プロジェクト材木座with相模   作:もよぶ

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第十二話

翌週の昼休み、またも新館近くの人気の無い場所にて

 

「相模殿、なんで我らまで」

「川崎さんは友達でしょ?あそこまで聞いたら見届けないと!」

と相模に言われまたもや木陰に隠れて事態を見守る羽目になる材木座

 

「ほら来たよ」

 

材木座達が隠れているところから少し離れた方へ葉山、戸部、海老名、川崎がやってくる

戸部と海老名が向かい合って立ち、川崎と葉山は少し離れる。

「そ、それで、海老名さん、話って?あと隼人君と川崎さん?もなんで?」

 

戸部は若干うろたえて自分が置かれている状況を葉山に聞いているようだ

「俺達は立ち合い、戸部、覚悟を決めろ」

葉山はそういうと腕組みして黙り込む

 

「へ?」

 

頭に疑問符を浮かべる戸部に海老名が話し始めた。

 

「はじまった」

 

相模がそう言うと材木座も黙って事態を見守る。

海老名が戸部に近づき何か話をしている、最後に頭を下げ川崎とその場から立ち去った。

 

「うぁーないわー、これないわー、ヒキタニくんにも相談に行ったのに、俺アホみたい・・・」

泣いているのか叫んでいるのか分らない声を出す戸部

 

「踏ん切り付いたか?今日は部活休んでいいから帰っていいぞ」

「いや出るっしょ!大体友達でいようって言ってくれたから嫌われてる訳じゃないし!それに『今は』って言ってたっしょ?焦らず時間をかけることにするって!だからこの気持ちボールにぶつけるっしょ!」

「そうか、んじゃ今日はお前だけ特別メニューだな!」

「やるっしょ!いやーマジ隼人君惚れるわー俺隼人君にマジ惚れだわー」

 

「・・・戸部、振られたからと言ってそれはどうなんだ?俺にそういう趣味はない、やっぱおまえ帰れ」

「ちょっちょっと!隼人君!冗談だってばー、え?なんでマジで逃げてんの?ちょっと冗談だってー」

騒がしくその場から走り去る二人。

 

「八幡達にも相談してたのか?奴に彼女なんていたことないのに飛んだ無茶ぶりだな」

「・・・」

「どうされた?相模殿?」

相模は材木座をじーっと見つめている

 

「おーい?」

と材木座は相模の目の前で手を振るとそれにハッと気が付き

 

「ご、ごめん、あ、あのさ、明日もここでお昼食べるよね?」

「うむ、教室には我の居場所はないのでな」

「んじゃ明日何も買わないでここで待っててね!」

相模はそう言うと教室に戻っていった。

 

その日の放課後、材木座は原稿片手に奉仕部へと向かう

 

「たのもう八幡!久々にプロットを考えたぞ!」

「お断りだ、本を読むのに忙しい、そしてどこからかパクったプロットを持ち込むな、完成したのを持ってこい」

 

「あら?さきほど依頼が取り消しになったから暇になったのではなくて?」

「ヒッキー、中二の相手してあげてよ、かわいそうだよ」

と二人に言われてやれやれと諦め顔の比企谷

 

「クソっ!仕方ねぇ相手してやるから原稿用紙をよこせ、最近運動不足だからな、一度に何枚破れるか試させてもらう」

「酷いよ八幡!お主の力自慢の為に我の原稿を使わないで!って依頼取り消しとかどうされたのだ?貴様またなにかやらかしたのか?」

 

「ちがうわ!さっき戸部と海老名さんが来てだな・・・ってこれ以上は守秘義務って奴で言えんな」

「そうね、せっかく色々買ったのに無駄になってしまったわ・・・」

と雪ノ下がテーブルに積み上げられた京都関連の旅行雑誌を見る

「いいじゃん!三日目一緒に回るところ考えようよ!ほら!ヒッキーも!ここなんてどうかな!」

と由比ヶ浜が雑誌を広げて雪ノ下と見ている

 

「仲良きことは美しきかなという奴かのう・・・まさかもしや八幡は三日目かの者たちと回るのか?」

「あ?ああ、流れでな?」

「そんな・・・てっきり我と回るのかと・・・この裏切り者ー!」

 

と叫ぶと材木座は走り去るのだった。

 

次の日の昼休みまたも新館の所へやってくる材木座、すでにそこには相模と川崎がいた

「言われた通り何も買わずに来たのだが・・・もしや!我の昼飯代をカツアゲしようと!」

 

「んなわけないでしょ、ほらそこに座って」

呆れる相模と川崎、材木座が座ると両脇に相模と川崎が座る

 

「材木座君の食生活が大変な事になっているのが分ったのでウチらでお弁当を作ってきました」

と二人は材木座へ弁当を見せる

 

「え?マジで?」

 

「あんただけじゃないから、みんなで食べるの」

と川崎は大きめのタッパーを開く

 

「ウチも頑張ったんだからほら食べてよ!」

と相模が箸でおかずを突き出してくるのでちょっと焦る材木座

 

「い、いや・・・自分で食べるので」

「いいから、こういう時は食べてあげるのが男ってもんだよ?」

「え?そうなの?って無理やり突っ込むな!・・・ムグー」

そこそこ大きい唐揚げを口に押し込まれ目を白黒させる

 

「残さず食べてね?」

「残したら承知しないよ」

 

という相模と川崎、もぐもぐと咀嚼をしながらふと材木座は思う

「あれ?なんかおかしくね?なんか我リア充じゃね?」

と疑問符を浮かべるのだった。

 

 

 

その日の放課後

 

「しつれーしまーす」

「ちょっと失礼するよ」

「あれ?さがみんとさきさき?どったの?」

 

相模と川崎が奉仕部にやってきた。

「修学旅行の時に告白の手伝いしようとしてたってちょっと耳にしたんだけど」

と川崎

「あ・・・ああそういえばそうだったな、もう無意味になっちまったが」

振った件もあってこの手の話題になると比企谷は若干答えにくそうだ。

 

「あっそ、ほら!相模!」

そんな比企谷の態度はどこ吹く風で川崎は相模を急き立てる。

 

「本当にお願いするの・・・?」

とても言いにくそうにもじもじしている相模に耳元で川崎がささやく

「ちょうどいいから利用させてもらおうって言ったのはあんたでしょ!ほら!あんたの口から言えって!」

 

「なんか物騒な単語が漏れ聞こえているんですが・・・」

かなり不安そうな比企谷だったが相模は意を決したらしく前に出て頭を大きく下げる

 

「お願い!ウチにとって特別な思い出がある場所を作りたいの、協力して!」

 

「「「はぁ?」」」

 

奉仕部に新たな依頼が持ち込まれる、そしてそれは戸部の依頼と似て非なる依頼、自分にとって特別な思い出の場所を作りたいから修学旅行の時に告白する場所を選ぶ手伝いをしてほしいということだった。

 

それならとうなずく奉仕部の面々だったが、相模が告白する相手を聞いた時、皆の顔色が変わりまず考え直すようにと説得を始める始末であったという。




これで終わりです。

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