△□月×☆日
道具の手入れをしていたら同じ長屋の彦左衛門が訪ねてきた。
彦左衛門の後ろには幽霊がついており、
どうやら迷子になったらしい。
そういえば今年は浮遊霊が多い。
空を見上げればちらほらと見かけるほどである。
彦左衛門と幽霊を連れて中有の道の出店を冷やかし、
三途の川まで送ってあげた。
△□月×●日
魔法の森まで木像の材料探しに向かう。
冬のこの時期になると、森の厄介な植物たちも活動を控え、
比較的安全に探索できるからだ。
相変わらず良さそうな木も無く、お地蔵様も姿を消したままだ。
ここの木は捻くれているなと思っていると、
小さな洋風の家を見つけた。
こんな所に家なんてあったんだなと眺めていると、
家の中から人形が現れ屋根の雪下ろしや周辺の雪かきを始めた。
もの珍しげに見ていると人形と目が合い挨拶をすると、
中から人形使いが現れた。
ここは人形使いの家だったのか。
人形使いに道に迷ったのかと聞かれ、
探し物の最中だが目当てのものは無さそうだと答えると、
寒いから家の中で温まったらどうかと言われる。
言葉に甘えて家の中に入れて貰うと、
そこかしこで人形が働いているのが見える。
「またせたわね。紅茶でも飲んでゆっくり温まるといいわ。」
紅茶に野イチゴのジャムを入れて頂く、
冷えた体に温かい紅茶が沁みる。
人形使いの天気の話からどんどん話を広げて、
人形使いの研究の話をしていると、
すっかり夜になってしまったので、
今日は泊めてもらうことになった。
人のいい魔女もいたもんだ。
△□月×★日
「私は完全な自動人形が作りたいのよ。付喪神じゃなくて、感情や魂を魔法で構築したものを!」
人形と一緒に拍手しながらアリスさんの演説染みた語りを、
聞いていると外から戸を叩く音が聞こえる。
誰かしらと言いながら応対に出たアリスさんが変わった格好の人間を連れてきた。
素性を聞いてみるとどうやら外来人のようで、人形に囲まれて怯えている。
外来人がしきりに帰りたがるものだからアリスさんが神社まで送ると言い出した。
外来人は大丈夫ですと言っていたが、このままだと妖怪の餌食になってしまうと、
心配したアリスさんはいいからいいからと外来人の意見を突っぱねる。
アリスさんと大量の人形に掴まれた外来人は雪の空に消えていった。
帰り際に木を見ていったがやはり良さそうなものは見つからない。
そろそろ神様に相談してみようかな。
△□月△○日
神様に聞いたら森の生きている木には妖精が宿っているから、
その生命力を感じて木像に適していないように見えてしまうそうだ。
見るなら切り出された木材だが、木像に適した木材の当てはあるので、
技量を磨くように言われた。
当てがあるのか。
どこにあるのかと聞くと俺も良く見ているものらしい。
はて?そんなものあっただろうか。
時が来ればわかるらしいが・・・。
△□月△×日
里から幽霊が消えたのでその後を追うと、
古道具屋に行きついた。
中入ると大量の幽霊がいた。
店内は幽霊の影響か非常に寒く、外よりも寒いのではと思ってしまうほどだ。
店主は寒い寒いと言いながらも特に困っているように見えない、
夥しい量の幽霊に囲まれながら平然と本を読んでいるのである。
こんな事態になったのに店から出るのが億劫で、
幽霊に巫女さんを呼ぶように頼んだそうだ。
思わず何やってんと言ってしまっても無理は無いだろう、
店内を見ると幽霊が石油ストーブに群がっているのが見える。
「幽霊にも寒がりなのがいるようだね。これは興味深いことで~~」
店主の想像薀蓄が始まったので退散することにした。
△□月△☆日
妖夢ちゃんが行灯を持って歩いているので声掛けた。
何やら愚痴を言いたそうな顔をしていたので、
団子でも食べながら聞くことにする。
「訳があって道具屋の雪下ろしと雪かきをしたんですが、量が多くて多くて、もっと定期的に雪おろししたほうがいいと思うんですよ。」
どうやら物ぐさな店主に一杯食わされたようだ。
一頻り愚痴を言ってスッキリしたのか、
別れ際にやるぞーと言っていたのが聞こえた。
△☆月○△日
徐々に気温が温かくなり春が近づいてきたのか、
雪が段々と解けてきた。
今年の水量は・・・例年並みといったところだ。
洪水のこの字もない。
△☆月×○日
花屋に花妖怪がいたのでおそるおそる声を掛ける。
どうやら春の花の種を買っているそうだ。
本格的に春が始まる前に蒔いておいて、
楽しむつもりなのだそうだ。
一緒に花見でもどうかと言われたので、
ちょっと考えて家の花もそろそろ受粉させてやりたいと思ったので、
見に行きましょうと答えたら家の花は夏の花でしょと笑われた。
年中咲いているから忘れてた。
△☆月△□日
ウワバミ二人組の六介と花丸に誘われて、
居酒屋で飲むことにした。
店には季節の料理が並び一足先にほろ苦い春を満喫することが出来た。
特にフキノトウと味噌を混ぜたふうきみそが酒に良く合う。
しかしこの店は無口な店主のニヒルな笑みと料理しか記憶に残らないな。
店ではもっと色々あったような気がするのだが。
△◎月○○日
幽香さんがそろそろ開花し始めると言うので、
植木鉢を持って西の方へ向かう。
幽香さんと植木鉢の花を指して両手に花ねなんて言うくらいに、
ご機嫌な幽香さんと歩いていると前方から春告精が飛んできた。
春告精が通った後が一気に開花していくのを見て感動していると、
幽香さんが何かに気がついたようで指を指している。
その先には俺の手に持っている花と同種の花が咲いている。
家の花とお見合いさせていると幽香さんがもうこんな時期なのねという、
今年は何十年に一度のあらゆる花が季節関係なく咲く異変らしい。
ちなみにこの異変二回目だそうだ。
そこかしこで妖精が騒ぎ、人が酒盛りをし、幽香さんが近寄る妖怪を蹴散らしていく。
竹の花を見に竹林に行くと巫女さんに絡まれるが、
異変に関係ないと思うや否やどっかに飛んでいった。
竹のちーちゃい花を眺めているとマリちゃんが現れる。
彼女も異変解決に赴いているそうだが、
帽子の中に竹の花を入れているのでそうは見えない。
異変解決のついでと言ってはいたがどちらがついでなのだろうか?
幽香さんが無縁塚の方へ行くというので別れ、
里に戻ると早速花見をやっている酔っ払いに絡まれた。
異変と言うにはあまりにも平和だった。
△◎月○△日
異変解決の宴会なのだが、やたら参加人数が少ないな。
妖夢ちゃんに保護者のことを聞いたら今回は見送りらしい。
保護者じゃないですよという声を流しつつ、辺りを見回すと妖怪の参加が少ないことが分かる。
スキマ妖怪も小鬼も天狗もいない、河童に聞いてみると何でかなーと言いながら何処かに消えていった。
夜雀や蛍、黒いモヤといった騒がしい連中はいるのだが。
新顔の閻魔様にお酌しながらなんでだろうと考えていると、
死神が映姫さまのお説教を恐れてるのさと教えてくれる。
おしゃべりな死神の話を聞いていると棒に何かを書いていた閻魔様に、
そこに正座しなさいと言われる。
なんだなんだと座ると棒で背中を叩かれる。
ばしーんといい音と芯に響く痛みで呻いていると、
裁判逃れはいけませんよとお説教が始まった。
心当たりがあるのでちゃんと聞きつつも閻魔様の杯が空にならない様にお酌をする。
日々のイタズラや、生活態度の長いお説教を受け止める。
俺を見て爆笑していたマリちゃんを見て閻魔様がそちらに矛先を向けた。
バッチーンという音と悶絶するマリちゃんを閻魔様のお説教が襲う。
誰かがお説教されそれを肴に酒を飲むと言う良く分からない宴会だったが、
中々趣があって面白い。
そこにいた全員がお説教されるまで宴会は続いた。