あつもり日記   作:syumasyuma

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×★月×△日

 

メソメソ泣いている小鬼にどうしたものか考えていると、

巫女さんがやってきた。

 

俺は悪くないぞというと、分かってるわよと返される。

さっ片づけするわよと言いながら、小鬼の首根っこを掴んで奥に引っ込んでいった。

 

鬼ですら顎で使うのか。

 

 

×★月×□日

 

昨日あったことを神様に伝えて何とかできないか相談してみる。

 

『我が信徒の頼みならば叶えてやりたいがのう・・・・・・ふぬぬっ』

 

珍しく歯切れの悪い神様だ。

いつもならできるできないはすっぱりと伝えてくれるのだが?

その後あっさりと【水を酒に変える力】をくれたが、

どうにも反応が悪いなにかあるのだろうか。

 

 

×★月×☆日

 

早速水を酒に変えてみる。

水用の甕に手を翳して能力を発動すると、水からアルコールの匂いが漂ってきた。

声を上げて酒だと喜んだが、ここでちょっと違和感をおぼえる。

 

なんとなくできたばかりの酒をちょろりと舐めてみると、

驚くほど無味であった。

しばし反応に困っていると、神様が声を掛けてきて言い訳を始める。

 

『ほら我って実体が無いじゃろう?酒は造れても味までは再現できんのじゃ!そのう・・・すまんかった!』

 

なるほど味覚が無いからか。

 

酒の味は梅の実なんかを漬け込んでしまえばいいし、

アルコールの濃度はかなり自在にコントロールできるので、消毒液にも使えるので実際有能だとフォローする。

 

神様はほっとしたようだ。

 

 

×★月×◎日

 

 

神社で小鬼に神様から能力を頂いたことを自慢する。

喜色満面で喜ぶ小鬼の前で能力の実演をしてみる。

 

まず水を作り出して甕にいれ、甕の水を酒に変える度数は40%ほどだ。

そして下処理をした梅と砂糖をいれる。

できたのかと聞いてくる小鬼に、あと一月掛かると伝えると、

大の字で倒れて泣き声をあげた。

 

「う゛えええ!やっぱり飲めないじゃないかー!」

 

またメソメソしているなと見ていると、小鬼はおもむろに持っていた瓢箪に口を付けてごくごくと喉を鳴らし、飲み始める。

口を離したと思ったら盛大に吐息を出す。

その息は非常に酒臭いし、小鬼の目がとろんとした。

 

その瓢箪は何だと聞くと、酒蟲の入った瓢箪で幾らでも酒が沸いて来るそうだ。

じゃあそれで宴会すればいいのではというと、飲み飽きたと返される。

 

我侭な奴だと思っていると、空から巫女さんとメイドさんがやって来た。

 

二人の手には樽が下がっている。

 

「鬼を泣かせて楽しむ人間なんてあんたくらいね。」

 

樽を地面に置きながら巫女さんがそんなことを言ってくる。

誤解だというと、はいはいと流される。

 

メイドさんに樽のことを聞くと、やっぱり葡萄酒らしい。

昨日巫女さんの依頼で作ったとのこと。

 

時間操作する力ってすごいなと思っていると、

メイドさんから置いてある甕について聞かれたので、

梅酒を造っているところだと返す。

 

ふーんと言いながらメイドさんが甕に手を当てると、

酒が見る間に琥珀色に変わり梅酒ができてしまった。

 

メイドさんが酒の味見をしてかなりキツイわねと零す。

巫女さんも味見して美味しいけどすぐに酔いが回りそうだわと言う。

そら原酒だからね。

 

酒の匂いに釣られた小鬼が起き上がり、甕を抱えて飲み始める。

甕はどんどん傾いていく、ついには水平を越える。

 

「ああ~若いけど美味い!いい水使ってるね!」

 

10リットルはあったはずなんだが、そうか一息で飲み干すのか。

こりゃ葡萄酒1樽じゃ全然足りそうも無いな。

 

同じことをメイドさんも感じたのか、樽の発注があった。

 

 

×★月×★日

 

今日は樽作りに精を出した。

といってもDIYで作成できるからあっという間だったが。

ついでに里の医者に消毒用のアルコールを渡して有効利用してもらう。

 

 

×★月×●日

 

無事異変解決の宴会を行ったが、集まりが悪い。

呼んでもいないのに参加する天狗や河童はいないし、

冥界組や妖精たちはまた宴会するのかと呆れて来なかった。

 

参加したのは小鬼と巫女さんにマリちゃん、人形使いのねえちゃん、吸血鬼のお姉さんに妹ちゃん、

メイドさんに紫魔女さんとスキマ妖怪と狐と猫と稗田の嬢ちゃんだ。

 

小鬼はスキマ妖怪に人望が無いわねと煽られ、憤慨し酒を煽る。

 

マリちゃんと紫魔女と人形使いのねえちゃんは隅でなにやら話している。

どうやら古道具屋で魔法事典を見つけたそうで、その本の素晴らしさをマリちゃんが自慢しているようだ。

 

紫魔女は素知らぬ顔をしているが耳が赤く、人形使いのねえちゃんは本の筆跡で何かを感じたのか紫魔女を見て呆れ、

マリちゃんは著者の目の前でべた褒めしている。

 

妹ちゃんは猫と一緒に狐さんの尻尾に埋まっていて、狐さんはグラスに注いだ葡萄酒を傾けて色を見ている。

 

稗田の嬢ちゃんは巫女さんと吸血鬼のお姉さんから小鬼と対峙した際のことを聞いているようだ。

お姉さんは小鬼よりも巫女さんのほうが鬼のような顔をしていたわと述べて、

巫女さんに頬を摘まれている。

 

俺はメイドさんに牛肉の葡萄酒煮を差し出して、愚痴を聞いている。

また巫女さんとマリちゃんが紅魔館で暴れて修復に時間が掛かっただの、

妖精メイドが仕事を増やしただの、葡萄酒を作るための葡萄を作るための畑を作って草臥れただの、

普段内に潜んでいた文句が濁流のように溢れてくる。

 

しばしメイドさんの愚痴を聞いていると段々と不平不満が少なくなってきたので、

話題を吸血鬼のお姉さんと妹ちゃんにすりかえる。

すると今度はいかにお姉さんと妹ちゃんが可愛いかの話になった。

そのうちに話が支離滅裂になり声が小さくなり、メイドさんは酔って寝てしまった。

 

狐さんに顔を揉まれている猫を横目にしている妹ちゃんが暇そうにしていたので、

酔っ払い用の布団を敷いてもらえるようにお願いする。

 

メイドさんを布団に寝かせて、妹ちゃんにお礼を言う。

ついでに梅酒の余りから作った梅ジャムを渡して、

宴会に戻ると既にグダグダな状態になっていたので帰ることにした。

 

 

×★月△○日

 

釣りをしていると河童が川から上がってきた。

なんか具合が悪そうだったから聞いてみると、

昨夜鬼が山に現れて目に付く妖怪全てに酒を飲ませて廻ったそうだ。

酔って倒れるまで瓢箪から酒を飲まされて、それはそれは酷い目にあったと文句を垂れている。

 

妖怪のアルハラはきつそうだな。

 

 

×★月△×日

 

ちょいと遅めの梅雨が来たそうで、

雨がザーザーと降っている。

そういえば小鬼が宴会をやらせるために雲を散らせていたとか言っていたな。

 

 

×★月△△日

 

今日も強めの雨が降っているので、日課を休んで傘作りの内職を行っていると、

戸を叩く音がする。

 

こんな日に誰かと思ったら妹ちゃんがはっぱの傘をさして立っていた。

とりあえず上がって貰って何の用かと聞くと、ジャムのお礼にパイを持ってきたそうだ。

 

なんのパイかと聞くとブラックバスらしい、本当はニシンにしたかったそうだ。

パイは甘いものみたいな先入観があったが、喰ってみると中々に美味しい。

美味い美味い喰っているとどうやらこのパイは妹ちゃんがお手伝いしたそうで、

とても嬉しそうにしていた。

 

いいお嫁さんになれるというと喜んでいた。

 

 

×★月□○日

 

ずーと雨だ。

まだまだ梅雨は明けそうに無い。

薪が湿気てしまい火の付きが悪く、燃やすとはじけてしまうのは困ったものだ。

 

 

×●月○○日

 

時折晴れ間が見えるが大体雨だ。

 

 

×●月×○日

 

例年に比べて短い梅雨だったが、明けてよかった。

久しぶりの晴天に外を出歩くが道がぬかるんでしょうがない。

しかし毎度のことながら梅雨が明けると一気に気温が上がってしょうがねえな。

 

 

×●月××日

 

釣りをしていると河童が現れる。

盟友盟友煩いので話を聞いてみると、

何やら幻想郷の外から怪しげな通信があったそうだ。

 

どうもラジオ計画を諦めきれていなかった一部の河童が、

通信関係を弄っていると外から通信の感知したので内容を傍受して、

出所を探ったら一つは幻想郷の竹林から一つは月からだそうだ。

 

よく分かったなというと、大したセキュリティを構築してなかったそうで、

相手は恐らく幻想郷の技術力をかなり軽視しているのではと河童は確信しているようだった。

 

なんでもいいけど月からの通信か・・・。

 

 

×●月△○日

 

氷室から取り出した氷を削ったカキ氷が売られている。

かなり高価ではあるがついつい買ってしまう。

 

イチゴ味やレモン味があるが、やはりスイ(砂糖水)が一番よなと、

貸本屋の嬢ちゃんにいったが、一番人気はイチゴだそうだ。

 

 

×●月□○日

 

里を歩いていると風鈴のなる音がする。

音の方向を見ると蕎麦の屋台だ。

丁度いいと屋台に近づくと竹の子の姉ちゃんが座っていた。

軽快に蕎麦を啜る姉ちゃんに声を掛けると、風鈴の音に惹かれたのか?と聞かれる。

 

そうだと答えると単純だねと言われる。

お互い様さと言うと、違いないと笑っている。

気持ちのいい人だな。

 

なんかの縁だと思い蕎麦を奢ると言うと、悪いねと言って更に注文する姉ちゃん。

中々の健啖家のようだ。

 

盛りそばはそこそこの味だった。

 

 

△○月○○日

 

暑かった夏も過ぎ、残暑もそれほどではなく。

そろそろ秋が見えてきた。

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