あつもり日記   作:syumasyuma

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第26話

○◎月○△日

 

多分夕暮れ、騒がしい声で目を覚ますと、部屋の中を彷徨う死霊が増えていた。

 

とりあえずマイケルと名付けてから、まだ起きるには早いので二度寝する。

 

起きたらマイケルがいなくなっていた。

また寝ながら破壊してしまったらしい・・・。

 

この悪癖を何とかしないと、お姉さまが外泊を許してくれない。

しかし生まれてからこの癖が改善される兆しは見えない。

 

私の部屋で大量に蠢く死霊たちを押しのけながら部屋の外に出る。

 

何故私の部屋に死霊は貯まるのだろうか?

何故私には死霊が見えるのか?

 

尽きない謎を解くために、今日も図書館へ向かう。

 

 

○◎月○□日

 

やはり屋敷は風水的に良くない。

基本的に赤いからダメダメね。

 

図書館の隅で本を読んでいると、右手の死霊がやってきた。

 

彼女の手話を読み解く。

どうやらお姉さまがまた何か変なことを始めたようだ。

 

 

○◎月○★日

 

ちょっと欠けていて満月ではない月の光の下で、

屋敷の庭を散歩していると、珍しくお姉さまが夜に活動していた。

 

夜昼逆転している不良吸血鬼に声をかけると、

異変を起こす準備をしているらしい。

 

金目の物を地下にしまい込み、屋敷全体の強化と拡大をしたそうだ。

 

他にも色々仕込んでいるみたいだけど、

多分、日の目を見ることは無いんだろうな。

 

 

○◎月○●日

 

奇妙な夢を見た。

 

蠢く影がお姉さまの異変に参加したほうがよいと淡々と語る夢だ。

 

なるほど、既に戦いは始まっているのね!

 

お姉さまは既に情報戦で敗北していて、私を異変に参加させようとしている。

なんの意図があるのかな?

 

 

○◎月×○日

 

騒音で目が覚める。

また死霊が増えたのかと思ったが、むしろ減っている。

 

二度寝にしゃれ込もうと考えたが、先日の誘いを思い出す。

 

音のする方へ、向かうとお姉さまと侵入者が争っているようだ。

侵入者は人間の巫女のようで、景気よく暴れている。

 

互いに弾幕をばらまいて、鎬を削る様は、まるで花火のように美しい。

 

しばらく観察していたが、お姉さまが追っていたはずなのに、

いつの間にか巫女が背後を取っていたりと、空中戦の巧みさも楽しい。

 

人間の巫女が、お姉さまに直撃を当てて、勝ちを奪い、

次はあんたかと睨みつけてくるのだから体が震えてしまった。

 

びしょ濡れで地面に転がっていたお姉さまからルールを聞き出し、

人間の巫女と弾幕ごっこに興じたものの、

ちょっとしたアクシデントで、あっさりと負けてしまった。

 

人間如きに負けるなんて!

 

 

○◎月××日

 

昨日の敗北の原因は、わたしに掛けられた呪いだ。

 

この呪いは私が能力を使おうとすると、視界を遮る魔法の霧。

幼少の頃、父に掛けられ、今の今まで私に付きまとってきた。

 

実害はほとんどなく、むしろ有益なことが多かった。

 

しかし、それも今日までだ。

 

昔に比べたらとても薄くなった呪いを根絶せんと、

ちまちまと破壊していると、お姉さまから異変解決の宴会に誘われた。

 

気分転換にどう?だって、まるで人間に負けたからむしゃくしゃして、

暴れた子供のみたいな扱いだわ。

 

やはりこの呪い許すまじ!

 

 

○◎月△△日

 

飲めや、歌えや、宴会の中。

 

私はあるものを探していた。

 

神社の本殿に上がり込み、それと対面する。

無数の死霊が群がり縋る中心に、夢の中で私に語り掛けてきた影の本体がいる。

 

嘆き、苦しみ、怨嗟の声を上げる死霊の顔から段々と険しさが消え、

穏やかな表情へと変貌すると、静かに神社から離れていく。

 

『汝も近くに寄ると良い』

 

その声に強く惹かれ石像へ触れると、私から黒いものが像へと流れ込むのが見えた。

黒ずんでいく像を見つめていると、呪いの霧も像に吸い込まれていった。

 

 

○◎月△□日

 

部屋にいた死霊が私に引っ付いてくるようになった。

 

どうやら部屋に死霊が溜まるのは風水的なものではなく、

私が霊媒体質だったのが原因だったようだ。

 

うっとおしくて破壊しかけたが、そこで呪いの霧が出てこないことに、

若干の寂しさを感じて、手を下す。

 

 

○◎月△☆日

 

神様に相談すると、一時的に像を持ち出して良いと言ってくれた。

 

像を持ち出して屋敷に着くと、早速死霊が像に近寄り、

穏やかな表情になると屋敷から出て行った。

 

私の部屋は静かになった。

 

 

○◎月△◎日

 

折角なので屋敷中を巡り、彷徨っている死霊を片っ端から、

浄化していると、右手の死霊がどこかへ案内しようとする。

 

死霊の誘いに応じて、外に出ると門番が管理する庭園に行き着いた。

お姉さまのお気に入りのあずまやから眺められるここに何があるのか。

 

すると地面から染み出るように、微かな塵のようなものが像に吸い込まれていった。

 

右手の死霊を見ると、死霊はまた別の場所に案内しようとする。

 

死霊の後を追ったが、途中でお姉さまと出会ってしまい、思わず逃げてしまった。

 

○◎月△●日

 

なんとなく気まずいのでお姉さまを避けつつ、今日も死霊を集める。

 

 

○◎月△▲日

 

お姉さまが博麗神社に殴り込みに行ったらしい。

 

 

○◎月△■日

 

右手の死霊が最後に案内したのは、お姉さまの部屋だった。

 

ノックしてから扉を開けて、中を覗くとどうやらお姉さまは不在のようだ。

 

死霊は二枚の絵画の前で止まる。

一枚は私の居ない家族の絵、もう一枚は私だけの絵。

 

家族の絵からまた塵が現れて、像に吸い込まれていった。

右手の死霊もまた、像に吸い込まれていった。

 

 

○◎月△★日

 

静かになってしまった部屋。

 

寝つきが悪いので、お姉さまの部屋に行くと、

お姉さまは小鳥の囀りを聞いていた。

 

「おはようフラン」

 

おやすみなさいと返して、お姉さまの棺桶の中に入る。

 

お姉さまの棺桶は新しい土の香りがした。

 

 

○◎月□○日

 

すっかり黒くなった像を神様に返し、

新しい像を取りに行くと、今日は中に人間がいた。

 

ぎょっとしている人間を挨拶して、中に入ると相変わらず、

所狭しと物が並んでいた。

 

変なものが沢山あるので、像を貰うのを忘れて、

ヘンテコな傘を貰って帰ってしまった。

 

 

○★月○○日

 

ヘンテコな傘は近所の妖精達に大人気で、羨望の視線が心地いい。

なんでも生命力がすごいらしい。

 

あとお姉さまから絵を贈られた。

お姉さまの肖像画だ。

 

 

×○月××日

 

おじさまからもうすぐお祭りがあるという話があったので、

紅魔館から出店を出そうという話になった。

 

しかし何の店を出したらいいのか、議論が紛糾したため、

人里に詳しい人材から、何が目立つのかリサーチを行った。

 

その結果、珍しい食材を使い、衆目を集める調理法で、

更に美味しいもの・・・つまりピザを作ることになった。

 

なお、ピザ回し選手権行われた結果、おじさまが上手かったため、店長に就任させた。

 

 

×○月×☆日

 

お祭り当日。私たちの屋台は大盛況!すぐに完売してしまった。

 

おじさまが売上から出店で使える貨幣を取り出し、

お祭りを回ってこいと渡してきた。

 

おじさまの手元には銀銭、銅銭、鉄銭、真鍮銭、陶銭に紙幣と、ごちゃ混ぜになっている。

銅銭でも価値が違うとか、ここの通貨はどうなっているの?

 

・・・お金を食べる人?がいて、その人が価値を決めて両替してるの?

 

変なの。

 

気を取り直して、お祭りを見て回る。

 

謎の置物、変なお面、滑稽な踊りを踊る人、変な髪型の人たちの芝居、

見た目ピザのもちもちした謎の食べ物、河童などの妖怪の屋台、

乞食をやってる貧乏神、デートする疫病神、占いをする魔女や仙人。

 

お祭りは変なのが沢山ね!

 

主賓の神様から貰った葡萄の美味しさに驚き、お姉さまに変なお面を被せ、

巫女の舞に見惚れ、ピザの評判に聞き耳を立てる。

 

戦利品を持って戻ってみれば、パチュリーがまだテーブルに座っていたので、

手を掴んでお祭りに参加させる。

 

しょうがない引きこもりね!

 

 

××月△○日

 

今年の冬は雪が多くて、門番用の小屋が潰れてしまったらしい。

 

寒そうに腕を摩っていたので、近くに火の剣を刺してあげた。

 

 

×◎月○○日

 

幻想郷って、冬が長いのね。

 

盆地だからかしら?と思っていたが、どうやら異変だったらしい。

 

異常気象ってやつね。

 

 

×◎月×☆日

 

急にあったかくなったので、急いで衣替えをする。

 

そして春祭りの話を聞いて、急いで屋台の準備をする。

 

トマトが全然無い・・・。

 

 

×◎月△☆日

 

お祭り当日。ピザはすぐに完売!

 

ホワイトソースで代替したり、鳥の照り焼きを乗せたり、コーンとマヨネーズを使ったり、

変わり種のピザばかりになってしまったけど、評判は上々。

 

むしろ乾燥トマトを使ったライバル店との差別化ができて、

流石元祖みたいになったわ。

 

しかし助言をくれたおじさまはなぜそんな知識があるのかしら?

 

 

×★月×△日

 

門番のホラ話を聞いていると、ナマズが食べたくなった。

 

近くの湖でナマズを捕まえ、ムニエルにする。

お姉さまが美味しいわと言ったので、今日はナマズ記念日。

 

 

△○月○○日

 

おじさまから悪戯の極意を学んだ。

 

お姉さまの健康のため、食卓に納豆を用意した。

しかし思いの外、反応が良く毎日食べるようになり始めた。

 

お姉さまは正気じゃない。

 

 

△○月○△日

 

お姉さまは酒蔵立ち入り禁止になった。

 

 

△○月○□日

 

今度はクサヤなるものを用意したが、お姉さまは食べた。

 

そして気に入った。

 

 

△○月○●日

 

臭ければ何でも良いのではと、今度はニンニクを用意したが、

流石に食べられなかった。

 

良かった。

お姉さまはちゃんと吸血鬼だったのね。

 

 

△○月×○日

 

お姉さまを水鉄砲で攻撃したらめちゃめちゃ効いた。

 

笑ってたら取り上げられて、逆に水鉄砲で攻撃された。

 

だがこんなこともあろうかと神様から流水が平気になる力を貰ってたから大丈夫!

二本目の水鉄砲で、お姉さまを追撃する。

 

ずるいというお姉さまに、じゃあ神様から貰えば良いというと、

少し考えた後に、それもいいかと返ってくる。

 

続きは神社で行うことになった。

 

 

△○月×◎日

 

中秋の名月、またの名を十五夜という。

 

折角なので、月見をしようと準備をしていたが、

なんと偽物の満月が現れた。

 

そしてお姉さまの額に青筋が表れた。

 

パチュリーに無茶ぶりするお姉さまに憤りの理由を尋ねると、

私の満月と明日の十六夜の月を汚されたかららしい。

 

なるほど?

 

下手人を捕まえると、息巻いているお姉さまに同行して、

異変解決に乗り出す。

 

道中、顔見知りが同じく異変解決に動いていたので、

情報交換しながら、元凶を探っていると、

博麗の巫女が怪しげな屋敷に突入した。

 

追ってみると、どうやらここが犯人の根城だと判明。

 

梅雨払いを他の勢力に任せ、結界を破壊しながら、奥へ向かうと、首魁に歓迎された。

 

毒気を抜かれたお姉さまの代わりに、咲夜が弾幕勝負を行い、見事勝利!

 

敗者の蓬莱山の胴を縄で繋ぎ、犬の散歩のように、巫女たちの元へ戻り、

残党(一番強い)を降伏させた。

 

無事、異変を解決した我々は屋敷で、改めて月見を行う。

 

月はとうに沈んでしまったけどね。

 

 

△○月△☆日

 

屋敷に永遠亭勢力が会談をしにやってきたので、

かぐや姫の表紙に蓬莱山にサインを貰った。

 

 

△○月△★日

 

宴会の騒ぎで、お姉さまの部屋が吹っ飛んだ。

 

私の部屋は地下にあって、特に影響なし。

 

 

△□月○×日

 

神様からの依頼で、注連縄を作ることになった。

 

小さい注連縄を作って、最後は大きいサイズにまとめるみたい。

 

妖精メイドが手伝ってくれてるけど、直ぐに遊びだしちゃって、

作業がまるで進まないわ。

 

全くもう!・・・私が作った草鞋はお姉さまにあげよう。

 

□○月△☆日

 

通信機を貰った。

お姉さまとの直通回線だ。

 

ほんとパチュリーは何でも作るわね。

 

 

●△月×○日

 

前に作った注連縄を神社におじさまと取り付ける。

 

う~ん、ちょっと立派すぎない?

神様も見栄っ張りということなのね!

 

 

●☆月×△日

 

お姉さまが月に行くと言い出した。

 

今回は八雲何某に煽られたからだそうだ。

 

何時諦めるか、門番と掛けることにした。

 

 

●★月○●日

 

おじさまがロケットを作り出した。

 

本当に人間なの?

 

 

★○月○×日

 

月への旅行に、当然私も行けると思っていたけど、

お姉さまから留守番を言いつけられた。

 

遊びじゃないし、危険なのよと言い含められる。

 

それでもと食い下がると、じゃあ試してあげると言って、葡萄を持ってきた。

 

お姉さまは葡萄を一粒取ると、皿の上に置いて破壊しなさいと言う。

 

これがなんの試練になるというの?

 

簡単に破壊してみたら、今度は手の上に乗せた。

これもあっさりと、そうしたら次は葡萄を飲み込んで、さあと言ってくる。

 

何を言っているの?

 

しかしお姉さまの冷たい目が、先を促す。

冷汗が止まらない、破壊の瞬間、目を閉じる。

 

恐る恐る目を開けると、お姉さまには掠りもしていなかった。

 

ほっとしたのも束の間、頬を張られる。

 

「もう一度」

 

私にはできないと、泣き言を洩らす。

また頬を張られ、目を閉じるな、集中しろ、と襟を掴まえられる。

 

霧が恋しいと、思ったのはこれが初めて。

 

お姉さまのお腹に触れ、胃の位置を探る。

 

お姉さまの体が強張りを感じ、目を見つめる。

 

お姉さまの目はいつもと同じ、怯えとプライド。

 

お姉さまの右手が、痺れた左頬を撫でる。

 

深呼吸して、葡萄を破壊する。

 

寄りかかるように抱きしめてくるお姉さまを支える。

飲み込んだ音が聞こえた後、ゆっくりと息を吐いた。

 

「じゃあ、留守番よろしくね。」

 

バカをするお姉さまのために、バケツを持ってこないと!

 

 

★○月×□日

 

紅魔館当主代理のフランドール・スカーレット。

 

聞こえはいいが暇である。

 

暇つぶしを兼ねて、神様の手伝いをすることに。

 

神社の裏にある大量の像を、本殿に運び、

壁沿いにずらりと並べると、なんだか既視感を覚える。

 

ああ、少し前までの私の部屋だ。

 

いや死霊がいない分、より穢れた雰囲気を感じる。

 

耐性のないものなら卒倒するかも?

 

 

★○月×●日

 

待ち人来たれり。

 

まずおじさまの家の前で、へたり込むおじさまを回収し、神社へ送る。

 

今度は竹林に向かうと、月の使者とスキマ妖怪が変な遊びをしていたので、

武器と縄を破壊して、神社まで案内する。

 

おじさまがバタバタと来客の準備していて忙しそうなので、神様に話しかける。

プランJ(持ち出したのは事故だよ(・ω≦) テヘペロ)じゃと、小さく言葉が返ってきた。

 

月の使者が全然入ってこない。何だったらスキマ妖怪も一向に入ってくる気配がない。

 

帰ったか?と思ったが、おじさまに促されて渋々ながら入ってきた。

 

様子が明らかにおかしい、顔は青白く、目は虚ろ、吐く息は青く、時折歯の音が鳴る。

 

嫌悪に染まっていた表情は、恐怖に支配されていた。

 

受け答えは最低限で、宝玉を受け取ったら直ぐに、逃げ帰っていった。

 

お姉さまに通信で有り様を伝えていると、おじさまが代わってほしいようだったので、通信機を手渡す。

 

スキマ妖怪と神様の化かしあいを、尻目に並べていた像を元の位置に運ぶ。

 

何事も使いようね。

 

 

★×月〇×日

 

お姉さまと一緒に、神様の像を担いだおじさまを空から追跡する。

 

途中から、花妖怪がおじさまについていったが、刺激しなければ無害なので気にしない。

 

やがて三途の川へ辿り着く、像の手から生命の結晶のような球が転がり落ちると、

川を覆う霧が晴れ、打ち寄せる波により、川べりは砂浜に変貌する。

 

潮の匂いが押し寄せ、山の向こうにはどこまでも続く水平線が見える。

 

お姉さまが狂ったように笑い始める。

 

私は砂浜に降りて、海に足を入れてみる。

 

ひゃっこい!とても入れたものじゃないね。

 

ばしゃーんと、何かが落ちる音が聞こえたので、辺りを見回すと、

神様の像は無く、おじさまが海に落ちるところが見えた。

 

水しぶきを満足そうに見るお姉さまに、何となく水を飛ばすと、

お姉さまが笑顔になる。

 

空に逃れたものの、結局捕まってしまい。

 

姉妹そろって海の中に落ちた。

 

 

★×月〇□日

 

おじさまから私たち姉妹の像を貰った。

 

空中での追いかけっこの様子みたいだが、

とてもよくできている。

 

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