特典でドラクエ魔法貰ったけど回復しか出来ません 作:アナタ
「でさ」
「うん」
「なんでオールマイトがいんの?」
「HAHAHA♪細かい事は気にするなよ龍野少女」
出久に呼び出されたらオールマイトがいた件に付いて。
何でも個性が目覚めて、今までオールマイトに師事していた事。
その過程でオールマイトが後遺症の残る大怪我をしていた事を知った出久が、俺ならば治せるんじゃないかと思ったから俺が呼ばれたと。
個性が目覚めたのなら報告しろとかサイン下さいとか色々言いたい事はあるが。
あのさぁ、俺一応個性登録誤魔化してるんだけど?
何バラしてくれとんねん、そんな意思を込めた目線を出久に送ると手を合わせて平謝りされる。
別に良いけどさぁ、どうせ雄英の教員にはバレる事だしさ。
「まぁ確かに俺の魔法は怪我ならなんだって治せます」
「それじゃあ!」
「でもそれは怪我をしていたらの話です」
「それはどういう意味だい?」
俺の魔法、ホイミやベホイミは確かにどんな怪我だって治す事が出来る。
1度で回復量が足りなかったとしても何度も掛ければいい話だし。
でもそれは怪我をしていると身体が判断している時だけだ。
怪我をして時間が経ち、今の後遺症が残っている状態が正常なのだと身体が認識してしまっているのならもう治す事は出来なくなってしまう。
あくまで俺の魔法は身体の怪我を治す魔法だ、怪我をしている状態を正常だと身体が認識していては治せるものも治せない。
こればかりは個性を鍛えて、ドラクエ風に言うと回復魔力をどれだけ上げたとしてもどうしようもない。
分かっていたけど悲しい、そういう顔をする2人。
.......あーもうっ!そんな顔されると黙ってる俺が馬鹿みたいじゃんか!
「でもそれは今だったら、という前置詞が付きますが」
「詳しく話してくれるかい?」
「オールマイトと出久は信用出来ると思って話しますが、他言無用でお願いします。多分バレたら俺またヴィランに狙われるので」
ヴィランに狙われる、そのワードに2人の顔が一気に険しくなる。
特に出久は力み過ぎているような気がする。
出久は俺がヴィランにアイドル状態の時に1度そういう場面を見た事あるからか少し俺に過保護気味なきらいがあって、こればかりは俺が気にするなって言ってもはいそうですかという話にはならない。
いつか笑い話に出来る日が来ると俺は信じている。
さて、俺の個性の「ドラクエ魔法」だが攻撃や支援と言った魔法は全く覚える気配がないが、回復系ばかり覚えている事を考えるとアレを覚える事が出来ればワンチャンあるんじゃないかと考えている。
そう、皆が1度はお世話になったあの完全回復魔法の「ベホマ」
俺のホイミやベホイミは時間が経ち過ぎている怪我は治す事が出来ないが、完全回復が効果であるベホマであるならばもしかしたらと考えている。
実際俺の「ドラクエ魔法」は割と俺自身のイメージに引っ張られて効果が微妙に違ってるのだ。
どうしてもホイミやベホイミが序盤や中盤でしかお世話にならない、微妙な回復効果であるからか自分の中で完全回復するイメージが湧かない。
だって終盤になったら「まんたん」コマンドぐらいでしかお世話にならないじゃん?
でも幸いⅩ等の回復魔力によって伸び代がだいぶあるからか、普段はホイミやベホイミだけでも充分であるし、正直ベホイミ以上を使わなければならない状態というのはよっぽど死にかけている状態な訳でそんな場面殆どないのが現状だ。
そんな俺のイメージに引っ張られる「ドラクエ魔法」だが俺の中でのベホマは完全回復魔法の代名詞であり、幾度となく俺が操作する勇者達を救ってきた魔法でもある。
だからこそベホマを使う事が出来ればワンチャンあるのではないかと考えている。
まぁ覚える事が出来ればね?
俺ってば、魔法が使えるようになる時って何となく「あっいけるわ」って感じるというふわっとした感じで正直いつ使えるようになるのか検討が付かない。
ドラクエ風に言うとレベルが全然足りてない。
メタル系のヴィランっていたりしないかな?
「それじゃあ、龍野少女が強くなれば.......」
「ええ。可能性としては充分あると思います」
うぉー、と雄叫びを上げて嬉しそうに抱き合う2人。
「それなら期待してもいいかも知れない。雄英には優秀なプロヒーローが沢山いるし、私だっているしね。任せたまえ龍野少女!君を立派なヒーローにしてみせる!」
「お、おぉう.......お手柔らかにお願いします」
画風が違うからそんな力強く言われると迫力あるなぁ。
でも俺オールマイトみたいにガチガチの武闘派じゃないから習うのは主にリカバリーガールさんじゃないかなぁと。
既に出久と俺は雄英から合格通知を受け取っている。
まさか手紙からオールマイトが投影されるとは思わなくてびっくりしてひっくり返ったけど。
けどレスキューポイントなるものがあるとは。
そのお陰で俺も出久も合格する事が出来た訳だが。
俺の個性の件があってか個別で面接があった俺はそこで普通のヒーロー科の授業に、リカバリーガールによる講習も受講する事が決まった。
珍しい回復個性に加えて、デメリットらしいデメリットが存在せず即座に回復させるその有用性。
国から秘匿せぇや、と言われるだけの事はある個性らしい。
「私も聞いてはいたが実際に見ると凄さが分かるよ。私自身たくさんの回復個性を見てきたが、君のようなデメリットもなく即効性もある回復個性は初めてだ。正直リカバリーガールに言われた時は半信半疑だったがな」
「えー.......俺の個人情報駄々漏れ過ぎない?」
「HAHAHA♪細かい事は気にするなよ龍野少女!」
「オールマイト、笑ったら誤魔化せるとか思ってません?」
「お、思ってないよ?」
うっそだぁ、顔びくついてるもん。
「なぁ出久」
「なに?束紗ちゃん?」
オールマイトが帰ったあと、俺は出久に話し掛けた。
いつの間にか綺麗になった海岸に座り込む。
「お前、個性使えるようになったんだな」
「.......うん」
「良かったじゃんか」
「でも全然使いこなせてない。試験の時も束紗ちゃんがいなかったら僕は大怪我をしたままだった」
「まぁ最初だしなぁ、個性に関して言えば赤ん坊みたいなもんだから仕方がないだろ」
今までなかったものが出来たんだ、いきなりコントロール出来るのはそれこそ天才と言われる一部の人達だけだろう。
赤ん坊がいきなり喋ったり歩いたりが出来ないように、出久もまだ個性に関しては赤ん坊なのだから。
「でも、それでも僕はやらなきゃならないんだ.......」
「出久.......よし分かった!じゃあお前が怪我する度に俺が治してやるよ、修業だ!」
「え、ちょ束紗ちゃん!?」
ぐっと出久を引き寄せて背中をばんっ!と叩く。
そんないっちょ前に男の顔をされたら俺も男の魂ってもんが燃えるってもんよ。
ま、今女の子だけど。