●○月×○日
神社の果樹の冬囲いの準備をしていると、
巫女さんが俺の着ている六尺半纏ともんぺに、
興味があるのか触ってきた。
なんでこんなにもこもこでフワフワしているのかと、
聞かれたので綿を入れていると教えてあげた。
半纏の袖にちょいと穴を開けて、綿を取り出して見せてやる。
綿を受け取った巫女さんはもぞもぞと綿を探り、
これをどこで手に入れたのか聞いてきた。
その辺に生えていると言うと驚いていたので、
作業を中断して綿を探すことにした。
里の近くの沼のまで運んで貰い、目当てのものを早速見つけた。
これだよと言うと、これが?と返される。
巫女さんが茶色いフランクフルトのようなものを触ると、
中から綿がぼわぼわと出て来る。
なにこれと言うので、ガマの穂だと教え、
乾かせば薬になるし、服に入れると温かいと言うと、
穂をせっせと集め始めた。
●○月××日
俺が冬囲いをしている間、
巫女さんはいそいそと巫女服にガマの穂綿を入れていた。
作業を終えて蔵に梯子を片付けていると、
巫女服を着込んだ巫女さんが現れる。
その姿はもこもことしており、非常に丸っこい。
明らかに入れすぎだが、本人はあったかいわ~なんて喜んでいるので、
そいつは良かったとだけ返した。
●○月×△日
神社で巫女さんがマリちゃんに絡まれている。
羽毛布団のように膨れた巫女服をからかっているようだ。
お相撲さんになったのか?なんて言いながら巫女さんにベタベタしている。
ほら、はっけよーいだぞと地面に手を突いたところで、
巫女さんが怒って張り手を繰り出したが、
マリちゃんに避けられて、がっぷり四つに組まれてしまった。
二人の高度なイチャつき、もとい泥仕合を見ていると、
亀が冬眠前の挨拶に来たので来年も宜しくと返す。
ガマの穂がこぼれて落ちる千秋楽と言って、
亀さんは神社裏に去っていった。
確かに巫女さんの服が破れて、折角入れた穂綿が落ちていっているな。
相撲の結果は物言いによる勝負預かりだ。
●○月×☆日
最近、気づいたのだが巫女さんの留守中に、
蛍妖怪が参拝に来ていた。
何やら熱心に祈っているが、何の祈願をしているのだろうか?
●○月△○日
行方不明になった男性の奥さんがやって来た。
男性が帰ってくるように、帰ってこなかったらいい男が現れますようにと
縁結びの祈願をして帰っていった。
●×月☆☆日
今日は流星群が来ると言うので、
巫女さんは泊りがけで見に行くそうだ。
俺は巫女さんに留守番を頼まれた。
マリちゃんと古道具屋の店主が付いているので、
大丈夫だとは思うが風邪をひかないように気をつけてと送り出した。
留守番仲間の小鬼と飲んでいると、
神様からそろそろ流星が降ってくるそうなので、
縁側に場所を移して星見酒と洒落こむ。
次々に降る流星に適当に祈りつつ、8度目の乾杯を小鬼としていると、
神様から明日川で星のかけらを探すといいと言われた。
そういえばそんな素材があったような気がする。
●○月☆●日
川で星のかけらを探していると河童に絡まれた。
探し物で忙しいからあっちに行けと言うと、
何を探しているのかと聞かれ、星のかけらと答えると、
既に全部回収したと言われる。
なんてこったい。
粘り強い交渉の結果、相応の対価と引き換えに、
今まで河童が回収してきた星のかけらを譲って貰えることになった。
●×月○△日
神社で参拝していたら、神様から千回記念ということで手袋を貰った。
手に持っているものなら加護が付いていないものでもリスポン時に持って帰ってこれるそうだ。
ちなみに生物未対応らしいが、
そのうち対応するとのこと。
現状は古道具屋の手紙を早く持って帰れるくらいの利点しかないな。
●△月×○日
年が明けてから少しして、妹ちゃんからお手伝いを頼まれた。
どうやら妹ちゃんお手製の注連縄と、
神社の鳥居や本殿にある草臥れた注連縄を交換するのだという。
前の注連縄は人の腕くらいの太さだったが、
新しいものは人の胴体よりも太く威圧感がある。
よくこんなデカイの作ったねと言うと、
がんばった!という元気な返事が返ってきた。
注連縄を丸太に縛りつけ、なんとかこうにか交換作業を行う。
俺が押してもびくともしないものを軽々と持ち上げる妹ちゃんは、
やっぱり妖怪なんだなと再認識した。
●×月△☆日
巫女さんが新しい神事を執り行なうらしいので、
マリちゃんと見学することになった。
巫女さんの笛の音色で集まった無数の鳥たち。
鷽(ウソ)という天神様の使いらしいのだが、
なぜかマリちゃんに群がり啄ばんでいる。
巫女さんが言うには、その人が今までついた嘘を啄ばんで、
幸福に変えてくれるという鷽替え神事と呼ばれるものだとか。
うちの神様って、天神様じゃないけどやってもいいのかと聞いたら、
既に神様から好きにやってよいと許可が出ているそうだ。
●×月△●日
昨日の神事はどうやら誤っていたそうで、
本来は作り物の鷽を使うらしいと、マリちゃんから愚痴られた。
彼女は結局丸一日つつかれ損だった。
●△月○●日
里で妙な病気が流行っている。
全身から力が抜けるように気だるくなり、咳が少し出るようだ。
俺は神様の能力で平気だが、うちの長屋の連中もダウンしている。
どうしたものかと考えていると、巫女さんが神様の木像を抱えてやってきた。
俺は初耳だったが、神様は病気の神でもあるようで、
神様の手を触ることで病気が良くなるらしい。
里の住人が次々に神様の手を触って元気になっていく。
巫女さんは何故か古道具屋に飛んでいった。
巫女さんの代わりに木像を抱えて里内を廻っていると、
マリちゃんが巫女さんに連れられてやってきた。
フラフラしていたマリちゃんも神様の手に触ると途端に元気になり、
巫女さんに平謝りしている。
どうやらこの流行病はマリちゃんが無縁塚で拾った小皿に封印されていたものを、
破ってしまったことで発生したらしい。
まあ何にせよ解決してよかった。
●□月○△日
雪が解けて人形劇を再開したアリスさんから、
冬の間に妖精と仲良くなったという話を聞いた。
あの時の鷽がアリスさんの家の窓を突き破って、
妖精に襲い掛かるとは良く分からない繋がりあるものだ。
●☆月×△日
神社に行ったら、巫女さんとスキマさんが稽古していた。
なんで妖怪が巫女さんに稽古をつけているのか分からないが、
とりあえず巫女さんを応援していると、マリちゃんも合流してきた。
最後は巫女さんがどこぞの神様の権能を借りて、
石畳に幻覚の大穴を空けたところで稽古は終了した。
三人でスキマさんの稽古の意図について話すが、
皆目見当もつかない。
何のための稽古だったのだろうか?
●●月○□日
日課を終えて里をぶらついていると、
塩問屋の丁稚のマサ坊が巫女っぽい服を着た女の子と話をしている。
マサ坊にどうしたのかと聞くと、どうも近くにある神社について聞かれているそうだ。
マサ坊はこの人は巫女なのか疑っており、
巫女っぽい人もなんで自分が疑われているのか分かっていないようだ。
しょうがないので外から来たであろう巫女さんに、
幻想郷の巫女のことを教えてやる。
巫女さんは腋を出すものだと!
「ま、まさかそんな!何故腋を出す必要があるんですか?」
伝統という非常に便利な言葉を返し、外の巫女さんを連れて呉服屋に向かう。
外の巫女さんも幻想郷スタイルになって貰った所で事情を聞こう。
「うう・・・すーすーしますぅ。え、はい!あの山の上に引っ越してきまして、まずは土着神に挨拶をと!」
山の巫女さんは初めが肝心なのだと意気込んでおり、
このまま勢いで宣戦布告しそうな勢いだ。
とりあえず神社に行く前に挨拶すべき神様がいるよと、
山の巫女さんを連れて長屋の便所にやって来た。
ここですかと、不思議そうな山の巫女さんを尻目に、
便所の戸を叩く、すると中から叩き返されたのを確認してから声を掛ける。
厠神様にお会いしたい人がいると言うと、ちょっと着替えてくるから待てと言われる。
山の巫女さんに何方なんですかと聞かれたので、
神様の中で最も徳の高い神様で、右手で大便を、左手で小便を受け止めて
浄化してくださる素晴らしい神様だよ。
「ええ・・・。」
人間ならば、まずこの方に挨拶しなければ失礼と言うもの。
まあ、最近は忙しいのか埴輪が受け止めているからそのお姿を見ることはほとんど無いが。
厠神に挨拶したあとは竈神などの家神と引き合わせ、
里の外の神様たちと合わせた所で日が暮れてきたので、
親御さんを心配させないように帰らせる。
また明日!まだまだ神様はいるから!と言ったが、
山の巫女さんは大丈夫ですぅー、と言って帰っていった。
何故だ。
●●月○☆日
神社に行ったら巫女さんは不在だった。
どこ行ったのかと神様に聞いたら、
山の巫女さんに宣戦布告されたので、とっちめに行ったそうだ。
●●月○●日
『我が信徒よ。見るがいい!』
やけにテンションの高い神様が現れたのでよく見ると、
頭頂部に二本の角が生えていた。
角が生えていることを聞くと、どうも分御霊を持っている巫女さんが、
滝登りをしたことで格が上がったらしい。
ちなみに権能=分御霊なので、俺も持っていることになるとのこと。
そんなの知らなかった。
神様からの依頼で角付き木像を急いで作ることになった。
宴会の準備もあるのにな。