンクのお陰もあり、地下の調査は順調に進み、とうとう最深部にまで来た。

 

「地下はここまでか」

 

「構造が変わったことと、魔獣が変わったこと以外は特に変化がなかったな」

 

「ああ。魔獣も決して倒せないレベルじゃない」

 

「これといった情報はなかったね」

 

「ま、問題ないならそれでいいだろう」

 

「そうだな。とりあえず、地下の構造変化と魔獣の二つの件だけ報告しよう」

 

来た道を引き返そうとしたその時だった。

 

突如、部屋の中央でスパークが起き、そこから魔獣が現れた。

 

「魔獣だと!?」

 

「が、ガーゴイルより強そうだよ!?」

 

「この部屋のボスってところか?リィン!」

 

「ああ!全員、武器を構えろ!行くぞ!」

 

リィンとエルドで先陣を切り、ガイウスも飛び出す。

 

エリオットはARCUSを駆動し、アーツを使おうとする。

 

「くらえ!」

 

「せいっ!」

 

リィンの太刀が、魔獣の脇腹を割き、エルドの刀が肩に深く刺さる。

 

肩を勢い良く切られ魔獣は悲鳴を上げる。

 

「はっ!」

 

すかさずガイウスが槍で、皮一枚でつながってる状態の魔獣の右腕を攻撃し、そのまま右腕を切り飛ばす。

 

「行くよ!《アクアブリード》!」

 

詠唱を終えた、エリオットがアーツを魔獣に当てる。

 

「《風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風》!」

 

エルドが放った一撃が、風の刃を纏い、4つの斬撃を浴びせる。

 

「《陸ノ型 緋空斬》!」

 

リィンが燃え盛る斬撃を放ち、魔獣は大ダメージを追う。

 

「くらえ!」

 

「これで、どうだ!」

 

そこに、エリオットが魔導弾を打ち、ガイウスが連続で突きを放つ。

 

とうとう魔獣は、膝をつき、倒れる。

 

「今だ!決めるぞ!」

 

リィンが刀を鞘に納め、勢いよく走りだす。

 

「《四ノ型 紅葉切り》!」

 

「くらえ!《ゲイルスティング》!」

 

リィンの居合斬りの様に放たれた一撃とガイウスの風ごと放つ強力な突きが魔獣に刺さる。

 

「《ブルーララバイ》!」」

 

エリオットが眠気を誘う、鐘をを鳴らし魔獣は動きを止める。

 

「《炎の呼吸 伍ノ型 炎虎》!」

 

エルドが放った一撃はまるで炎の様な虎が噛み付く様に魔獣の体を斬り裂く。

 

魔獣は力尽き、倒れ、その姿を跡形もなく消した。

 

「お、終わった?」

 

「………ああ、大丈夫だろう。もう何の気配も感じないし」

 

リィンの言葉に警戒を解き武器をしまう。

 

「危なかったけど、なんとかなったね」」

 

「戦術リンクも、だいぶコツを掴めてきたな。どうやら、ARCUSを通じて呼吸を合わせるようだな」

 

「ああ、悪くない感じだ」

 

「それじゃあ、このことを学院長に報告しよう。ガイウス、エリオット。二人ともありがとうな。お蔭で助かった」

 

「役に立てたならよかったよ」

 

「気にするな。これも縁だ」

 

部屋を出て、入り口に戻ろうとすると、部屋を出たところにあったオブジェクトが妙な光を放っていた。

 

「あれは?」

 

「さっきは光って無かったよね?」

 

「そう言えば入り口のところにも同じようなものがあったな」

 

「ちょっと確かめてみよう」

 

リィンが近づき、オブジェクトに触れると、突然光があふれ出し、エルドたちを飲み込む。

 

全員が咄嗟に顔を手で覆い、光が収まると目を開ける。

 

するとそこは、入り口だった。

 

「これは!?」

 

「まさか、一瞬であの距離を移動したのか?」

 

「本当に何がどうなってるんだろう……」

 

「まぁ、深いことは考えなくていいだろう。むしろ、手間かけずに戻ってこられてラッキーと思えばいいだろう」

 

「そうだな。学院長に報告しよう。ガイウスとエリオットも一緒に来てもらっていいか?」

 

「うん、いいよ」

 

「ああ、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、それは予想外の事態じゃったな」

 

「……地下の構造が丸々変わってしまった、か。不思議な遺跡とは思ってたけど、まさかそこまでだったとはね」

 

学院長室にはサラもおり、エルドたちは二人に地下でのことを話した。

 

「えっと、あの遺跡ってどんな由来があるんですか?外観を見る限り、随分昔に建てられたものみたいですけど」

 

「誰が建てたか……というのは実は判っておらん。だが、この学院の設立以前からあの場所にあったのは確かじゃ。恐らく数百年以上前……暗黒時代のものじゃろ……」

 

「暗黒時代……千二百年前の大崩壊の後、しばらく続いた混沌の時代ですね」

 

「うーん、あの頃の遺跡っておかしな物ばっかりなのよね。魔導だの錬金術だの」

 

「でも、さすがに地下の構造が丸々変わるってのはおかしいのでは?」

 

そう尋ねると、サラも学院長もうなずく。

 

「学院の記録を見る限り、そのようなことは今回が初めてじゃ」

 

「私の方でも、暇を見て調べてみます。あそこは赴任した時から気になっていたので」

 

「すまんな、そうしてくれるか。さて」

 

学院長がエルドたちを見て、穏やかな笑みを浮かべる。

 

「シュバルツァー君、グリファス君。それに、クレイグ君、ウォーゼル君。四人は本当にご苦労だった」

 

「いえ、こちらこそお力になれたのならよかったです」

 

全員で一礼し、学院長室を出る。

 

「ふふ、中々頑張ったじゃない。どうやらARCUSの機能も少しは掴めてきたみたいだし」

 

「戦術リンクですね」

 

「確かに使いこなせればかなりの力になってくれそうだ」

 

「でも、中々タイミングを合わせるのが難しいよね……」

 

「……ま、そこら辺は徐々に慣れていくしかないだろう

 

「そうね。ま、いずれ他のメンバーとも合わせてもらう事になるから……取り敢えず今日は依頼も含めて色々お疲れ様。特にリィンとエルド、また次もこの調子で頼むわよ?」

 

「ええ、判りました……?」

 

「またってことはやっぱり次があるんですね……」

 

「聞いてる限り、やっぱり君たち、そういうの向いてるみたいだし。それに、あの頑張ってる生徒会長と先輩を助けてあげたいって思わない?」

 

「う……!ああ、もう、了解です!」

 

「まぁ、始めからそのつもりでしたよ」

 

「うんうん。会長たちには伝えておくわ。それと、旧校舎の鍵についてはそのまま君達に預けておくと学院長が仰っていたから。気が向いた時にここにいない他の皆も誘って見てきてちょうだい。それじゃあねー」

 

サラはそう言って鼻歌交じりに離れていく。

 

「二人とも、いいのか?」

 

「まあいいさ。どうせクラブは決めてないし」

 

「そうだな。それに、あそこの探索もちょっと興味があるしな」

 

「何かある時は遠慮なく読んでくれ。力になろう」

 

「僕も手伝うよ」

 

「ああ、その時は頼むよ」

 

その後学食に行き、四人は夕飯を食べて寮へと帰った。

 

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