#7
○◎月△○日
昨夜の宴会は楽しくはあったが、巫女さんがとんでもない爆弾を
落としていったので困ったもんだ。
巫女さんが言うには神社で宴会を行うので、
この神社の関係者を呼ぶのは当然とのこと。
確かに?
でも吸血鬼とか妖怪は怖いからと断ろうとしたが、
周りの里の人からその日宴会の酒やつまみは任せとけだの、
子供達からの期待の視線や稗田の嬢ちゃんの私も参加します!
宣言の後ではすっかり言い出せなくなってしまった。
【我が信徒よ。あの巫女の前ではそうそう危険な目には合うわけ無かろうて。】
不安に苛まれ床でゴロゴロしていると神様が声を掛けてきた。
神様は巫女さんの異変解決の様子を詳細に知っているようで、
巫女さんが話していなかった細やかな部分まで語る。
話を聞いて思うのは巫女さん強すぎではないかということ。
というか巫女さん吸血鬼を倒したしか言ってなかったけど、
吸血鬼の妹さんも倒していたのか。
まあそれなら巫女さんの前で変なことはできないかな。
【我が信徒よ。吸血鬼よりも妖怪の賢者に気をつけよ。】
それはどういうことかと聞き返すと、
幻想郷の管理者であるならば、神社に入り込んだ人間と神を野放しにしたりはしない。
必ずどのような意図を持っているか確認しなければならない。
そのため今回の異変解決の宴会の場を利用して接触してくるはずだが、
普段の行いから俺よりも神様に接触してくると思われるので、
やっぱり心配する必要はないとのこと。
○◎月△×日
でも心配だったので知り合いに声を掛けて宴会に出てもらうことにした。
普段盟友盟友煩い河童と、我らが先生だ。
マリちゃんは参加するらしいし、古道具屋の店主には断られた。
赤信号皆で渡れば怖くないよ。
○◎月△△日
さて宴会の参加者だが、闇妖怪に、氷妖精、大妖精の野良組に、
吸血鬼姉妹、銀髪メイド、紫魔女とお付の小悪魔の紅魔館組、
俺、神様、巫女さんの神社組、
稗田の嬢ちゃん、マリちゃん、先生、河童、天狗の自由参加組。
稗田の嬢ちゃんと天狗は異変の取材だと。
参加者を見ながら食器などを配膳していると、
後ろから肩を捕まれた。
爪が肉に食い込んで痛い!
「貴方は食べてもいい人間?」
闇妖怪に食べちゃダメな人間だと毅然とした態度で返した。
更に本当に食べちゃダメかと聞かれたので、先生に助けを求める。
先生!この子めっちゃ力強いです!肩が取れそうです!
これで注目を集めてしまったのか、妖精が近寄ってくる。
「おい人間!あたいはさいきょーのチルノ!」
「ちょっとチルノちゃん危ないよ。この人妖精攫いだよ。」
あっどうも、はあ最強なんですか。凄いですね、惚れ惚れします。
大ちゃんさん、妖精を捕獲したのはあそこで飲んでいる金髪魔女で、
私は一切そのようなことは企んでおりません。
「人間さん、今日はいい月ね。」
おお吸血鬼様、本日はお日柄・・・お月柄も良く、今日は存分に楽しまれてください。
俺の言葉に何か引っかかったのか紫魔女がやってくる。
えーと魔女様はなぜこちらに?へっ?、お日柄はそういう意味じゃないと・・・。
さすがは魔女様でございます!正しき知識をお持ちになられる正に賢者!
見知らぬ金髪の女性も近づいてくる。
ほぇっ?私も賢者と呼ばれていると、えーと貴方は?
ヒエ妖怪の賢者様であられますか!
あのーそのー・・・河童ぁ!助けろ!
・・・なんだこのマイクは?この前の宴会の歌を聞いてみたいだって?
一番!歌います!
ふう何とかなったぜ。
皆マイクの取り合いになってて俺のことをさっぱり忘れてやがる。
全くなぜ俺が接待しなければならないのか、
巫女さんはマリちゃんと吸血鬼姉と飲んでるし、
先生は稗田の嬢ちゃんのところにいるし、
河童は歌ってるしとため息を吐いていたら、
メイドさんがお酒入りのグラスをくれた。
一息で飲むと葡萄の豊かな香りと熟成された酸味と渋みが濃く、
非常に飲み辛い・・・これはいい葡萄酒だ!
チーズもあるんですか。これはねっとりとして臭い白カビチーズ!
売れそうかって?勿論ですとも人里は飲兵衛が多いので、
酒の種類が多いとその分喜ばれますよ。
酒屋への紹介状出しておきますよ。
あれ?妹さんが本殿の中に入って行ったな。
あの中には神様の石像しかないけど、探検かな?
そんなことより酒が美味い!
○◎月△☆日
【我が信徒よ。一つ仕事を頼まれてはくれないか。】
神様からの依頼は神社の裏手にある森を、
注連縄を張って人が入らないようにすること。
神様が言うには神社の裏にある洞窟などは、
地獄やら魔界からの入り口になっているため、
里の人が迷い込まないように人払いの結界を張るらしい。
面倒臭そうにしている巫女さんと手分けして、
裏手にある洞窟や池などを、中心に注連縄を張っていく。
作業中地面に星のマークを見つけたので、
何が埋まっているのか気になって掘り返すと、
やたらめったらお札の貼られた物体が出土した。
あからさまに怪しいものだったので見なかったことにしようとしたが、
埋める動作の途中でお札が剥がれたのか、
封印が解かれ中から何かが出て行ってしまう。
それはオレンジを残して注連縄の中心部に飛び去っていった。
一体何だったんだろうかと、思いつつ作業を再開する。
作業後、巫女さんに良く分からん奴がでちゃったことを報告し、
手元にあるオレンジを見せる。
「出ちゃったじゃないわよ。まあ妖怪かなんかでしょ。」
そのオレンジはくれるのかという巫女さんにその良く分からん奴が残したもので、
何か呪い的なものはないのか確認して貰う。
特に呪いは無いらしいので、
神社の隅っこに植えてみるとすぐに芽が生えた。
そういえばゲームにオレンジのなる木があったな。
○◎月△◎日
日課を終え参拝のついでに昨日のオレンジを見に行くと、
巫女さんが地面に座っていた。
「たまににゅっと伸びて面白いわよ?」
どうやら急成長しているオレンジの木を観察しているようだ。
既に木は50cmほどまで成長している。
試しにじょうろで水を掛けてみると、なんとなく元気になった気がする。
近くにあったしおれ気味だった花にも水を掛けてみる、ちょっと元気になったようだ。
○◎月△●日
今日もオレンジの様子を見に来たが、
なにやら神社の境内でにらみ合う巫女さんと緑髪の女性がいる。
巫女さんの重圧に平気な顔をしている時点で、
やべーやつなのは確定的に明らかだ。
見なかったことにして踵を返すことにした。
くわばらくわばら。
○◎月□○日
夜が明ける前に、吸血鬼の妹さんが家にやってきた。
「お姉さまって酷いのよ!」
姉の愚痴を散々言った後、はっぱの傘を強奪して帰っていった。
なんだか分からんがお姉さんとは和解したらしい。
妹さんを見送りに外に出るとご近所さんが、
腕を組んで壁に寄りかかるという強ムーブをしていた。
とりあえず挨拶しておく。
子供に手を出すわけが無いでしょ。