×◎月×☆日
神様のお告げを聞き、起床後直ぐに里長の家に走り出す。
てえへんだ!てえへんだ!と里長の家に転がり込むと、
里長はまた何かやらかしたのかと聞いてきた。
今日はまだ何もしてないぜと返して、
神様から雪解け水で川が氾濫する話を聞いたことを話す。
幸い未然に防ぐための能力と氾濫対策方法と氾濫場所を、
細やかに教えられたがなんとか記憶が薄れないうちに伝えられた。
里長から位置関係がわりとふわふわしている地図を借りて、
町を廻って男衆に治水のために人を集めていることを触れ回り、
ついでに土嚢用の麻袋を用意してくれと伝える。
一通り触れ回った後は自宅でスコップを大量生産して、
集合場所へ向かう。
里の北にある通りを集合場所にはそこそこの人数がおり、
同じ長屋や同じ職同士でグループを作って貰い、
今回の作業内容と作業の割り当てを伝える。
俺が貰った能力についてどんなものなのか尋ねられたので、
実演してみると、1メートル四方の池と掘り返した際に出た土の山ができた。
神様は色々と不完全な能力になっていると言っていたが、
現在の状況では非常に有効な能力になっている気がする。
説明を終え現地入りして早速作業開始。
俺はひたすら川幅を広げるために掘りまくり、
若い男衆はひたすら土嚢を作りまくり、
土木作業を行える年季の入った男衆には土嚢積みと川縁の整備を行って貰う。
川の里側に土嚢を積み上げ、反対側より高くしている。
これで万一氾濫しても里側に水が流れないようになっている。
×◎月×◎日
今日も土を掘る作業に専念する。
途中麻袋が無くなったり、河童が見学しにきたり、
天狗が写真を撮っていたがひたすら掘り続けた。
×◎月×★日
雪が解け始めているのか。
僅かに水量が増えてきた。
川の上流に狼煙役を立てたが大丈夫だろうか。
×◎月×●日
河童が作業をずっと眺めている。
何が面白くて眺めているのだろうか?
やっぱり人間ショベルカーになった俺が奇妙に映るのだろうな。
×◎月△○日
なんとか川幅を広げる作業は終わった。
連日の作業で疲弊しているが、皆笑顔だ。
昼飯を届けに来た女衆には、獣みたいな匂いがすると
言われてしまったので皆で川で水浴びだ。
川の水が冷たすぎる。
×◎月△○日
竹籠に石を詰めた蛇籠というもので護岸整備をしていると、
上流から狼煙があがった。
急いで川から離れ様子を窺っていると、
徐々に水量が増し、見る間に水位が上昇する。
融雪洪水は起こっているが氾濫まではいたらなかった。
対岸がかなりギリギリまで水位が上がっていたが、
神様の予想通りの水量だったようだ。
しばし川を眺めていると見物客が増え、皆で洪水の様子を見ていると、
上流から河童たちが流れていく。
河童の川流れが本当に見えるとはな。
流されているのに手を振っている奴もいるので、
かなり余裕がありそうだった。
×◎月△×日
とけた雪で道がぬかるんでいてとても歩き辛い。
妖怪には雪解けの被害とか無かったのかと、河童に聞いてみたが、
妖怪は空を飛べるから特に何もなかったようだ。
羨ましいこって。
×◎月△△日
雪が無くなったと思ったらもう桜が咲いている。
まだ三分と言ったところだ。
里の連中は慌てて祭りの準備をしている。
どうやら異変解決と長らく待ち望んでいた春の訪れを祝う祭りをするらしい。
巫女さんにも参加するように言っておいたので、当日は参加するだろう。
×◎月△□日
桜は五分咲き。
春告精が喜び勇んで、春の訪れを告げている。
まあそれは良いとして、男衆が神輿を持ってきた。
なんでも里で祭りを行うにあたって、神社から神様を乗せる用の神輿を冬の間に作っていたらしい。
御神体を神輿に乗せていいか、神様に聞いて欲しいそうだ。
神様は喜んで許可していた。
×◎月△☆日
桜は八分咲きだが、里で祭りが始まった。
まずは男衆で神輿を担いで神社から御神体を里に運んでくる。
神輿は里中を練り歩き、里の中心辺りにある通りのちょっとした広場に置かれ、
そこを中心として出店が立ち並び、里の人が思い思い食べたり飲んだり踊ったりしている。
朱塗りの神輿の近くには貢物が乗った荷車が置かれている。
巫女さんは荷車のチェックをしているようだ。
出店を廻っていると、紅魔館組がピザを作って売っていた。
妹ちゃんは今日も楽しそうにピザを作っている。
メイドさんに聞いてみるとどうも妹ちゃん発案らしい、
傍で優雅に紅茶を飲んでいるお姉さんに良かったんですかと聞くと、
状態も安定しているから別に構わないとのこと。
そっか良かったねと妹ちゃんに言うと、ピザ回しをやってくれとお願いされたので、
派手にでかいのを回して聴衆の度肝を抜いて俺の成長をアッピルする。
デカすぎて石窯に入らないのをメイドさんに怒られたのでそそくさと退散する。
里を廻っていると貸本屋に紫魔女と稗田の嬢ちゃんがいた。
なんかその二人に貸本屋の嬢ちゃんが怒られているみたいだ。
何をやったんだろうか?そっとしておこう。
露天の女の子から焼いた竹の子を貰ってかぶりつく、
やっぱり春の若竹は溜まりませんなと女の子とちょっと語り合った。
女の子にピザを分けて次の露天へ。
行く先々で食べ物を買い、酒を飲まされ、足元が覚束なくなったので、
神輿のところで休憩する。
なんか屋台荒らしが出たらしいが大丈夫だろうか?
【我が信徒よ。祭りとはいいものじゃな。】
神様が神輿に訪れる里の人の様子を語る。
記憶力がいいのか訪れた里の人の特徴や何を言っていたのか、
服装や髪型、些細な癖なども教えてくれるが、右から左に受け流した。
ぼんやりと聞いていると、男衆からアレをやってくれと言われる。
アレってなんだよと返したら前の異変の宴会の時にやっていただろと言われ思い出す。
早速通りで楽器を演奏して小遣い稼ぎをしていた人に声を掛けて、
今回の異変を歌い上げる。
『辺境から暖かさが奪われ、永い冬が訪れた。
白銀の悪魔は幻想郷の人間を黙らせた。
時は経ち、次第に春の香りが訪れる頃になった。
いつもなら、幻想郷は白い吹雪から桜色の吹雪に変わるはずだったのだ。
そして春はまだ、来ない。
氷精と雪女が跋扈し、冬は深まり、
冥界の使者によって、春は奪われた。
しかし我らの博麗の巫女達が氷精と雪女を払い、
冥界の使者を追い詰め、ついには冥界から春を奪いかえしたのだ。』
聴衆の盛り上がりが非常に良いので、
ここから更に盛りに盛ったら巫女さんに呆れられた。
×◎月△◎日
日課を終えて家に戻ると冬に見た光景があった。
とりあえず人魂の女の子とドリキャスマークの女性を家に上げる。
二人から謝罪と菓子折りを貰い、こちらからは神社での宴会のお誘いをした。
二人とも部屋に置かれた花を気にしているようだ。
しかし人魂の女の子が少し照れているのはなぜだろうと思って聞いてみる。
「次はご期待に沿えるように頑張ります!」
どうも祭りで盛りまくった人魂の女の子の活躍に沿えるように頑張るらしい。
巫女さんやマリちゃん、メイドさんの活躍を大げさにするために、
人魂の女の子をめちゃくちゃ強いみたいなことを言っちゃったからな。
三人の弾幕に刀一本で対抗するのは無理がある気がする。
まあ本人のやる気に水を差すわけにはいくまい。
×◎月△★日
神社での宴会は割かしスムーズだった。
スキマ妖怪と吸血鬼のお姉さんが鞘当したり、
人魂の女の子と花妖怪の再戦があったが問題は無かった。
花妖怪に伸された人魂の女の子を介抱しつつ、
幽霊の演奏をききながら散っていく桜を眺める。
春告精がもう春が終わることを嘆いている。
もう暦では初夏に入るからしょうがないと緑の妖精に慰められて、
気を取り直したのか遊び始めた。
妖精たちの中には妹ちゃんと猫が混じっている。
雪女は飲みすぎて寝ているし、
ドリキャスの女性はひたすら食べている。
俺は狐の女性に尋問されている。
神様はそんな大それたことを企んでいないと思います。はい。
え?今回の洪水も河童が川底を掘れば何とかなったって?
いやまあそうでしょうけど、ほら神様も里のために何かしたいとかそういうアレですよ。
里に対する影響力拡大のための策略じゃないかって?
いやほら、うちの神様って水系だから川の氾濫とか気になっちゃうんじゃないですかね。
そんなに力のある神様じゃないし、未だに実体化できていない弱小だし、
そんなに勘ぐらなくでも大丈夫ですよ。
そうです。そうですとも!そうそうお酒でも飲んで忘れましょうや!
おお、素晴らしい飲みっぷりですね!
へー、あの猫ちゃんは狐さんのお弟子さんなんですね!
あんなにちっこいのに凄いですね。
へえ、ゆくゆくは八雲の名をですか、早く成長するといいですね。
へっ?それは困る?まだまだ手を離れてほしくない?
もう泣かないでくださいよ。ほらまだまだ大丈夫ですって!
ええ、そうですそうです。大丈夫ですとも!
・・・なんとかなった。
狐さんも雪女の隣に寝かせておこう。
×◎月△●日
農家の三男坊の梅吉が共同便所の糞を回収しに来た。
やっぱり冬が長かったせいか、めっちゃ溜まっているらしい。
でも全然溜まってなかった長屋もあるんだって、
不思議な話もあるもんだ。
×◎月□○日
また今度宴会をするらしい。
初夏の梅を愛でる宴会だとさ。
まだ春の陽気が残ってんのかね。